伝えたくても伝えられないのは
「じれったいなぁ、もぉ〜。好きですって言っちゃえばー?」
唯が、頬杖つきながら他人事のようにそう言い放った。
・・・本当に、言い放ったよこの人。
「それができたら苦労しないっての」
深い深いため息と供にそう答えると、唯が大きな目をぱちくりさせた。
「えぇー?なんで出来ないの?玉砕決定だから?」
「それもそうだけど・・・」
言葉を濁らせたのは、自分の中に迷いがあるから。
自分の気持ちを伝えて、いまのこの関係を失うのも嫌だ・・・────なんて、虫が良すぎるかな?とか考えちゃうんだよ、やっぱり。
「でもさぁ、このまま絶対的片想い続けるのもツラくない?」
絶対的って・・・。
まぁ、そうなんだけど。
そして直球なのが彼女だし、慣れてるからいいんだけどさ。
「────自分の気持ちを消化させたいがために告白するってどうなの、かなって・・・」
なんて、・・・良い人ぶってどうすんの。
私は真田くんの気持ちを優先させてるわけじゃないくせに。
玉砕したあとの気まずさを、絶対味わいたくないだけのくせに。
(だって・・・)
彼の笑顔に惚れたのに。
アレを見られなくなるなんて。
彼との会話のひとつひとつが、私の宝物なのに。
その一時すらも失ってしまうなんて。
(そのほうが────よっぽど・・・)