勿忘草色の夢
「改めてよろしくお願いします」
「よろしく」
「孤泊さん、その帽子は・・・」
「ROMてモデルが雑誌で被ってたのだよ。NANAと一緒に載ってる」
「だよね。似合ってる。それカズも使ってるよ」
「そうなの?」
「お揃いだね」
和樹も使ってるのね。ROMて和樹に似てるだね。あれ?もしかしてそうかも。NANAが川莉ちゃんでROMと仲良いらしいから有りかなぁ。
「和樹、おはよう」
「孤泊さん、おはよう」
「あ、帽子お揃い」
「うん。ROMが被っての雑誌で見て」
「孤泊さん、マジ似合ってる可愛い」
「聞きたいんだけど・・・ROMて和樹?」
「えっと・・・そうだよ。でも秘密だよ」
「うん。にいにいとお兄ちゃんに自慢はしていい?」
「世間的には秘密にしてくれるならいいよ」
「やったー。あ、写真撮ろう」
「ROMになるから待って!!」
数分後、戻って来た。
「お待たせ!!」
「ROM良き!!
写真をお兄ちゃんに送った。返信が早かった。
【孤泊、なんでNANAと居るの?】
【友達の友達がNANAだったの】
【羨ましい!!サイン欲しい!!】
【頼んでみる!!】
「あ、孤泊タオルで汗拭いて!!」
「ありがとう」
「本当に暑いよね」
「だよね」
「麦茶どうぞ!!」
「ありがとう。あ、採寸は?」
「終わってる」
「えっ?現地集合でいい気がするけど・・・」
「ボディーガード連れて行くから」
「なるほど」
「納得していいの?」
「うん。狙われてるから仕方ない」
「そうだね」
「あ、住所教えとくよ。そしたら今後役に立つから」
「そうだね」
メモ紙に書いて渡した。
「ありがとう」
「あれ?そういえば和樹、部活は?柔道部に仮入部したんじゃ・・・」
「顧問の先生は優しいけど先輩達がクズ過ぎて入部するの辞めた」
「じゃあどうするの?将来の為に経験を積みたいて言ってたじゃん」
「習い事で経験を積むから!!月野の知り合いがやってる道場を紹介してもらった」
「なるほど。和樹君の学校て部活は絶対入るのが決まりだよね?」
「うん。元々漫研作るさいに名前貸してたから漫研だよ。あ、そういえば孤泊は部活しての?」
「部活してるよ。演劇部だよ」
「えっ!そうなの?凄い」
「あ、文化祭来て!!あ、和樹達の文化祭行きたい!!」
「日程が合えば来て」
「うん」
出発しようと車に乗ると運転手は青葉さんだった。
「鬼塚さんが運転しないの?」
「うん。運転すると息苦しくなって吐いてしまう。小さい時、目の前でお母さんが轢かれて亡くなったから」
「トラウマなんだね」
「うん。だから運転出来ない」
「仕方ないね」
「うん」
「というわけで出発!!」
やっぱり、助手席は川莉ちゃん。
「和樹と出かけるのて初だね」
「そうだね」
「そうなの?」
「初めて会った時は偶然だし次に会ったのも偶然だし、一緒に話しただけだし」
「そうだね。階段から落ちそうになってた頃助けてくれたの」
「そういや、その時に渡された鍵て返した方が良いの?」
「あ、それね。もう少しの間預かって欲しいの」
「それは良いけど、あの鍵なんなの?」
「その鍵はベッカー家の財宝が眠る場所の鍵」
「えっ!?財宝・・・開ける鍵!?」
「私も財宝がなんなのか知らないの」
「そうなの?ベッカー家て?」
「お母さんの旧姓がベッカーなの」
「そういう事ね。もしかしてだけど本当に狙われてるのって鍵の方?」
「実はそうなの!ごめん。わざと渡した。持ってると怖い思いすると思って」
「孤泊さんが安心なら預かってるね」
「怒らないの?」
「うーん。孤泊さんが安心て過ごせたならよかった」
「和樹」
「孤泊さんの命も大事。まぁ俺やセン達の命だって大事だけど」
「カズは守りたい者がいっぱいなんだね」
「うん。俺警察官になるのが夢だから」
「素敵な夢だね」
「ありがとう。孤泊さんは?」
「自由になれたらスマイルの彩人さんみたいな有名人なるのが夢。彩人さんの演技は凄いの」
「だから演劇部なんだね」
「うん」
「孤泊さんの夢が叶う為に俺も守るのお手伝いする」
「カズは守りたい人増えて行くんだね」
「うん。俺たくさんの人を守りたい。強い人も弱い人も守りたい。だから弥月先生も守りたい人の中に入ってるよ」
鬼塚さんはびっくりしていた。
「どうしたの?」
「昔、正子さんに似た事言われて・・・和樹君と正子さんが重なって見えたんだ」
「正子さんて正旦のお母さんだよね。結構仲が良かったんだね」
「うん。友達で俺の初恋の人」
「じゃあ三角関係て事!!」
「そうなるね。和旦さんは遠くに住んでたから俺帰って来て欲しくなかったなぁ」
「そりゃ。好きな人を独占したいもんなっちーは独占出来なかったけど」
「どうして?二人付き合ってたのに」
「なっちーの優先順位がセンが一番でその次が俺なんだよね。時々センに嘘言って二人で出かけてるだよね。三人で見ようて言ってた映画二人で見に行ってたのは寂しかった。俺はなっちーの優先順位がセンなのは別に良いんだよ。でも嘘ついてまで二人きりなろうとしてるのて酷いだよ」
「七歩の嘘だったの?」
「そうだよ」
「七歩の嘘に話合わせてたの?」
「うん。喧嘩してるの見たくないし」
「そっか」
「なっちーはセン大好きだからね」
「ブラコンて事?」
「多分、恋愛の方。俺見ちゃっただよね抵抗するセンにキスするなっちーを・・・あ・・・それでなっちーと喧嘩して、ちゃんと話し合いして別れた。その数日後に・・・」
「そうだったんだ。てかあの人が正旦のお母さんなんだ」
「えっ孤泊さん知らなかったの?」
「会話中でお母さんて呼んでなかったから。てか鬼塚さんと良い感じだったから恋人かと」
「付き合った事ないから。そもそも二人結婚の約束してたし」
「えっ!!あの時正子さんに・・・」
「それより二人が仲良くなったきっかけ教えて」
「話逸らされた」
「気になるなぁ。気づいたら仲良くしてるし」
「あ、でも鬼塚さんと再開する前に出会ったの」