第2話 私、化け猫マリン
暖かい日差し。ここは、どこだろう?
私は目を開けた。すると…
「にぃ?」(え?)
私は自分の目を疑った。西洋風の見知らぬ街並み。背中に武器らしきものを背負った人。私が座っているレジのカウンターで、見たことのない硬貨を使う人。なぜか、人がとても大きく見える。
そして、私は窓ガラスに映った自分の姿を見て、目を丸くした。そこには、かわいい猫ちゃんがいたのだから。なんで?
…あ、そうか。ここが異世界なんだ!
そう思った途端、私の頭に大量の記憶が流れ込んできた。なんだか、小さい頃の記憶を一気に全部思い出せた時のような、不思議な感覚だ。一つずつ、整理していかないと。
私の名前はマリン。化け猫である。…え?化け猫?私、人間じゃないの?
あ、そうだ。ユミさんが最後に言ってたあれ…
「転生するのが必ずしも人間というわけではないからね?」
そういうことか。私、ずっと人間に転生すると思ってた…これじゃ、貴族どころか人間の生活もできないじゃん!うんといい設定って、どこが!?…まぁ、転生したからにはしょうがないよね。今更変えれないし…
で、この店は高級料理店なんだ。ベゼルっていうのね。私は普通の猫のフリをして、ここに住み着いていると。
私、いつもカウンターで寝ているだけだけど、その様子を見たお客さんがかわいいかわいい言って、また来てくれる。だから私は看板猫なんだ。ふーむ、私やるじゃない。
私は窓ガラスに映った自分の姿を見た。薄い水色のふわふわの毛に、マリンブルーの瞳。尻尾の先だけ白い。生後9ヶ月のかわいいメス猫ちゃんだ。我ながら中々にかわいいじゃないか。
この見た目から、私は「マリンちゃん」と呼ばれているんだね。うん、イメージぴったり。命名者に感謝する。
「ほれ、マリン。ご飯食べな」
「にゃ?」(え?)
あ、そっか。店の人から見れば私は普通の猫だもんね。猫用フードが出てくるのも当たり前だ。化け猫って雑食らしいし、これ食べれるんだ。
うーん。肉体的には大丈夫だとしても、私の気持ちの問題で食べたくないんだよなぁ。どれ、どんな匂いだ?
…お、美味しそう!身体が化け猫だから、なぜか美味しそうに感じちゃう。い、いただきます!
美味しい…!猫用フードってこんな味なんだ。これならどんどん食べれる…案外、化け猫の生活もいいかも。(良い子は食べちゃいけません)
ご馳走様でした!お腹いっぱい〜。この店最高。
ご飯も食べたことだし、町を散策してみようかな。異世界の町、どんな感じなんだろう?
私は伸びをしてカウンターから飛び降り、店の外に出た。緩くも冷たくもない心地よい風が私の顔に当たる。私はやっと、自分が化け猫に転生したと認めたのだった。
小さなふわふわの足でトコトコと歩き続けていると、私はとある建物を見つけた。
「にゃぁ〜」(わ〜)
それは小さな雑貨屋だった。普通の見た目をしてるけど、私は妙に惹かれた。猫の勘というやつ?私は店の中に足を踏み入れた。すると…
「あ、こらマリンちゃん!お店には入らないで〜!ベゼルに戻りましょうね」
「にゃお〜?」(えぇ〜?)
なんと、私は店の人に追い返されてしまったのだ。まぁ、そりゃそうだよね。いくらベゼルの看板猫と言っても、私は所詮野良猫。さすがに店には入れられないか…
こんな時、私が人間だったらいいのになぁ。化け猫なんかだから色々と制限されちゃうんだよ…
化け猫…化け猫ねぇ。…ん?化け、猫?化け…
そうだ!私は化け猫。化け猫なんだから、もしかしたら姿を変えられるんじゃ…?
人間に、なれるかもしれない…!
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