表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海賊伝記  作者: 閑話Q題
3/3

番外編:キャプテンの厳選

久々の更新になります(小声)

番外編っぽいです、すいますん(小声)

身も心もぼろぼろな男がいた。その男は目に映る全てを憎んでいるかのような目つきだった。低く唸るような声で男は呟く。


「殺してやる…殺す、殺す、死んじまえ」

「指なんか噛んで、自傷癖でもあんのか?」


派手な赤いコートを風でなびかせながら、男の前に現れた。男は睨みつけるように、目の前にいる男に視線をやる。男の後ろには、長身の男が付き従うように控えている。


「よぉ、元傭兵さん。威厳なんか微少も残ってねーな」


赤いコートの男はせせら笑う。後ろの男は苦笑している。男は憎悪を込めた目で男たちを睨みつける。赤いコートの男はその視線を受け、にんまりと笑う。


「なんなんだ、てめーら…。俺になんか用かよ!?」


噛み付く勢いで男は叫ぶ。コートを羽織った男は不気味に笑うだけだった。


「用ならある。それも重要なことだ」


路地に座り込んでいる男に、赤いコートの男は手を差し出す。


「オレの名前はアーティー・オーデン。オレはお前を気に入った。だから仲間になれ」


男は驚愕に目を見張る。アーティーと名乗った男は断れると思ってないのか、自信満々な顔で返事を待っている。


「アーティー・オーデンって最近、名を馳せてる海賊だったか…?」

「へぇー。有名なんだ、オレって。聞いたか? ロニー!」


アーティーがそう叫ぶと、後ろからいいから続けろ、と怒声が飛んでくる。アーティーは拗ねた顔をする。


「祖国のために戦った俺が裏切り者の海賊なんかなれるか!!」


男は激昂して、アーティーの胸倉を掴む。男は激怒しているが、胸倉を掴まれているアーティーは無表情だ。


「お前を見捨てたのはその祖国じゃねぇか」

「…っ!」


男は言葉を詰まらせる。それは彼が目を逸らし続けてきた事実。戦場から帰国した男には何も残ってはいなかった。家も打ち壊されていて、男に帰る場所はなくなっていた。


「なんだよ…てめぇも復讐しようって思ってんのかよ…」


アーティーの胸倉を掴む力が弱まり、男は頭を項垂れる。


「いや、そんな大それたことは思ってない」


アーティーは真顔で断言する。男はアーティーの思い掛けない言葉に目を丸くする。アーティーは力が抜けた男の手首を掴む。


「お前、元々は大砲作ってたんだろ?」

「あ、ああ…」


狼狽えたように男は答える。アーティーは満足そうに笑う。


「オレは復讐とかそんな心念なんて持ち合わせてねぇ。ただ自分のしたいことをしてるだけだ。勝手だろ? それに自由だ。選ぶこともな。オレは気に入った者しか団に入れない。お前のことは気に入ったんだ。だから、勧誘してる。それに、オレの海賊団には大砲を手入れできるやつがいねぇ。お前が必要だ、オレと来い」


アーティーは再び、男に手を差し出す。男は手を取ることを戸惑ってしまう。


「選ぶのはお前の自由だ」


アーティーがそう言うと、男はアーティーの腕をいきなり掴む。アーティーは一瞬、その勢いに面食らう。


「…自由ってのは俺が一番欲しかったものだ。てめぇといることでそれが手に入るなら…俺はてめぇに着いて行く…。よろしくな、キャプテン」


男は歯を見せながら笑った。アーティーはいつものように不敵に笑う。

これがアーティー・オーデンの仲間の作り方だ。いつの間にか、皆アーティーを船長と慕うようになる。どこか不思議な雰囲気を持つアーティーは、今日もまた自分の欲求を満たすため航海する。

                                 End.

誤字、脱字?なにそれ食べれるの??

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ