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外伝1話 ヒイの異世界冒険

ヒイが異世界に飛びます。

 パリ 帝宮

 その日のヒイは暇だった。恭平に買って貰った帽子をいじって暇つぶしをしている。

 結婚してすぐに産んだ子はすでに30代後半、孫もいる。

 この頃は寄り付きもしない。

 やはりこの間、孫と一緒に歩いていたら、町の人に孫の方が「お姉さんですか」なんて言われてショック受けてたからなあ。


 子供たちには悪いが不老には出来ないそうだ。それを許すと何百万人の不老者が出来るかもしれないからです。


 子供を産んでも、一年もしないうちに全く元の姿に戻ってしまう。ナビさん様様です。

 永遠に年を取らない夫がいるのだから、自分が不老なのは嬉しいが世間との乖離はある。

 それが悩みだった。


 そう言えばハイジももう40年近く生きてるが、まったく衰えない。あの子は孫従者なので不老ではない。魔獣だからだろうか。

 最近ハイジも何回目かの彼氏が出来て、こちらに寄り付かない。

 しかし、魔獣のハイジに子供が出来る可能性はほとんどない。それだけが不憫だ。


 リシュさんが来た。

「ヒイちゃん、今暇?」

「暇だよ」

「お使い頼まれてぇ」

「いいよ」

「じゃあこれ、ステーションの蒼伊さんの所へお願い」

 リシュさんから満タンの二つの魔力石を渡された。帽子を被って言う。

「行ってきます」

 地球の周りを回っている宇宙ステーションはマップ固定が出来ないので人のそばを目指す。

 一応障害物がないことを確認して空間移動を行う。


 その少し前 宇宙ステーション 実験室

「ナータちゃん、魔力石頼んでくれた?」

 蒼伊がナータに聞く。

「リシュさんに頼みました。本人は忙しいので来れないけど、誰かに頼むそうです」

「了解、なんで宇宙は収納が使えないのかね。不便で仕方ないよ」

「地球と空間座標が固定できないので瞬間的ならともかく、出し入れに時間が掛かるから駄目なんです」

「まあとにかくアルクビエレドライブの実験の準備をしましょう」


 アルクビエレドライブとは進行方向前にブラックホール、後にホワイトホールを配した空間を作ると、光速の数千倍の速度でも飛ぶことが出来る、今のところ最速の航行方法である。

 通常ビックバン並みのエネルギーでも足りないと言われるこの航法だが、重力制御の異能を使えば理論上大きなエネルギーは要らないことになる。


 これは悪魔人間が使っていた空飛ぶ絨毯を解析したことから始まる。

 空飛ぶ絨毯は重力制御の異能を魔道具化していたのだ。

 これを元に蒼伊さんとナータちゃんは超光速宇宙船の研究をしているのです。


「準備完了」

「後は魔力石の来るのを待つだけね」

 蒼伊は暴走した時の為に張ってある結界に顔を貼り付けるように実験装置を覗き込んだ。


 その時、蒼伊の目の前にヒイが現れた。

 ヒイは結界にぶつかって魔力石を一つ落としてしまう。

 魔力石のプラグが魔導線のと重なると同時に装置が動き出す。

 魔力石のプラグが魔導線から離れた瞬間、装置は止まった。

 しかしヒイの居た場所にヒイの姿は無かった。


「大変!!ナビさん、ヒイがどこに行ったか分かる?」

『この空間内には確認できません』

「何が起きたの?」

『ヒイさんの居た場所から考えて、重力崩壊による異界転移が発生したものと思われます』

「探せるの?」

『時間は掛かりますが』


『いててて、何が起きたのかな?』

 其処は建物に挟まれた細い路地だった。

 空気はあるし、宇宙ではなさそうね。

 マップを使うが。目の前しか出て来ない。

 誰も来たことが無い場所なのかな。マップを広げるが何の反応もない。


『ナビさんここは何処?』

 念話がつながらない。

『恭平様、ヒイは迷子になっちゃったよ』

『誰でもいいから返事をして』

 誰にもつながらない。


 突然、恭平の匂いがする。

「恭平様、何処」

 ヒイが叫ぶと若い男が4人顔をのぞかせた。

「オオ、カワイイ。オレタチトアソバナイ」

 ヒイには何を言っているのか分からない。

 ヒイの手を取ろうとした。

 黒狼村の若者を思い出した。手首を決めて投げ飛ばす。


「ナニスンダ、コノヤロウ」

 残りの三人がヒイを囲んで捕まえようとした。

 一瞬で3人とも投げられる。

 武器を出そうと収納を開けようとするが反応がない。

 仕方ない。右手に気功の刃をまとわせる。


「オマワリサアン、コッチデス」

 大声が聞こえた。恭平様の声かな?ちょっと違うような。

 4人の男は「オボエテロ」とか言いつつ走って逃げって行った。


「キミ、ダイジョウブダッタ、オマワリサンハウソダケド」

 恭平様に似てるけど大分老けてる。声もよく似てるけど。

 もしかしてお父さん、のはずないか。恭平様のお父さんなら、もうお爺さんになってるはずだし。

「キミ、ネエキコエテル」

 相変わらず何言ってるのか分からない。

「あなた恭平様の関係者?」

「ウーン、キョウヘイッテオレノナマエイッテルンダヨネエ」


 そうだナビさんに貰った。言語博士をインストールっと。

「こんにちは、分かりますか?」

「なんだ喋れるんじゃないか」

「あなたから、恭平様の匂いがします」

「俺の事知ってるの?」

「あなたは恭平様じゃない」

「俺は浅野恭平、間違いないよ」

 どういうことか分からない。


「君迷子どこに行くの。俺仕事終わったから案内するよ」

「パリに行きたい。」

「パリ、それは無理かな。君金髪だし、フランス人なのかな」

 苦笑いしてる。仕草が恭平様そっくり。


「ここは何処?」

「横浜」

「ヨコハマ?40年前に通った時は何も無かったのに」

「おいおい、君はどう見ても15、6歳だろ。40年前って、横浜はその頃も栄えてたぞ」

「じゃあここは竜王国じゃないの?」

「竜王国?ここは日本だよ」

「日本!!恭平様の居た国、私、異世界に来ちゃったのか」

 なぜか核戦争前の日本に来たみたい。多分、私が恭平様の匂いに惹かれたんだ。

 恭平様って身体強化で若返っていたんだね。

 そうじゃなきゃ私を娘にしようとは思わないよね。

 これで恭平様が妙に老成してる謎が解けたよ。


「じゃあ、あなたは本当の恭平様」

「異世界ってなんだよ。俺は産まれた時から恭平だぞ」

「あなたは、藤沢に住んでいるのね。じゃあ、そこに行きましょう」

「おいおい、何言ってるの」

「私は未来のあなたの従者のヒイって言うの」

「ちょっと頭がおかしいのか」


「失礼しちゃうよ、見ててね」

 重力制御で浮き上がる。あれ、魔力が補充されない。

「浮いた、手品じゃないよな」

 降りて確認するが、今使った分の魔力が少しも補充されない。

 ヤバイ、日本って魔力が無かったんだ。


「もう一度見せて」

「駄目だよ。ここでは魔力が補充出来ないから、いざと言う時の為に残しておかなくちゃ。

 それより、助けが来るまで安全なところに居たいのよ。あなたの家に連れて行って」

「ええ、俺ってそんなに無害に見える?」

「エッチなことなら、いくらでもさせてあげるから。早く」

 恭平様と分かればねえ。

「ええええ」


 私と恭平様は駅に向かって歩き始めた。

 ふと、嗅ぎなれた匂いがする。小さい真白だ。

「ちょっと待ってて」

 恭平様を待たせて小さい真白の方へ行く。

「ちょっと済みません。この可愛い子、おいくつですか?」

 両親と思われる男女に聞く。

「12歳よ、あなたもとっても可愛いわよ」

「ありがとうございます」

 12歳であの胸は反則だよ。いやいや、そっちじゃない、12歳なら核爆発の6年前ってことよね。


 恭平の所に戻る。

「あの子、知り合いか?」

「あの子もあなたのお嫁さんになるよ」

「ええええ」

「早く帰ろう」


 帰りの電車を降りると赤毛の女の子とすれ違った。この匂いは茜だ。

「どうしたんだい」

「あの赤毛の子、あの子もあなたのお嫁さんになるよ」

「もういいよ」


 恭平様の家に着いた。2階建ての・・・寮じゃないのか。

 家の中に入ってほっとする。

「いい、驚かないでね」

 私は帽子を取る。

 犬の耳が顔を出す。

「・・・」

 声も出ないみたい。

「触って良いか」

「良いよ」


 恭平様は垂れた耳を持ち上げて耳の中を確認してる。

「作りものじゃない」

「これがこの世界で私が外に居たくない理由、。分かってくれた?」

「分かったよ。本当に異世界から来たのか」

 私は向こうの世界で起きた私のことを話した。


「なんで俺は向こうの世界に行ったんだ?」

「それは言えないよ」

 6年後に核攻撃を受けるなんて言えない。

「じゃあ君はどうやってこちらに来たんだ」

「アレキ、エレキドライブだったっけ」

「アルクビエレドライブな」

「すごいね知ってるんだ。それが暴走したみたい」


「それであの子供たちと俺は結婚するのか」

「そうだよ。後、私とミヤちゃんと蒼伊さんとジュレイちゃんと・・」

「俺の嫁は何人いるんだ」

「正式な嫁は15人だよ。後、非公式な人が20人位は居たと思う」


「それでどうする」

「どうするとは」

「私を抱く?」

「でも未来の俺は君を娘の様に大事にしているんだろ」

「いいよ。私も孫が居るんだからそんなに気にしなくても」

「いや、駄目だ、君を裏切らすわけにはいかない」

「恭平様ならそう言ってくれると思ったよ」

「なんだからかったのか?」

「違うよ、本気だよ。だって恭平様だから」


「じゃあキスしていいか?」

「良いよ。お世話になってるんだから」

 私は恭平様に抱き着き、唇を重ねた。恭平様の匂いが鼻腔を通し脳に刺激を与える。

 恭平様もヒイをしっかり抱きしめる。

 押し倒されそうになった時、頭の中で声がした。


『ヒイさん、ご無事ですか?』

『無事です』

「ごめんなさい恭平様、迎えが来ました」

 唇を離して、まだ抱きしめている恭平様に言った。

『で、どうすれば良いの』

『そこにご主人様がいらっしゃいますね。ご主人様に魔力石のプラグを当ててください。

 後はご主人様の異能で私がやります』

 すっかり忘れていたけど左手で、魔力石を持ってたよ


「恭平様、この白い所に指を当てて下さい」

「こうか?」

「そうです。では、また会いましょう」

「君に会えるのが楽しみだ」


 私は帰って来た。

『お帰りなさい。昔の御主人様の記憶は消しておきました』

 若い姿の恭平様がいた。

「良かった。一時はどうなることかと・・・」

 私は抱き着いてキスをした。ああ、やはり恭平様の匂いが私を興奮させているんだ。

「帽子を忘れてきちゃった」

「そう言えば昔、アパートに見覚えのない帽子があったよ」


暫く間が空くと思いますがお許しください。

外伝2話でまた会いましょう

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