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第二章「転校生と、学園最強の拳」

【1】

「じゃあ紹介するぞォ~、今日からみんなのクラスメイトになる――」


朝のホームルーム、教室の空気が一気に緊張した。


「宇佐美ルナです。よろしくお願いします」


無機質な声でそう言った少女は、完璧な立ち姿で黒板の前に立っていた。

銀髪に金の瞳、どこか浮世離れした雰囲気。しかも制服の着方が異常に整っていて……逆に怖い。


ざわ……ざわ……。


「な、なんか超絶美少女なんだけど……誰あれ……?」

「え、モデル? TikTokでバズってる?」「待って目合った無理死ぬ」


一瞬で教室が色めき立つなか、

教卓の横で頭を抱えていたのが九条 焔だった。


(くっそ、何でこいつが転校してきてんだよ……!)


そう、昨夜。


「観測対象への接近とデータ収集には“学園”という構造体が最適です」


「わたしがこの学園に編入するのは合理的です。あと制服かわいいです」


「書類もハッキング済みです。身分、戸籍、全て合法です。バグってますが合法です」


あのあと、ルナは有無を言わせず“転校手続き”を完了させていたのだった。

いや、むしろ人間じゃないのに戸籍取るなよ。


 


「宇佐美、席は……九条の隣な。ちょうど空いてるから」


「了解しました。選定対象・九条 焔の側で監視任務を遂行します」


「うおい言い方ァァ!!」


 


そんなやり取りを冷ややかに見ていた生徒がいた。


――高天原たかまがはら れん


猛牙学園・生徒会副会長。通称「白銀の右拳」。

焔と並び称される、もう一人の“喧嘩の天才”。


「……気になるな、あの女」


蓮の視線はルナではなく、焔の変化に向いていた。


(九条のヤツ、何か変わった……あのバカにしては、目つきが真っ直ぐすぎる)


昼休み、屋上にて。

蓮は焔の前に立った。


「なぁ、九条」


「んだよ白王子。今日の髪型、リーゼントもどきか?」


「お前、最近“強く”なったな。何があった?」


焔は、いつものように笑った。


「さぁな。……ただ、“守りたいモン”ができたってだけだ」


その言葉に、蓮は目を細める。


「……もしお前が“世界”に関わってるなら。次に拳を交える時は、本気で行くからな」


焔はラーメン味のアメ玉をポイッと放り込むと、ニヤリと笑った。


「上等だ。俺は今、最強にバカで、最強に喧嘩上等だ」


 


──そして、その夜。


学園の裏手に、新たな裂け目が発生していた。

空間を割って現れたのは、異形のノイズではなく……ひとりの“少年”。


黒いコート。無表情。瞳に刻まれた異界の紋章。


「選定対象……九条 焔。排除対象として、最優先登録」


 


運命のカウントダウンは、静かに進行していた――。


 


つづく



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