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鈍感の殺傷能力

「千代ちゃん・・・真田クンなんか好きになるなんて、本当にバカだよねぇ」

「唯!ちょっと、言い方!」


ヒトが感傷に浸っているところに、塩擦り込んでくるなんて・・・唯さん、さすがに酷くない?


「だってこうなるって、分かってたじゃん」

「うっ」

しれっと図星つかれて、私は文字通り言葉につまった。


そうだよ。

わかってたよ。

優しいのは、私にだけじゃないし。

あの笑顔は私だけのものじゃない。


・・・そんなの、分かってた。


「よけられなかったんだから、仕方ないでしょ?」

「チョロ」

「チョロい言うな!」


「何なに、なんの話?」


ギクッとドキッとが混ざって、体が飛び上がった。

興味津々の顔でにこやかに現れたのが、話題の張本人だったからだ。


「んー?」

言葉に困り、固まる私を横目に唯がマイペースなしゃべり方をキープして話す。 

「千代ちゃんの好きな彼のハナシ」

「へ?チョコ好きなやつとかいるんだ?」

意外そうに目を丸くして真田くんが言った。


・・・ええ、居ますよ。

目の前にね。

心の中で毒つきながらも、私は無言を貫く。


「でも彼には、最愛の彼女がいるからさぁ。悩んでるわけよ」

「ちょっと唯!ベラベラ喋りすぎだし!」


特定できちゃうでしょ!

気付かれたら終わるんだけど!


「そっかぁ、チョコも苦労してんだな」


焦った私が、惨めくらい・・・張本人は同情の表情を見せた。


「俺で良かったら相談乗るから言えよ!あ、っつてもアドバイス?とかしたことないからなぁ」


なんでそんな事言うの?

一ミリも気付かない?


そんなに私って─────“ナイ”んだ。


「諦めてるから大丈夫・・・」

「そうかぁ。じゃあなんかあれば力になるから言えよな!」


蚊の鳴くような声で呟く私に、明るくそう言って彼は去っていった。


「うっわ、鈍感の殺傷能力えげつないねぇ」



・・・・唯、お願いだから優しくして?


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