第5話 魔法に挑戦
翌朝、賑やかな街の声で目が覚めた。街の様子は昨日と変わらない。
私の異世界生活2日目の始まりだ。
私がベッドから起き上がると、厨房から店員さんが出てきた。
「おはよう、マリン。ご飯食べな」
「にゃお」(うん)
出されたのは、昨日と変わらないご飯。私は本当に、異世界の日常に溶け込んでいるのだな、と実感する。
…うん、美味しい。ご馳走様でした。
そういえば、この店員さん昨日も私にご飯をくれたな。ネームプレートには、「カイ」と書いてある。しかも店長さんだ。いつもありがとうございます、カイ店長。
昨日、私はなんとなく街をぶらぶらしていただけだが、今日は違う。やりたいことがあるのだ。
私は伸びをしてカウンターから飛び降り、店の外に出て行った。
外に出るとさっそく、私は人間の姿になった。
胸にルミナスキーを刺し、昨日と同じ女の子に化けた。
そして私は、マップが貼ってある看板の前に立った。今日の目当ては、魔法練習場。しっかりと場所を確認して、そこに向かって歩き出した。
私は必ずあの雑貨屋さんに銀貨2枚を返さなければいけない。だけど、人間で10歳の私には、お金を稼ぐことは難しい。
ずっと考えていても仕方ないので、気分転換に魔法の練習をしてみることにしたのだ。これで、なにか変わるといいんだけどな。
銀貨2枚分の価値がある氷玉、絶対に有効活用してやる。
【アンディベール魔法練習場】
着いた。思ったより大きい建物だな。練習場というより体育館みたい。
私は左手に氷玉を握り、練習場の中に入った。
「うわぁ…」
声が出るほど広かった。まだ早い時間だから、利用者は数人しかいないようだ。
私は昨日本で読んだ魔法を早く試したくて、駆け足で休憩所を通り抜けようとした。その時…
「ちょっと!あなた受付は?」
「え、受付?」
「知らないの?ここは使うとき受付が必須なのよ」
「あっ…すみません、すぐします」
なにか聞かれたら、最近引っ越してきた女の子っていう設定にしとこ…
「覚えておきなさいよ。ところで、あなたあまり見ない顔だけど…」
「えっと、最近引っ越してきたんです…」
「あら、そうなのね。それは知らないのもしょうがないわ」
「す、すみません…」
「いいのよ。それじゃ、受付をしましょう。お名前は?」
「あ…名前…」
この世界では前世の時のような名前ではいけない。だからと言って正直にマリンと名乗るのも、なんだかな…
なにか、いい名前ないかな?マリン、マリン…
「聞いてる?お名前は?」
「…マリン。マリン・ブルーです」
「マリンちゃんね…歳は?」
「10歳、です」
「10歳…なるほど。これで受付は完了。それにしても、あなたみたいな小さな子が来るなんて、珍しいわね」
「えと、氷魔法の練習がしたくて…」
「氷魔法かぁ。いいじゃない、がんばってね。私は受付嬢のリン。いつでも来なよ」
「…はい!」
こうして受付が完了し、私はついに魔法の練習に入った。
練習場には的やレンタル武器などがあって、練習には最適の環境。ほとんど利用者がいないので、せっかくならとど真ん中で練習を始めた。
魔法はイメージ。頭の中で動きをイメージして、それに魔力を吹き込むことで魔法となる。
私はまず、基礎の初級魔法からやってみることにした。頭の中で、手のひらから小さな炎が出て飛んでいく様子をイメージする。魔力を吹き込むというのはよく分からないので、とりあえず手のひらに意識を集中させてみた。そして、詠唱する。
「燃えろ、初級魔法!」
すると、私の手のひらから小さな炎が出た。そして、ひょろひょろと飛んでいく。
すごい…!魔法使えた!
私は嬉しくなり、もっと詠唱する。
「燃えろ、初級魔法!初級魔法!」
それに続き、私の手のひらから小さな炎がぽぽぽと連続で発射される。なんだこれ、面白い。
だけどこれは一旦終わりにして。私が本当にやりたかったのは氷魔法。氷玉の力、早く試したい!
私は頭の中で、両手から鋭い氷の刃が飛んでいく様子をイメージした。
私は氷玉をバッグにしまい、顔の前に両手を広げて言った。
「凍れ!初級魔法!」
すると、私の両手から鋭い氷の刃がたくさん出てきて、真っ直ぐ飛んでいく。それに当たった壁は、カチンコチンに凍った。
すごい…!氷魔法すごい!楽しい!
こんなに上手く行ったのは、きっと氷玉のおかげ。もっとやってやる!
それから私は初級魔法を勝手にアレンジし、床にスケートリンクを作ったり、全方向に飛んでいくように改造したりした。これほど楽しくて、夢中になれるものが見つかったのは久しぶり!
そして私は10歳の身体に疲れが来るまで、初級魔法で遊びまくった。
読んでくれてありがとうございます٩( ᐛ )و




