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無限のグリモワール  作者: 鏡紫朗
第三章 真夏の海の四重奏
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第十三話 ドキドキ真夏の海水浴旅行 呼び出し編

「兄さん海に行きましょう!」

奈穂の突然の提案に俺は唖然とした。

「いきなりどうした我が妹よ」

「夏休みだというのにダラダラと過ごしていては体によくありません」

いや、ダラダラというか、俺は毎日死ぬほど動いているんだが。

と言えないところが悲しい……。

「それに静さんとの決着を早めにつけたいですから」

……そういえばその問題もあったんだったな。

「なあ奈穂、そのことについてなんだが」

「静さんと別れてくれますか!!」

キラキラと目を輝かせながら凄い勢いで迫られた。

「いや、そのつもりは無いんだが……」

「そうですか」

明らかにがっかりされた。

「やっぱり私の魅力で兄さんを正気に戻し呪縛から解放しないといけないみたいですね」

魅力とか正気とか……。この娘大丈夫かね?兄さんそっちのほうが不安だよ。

「やはり行きましょう!皆で海へ!」

「皆で?」

……どういうこと?

「如月先生から聞きました。兄さんはいろんな女性に手を出してるそうですね」

いろんな女性に手を出すって……愛美姉いったい何を吹き込んだんだ。

「奈穂、それは間違いでだな、それは如月先生が」

「いいえ、大丈夫ですよ兄さん。兄さんがどんな女性にも優しく、たくさんの女性を手玉に取って

 いるのは静さんの件でわかっていますから」

わかってないよ、この娘全然わかってないよ……。

しかも矛盾してるよ、俺がとってるのか、それともとられてるのか

はっきりしてよおぉ。

「というわけで、兄さんが手を出した女性を全て連れてきてください!

 兄さんと私の仲がどれほどのものか見せつけてやりますから!」

……奈穂の解釈的には俺が優しくすると手を出したことになり、

惚れたと思われる女性が俺を誘惑し、逆に虜にされていると。

だめだ、奈穂の考えについていけない……。

ふと、知り合いの女性と言われてあいつの顔を思い浮かべた。

まてよ……これはチャンスかもしれんな。

こういったレジャー?の場なら藤村も話をしてくれるかもしれない。

奈穂には悪いが、ここは使わせてもらうか……。

「わかった。それで心当たりのある人間を全員連れてくればいいのか?」

「……一応ききますが、何人いるんです?」

「静と愛美姉を含めて……4人だ」

「な!?に、兄さん!まさか教師にまで手を出して」

……ちげえよ。静が来る以上あの人は絶対に付いてくるからだよ。

それが心配からなのか、楽しんでいるのかは知らんがな。

その辺りを説明してもどうせ信じては貰えないだろうしな……。

「わかりました。その人数で手配しておきます。

 出発は今週の土曜日を予定してますから、それでお願いしますね」

え~と、今日が火曜日だから……4日後か。

結構準備期間が短いが、大丈夫なんだろうか。

まあ、まずはあいつに電話してみるか。

「了解した」

そうして俺は玄関横にある電話機へと足を運んだ。

すでに水着がどうのとはしゃぎはじめた奈穂を置いて……。



しかしまあ、自分で脈がある女性とか言っちゃうのもどうなのかね?

と、今になって思いはじめてきた。

いつから俺はナルシーだったり、自信に満ち溢れた男になったのだろうか……。

静のおかげ……か?

ま、まあ、今それを考えていてもしょうがないか。

まずは藤村からだな。

携帯で番号を調べ、藤村の携帯へと電話をかける。

なんで携帯から電話しないかって?そりゃ俺の番号を見たら

あいつは電話に出ない。そういう確信があるからさ。

「……はいもしもし、どちら様ですか?」

よし!でた!

「藤村か、悠樹だけど」

「!?」

案の定だ、俺の名前を出した途端びっくりした息遣いが聞こえてきやがった。

「待て!切るな!頼むから切らないでくれ!」

「……な、何そんなに慌ててるのよ、私がその、悠樹からかかってきただけで

 切る理由なんかないでしょ?も~。

 あ~、それとも静っちに会えなくて寂しいから気晴らしに私の声でも聞きたくなったか~」

一瞬耳元から携帯を離した奴が何を言うかと……まあいいか。

それよりも今は繋ぎ止めたんだ、ここで押し切らないと。

「まあそれもあるんだが、用事は他にあるんだ」

再び藤村のびっくりした息遣いが聞こえてくる。

あ、なんだろう、なんかすんごくニヤニヤする。

……俺も大概性格悪いな。やめようこういうのは。

「え、えっと、えと、えっと、よ、用事って何?私もそんなに暇じゃないんだから、

 手早く済ませてくれると嬉しいんだけど」

「今週の土日空いてるか?」

「土日?えっと、とりあえず用事は無いけど。ま、まさか静っちが会ってくれないからって

 私をデートに誘おうとでも!」

「あ~……そういうことに……なるのかな」

三度目のびっくりした息遣い。

……やめよう、流石に罪悪感が出てきた。

「冗談だよ」

……ほっとされるのもちょっとしゃくなんだが……。

「この前帰ってきた妹がな皆で海に行きたいってダダこねててな」

「い、もうと?ちょ!何、悠樹って妹いたの!?」

そこまで驚くことなのかと……。

「私聞いてないよ!」

「いや、言ってないからな」

「う……そ、それでどんな娘?」

「会ってからのお楽しみだ」

よくわからんが奈穂に興味を持ったようなので餌に使わせてもらうことにした。

「それでどうだ、妹は泊まりがいいって言ってるんだが」

「と、泊まり!?え、えっと、ゴニョゴニョとかゴニョゴニョとか考えてないよね」

「ねえよバーカ。それともなんだ?して欲しいのか?」

「無い無い無い無い!絶ッッッったい無い!!」

彼女いるとはいえ、そこまで言われると少し傷つくな流石に。

「で、どうする?」

「……わかった、いいよ。来るのは悠樹と妹ちゃんと静っちと先生と私かな?」

愛美姉は数に入るのか……恐ろしい人だ。

「後一応倉島も誘ってみようと思う。病み上がりだけど、動けそうならいい気分転換になると

 思うから」

「あ、そうだね。うんわかった。雪ちゃん来るなら全力で楽しませてあげないとね」

「ああ、それじゃ時間が詳細に決まったら連絡する」

「うん、一応楽しみにしとくよ。じゃね」

なんとか藤村を呼び出すことには成功したな、っと。

それじゃ次は倉島だな。元気になってるといいが。

「はいもしもし倉島ですが」

「倉島か、悠樹だけど」

「ゆ、悠樹さん!えっと、あの、その」

まさかの藤村のような反応。ちょっとびっくり。

「どうしたんだよ落ち着けって」

「は、はい。すいません、その……悠樹さんから電話がかかってくるなんて思ってなかったもので」

いやいや、俺から電話がかかってくるぐらいでびっくりしなくていいから。

「体調はどうだ?」

「えっと、一昨日無事退院しました。まだ体は本調子では無いですけど、生活するぶんには問題無いです」

「そっか、よかった」

「能力の使いすぎで目の方はまだ過負荷オーバーロード状態ですが、直にこちらも元に戻ると思います。

 それよりも悠樹さんこそ私がつけた傷……大丈夫ですか?」

そりゃ気にしてるよなあ。

「大丈夫だよ。俺の方はピンピンしてる」

「そうですか、よかったあ」

「むしろ、ボロボロのほうが愛美先生にスパルタされなくて助かるんだがな」

「も~悠樹さんったら」

クスっと笑う倉島の声に俺はホッとした。

「そういえば御用はなんです?」

おっと、肝心な話を忘れていた。

「今週の土日空いてるか?」

「大丈夫ですよ?もしかして退院祝いにデートにでも連れて行ってくれるんですか?」

……なんだか奈穂の考えが的を射ているような気がしてきたぞ……。

「そのだな……妹が海に行きたいって言っててな」

「悠樹さん妹いたんですか」

「そうなんだよ、先週こっちに帰ってきてな。それで俺の知り合いと海に行きたいって」

「ほうほうなるほど。だいたい理由はわかりました」

「理由って」

「言わなくてもいいですよ。女の勘はだいたい当たりますから」

女の勘はって……。

「土日ということは、泊まりってことでいいんですよね」

「あ、ああそうだな」

「わかりました。楽しみにしてます」

「それじゃ時間が決まったら連絡するよ」

「はい。……あ、そうだ」

「ん?」

「悠樹さんはどんな水着が好きです?」

……はい?

「いえいえ、どうせなら悠樹さんが情熱的な視線で、雪、

 って言いたくなるような水着を用意しようかと思いまして」

「あのなあ、倉島」

「フフフ、冗談です。でも可愛い水着用意しておきますんで

 楽しみにしててくださいね。ではでは、ビシッ」

この土日、すでに波乱の予感しかしないわけで、前途多難である。

盛大に溜息が漏れた。



今回の章は場所移動が多くなるので話数が増えそうです。まとめてもいいのですが、それはそれで1話の文章が長くなりそうなので今回はちょびちょび上げでいこうと思います。

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