男なんてバカな生きモンですw
「ワタシ、ダメなの…??」と彼女。わざとらしく傾ける作為的表情。心配そう風味。もちろん演技。彼女も分かってて聞いてる。分かってて言ってる。
僕は思わず「そんな事ないけど!」と答えてしまうんだけど、それも彼女は分かってるんだ。いつものやり取り。
「そんなところも好きなんでしょ?」と彼女。左斜め下が彼女の定位置。僕より17センチ背の低い彼女。僕が右、彼女が左。二人で歩く時の定位置。彼女はそこから僕を見上げるように話す。僕は少しだけ顔を下に向けて話す。
僕の幸せはこの位置。少し左下向いたこの位置。彼女の髪、瞳、時として横顔。僕はいつもあったかい何かをこの位置から感じ取っているんだ。喜んだり、悲しんだり。そして幸せだったり。
左斜め下、17センチ下に僕の幸せが詰まっている。二人で歩く、なんて事のない時間。僕はこの空間であたたかさを感じる。
「つか、スカート履いてやってんじゃん!」と彼女、吐き捨てるよーに。憎たらしげに。
スカートだけは死んでも履かねぇ!と断言してた彼女に、強引に履かせたのは自分。買ってやるから!と強引に店に行って、強引に買ってきてしまったのだが、不思議と彼女、その後そのスカートを履き続けてくれた。季節が変わり、その時の夏用のスカートが時期的に不釣り合いに感じるようになった後も、彼女は僕好みの服装を続けてくれた。
「かわいいだろ?」
彼女はその場にジャンプして、ぴらっとスカートの裾を指で弾いた。
でもって、体を、くいくいっと左右に揺らした。彼女のスカートも揺れる。円を描くように。なんか小バカにしてるみたいに。
確かにかわいいんだ。
男ってバカだなーと、思う。自分でも思う。
彼女が、にーっと笑う。
僕はやれやれと、呆れたような顔を見せる。ホントはかわいいって500回ぐらい言ってやりたいのに。500回?ホントは1000回ぐらい。
だけど僕は「それはそれ!これはこれ!猫背だけは直せ!」と言ってしまう。言ってしまうのだ。
裾がふんわりと、もう一度風に揺れる。梅雨の合間、思い出したような晴れ間。
初夏に吹く澄み切った風が、彼女の体にやわらかく透明な風を送る。翼に風を送り込むように。
僕の気持ちをもう一度確かめるように。
「猫、嫌い?」と彼女。
答えなんて分かり切ってるのに。
いやいや、猫がどうとか、そういう話しじゃなくて。
彼女は確かめるように言う。
「猫、嫌いなの?」
僕は答える。「嫌いじゃないけど。」答えてしまう。
「じゃ、いいじゃん!」と彼女。
遮るように、彼女は僕の手を握る。彼女の小さ目な指先が、僕の手のひらをやわらかく包む。何かを確かめるように。何かを確認するように。そしてにこっと笑った。
僕の気持ちも確かめるように。
話しを終わらせたかっただけかな?w
そしてそのまま、左下にいる彼女は、
「にゃー♪」
と言って笑った。
彼女は、くるっと振り返り、お店のドアを開けた。からんという小気味良い音が、店内に響いた。
…もうどうでもいいやw
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