後輩の女子につくし先輩との出会いを話す
久しぶりに三人での夕飯を食べ終え部屋に戻ると携帯にメッセージが入っていることに気付く相手を見ると昨日連絡先を交換した夜長さんだった。
今週末に昨日言っていた遊園地に遊びに行く感じのメッセージが届いていた。
俺が既読をつけると夜長さんから音声通話が発信されてきた。出なきゃ何が起こるか分からない為即座に出る。
「こ、こ、こ、こんばんは先輩」
いきなり夜長さんは声を裏返して話始めた。
「こんばんは夜長さん」
「えっとさっき送ったメッセージなんですけど」
「ああ、うん今見たよ、今週末はバイトとか他の予定もないし、いいよ遊びに行こうか」
「そうですか、よかった……」
夜長さんはほっと一息吐く。
「えっと先輩、先輩に一つ聞きたいのですが、もしかして先輩は川崎先輩と付き合ったりとか」
「いや付き合ってないよ、あの時も言ったけど俺には好きな人がいるから」
「先輩の好きな人……こんな質問は失礼ですが先輩は本当にその人の事が好きな人なんですか……?」
「うん、好きだよ」
俺は夜長さんの質問にすぐに答える。
「それじゃあなんでその人の事が好きになったんですか」
「初めて会った時はなんだこの人はって感じだった」
俺は夜長さんに俺と先輩が初めて会った時の事を話した。
まだ高校に通い出して数週間の頃俺は図書室で勉強に追われていた。
俺が入学した学校は月一で復習として学年テストが行われていた。そしてそのテストで赤点をとった者は放課後に居残りをくらって勉強する事になる。
俺はたまたま近かったこの学校に入学したのだが、まさかここまで勉強させられるとは思ってなかった。
おかげで当初は予定していたバイト探しをする事ができずき放課後授業で習った事の復習をする為図書室で勉強に励んでいたのだ。
図書室で俺が勉強に励んでいると大量の漫画本を抱えて隣に座ってくる女子の先輩がやってきた。それが初めてつくし先輩と会った日の事だ。
度々大量の漫画本を抱えて俺の隣に座っては物静かに読み、下校時間になると漫画本を抱えて図書室から出ていくのを俺は間近で見ていた。
そして学年テストの前日俺は初めて隣に座るつくし先輩になんでそんなに漫画本を読むかと声をかけた。するとつくし先輩は面白いからと答えて俺が勉強していた所を間違っていると指摘してきた。
その後つくし先輩は漫画本を読むのを止めて下校時間まで俺の勉強に付き合ってくれた。毎日勉強してたのもあって俺は初めての学年テストでは赤点を取らずに済んだ。
だが来月も学年テストがあるので俺はまた図書室に行く。けどつくし先輩は毎日来ていた図書室に来なくなってしまう。
「読書部ですか……?」
「そう多分あなたが言ってる人は読書部の天王寺つくしでしょうね」
俺は担任に話してそれが読書部に所属する先輩だった事を初めて教えてもらった。
「まぁ彼女頭はいいし基本図書室には行かずに部室で本を読みふけっているって聞いてたけど、それがどうかした」
「いや、別に。教えてくれてありがとうございます」
担任にお礼を言って職員室から出ていく。読書部の部室の場所も教えてもらったのでこれから向かう。
「どうぞ」
読書部の部室の扉をノックして声が聞こえたので開ける。するといつも図書室に来ていたつくし先輩が本を読んでいた。
「何の用かな……?」
「あ、えっとこの前は間違っている所を指摘してもらってありがとうございました、おかげでテストも間違わずに済みました」
ちょうどテストを受けている途中つくし先輩に間違っていると言われた所がテストに出てきたそのお礼を言いに俺はやってきた。
「テスト何の事かな……? 私はただ間違っていた所を指摘しただけだよ」
「それでも一応お礼だけは言っておきたくて、それじゃあ」
俺は読書部の部室を後にする。この後俺はだんだんとつくし先輩の事を好きになっていく。
「てことで、今日のもう遅いからこの話はおしまい」
通話中の夜長さんは俺の話を黙って聞いていた、すると残念がるように声をあげる。
「仕方ないです。その後も気になりますが、確かに今日はもう遅いので諦めます。先輩おやすみなさい」
「おやすみ」
夜長さんにおやすみと言って通話を切る。もう十二時を過ぎていたので、俺はそのままベッドに横になって寝始めようとすると一件のグループメッセージが届く、グループには従姉妹の姉と妹と俺だけが表示されていた。
「は……?」
衝撃のメッセージが送られてきて、俺は寝る前に唖然としてしまった。