後輩女子はこれからも毎日弁当を作る
翌日、俺が川崎さんと隣を歩きながら学校に登校した時の事である。朝から数人の男子生徒達に囲まれた川崎さんには用がないので川崎さんは先に校舎へと入っていく。
「我ら夜長さん親衛隊」
いきなり夜長さん親衛隊とかかれたハチマキを巻いて法被を着て決まったぜみたいな顔をする数人の男子生徒達。
それを登校途中だった他の生徒達がイタイ目をその男子生徒達に向けていた。
「えっとそれで俺に何の用ですか」
多分俺に用がある数人の男子生徒に声をかける。
「我ら夜長さん親衛隊」
それはさっき聞いたので俺は無視してその男子生徒達の横を通り過ぎようとするが、男子生徒達は前に進めぬよう先回りする。
「我らはお前に聞きたい事がある」
そして男子生徒達のリーダー格と思われる三年の男子生徒が話し始めた。
「夜長さんとはどういった関係だ」
「俺と夜長さんはあんた達が思ってるような関係はないそれだけは言っておく」
納得したかどうか分からないが男子生徒達はそのまま黙って立ち去っていくというか校舎に入っていく。
「おはよう、朝から面白い事に巻き込まれてたな」
神沢は教室に入ってきた俺に挨拶をするとさっき囲まれていたのを見たのか笑って答える。
川崎さんに視線を送ると教室で他のクラスメイトの女子達と会話している。
「そうそうさっき夜長さんが教室に今日もお前に弁当渡しに来てたぞ、けどお前がいなかったから代わりに俺が受け取っておいた」
「おーサンキュ」
俺は神沢から夜長さんの弁当箱を受け取る。そういえば昨日の弁当箱後でちゃんと返さないとな。
昼休み俺は中庭には向かわず先に後輩の教室にやってきた。夜長さんに昨日の弁当箱を返す為だ。
夜長さんを探すが教室にはいなかった。
「ねぇ夜長さんどこにいるか分かる……?」
後輩の男子生徒に夜長さんの居場所を聞くが知らないと答える。仕方ないまた授業が終わったら返しにこようと思い二つの弁当箱を持って中庭に向かう。
中庭のベンチで夜長さんから貰った弁当箱を開けると昨日と同じように色とりどりのおかずとご飯が目の前にやってくる。
俺はいただきますと言って弁当箱のおかずを箸で掴み口の中に運ぶ。
弁当を食べ終わり昼休みもあと数分で終わるどうやら今日はつくし先輩と他の友人達はバレーボールを遊びに来ないらしい。
俺は立って夜長さんが戻ってきているか分からないが後輩の教室がある別校舎によってから教室に戻ろうとして考えていた時校舎の横にある木陰に目線を送ると夜長さんっぽい人影が隠れるのを見た。
木陰まで行くがそこには誰もいない、どうやら俺の勘違いだろうと思い別校舎に入る。夜長さんの教室にやってくると夜長さんは席に座り本を読んでいた。
「夜長さん、こんにちは」
俺は喫茶店にいる時の営業スマイルで夜長に話しかける。
「先輩こんにちは」
夜長さんは落ち着いていた。いつも俺の所にきたら慌てる夜長さんだったが、俺の突然の訪問には慌てずに対応する。
「これ、昨日返し忘れてたから」
俺は昨日の弁当箱、そして今日の弁当箱を夜長さんに手渡す。
「私のお弁当先輩の口に合いましたか……?」
「昨日も言ったけど、夜長さんのお弁当は美味しいよ、毎日作ってもらいたいくらいだ、けど俺の妹が毎日作ってくれるから、これからは」
「よかった、それじゃあ私これから毎日作って先輩に渡しますね」
夜長さんは笑顔で答える。俺の話を聞いていなかったらしい。
「夜長さんもう一度言うけど、俺の妹が毎日弁当作ってくれるんだ。だから夜長さんにも朝早くから弁当を作ってもらうなんて悪いし」
「何か言いました先輩……?」
夜長さんは微笑んで答える。俺は夜長さんの問にいえなんでもありませんと答えるしかなかった。
弁当を返し終えた俺は別校舎から、自分の教室に戻る。戻っている途中体育館に向かうつくし先輩を見つけて声をかけに行く。
「先輩こんにちは!!」
「おぉ……こんにちは」
つくし先輩はいきなり声をかけた俺に驚くが挨拶を返してくれた。
「今から体育館行くんですか……?」
「そうなんだよ昼食べ終わった時の体育って無性に眠いから全然やる気でないんだよね」
つくし先輩は大きなあくびをする。すると体育館前からつくし先輩の友人がつくし先輩の名を呼んでいた。
「それじゃあまたね」
先輩は手を振ってから体育館前に走っていく、そろそろ俺も教室に戻らないとまたこの前にみたいに遅れてしまうので校舎へと入り教室に戻る。