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上杉龍也シリーズ

笹の葉チルウェイブ

作者: 夏川冬道

七夕の夜空は満天の星が輝いているはずがあいにくの曇り模様で星空が見えなかった。上杉龍也は七夕の夜に赤い法被をTシャツの上に羽織って春日山神社に立っていた。その傍らには錫川若菜がやはり赤い法被姿でいた。


 ことの発端は春日山神社で七夕祭りを行うにあたって人手が足りないとクラスメイトの高良真由が大々的に高校にバイト募集をかけた。龍也と若菜はその話に乗っかり春日山神社に駆けつけたのだ。そして二人は短冊配り係を拝命され現在に至るのであった。夕暮れすぎまでは子どもたちがひっきりなしにやってきて短冊を渡していたが夜になると不思議と落ち着いた雰囲気になっていった。

「上杉くん、小学生の頃どんな願い事したの?」

 若菜はいつもの調子で小学生のとき短冊にどんな願い事を書いたことを聞いてきた。

「小学生の頃の願い事か……美那が生まれる前に何を思ったかクリームサンドクッキーを一年分ほしいと書いた記憶があるな」

「あはは、多分賞味期限を軽くオーバーするね。わたしはマジカルブラシがほしいって書いたことがあるな」

「マジカルブラシ、マジカルステッキじゃないの」

「そう、マジカルブラシ。マジカルステッキより使い慣れているからね」

 そう言って若菜はあははと笑った。

「今日はあいにくの曇り空で天の川が見えないね……」

「織姫様も天の川から彦星が渡ってくるのを不特定多数に見られるのはあまりいい気には思わないだろ?」

「確かに織姫様と彦星様は年に一回しか会えないもんね……それなら他人には見せないという考えになってもおかしくないか」

 そう言って二人は顔をみあわせて笑いあった。そこへ神社の奥の方向から高良真由が袋詰めになったペットボトルのお茶を抱えて現れた。

「二人とも短冊渡し係お疲れ様です。これは宮司さんからの差し入れです。好きなペットボトルを取っていって」

 真由はそう言ってペットボトルのお茶が入った袋を差し出した。二人はいそいそとペットボトルのお茶を袋から取り出した。

「上杉くん、ハッピー七夕」

 若菜はそう言ってペットボトルのお茶の蓋を開け一口飲んだ。

「ハッピー七夕ってなんだよ」

 龍也は若菜の言葉にツッコミを入れると、ペットボトルの蓋を開けて一口飲んだ。

「ふふっ、ふたりとも仲がよいんだね」

 真由は二人の微笑ましさについ微笑んだ。



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