表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

「チョコー、今日の宿題やってきた?」


休み時間、真田くんの声がしてドキンと心臓が跳ねた。


「うん、数学の問題集でしょ?」

「頼む!見せてくんない?」

目の前で拝むようにして、私に頼み込んでくる真田くんは策士なんじゃないかと思う。

だけど、「えぇ?仕方ないなぁ」とか言いながらも内心ドキドキで、口元もつい緩んでしまう私はなんてチョロいんだろう。


机の中にしまってあったはずのノートを出そうと屈もうとしたとき、不意に真田くんが私の額に手を伸ばす。


「な、なにすんのっ?」

「チョコ、なんか顔赤いけど熱でもあんのか?」

「それはあ────・・・」

あんたのせいだよ!と言い放ってしまうのをなんとか思いとどまる。こういう時の対処法が分からなくて、視線が泳いでしまう。


(鎮まって心臓ー!!)


「熱なんか、ないよ・・・・」

「や、マジで熱いし。保健室行けば?」

「え、いいよ気のせいだってば」

「行こ」

いつも笑顔でのほほんとしてる真田くんが、真顔になって。 

その普段とのギャップにドキンと跳ねた心臓が、キュウゥと締め付けられる。


「連れてってやるから、ほら」


顔はもう真っ赤になってるであろう私の手を掴むと、真田くんは教室を出る。


なんで躊躇いもなく手を繋げちゃうの?

なんで私の心配なんか、するの?



(私のことなんて、眼中にないくせに──────)


こんなふうに─────期待したくないのに。



真田くんは本当に天然たらしだと、思う。


(ばか・・・・・)


真田くんの背中に向かって、私は心の中でそう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ