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同級生の女子と後輩の女子から告白される

新作書く時ってなんでこんなに楽しいんだろう

 

 恋の三角関係とはつまり二人の人間が一人の人間を好きになるという事だ。


 だが現実にそんな事起こる事なんてない、それはアニメやドラマの世界だけだ。俺はずっとそう頭の中で考えていた。


「あなたの事が好きです私達と付き合ってください」


 放課後に学校の屋上で同級生と後輩の女子から同時に告白される。


 同級生の女子はクラスでもカーストが高く普段から他のクラスメイトと喋っていて俺とは話した事すらないはずだ。


 後輩の女子には見覚えがあった入学式で超絶可愛い女子が入学してきたと学年問わず噂されていて一度悪友に下学年の教室に連れられた時に見た事があった。


 そんな人気者の二人が何故冴えない俺に告白してきたのか分からない、だが俺の答えは決まっていた。


「ごめん、俺……他に好きな人がいるから」


 この一言である。きっとこの告白が他の生徒なら間違いなく二人の告白を了承しただろうだが俺には告白してきた二人の他に好きな女性がいるのだ。だから二人には悪いが俺は告白を断る。


「そう……ですか」


 後輩の女子は少し涙ぐんでいる同級生の女子は一言も話さないでいた。俺はこの場にいることが耐えきれなくなって屋上の扉を開けて出ていく。


 翌日学校に登校すると昨日告白してきた後輩の女子が校門で誰かを待っている様子だった。校門を通り過ぎる他の生徒達も待っている後輩に目がいく様子だ。


「あ……先輩」


 どうやら待っていたのは俺だったらしい、後輩の女子は俺を見つけると早々に近づいてきた。


「お、お、おはようございます先輩」


「おはよう」


「あの……それで先輩に渡したい物があって」


 後輩は緊張しているのか声が裏返り学校指定の鞄から小さな袋を手渡してくる。


「これ手作りのクッキーです先輩に食べてもらおうと思って作ってきました」


 まさかの手渡してきたのは手作りのクッキーだった、それを聞いていた他の生徒達がこちらに目線を送ってくるのが分かる。


「えっとそれじゃあ先輩失礼します」


 頭を下げ慌てて校門に入っていく後ろ姿の後輩を見て俺はクッキーの入った小袋を鞄に仕舞う。


 始業のチャイムが鳴り担当の先生が授業を始める。


 授業中隣の席に座っている同級生が突然指先で小突いてくる。隣の席に座る同級生に目線を送るとぷいっと明後日の方向を向く。


 そして授業に集中しようと黒板に目線を戻す。ノートに写していると突然ポケットに入れていた携帯が振動する。


 バレないように開くとクラスメイト達とやり取りするグループメッセージではなく個人メッセージに一枚の写真が貼られていたそしてそれを見て驚く。


 それは隣の席に座る同級生の下着姿の写真であった鏡の前で撮影したのだろう、隣の席にもう一度目線を送ると、ニンマリと笑って同級生は黒板に目線を送る。


 昼休み俺はいつも通り中庭のベンチで妹が作った弁当を食べていた。


 何故中庭で食べるかと言うと俺が好きな人が近くで他の神沢と楽しそうにバレーボールで遊んでいるからだ。


「よう」


 声をかけてきたのは小学生からの友人である神沢であった。


「まーたあの先輩かぁ」


「うるせぇ」


 神沢は俺の隣に座ると小言を言ってくる。俺があの人を好きなのはこいつにもバレている。


「こんな遠くから眺めるんじゃなくて早く告白しろって言ってるだろ。そして振られろそしたらお前の事俺が慰めてやるから」


「お前なぁ」


「てかさお前今日後輩のあの子から何かもらったらしいじゃん」


 どうやらもう噂になっていたらしい、俺は近くに置いていたクッキーの入った小袋を神沢に見せると神沢は興奮する。



「な、お前これまさか手作りじゃ!?」


「そうらしいな、まだ食べてないけど」


 妹が作った弁当のおかずをもぐもぐと食べながら神沢と会話する。


「おい、どういうこったぁ!?お前あの先輩が好きなんじゃないのかよ」


 神沢が弁当を食べる俺の肩を揺らしてくる。言うかどうか迷ったがこいつは口は固いので言うことにした。


「昨日の放課後屋上で後輩の女子と同級生の女子に告白された、俺は二人の告白は断ったけど今朝校門で後輩からその小袋を手渡せれた」


「そうか、まぁあれだ、もしかしたら告白を断った仕返しに超激辛唐辛子を隠し味にいれられてるかもしれない」


 とてもそんな事をするような子には見えないがと思う。すると突然神沢は小袋を開けて中から一枚のクッキーを口に運ぶ。


「うめぇ、うめぇよぉ」


 神沢は泣きながらクッキーを噛みしめる。少し気持ち悪いと思ってしまったがいつもの事だ。


「で……もう一人の同級生の女子って誰なんだ?」


「ほらあの人だよ俺達のクラスメイトでモデルやってる」


「お前まさか!? 川崎さんとか言うなよ」


「そうその人」


 俺は少し名前が覚えるのが苦手で二人とも殆ど話した事がなかったから二人とも名前が出てこなかった。


「たくなんでお前があの二人から告白されるんだよ。俺二人に告白して川崎さんには髪をいじられながらあっそって言われて夜長さんには苦笑いされながらやんわり断られたんだぞ」


 夜長さんはその後輩の名前か覚えておこう。てかお前二人に告白してたんだな、俺も小袋から一枚クッキーを取り口に運ぶ、美味しい。本当に手作りだったらこのクッキーは店にも出せるレベルだろう。


「でも二人ともなんでお前なんかに告白したんだ?」


「そんなの俺が聞きたい二人とも殆ど話した事ないしな昨日だって突然屋上に来るようにってメッセージがその川崎さんからあったんだ」


「え……お前川崎さんの個別メッセ知ってるの?」


「その……入学式の日にクラスメイト達が色々してただろ」


「ああよくあるグループ作ってやり取りするやつな」


「それでいきなり声かけられて俺もまだ携帯持ちたてだったから分かんなくて川崎さんにやってもらってグループに入れてもらったんだ」


 そして昨日初めて川崎さんから個別でメッセージが届いて屋上に行ったのだ。


「川崎さんと個別メッセージなんて羨ましいな」


「何言ってるんだ皆知ってるんだろじゃないとグループに入れるわけ」


「いや違う違う川崎さんの個別は知ってるけど男子は全員ブロックされてるらしいぜ」


 そう言って神沢は携帯の画面を見せてくる。こいつ川崎さんに何十件メッセージ送ってるんだよ、だがそれには一切既読がついていなかった。


「他のクラスメイトの男子のも見たから可能性は高いけど皆ブロックしたかは聞かない」


「なんで?」


「それで関係がこじれたりするの嫌だからだよだから羨ましいんだお前が川崎さんと個別でメッセージできてるのが」


 神沢は俺の事を羽交い締めにしてこようとするだが昼休みが終わるチャイムが鳴るのが聞こえてきた、いつの間にかあの人もいなくなっているのに気付いた。


「お前のせいで授業に遅刻だ!!」


「俺のせいにするな」


 そんな小言を言い合いながら神沢と遅刻しながらも教室まで急ぐ。

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