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「リベルタファンタジー」
其れは、リアルを極限まで追求した新しいVRMMORPGである。
勿論、痛覚やセクハラ等、多少の制限は掛かっているが、今まで出来なかったVRでの味覚再現等、ほぼ現実に近い、素晴らしい再現率を売りにしているらしい。
重さの重量制限、空腹、感触だって現実とほぼ同じ。
そして尚且つこの世界での行動の自由度や、世界初の学習型プログラムを使って作られているNPCの知能は、世界中の企業の注目の的であり、莫大な資金が掛けられている。
「…というわけ。どうだ?此処なら、出来なかった鍛冶だってリアルにやれるぜ?」
そうドヤ顔で言い切った幼馴染みの顔は若干どころかかなり気に食わなかったが、宗介にとってそんなことはどうでもよかった。
今まで、何度思ったことか。
こんな素材が、現実にもあれば、と。
ゲームの中で、現実のように刀が作れたら、と。
「…リベルタファンタジーなら、出来る…のか。」
宗介は沸き立つ心を静めつつ、そう呟いた。
「ああ、お前がずっと言ってたプレイも、こいつなら余裕。料理から鍛冶、服を作るのだって一からだぜ。」
まあ、そうなると全てのプレイヤーが出来るわけじゃねえから、一応生産職の救済的なシステムもあるんだけどな、なんて圭一は言っていたが、宗介にとってはもうどうでもいいことであった。
(このゲームが、やりたい。)
出来れば、今すぐにでも。
しかしながら、このゲームは確かまだオープンしていないはずである。
圭一が此処に持ってきたということは、自身の休み中になんとかなるという事だと思いたいけれど。
(よくわかんねえけど、楽しみだな。)
宗介は素直にそう思った。
今回のゲームではなるべく、自分で素材を集めて行きたい。
自分の知っている造り方が全てではないし、籠っているだけでは面白い素材を逃してしまうかもしれない。
そんな事になるのならば、自分の足で取りに行く方がいいに決まっている。
宗介は先程まで邪険にしていた幼馴染みの背中を見つめながら、早くもゲームの中へと思いを巡らせていたのだった。