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2/10

同級生の女子と映画を観ることになる

 

 その日の放課後俺は部室に顔を出していた。


「つくし先輩こんにちは」


「うい」


 ピースサインを作って微笑むつくし先輩は本を読んでいる途中だった。タイトルは愛の教室有名な少女漫画である俺の姉と妹もよく読んでいるのを見たことがある。


 ここは読書部、部員は俺とつくし先輩そして幽霊部員に四人いるが俺はその四人が来ているのを見たことがない。


「ん……? それもしかして昨日発売された漫画の新刊!?」


「つくし先輩知ってるんですか?」


 この人が描くラブコメ漫画は有名だが悲恋ものが多く読んでいる人は俺の周りでもあまりいなかった


「当然だよその人の漫画全部読んでるもん、てか読んでるなら言ってよ」


 初めてつくし先輩と趣味の話ができたような気がしたつくし先輩と俺は本を読むのを止めて放課後の下校時間までずっと話していた。


「あ……そろそろ下校時間だね」


「それじゃあ今日は俺が当番なんで閉めていきますよ」


 つくし先輩は少し名残惜しそうに部室の壁時計に目線を送る。


「うん、それじゃあ任せるね、また一緒に話そうよ」


 部室の鍵をつくし先輩から受け取り、つくし先輩はそのまま俺が部室に入ってきた時と同じように微笑み部室から出ていく。


 職員室に鍵を返して下駄箱に着くとある人物と出会ったクラスメイトで同級生の川崎さんだ。川崎さんは誰かを待っている様子だったので俺は靴に履き替えて横切ろうとする。


「……ちょっと」


 横切ろうとした瞬間川崎さんに声をかけられるどうやら待っていたのは俺だったらしい。


 川崎さんと隣を歩き二人で校門を抜ける。声をかけてきたにも関わらず川崎さんは一言も喋らない、歩いていると川崎さんはコンビニ前で立ち止まる。


「ちょっと待ってて」


 川崎さんはそのままコンビニに入ると何かを買って出てくる。川崎さんが買ったのは半分に割れる棒型チョコアイスだった。川崎さんは棒型のチョコアイスを半分に割ると一つを俺に手渡してきた。


「あげる」


 川崎さんの意図は分からないが受け取り俺はチョコアイスを一口口にする。その後二人でチョコアイスを口にしながら通学路の別れ道に来た俺の家は左の別れ道だが川崎さんは右の別れ道の方を見ている。


「川崎さんの家はそっち?」


「そうだけど」


 川崎さんはそのまま少し黙る。


「これあの次の週末に公開するんだけど一緒に観にいきたい」


 いきなり川崎さんが携帯の画面を見せて話し始めた、川崎さんが見せてきた画面は週末に公開する映画のポスターであった、見るからに恋愛映画っぽい。


「俺はいいけど川崎さんは俺なんかと一緒に観にいっても平気なの?」


「そりゃ好きな人と観に行くのが嫌なんてある訳ないでしょ」


 川崎さんはいきなり言ってくる。だがこれはいわゆるデートになるんじゃないだろうか。


「それにもし君に好きな人がいるなら今後の参考になると思うし」


 川崎さんは俯いて言う。川崎さんの言う通り今後の参考になるかもしれない。


「いいよ週末は暇だったし一緒に観に行こう」


 川崎さんの誘いを受ける事にした。すると川崎さんは嬉しそうな顔をする。


「それじゃあまたメッセージ送るから」


 川崎さんはそのまま別れ道の右に行き走り去っていく。俺は左の別れ道を歩き帰路に着く。

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