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戦国小町苦労譚  作者: 夾竹桃
天正六年 織田政権

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243/246

千五百七十九年 十一月上旬

毛利輝元(てるもと)は怒りで頭がどうにかなりそうだった。

毛利両川(りょうせん)(うた)われた腹心たる小早川(こばやかわ)隆景(たかかげ)、叔父にあたる吉川(きっかわ)元春(もとはる)の両名が織田方と和睦するよう申し出たのだ。

確かに周囲全ての支城を失い、援軍を要請するあても無い。冬を、降雪を待つには時間があり過ぎた。


「ここまでの状況に追い込まれては、我らの希望は織田方に下ってお家の存続を願うのみ。羽柴殿より幾度も降伏するよう使者が遣わされております。恐らく数日中にもまた使者が訪れることでしょう、それまでにどうかご決断のほどを」


叔父である吉川からそう告げられると、二人は輝元の私室を辞した。その執着を見せない二人の後ろ姿に血が上った輝元は、怒りの赴くままに刀を抜かんと膝を立てた。


(それがし)を斬ったとて状況は変わりませぬ。むしろ殿が乱心なされたと御身のお立場が一層悪くなりましょう」


まるで哀れな生き物見るかのように冷ややかな叔父の視線に、輝元の怒りで沸騰していた頭が急速に冷えていった。

聞けば自軍と羽柴軍の戦力差は三倍にも達しており、状況が好転する要素がまるでない。

唯一明るい情報と言えば備中国まで侵攻していた明智軍が、宇喜多直家を交戦の末に打ち破りはしたものの被害甚大であることから包囲網に加われそうに無いということだけであった。

西国に宇喜多ありと噂される程の曲者が討ち取られ、また毛利家に臣従せずに備前・美作を守り続けた浦上宗景も織田方に下ったという。

西国の盟主たる毛利家に従わずに独立を保ち続けた宇喜多がこの世を去り、毛利と宇喜多を敵に回してすら引かなかった浦上すらが織田の軍門に下った。

その事実が輝元を現実に引き戻す。鳥取城で見せたように羽柴軍は冬を越えての行軍が可能であり、周囲を完全に包囲された状況に於いて輝元ができることは限られていた。


一方秀吉と言えば定期連絡によって齎された光秀が吉田郡山城攻めに間に合わないという事実に快哉をあげていた。

当初より難敵と見做されていた宇喜多直家が想像以上の奮戦をした結果、最終的に討ち取られはしたものの光秀の行軍予定を大きく狂わせる。

棚ぼた的に浦上宗景が降伏するも、明智軍が受けた被害は甚大であり、到底足並みを揃えての攻囲戦には間に合わないとのことだった。

当初の予定では吉田郡山城の喉元に築いた一夜城こと高小屋城は、光秀の合流を待って大砲を運び込んみ、そこからの砲撃によって敵の戦意を挫くために用意されたのだ。

折角腹心である福島が苦心して築き上げた城が用を成さないことに思う処はあるものの、定期連絡の際に戦況を聞いた信長より直々にお褒めの言葉を賜ったため秀吉は上機嫌であった。

中国山地の山越えという難事を成し遂げたが故に、大軍を敵本拠地の眼前へと素早く送りこめたのだ。

幾つも想定外の事象は起こったものの、最終的には自分の大手柄で西国征伐を終えられる目算が立ち、年内に行われる四六の元服式には間に合いそうだと苦労が報われた思いであった。


(既に決着はついたようなものゆえ、ここで徒に兵を消耗させる愚は避けたい。毛利め、さっさと降伏すれば良いものを……)


幾度にも亘って使者を遣わせて降伏を呼びかけてはいるものの、毛利陣営からは色よい返事が戻ってこない。

ことがここに至っては調略によって内部を切り崩すのもやむなしと考えていたところ、事態は一変することとなった。







その日、輝元は今までの人生に於いて一度も耳にしたことのない程の轟音によって目を覚ます。

凄まじい轟音と共に地震もかくやと思うほどの揺れが輝元を襲った。

余りの事に寝巻に相当する小袖(こそで)姿のまま部屋を飛び出した輝元は、慌てて周囲を見回す。

着の身着のままに飛び出した輝元が目にしたものは、黒煙を噴き上げて炎上する蔵の姿であった。


「あの方角は!」


今なお激しく黒煙を噴き上げながら炎上している蔵は、武具や籠城の為に大量の食料を保管していたものだった。

偶然か、はたまた意図的に狙ったのか定かではないが、毛利側が大きな痛手を被ったことには違いない。

幾ら堅牢な城とはいえ、食料が尽きては人は戦えない。そして食料が尽きた籠城戦が辿る悲惨な運命は鳥取城で嫌という程に証明されていた。


「殿!」


最悪の状況に顔を青くしている輝元の許へ彼の小姓が駆け寄った。

彼らも混乱の極みにあったのだが、それでも各所を駆け回って情報を集めてきたのだ。

そんな彼らの努力も虚しく、現時点で判明しているのは(さき)の轟音が秀吉の手による攻撃であろうという推測のみであった。


「馬鹿な! 何処にも大砲など無いではないか! 何処から攻撃したというのだ!?」


輝元は小姓からの報告を受けて城の高所へと上り、周辺をぐるりと見渡すが何処にも敵軍の陣らしきものが見当たらなかった。

混乱する輝元に対して天は微笑んで見せた。即ち次なる砲撃が放たれ、偶然輝元はその方向を見ていた。


「一夜城……一夜城からか!」


朝靄(もや)が漂う中、まだ辺りが明るくなりきっていなかったのが功を奏した。

一夜城の射撃場に据えられた大砲が噴き上げた業炎は、輝元の目に焼き付いていた。

やや間をおいて再び轟音が響き渡り、次は間を置かずして横薙ぎの衝撃が輝元を襲う。

高所に移動していた事が災いし、輝元はその身を床に投げて倒れ伏した。

輝元が衝撃から立ち直って身を起こし、再び高所から吉田郡山城の内部を見渡す。

今度は城の一角に建てられていた物見櫓(ものみやぐら)が倒れていく様が見えた。

続いて三度目の轟音が響き渡ると、今度は城の一番外側にある曲輪へと着弾し、石壁が大きく崩れている様が見える。

結局三度の砲撃を最後に、続く攻撃が降り注ぐことは無かった。

それでも輝元は理解させられてしまう。籠城していようが無かろうが秀吉にとっては些細な問題であり、強引に袋の鼠を追い出す算段があったのだ。


輝元はその場に膝から崩れると、項垂(うなだ)れて重い息を吐いた。

この一連の出来事によって西国の覇者たる毛利家当主としての矜持(きょうじ)は完全に折れてしまったのだ。

もはや輝元には織田方に立ち向かおうなどという意思は欠片も残されていなかった。


「もはや……これまでか」


腹心からの進言に決断できずにいた輝元だが、この日初めて織田の軍門に降る決断を下した。







輝元が降伏の呼びかけに応じるとの報せを受けた秀吉は、若干渋い表情を浮かべている。

実は福島の機転により、播磨(はりま)国にて修理を行っていた艦載砲を回して貰うことが出来、山越えルートを通じて僅か三門だけだが配備した。

大砲を運用する技術者までは都合がつかず、説明書を見ながらおっかなびっくり砲撃を行う。

元より大砲を据える為に設計されていた射撃場は、塗料で色分けされた位置に大砲を据えて指定された仰角を取り、説明書通りの砲弾を装填して点火さえすれば面白いように命中した。

三門の大砲がそれぞれ砲撃を行ったのだが、後始末の方が大変であった。

大砲の発射音と衝撃を甘く見た兵士が、説明書の指示に従わず頬かむりをしただけで点火した結果、片方の鼓膜が破れて倒れてしまう。

また大砲の後方に充分な空間を設け、その付近に物資を置いてはならないとの指示も守られず、大砲の真後ろで棒立ちしていた兵士が砲撃の反動で後退した大砲にぶつかり負傷した。

たったの一斉射だけで複数人の負傷者を出したことで、大砲という兵器の運用が難しいことを思い知らされたのだ。


「何はともあれ毛利が降伏する契機となったのだ、無理を押して調達してくれた福島の大手柄よな。それにしても難儀な兵器よ、学が無くては扱えぬ武器など無用の長物かと思っておったが、斯様(かよう)に効果的であればわしも学ばねばならぬのう」


大砲の運用にあたっては、秀吉軍の中でも知恵ものを集めて行ったというのにこの有様だ。

そもそも説明書に書かれている専門用語や、大砲の性能や機能を数値で表した諸元表などは誰にも理解できなかった。


「さっさと和睦を結んで堂々と凱旋(がいせん)するぞ」


秀吉は思考を切り替えると、和睦を手早く終わらせる方法を模索する。

秀吉にとって毛利家は存続しようと断絶しようとどちらでも良かった。

いずれにせよ統治者の地位を退かせ、毛利が敷いた政治体制を根本から否定することも出てくるだろう。

その際に征服者たる秀吉が矢面にたって実行するよりも、毛利家を代官として統治させる方が軋轢(あつれき)が少ないと考えた。

こうして方針が決まると秀吉は弟である秀長を呼び、詳細を詰めるように命じる。


(統治者が変わったことによる不満のしわ寄せは、代官である毛利家に向かう。それを上手く治められれば良し、出来ねば領地を削れば良い)


どちらに転んでも秀吉にとって損のない名案に思えた。

続けて秀吉は毛利家を監視するべく腹心の福島を安芸国に駐留させることにする。

彼らが苦労して切り開いた山陰・山陽縦断ルートは物流の要となり得るため、秀吉からも信長に進言して福島に安芸の領地を頂けるよう取り計らう予定だ。

福島が安芸国の物流を支配し、代官たる毛利家を監視するならば西国の安定化も図れるというもの。


「多少の裁量は与えるが、毛利家の専横は絶対に許すな。奴らにいくさの敗北を芯まで刻み込むのだ」


今の毛利家には織田方に逆らうだけの気概がない。秀吉は毛利が大砲のショックから抜けださない間に、圧力を掛けてでも和睦を結ばせようと協議を急がせた。

この際に輝元に助言を与えるべき立場の吉川と小早川は同席させなかった。それぞれの屋敷にて蟄居(ちっきょ)を申し渡し、全ての決断を輝元の責任に於いて行うよう迫る。

流石の輝元もこの仕打ちには難色を示したものの、結局和睦を受け容れなければ滅ぼされもっと悪い状況へと追い込まれると諦めて条件を飲んだ。


こうして和睦協議は進められ、秀吉側の要求に対して毛利側がほぼ無条件で従うだけの茶番となった。

ともあれ和睦の条件が決まると、後はそれを起請文(きしょうもん)(神仏の名前に誓って約束を破ると神罰(仏罰)を受ける旨を記し、神仏に誓約する文書)

に起こして取り交わす。

秀吉の安芸国入りから瞬く間に成立した和睦であった。本来ならばここに残って西国を支配するための準備をすべきなのだが、秀吉にはそれよりも優先すべきことがあった。

それはかなりの借りを作っている静子の後継者たる四六の元服式に参加することであった。

秀吉は主君たる信長肝煎りの催しである御馬揃えにも参加しておらず、またも信長が重用している静子に関する式典で欠席したとあっては秀吉は勿論、主君である信長の面目までも潰してしまうことになるのだ。

幸いにして想定よりも早く毛利が片付いたため、何としてでも元服式には間に合わせるべく急いでいた。


「不測の事態に備えて早く出発するのじゃ!」


「そんなに焦らずとも半月近く余裕のある行程となっておりますが……」


忙しなく動き回って指示を出す秀吉に対し、秀長が疑問を呈する。

四六の元服式は11月の末頃行われるため、海路を用いた復路ならば半月近く余裕がある予定なのだ。

しかし秀長は致命的なことを見落としていた。


「馬鹿もん! 一体どれだけの人間が京に集まると思っておる!? 早めに着いて良い宿を確保せねば、またしても静子殿に借りを作る羽目になるじゃろうが!」


未だに詳細は発表されていないが、四六の元服式には実に大勢の人間が参加すると噂されている。

これは静子が己の権威を示す為に招いたわけではなく、気が付けば参列希望者が膨れ上がった結果であった。

静子も慶事であるため来るものを拒まず、去るものを追わずの対応をしていたところ収拾がつかなくなっている。

恐ろしく分厚い参列者名簿を見て、ようやく元服式の会場となる城に入りきらない可能性に気付き、慌てて募集を締め切った頃には手遅れだった。

こうして参列予定者が多いことから権力闘争へと発展しそうになったため、宿泊場所については区画分けこそされるものの何処に泊まるかは各々で手配するように決まる。

そのような経緯から秀吉は可能な限り京へと入り、他の参列者に先駆けて良い宿泊所を確保する必要があった。

通常ならば貴人の護衛やら手勢やらで人数が多くなり必然的に費用が嵩むのだが、今回は四六の元服式ということで稼働できる静子の全軍が京へ集結し、警備に加わることが認められている。

他国にまで名が知れ渡るような武将こそ少ないものの、最新式の軍備で身を固めた静子軍に喧嘩を売るような愚か者は日ノ本にいない。

更には京治安維持警ら隊との合同で京及びその周辺地域を警備するため、万にも届くような大軍勢でも押し寄せてこない限り、京の治安は揺るがないと言えた。


「どうせ毛利は折れるしかないのだ。余計な時間を取らせんで欲しい!」


気が()いている秀吉は乱暴に言い捨てるが、実際のところ毛利には和睦の条件について否やを唱えることは許されない。

たった三発の砲撃によって兵の士気は地に落ちており、武器や食料も足りない上に曲輪に大穴すら開いている。

ここからどう転んでも立て直しは不可能であり、織田方から提示された条件に唯々諾々(いいだくだく)と従うほか道はない。

数日後、輝元は秀吉から提示された和睦案を受け入れた。秀吉側の要望が概ね通ったため満足のいく和睦となった。

この和睦によって毛利家の立場は保証されるが、あくまでもそれは秀吉の代官としてであり、秀吉の命に背けば即座に破滅が待っている。

これは毛利に限った話ではなく、彼らの家臣や毛利側に付いていた西国の国人なども同様の扱いとなる。

毛利との決着が着く前に降伏を申し出ていれば若干条件が良くなるのだが、いずれにせよ今後の動向によってはお家取りしの憂き目が待っていた。


「西国征伐前に降伏する機会は与えた。また西国征伐が始まった後も降伏する機会はあった筈。手を拱いて機会を逸したのは己が責と心得よ」


実際に毛利が和睦交渉に入った後も抵抗を続けていた国人たちは、軒並み攻め滅ぼされることが決まっている。

彼らには降伏すら許されず、ただ只管に蹂躙されるだけの未来が待っているのだ。

今後実際に粛清が始まれば武装蜂起する者も現れようが、多勢に無勢であり結局は併呑されるしか選択肢はなかった。

こうして西国の覇者であった毛利は、この日織田の軍門に下った。







西国の巨人、毛利落つ。これは日ノ本に於いて織田家に反抗する武家勢力が消えたことを意味した。

これによって信長は武家の頭領して誰もが認めるところとなり、これに異を唱える者は武家だけでなく仏家、公家にも居なくなる。

未だ九州には手を伸ばしていない信長だが、既に九州をほぼ支配下に置いている島津家が織田家に恭順に意を示していた。

四国は長宗我部が統一し、残る西国に関しても織田の勢力下に組み込まれたと言えよう。

東国については伊達と最上との争いが残ってはいるものの、ほぼ決着が見えているため伊達家の勝利で幕を閉じるだろうと予想された。

朝廷も信長を尾張の土豪と嘲笑う余裕はなく、信長が名実ともに天下人であると認める他なかった。


「遂に天下は上様のものとなりましたね」


不意に静子邸を訪れてはストレス発散している信長に対し、静子は祝いの言葉を述べた。

織田家が武家の頭領であり、朝廷から征夷大将軍の役職を賜りさえすれば幕府を開くことも可能となる。


「朝廷の奴らも、そして毛利に匿われて鞆の浦で将軍を僭称していた神輿も大慌てをしておろう。これから朝廷に蔓延(はびこ)魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)どもが己の生き残りをかけて擦り寄ってくるだろう。存分にそれをもてなしてやらねばならんな」


(尾張の田舎者呼ばわりされたことを割と根に持っておられる?)


そう言う信長の表情は笑みを浮かべているのだが、額の片隅に青筋が見え隠れしていた。

今後は何かと理由を付けて朝廷の使者が信長を尋ねて来るだろう、信長はそれを表面上持てなしはするが要望については全て突っぱねると予想する。


「猿の奴め、これ程早く毛利を征伐してみせるとは意外であった。逆にキンカンは不運であったな、寡兵が仇となって宇喜多に痛撃されたようだ」


「報告に拠れば羽柴様配下の福島殿が播磨から修復中の大砲を取り寄せ、見よう見まねで攻撃したところ一気に毛利が和睦へと傾いたようです。羽柴様は大砲の価値を再評価されるようで、今後は自分たちの部隊にも取り入れたいと申し出がありました」


「大砲の威力は絶大だが、効果的に運用するには学が求められる。誰しもが手軽に扱える兵器とは呼べぬだけに、サルめも焦っておるようだ」


「たまたま砲弾が毛利の急所を直撃したようなのですが、毛利にとっては一夜にして築かれた城から直接居城へと砲弾が届くことが脅威だったのでしょう」


「それにしても毛利の居城を丸裸にするとは、猿めも遊び心を判っておるわ。貴様の耳が早いのは判っていたが、何処から情報を仕入れておる?」


信長の疑問に対して静子は沈黙を以て答えとした。普段は何にでも答える静子が敢えて伏せたのだ、知らない方が良いこともあるのだろうと納得する。

静子が喋らないことが信長の益になるなら、彼女は口を(つぐ)んでしまう。


「帰蝶(濃姫のこと)といい貴様といい、頭のキレる女は恐ろしい」


「恐縮です」


「ゆえに貴様ら結託するでないぞ! 貴様たち二人が手を結べば、わしの気が休まる場所が無くなってしまう」


「手を組むなんてとんでもない、私は濃姫様に振り回されてばかりですから。近頃は尾張にお越しにならないようですが、安土がお気に召したのでしょう」


「それならば構わぬ。余計な口出しをすれば、あ奴も尾張に屋敷を構えると言いかねぬ。触らぬ神に祟りなしじゃな」


「それより四六の元服だ。安土で執り行いたのだが朝廷が五月蠅いゆえ、京での開催となった。奴らの面目を守るため、今回は貸しとしておこう」


「童が大人の仲間入りをするお披露目会ですよ。そんなに特別なものではございません」


「貴様の後継だからこそ特別なのよ。貴様と(よしみ)を結びたいと考える輩は、貴様が思うより遥かに多いぞ」


呆れ顔の静子に対し、信長はこれから起こる楽しい光景を想像して笑みを深めるのであった。


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― 新着の感想 ―
小早川隆景も叔父だったような
これ・・信長が本能寺で死んで、長男を支える静子が実質日本を制覇して、信長の夢を叶え、静子は豊かな国造りというのもありそう
島津に関しては突然の恭順だけど、しずっち&みっちゃん・鶴ちゃん・孫たちを絡めた「スピンオフ」ストリーが上がらんかな・・・wkwk あと、頭がウニったのは 「実は福島の機転により、播磨はりま国にて修理…
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