保健室でまさかの
「あれ?保健の先生居ないな」
保健室に入ると、たまたまなのか保険医の姿がなかった。真田くんが私の顔を見て優しく微笑む。
「ま、いっか。チョコ、とりあえず寝てろよ」
「あ、ありがとう真田くん。もう大丈夫だから教室戻って? 」
「分かった。唯ちゃんと先生には伝えとくな」
「うん、ありがと」
真田くんの優しさに胸をときめかせていると、突然ベッドの仕切りカーテンがシャッと音をたてた。
「真田くん」
その人の姿に、ときめいていた胸はみるみるしぼんで消えた。
「麗!?どうした?なんで寝て・・・?」
「ちょっとダルくて」
「すげぇ熱じゃん!俺、一緒に帰ろうか?」
彼女に駆け寄った真田くんが心配そうに彼女の額に額をくっつける。
「────心配無用です。今、保健の先生が家の人に迎えを頼みに行ってくれているので」
「なんでいつも・・・・っ」
羨ましい。
「俺にも頼れって言ってるのに!」
ここから逃げ出したい。
だけど、目が離せない。
こんな真田くん、私は知らない。
もっと知りたい。でも、知りたくない。
「真田くん。ほら、彼女がつらそうです。もう少し声を抑えて」
「あ、チョコ・・・・ごめん」
彼女の言葉で私の存在を思い出したみたいに、真田くんが立ち尽くしたままの私に謝る。
「ううん、大丈夫・・・」
咄嗟にそう笑ってみせたけど────大丈夫なもんか。
泣きそうだ、こっちは。
(つらいのは────全部真田くんのせいだよ。)