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「要らない」
人生は所詮決まった線路の上しか走ることのできない、固まった生物なんだ。
人は自分で決めた、自分で選んだ、目先にある人間が勝手に用意した人生をさも自分の物のように語る。
人が以前に用意した決まった道を自身の事の様に話す人間に、自分の未来は自分で決めろだなんて、傲慢甚だしい。
詰まらない? 下らない? 何でそんな事を他人に指摘されなければ行けないのだろうか。
考えている事も気持ちも解らないだろうに。本人さえわかっていないのに。
煩いな、煩いなぁ。
ならば自分の道は自分で築いてやろうではないか。
誰も選ぼうとしない、禁忌と決め付けきったありきたりな人生を。
ほら、そこには大量の文房具が有るじゃないか。
鉛筆にシャープペンシルに定規にコンパスにポールペンに三角定規にカッターナイフに鋏にホチキスに糊にクリップに………
丁度煩い五月蝿い扉が叩かれる音がするのだから。
ドンドン叩く。
ガチャガチャ捻る。
ガラガラガラガラ入れ物を漁る。
居ないのか居ないのかと騒がしい。もうこれ以上付きまとわれたくない。
合鍵がピッキングか、さっきとは打って変わって静かな鍵音で扉が開き、その女が入ってきた。
鬼の形相だ。人とは思えない程の。
いつかは母親と馬鹿みたいに呼んでたっけ。
まぁ、どうでもいっか。
振り下ろしたそれは意外にもあっさり喰いこんだ。




