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第八話 山賊そして海賊

初めての対人戦闘です。

 第八話 山賊そして海賊

 ハイジが外に向けて警戒している。ハイジとも繋がっているナビさんが

『外に3人、見張りらしき人間がいます』

「この辺は、父上の威光も届かぬゆえ、胡乱な奴らがいるのであろうな」(リョウカ)

「どうしてくると思う」

「この家が鉄板で守られていることは知らないだろうから、まず火矢だな」(カクタス)

「寝静まったころに火事を起こして、慌てて飛び出してくるところを一人ずつってとこか」

「まあ、鉄板で囲ってあるから火事は起こせないのでこのまま寝てましょう」(カクタス)


 22時 念の為、武装して就寝。


 行程四日目(転移51日目)

 2時 矢が家に当たる音がする。燃えているのは周りの枯草だけだ。


 3時 家の周りに火を焚いて、家を叩いたり、蹴とばしたりして騒いでいる。

「おら、出てこんかい。ぶっ殺すぞぉ」

「殺されるん、いややったら出てこい。火ぃつけるでぇ」

 流石にうるさくて寝ていられない。

 ヒイとミヤが来たので説明しておく。

「俺とカクタス、ハイジが外に出る。そしたらミヤがカギを閉めて、ヒイは窓から矢を、弓矢を持ってる奴からだ。ミヤは夜目が利くから指示をくれ。わかったな。」

「「はい」」

 玄関でハイジに『一人に構わず、次々と体当たりをかませ。動きを止めるな』

「オン(わかった)」

 敵は大きなハイジを見ていない、ただの子犬だと思っているだろう。

『ナビさん相手は何人だ』

『23人です』

「カクタス一人当たり6人だ。家の近くの奴を頼む。無理はするな。厳しいときは呼んでくれ」

「わかった、まかしとけ」

「行くぞ」


 戸を開けた瞬間、ハイジが飛び出る。

 戸の近くに居た3人が倒される。俺とカクタスが刺し殺す。

 俺はハイジの後を追って倒された族を殺して行く。

 カクタスは近付いてくる敵を倒していく。訓練の成果で見ていて危なげない。


「矢を使え」

 親玉らしき男が叫ぶが、弓矢を持った3人はすでに息をしていない。心臓を矢で射抜かれている。

 30m以内ならヒイは外さない。当然、ナビさんが心臓を指示しています。その後も遠くにいる奴から次々と倒れていく。

 小さな窓から矢を射るヒイがいる。

 その横の窓にカクタスに指示を出すミヤがいる。

「カクタスはん、右から槍持った奴が来よるでぇ」

 ミヤ、お里が出てる。


 5分後残ったのは親玉だけになった。

 カクタスが寄せていくと、逃げようとしたが、後ろには俺とハイジがいる。


「仲間はまだ居るのか?」

「まだ仰山おるで。お前ら、俺を殺したら豪い目に会うでぇ」

「こいつらは普段は百姓をして、獲物がいる時だけ山賊になるんだ」

 カクタスは、キリが無いとばかりに切り殺した。


 そう言えば、俺は初めて人を殺したがヒイやミヤに乱暴されることを思えば、なんの感慨もないし、後悔もない。

 死体を街道沿いに並べておいた。後で事情を書いた書状は領主に届くようにした。

 もう一度風呂に入り、寝直した。


 朝、ミヤが買ってほしい物があると言ってきた。

 その後、遅めの朝食をとり、港に来た。

 ボートを出して、車をしまう。


 ボートのエンジンはコンロッドを直接ゴーレムにした新しいものだ。

 ガソリンエンジンと同じぐらいの回転数を得られる。

 それでも回転数を上げると魔力を大きく消費するので15ノットで巡行する。

 俺は風呂用の湯を沸かすためにタンクを出して、舵はカクタスに任せる。

 200リットルのタンクにグニグニと曲げた銅パイプを入れ、気功で圧縮した空気を入れ続ける。

 圧縮した空気は熱を持つので水が温まるのだ。


 10時 ショウドシマ辺り 一つ目のタンクが80℃になったので収納し、二つ目に掛かる。

 トイレはボートに付いているのでトイレ休憩は無しだ。


 11時 サカイデ辺り 三つ目だ



 12時 フクヤマ辺り 昼はおにぎりで済ませる。

「もう直にムラカミ海賊が出る海域です。どうされますか?」

「これを上げておけ」

 カクタスの問いにリョウカ様が竜王様の旗を渡した。スパンカー用のロッドに旗を揚げる

 ムラカミ海賊は瀬戸内海を千年近く治める一族である。基本通行料を徴収するが王族や貴族からは徴収しない。

(スパンカー=船尾に立てる帆。船の向きを一定にする効果がある)


 13時 ムラカミ海賊の本拠地、インノシマが近くに見える。何隻かのボートが近付いてきた。

「おーい、そこの船止まれ」

 小舟が行く手を塞ぐように囲もうとするが、こちらの速度が速いのか、うまくいってない。

「こちらは、竜王様の第三王女リョウカ様の御座する船ぞ。控えおろう」

 王の旗が分からないのだろうか?

 カクタスが叫ぶがなかなか諦めない。こちらも身分を明かした以上、屈する訳にはいかない。

 ついに小舟達は離され始めた。やはり性能が悪くて追付けないのだ。


 小舟の乗組員が弓を空に向けて矢を放つ。

 ヒョーーーーッ

 甲高い音が響き渡る。鏑矢だ。

 しばらくして、前の島から離された小舟より細長い船が3隻現れた。

 俺は三つ目が終わったので収納してキャビンに入った。

「カクタス変わるよ。あれって早舟だろ」

 カクタスでは、これ以上の速度は魔力が足りない。

 キャビン内はナビシートにリョウカ様、パッセンジャーシートにアンナさん。バウバースにヒイ、ミヤ、ハイジが居た。

(キャビン=居住空間、運転席などがある。)

(バウバース=バウ(船首)にある空間。居住区間やトイレがある。)


 俺が来たのでヒイとミヤがくっ付いてくる。

 早舟が寄せてくる。おぉっとゴーレムが櫓を漕いでる。それが両舷に3つずつだ。

 計6つの櫓が忙しく動いている。


 少し前、ムラカミの若様。

 鏑矢の音が響いてる。

「逃げた奴が居るようだ。追うぞ」

「この早船から逃げられると思うなよ」

 だが、相手の船は早い、並ぶのがぎりぎりだ。

 近くに行くと船尾に見たような旗が上がっている。

「馬鹿野郎、王家の旗じゃねえか」

「先触れの連中見落としたのか。役に立たん奴らだ」

 そう言えば、王女が信帝国に行くのに通るかもって話があったな。まずい、何とか誤魔化さないと。

 相手の船上に居る男に言ってみる。

「こちらはムラカミの長男です。そちらが王女様ならご尊顔を拝したく、停船頂けないでしょうか」

「解った、お伺いを立てる。」


 キャビンの窓を開けるとカクタスが

「ムラカミの若君がリョウカ様のご尊顔を拝したいと申しております」

「駄目じゃ、先を急ぐ。いや、この船に追付けたら見せてやると言ってやれ」

 カクタスが早舟に叫ぶとリョウカ様が顎をクイっと前にやる。

 スロットルを全開にする。スロットルを持つ手から魔力が勢いよく流れ込む。

 バウデッキが持ち上がり、すさまじい加速が起きる。

 リョウカ様以外の女子がキャーと悲鳴を上げる。早舟がみるみる遠ざかる。

 カクタスはバウレールにしがみ付いている。

(バウデッキ=船首の床)(バウレール=船首にある転落防止の柵)


 再び、ムラカミの若様とお供。

 相手の男が追付いたら見せると言ってきた。

 何を言っている。この船は早舟、竜王国一速いのを知らないのか。

 王家の船が舳先を上げ、今までに見たことも無い加速を始める。

「何じゃ、あれは、とてもじゃないが追付けん」

「こちらの無礼は無かったことにして頂いたようだ」

「先触れの連中には、熱いお灸を据えねば」

「何にせよ、寿命が10年は縮まったぞ」

「しかしあの船は一体、ゴーレムも立ってないのになぜ進めるのか?」

 大きな溜息を付いて、はるか彼方に見える船を見送る若様であった。


 五分程走った後また15ノット巡航に戻した。

「顔見世くらいしてあげればよかったのでは?」

「貴族同士では、しがらみが多くてな。正式に招かれたのならばともかく、こんなところでは

 恥にしかならん。多分、王族の旗が分からず、絡んだ言い訳だろう。素直に謝ることは出来んだろうからな」

 貴族の世界も何かと面倒ですね。


 15時 マツヤマ辺り

 どこかで見たことのある島が、確か、日本で中年アイドルが開拓してた島。


 17時 無人島の浜に上陸、家を建てる。

 食事後 ヒイとミヤのスロットに合気道の達人をインストールする。

 二人とも近接戦闘は苦手そうなので、もしもの時のために教えておかねばならない。

 砂浜で練習させる。インストールの良い所は練習すれば効果的に身に付くことだ。

 ナイフか小太刀も必要かな。ハカタで買ってやろう。


 行程五日目(転移52日目)

 8時 出発


 12時 シモノセキ辺り 昼食は昨日に続きおにぎり。

 ハイジが運動不足気味なのでバウデッキ、サイドウォーク、スタンデッキと子犬の大きさで走りまわさせる。ヒイとミヤが後を追っかける。いつの間にかハイジが鬼の鬼ごっこになってた。

(サイドウォーク=キャビンの横の通路)(スタンデッキ=スタン(船尾)の床)


 15時 ハカタ 上陸して買い物、特に野菜。久しぶりの車だ。

 買える物は買ったが、食料品は朝にならないと物が揃わないようだ。

 どうせ今日はここに泊まる予定だ。


 娘たちに買う護身用の刃物だが、ヒイはナイフ、ミヤは小太刀が欲しいらしい。

 刃物屋に入ってしばらく物色していた二人だ。

 まず、ヒイがナイフを持ってきた。刃の長さが18cm、細身だがしっかりした造りで鍔付きで柄も細身なので子供用かもしれない、木製革張りの鞘が付く。良いじゃないか。値段も。

 ミヤは白鞘、白柄の刃渡り30cmの短刀、短刀自体は良いものだが造りが地味だな。

 二人ともこれで良いと言うので買ってやる。



村上水軍が生き残ってるんですね。

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