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同級生の女子の本気

 

 ショッピングモールに着くと週末なので人が賑わっていた。


「川崎さんは何かみたいのとかある……?」


 俺はこのショッピングモールにくる時は書店かCDショップぐらいしか見るものがないため、ここは川崎さんに任せる。


「さっきあの人と話してた漫画が気になる」


「それじゃあ書店か」


 川崎さんと恋人繋ぎをしたまま書店に移動する。書店の中はそんなに人はいないが俺達に目線が送られる。


 漫画コーナーに川崎を連れてくると俺は先輩と話していた漫画を手に取る。


「これ?」


「そう、先輩と話してたのはこの漫画」


 そして川崎さんはいきなりカゴを持ってきてその作者の漫画を全巻買っていく、金額は二万をゆうに超えた。俺は買ってもどうやってそれを持って帰るか聞かない。さすがに恋人繋ぎをしたまま買った漫画は持てないため、一度離してコインロッカーにしまう。そしてまた川崎さんは恋人繋ぎを始める。


「そういえば川崎さんモデルやってるって言ってたけどその雑誌とかこの書店でも売ってるの……?」


 俺は気になって川崎さんに聞く、川崎さんは俺を雑誌コーナーに連れていき。川崎さんが表紙の一面に写っている雑誌を見せてきた。それを横で雑誌を見てた人が川崎さんに気付いて驚くのが分かった。


 書店から出て今度はCDショップに移動する。川崎さんに聞いたら俺がよく聞いている曲が知りたいらしい。


「俺がよく聞く曲って言ってもな」


 CDショップに着いて俺はアニソンのコーナーに行くそれは最近まで話題であったアニメ映画の主題歌である。


「最近聞いてるのはこの曲とかかな」


「その曲知ってるCDは持ってないけど携帯にダウンロードしてる」


「てか俺も川崎さんがよく聞く曲知りたい普段どんなの聞いてるの」


「笑わない?」


 川崎さんは言う、もしかして川崎さんにしたら意外に思う曲なのだろうか。すると川崎さんはアニソンコーナーのまま一枚のCDを取り出す。まさかのあるゲームの音楽である。てかこのCDショップに売ってる事事態が珍しい


「へぇ川崎さんこの曲好きなんだ意外だけど笑わないよだって俺もこの曲好きだもん」


 その曲はエロゲの主題歌であった。


「私ねクラスの友達には黙ってるけど、たまにこんなゲームもしたりするんだ。もちろん全年齢版だけどね」


 川崎さんのこの反応もしやそっち系統もプレイしているのではないかと思ってしまう。


「プレイするのってもしかして理由とかあるの」


「うん好きな人に振り向いてもらうためにね、けどその人には他に好きな人がいるみたいだから」


「ごめん川崎さん」


「なんで謝るの?」


「だって川崎さん喫茶店の時からずっと無理してるように見えるから」


 つくし先輩と会ってから川崎さんの様子がずっと変だった事に気付いていた。それは多分つくし先輩に対抗にしているのだろう、だからずっと恋人繋ぎをしている。


 もしかしたらこのショッピングモールにつくし先輩がいてそれを見せつけるみたいに川崎さんは恋人繋ぎをしているかもしれない。


 俺がつくし先輩と話していた漫画や俺が好きな曲を知りたいと言ったものきっと対抗しているからだ。


「入学するずっと前からあなたの事好きだった。でも全然振り向いてくれなくて気付いたらあなたはあの先輩の事を好きになっていた。だから喫茶店の時も嫌だった、今日は私と一緒なのになんで先輩と話すのかとか私が知らない話を二人でしてる時も気に入らなかった」


 川崎さんは話す。どうやら川崎さんも俺がつくし先輩の事を好きなのに気付いていたらしい。


「読書部に入部したのだってそう、好きな人と一緒にいたかったでも部室にはあの人がいるからあなたがあの先輩と話すのを見るのが嫌だっただからずっと行かなかった」


 川崎さんはいつの間にか涙を流し始めていた。川崎さんが本気で俺の事を好きだったのが伝わってくる。


「でも今日一緒にいてやっぱりあなたはあの先輩の事が好きなんだって気付いて落ち込んでる。でもね一つ気付いた事もある。あの先輩はあなたの事を好きな人って見てない学校の先輩後輩としてみてるだからまだ私にもチャンスはある」


 流していた涙を拭いて川崎さんは言う。


「私の事あの先輩より好きにさせて見せる。だから覚悟してて」


 川崎さんはそう言って俺をCDショップに置いてけぼりにして行ってしまう。


 川崎さんと別れて俺は家に着くとメッセージが届いている事に気付いた。それは川崎さんからである。


 今日の事本気だから明日から覚悟しててね、あと途中で帰ってごめん


 今日だけで川崎さんの本音が聞けた気がする。どうして俺の事を好きになったかまでは分からないが高校に入学するずっと前からと言っていた。だが俺が川崎さんと知り合ったのは高校生の時からだったはず。


「おかえりお兄ちゃん」


「ただいま」


 家の玄関で俺が帰ってきたことに妹が気付いて出迎える。


「姉さんは」


「今日も仕事で遅くなるって」


「そうか」


 玄関からでも分かるいい臭いが鼻に伝わってくる。


「今日はカレーか」


「お兄ちゃん好きでしょ、ほらさっさと風呂に入って一緒に食べよう」


「ああその前に父さんと母さんに挨拶していくよ」


 俺は仏壇前に立ち二人の写真前で手を合わせる。


 そして妹に言われた通り風呂に入って一緒に妹が作ってくれたカレーを食べるのだった。

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