第4話 図書館と夕暮れ時
言ってしまった。銀貨2枚なんて返せるわけがない。どこから出てくるの、そんなお金。
お金は稼ぐしかないよね。でも、どうやって…?異世界ってどんな仕事があるんだろう?
私はふと、前世のことを思い出した。奨学金の返済のために、ほぼ毎日残業続き。休日出勤も当たり前で、他の社員からは嫌味を言われる、そんな日々だった。異世界では、同じようにならないといいんだけどな。
「…う〜ん、考えていても仕方ない。気分転換にどこか行こう」
私は気持ちを入れ替え、少しゆっくりすることにした。看板のマップを見て、行き先を図書館に決めた。
この世界の図書館か。とても面白い本があるんだろうな、楽しみ。
私はのんびりと街を歩き、目的の図書館を目指した。
【王立アンディベール図書館】
着いた、アンディベール図書館。王都の図書館だから、すごい本がありそう。
私は異世界の本にわくわくしながら、図書館の中へと入って行った。
「おぉ…!すごい、本だらけ…!」
まさに本だらけ。天井に届くぐらい高い本棚に、本がぎっしりと詰まっている。あっちには、椅子と机が用意されている。あそこで本を読んでくれ、ということらしい。
私は入り口近くにあった小さな本棚に目を向けた。そこには、「新刊入りました」と書かれている。
絵本や図鑑、資料などが並べられている。その中にひとつ、気になる本を見つけた。「氷魔法の全て〜これだけで氷魔法はバッチリ〜」という表紙の、そこそこ分厚い本だ。氷魔法と聞いて、私は氷玉を思い出した。
たしか氷玉は、身につけていると氷属性の魔法の威力が何倍も強くなるという、中々のチートアイテムだったはず。
もし私が、氷魔法を使えるようになって、氷玉を実際に使えたら…とても強くなれるんじゃ?
私はそう思い、その本を空いている席に持って行った。
私は席に着き、どきどきしながら本を開いた。魔法のことはよく分からないので、目次から「氷魔法入門」というページに飛んだ。
本によると、氷魔法に限らず、魔法全般は頭の中でイメージすることで使用できるとのこと。
例えば、初級魔法なら、頭の中で炎の塊を投げるようなイメージで。初級魔法なら、鋭い氷の刃を飛ばすようなイメージで。
なるほど。これくらいの初級魔法なら、私にもできそう。
その後も魔法に関する本を読み漁り、気づいたら夕方になっていた。
「う〜ん…もう夕方か。そろそろベゼルに戻ろうかな」
私は本を元あった場所に戻して、図書館を後にした。
夕暮れの街をのんびり歩いて、今日のことを振り返ってみた。
今日の午前中、この世界にやってきて、自分が化け猫だってことを知った。人間に化けて、雑貨屋に行ったり図書館に行ったりした。とても大変な一日だったけど、異世界生活への第一歩を踏み切れたと思う。
そんなことを考えながら、私の帰る場所…第二の家、高級料理店ベゼルに帰って行った。
10分ほど歩き、ベゼルに着いた。あ、元の姿に戻らなきゃ。
私は建物の影に隠れて、バッグから取り出したルミナスキーを胸に刺した。
元々の化け猫、化け猫!
するとあっという間に、私は元の姿に戻った。ルミナスキーをバッグにしまい、店の中に入った。
今日はお客さんが多いな。店員さん、忙しそう。まぁ、がんばって。私はいつもの場所で寝るね。
私はカウンターに飛び乗り、専用のベッドに寝転がった。すると、今日の疲れが急に押し寄せて来て、私はすぐに寝落ちしてしまった。
美味しいディナーを楽しそうに食べるお客さんでいっぱいの、賑やかな店内を見下ろしながら。
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