第七話 ミヤ
ミヤはのちに化けます。
座薬の解熱剤とベビーオイルを買った。女の子を俯せにして貫頭衣を捲る。
やはりパンツを履いてない。へっ 長い尻尾がある。
落ち着け、猫人はしっぽがあるって聞いたような気がする。
お尻を広げて肛門周りにベビーオイルを塗る。座薬は体温で溶けるから素早く入れる。
漏れてこないようにお尻を挟む。
「恭平様 スケベです」
ヒイが後ろに居た。ここであわてるとヒイに軽蔑される。ここは、大人の対応を。
落ち着いて座薬の説明をして、お尻を挟むのを代わって貰い、家を建てる場所を教えてもらう。
ハイジが案内してくれた。こいつは、念話が出来ることもあって日増しに賢くなっている。
手早く土台を作って家を乗せる。
俺は手前の部屋に女の子を寝かして、買った石油ストーブで温度を上げ、金属の洗い桶にお湯を張って、ストーブの上に乗せ、湿度を上げる。
ヒイに全身の汗を拭かせて、下着とパジャマを買って着替えさせた。(お尻の部分をちょっと切ってヒイがしっぽを通しました。)
18時 ようやく熱が落ち着いてきた。呼吸も静かになった。
「落ち着いてきた。そろそろ食事の用意をしよう」
「治ったのですか?」
「明日の朝くらいには治ってるだろう。」
「恭平様、すごいです。神様みたいです。」
昔の日本でもインフルエンザで多くの人が亡くなっている。ウイルスを殺すための発熱が体にダメージを与えるのが大きいと思う。
夕食を済ませて、おかゆの用意を始める。ヒイが覗き込んでくる。
「これは何ですか」
「ご飯をドロドロになるまで煮た、消化の良い食べ物でおかゆっていうんだ。熱を出して疲れ切っているから、すぐに体に取り込めるようにお腹に優しい食べ物だよ」
「この子に食べさせるのですか」
「食べられるようになったらね」
アツアツのまま次元収納に入れる。
20時頃女の子が目を覚ました。ヒイが見つけて報告してきた。
ちょっと目はきついがなかなかの美少女だ。
「自分の名前が解るか」
「ミヤと言います」
頭に影響はないようだ。
「お腹は空いてないか」
「少し」
上にヒイの上着を掛けてやり、食卓に座らせた。おかゆとおかかを出してやった。
「熱いから気を付けなさい。自分で食べられるか」
「はい」
「おかかを少しのせて食べると良い」
レンゲにおかゆを掬い、おかかをのせてやった。
フーフーと冷ましてゆっくり口に入れる。
おいしかったようだ。作った分を平らげた。
少し状況を思い出したようだ。
「わて、奴隷に売られたんや」
そういうとミヤは突っ伏して泣き始めた。
何か訳があると思っていたが、内容が解るまで口出しすべきではないと思い黙っていた。
そのうちに泣き疲れたのか眠ってしまった。
つらい目に会ったのだろうな。明日聞くことにして布団に戻した。
二人で風呂を入れるのも勿体ないのでお湯で体を拭いた。
今日は3人で手前の部屋で寝ることにした。
行程三日目(転移50日目)
5時 ミヤが起き出して抜け出そうとしていた。
玄関に通じるドアを開けるとハイジが居るので固まってしまった。
そうか昨日はハイジと会ってなかったか。
「トイレかな」
俺が魔道具の灯りを点けるとミヤはこちらを向いてうんうんと勢いよく頷いた。
ハイジに通してあげるように言ってトイレのドアを開けた。
ミヤが帰ってきたので灯りを消す。
「こんな暗い中よく見えるね。猫人だからなの?」
家に窓は弓での攻撃用と偵察用の小さなものがあるが、今は閉まっているので真っ暗だ。
「そうです」
逃げようとしたのかな?こんなところで一人、放り出せないよね。
6時30分 起床 顔を洗って、食事の準備を始める。
熱を測ると平熱になっていた。子供の回復力はすごいな。いや、獣人だからかな。
朝食を食べて、ヒイにハイジの散歩に行くように指示する。
「元気になったようだね。聞かせて貰うかな」
ミヤは話始めた。
ミヤはオオツの商人の娘で父親と母親の仲が悪くなり一年前に離婚し、父親に引き取られたが半年前に父親が再婚、義母との折合いが悪く、義母が妊娠すると父とも疎遠になり虐められる。
今年12歳になったので奴隷に売られた。
この世界は、生まれたときに一歳で正月が来ると二歳になる、数え年だ。
信帝国では12歳までの子供の奴隷売買を禁止している。
オオツから馬車でナゴヤに連れて行かれる途中、熱が出た。
インフルエンザであろうからほかの子供にうつさないように途中で捨てられたらしい。
インフルエンザは、半分くらいが死に至る病気とされている。
捨てられた奴隷は、奴隷商人の所有権が無くなり、拾って病気を治した恭平に所有権が移動する。
この世界では、女が一人で生きていくことは、不可能に近い。
特に女子は風俗産業くらいしか引き取り手はないと聞く。
「取敢えずクサツに仲間が待ってる。君をここに放っておく訳にもいかない。行く所が無ければついてきてほしい」
「この家はあなたの家では無いのですか」
「旅の途中でヒイの家だよ。さっきオオカミと散歩しに行った子」
「旅の途中?従者が家を持ってるんですか?」
ここに住んでると思ったのかな。まあ、家持って、旅する奴は俺達以外居ないよな。
俺はヒイの話をしてやった。
「私だけが不幸では無かったんですね」
「彼女は俺の従者をしながら幸せになる方法を探しているんだよ」
ミヤは暫く、考えて言った。
「クサツへ付いて行きます」
ヒイが帰ってきたので後片付けをする。
ミヤの服を買って着替えて貰う。ヒートなテクのTシャツにニットのセーター、パンツとタイツは穴を空けて尻尾を通す。ミニスカート履けば問題ない。後はダウンのジャケットを着させる予定だ。
問題はブラジャーだ、ヒイより随分大きいから、しないといけないよな?でもサイズが分んないよう。
結論、『教えて、ナビさん』ナビさんはネット情報にもアクセスできるので最適解を出してくれる。
ヒイに採寸させると、当然のようにヒイの分も買わされた。君、まだいらないでしょ、とは言えなかった。
ブラジャーを買って付けさせる。もちろん、ヒイにナビさんが指導して、付けさせたんだよ。
「これは何ですか。可愛いですけど」
ブラジャーのまま、来ないで、おじちゃん恥ずかしい。
「女性が活発に動けるように付けるんだ。運動とかするとおっぱいが痛いだろ」
ミヤはその場でピョンピョン跳んで言った。
「本当、痛くない。ありがとうございます」
今のブラは、形を良く見せる機能が優先されてるって、昔の彼女が言ってたな。
ちなみにミヤはBだ。
消毒用アルコールを買って家を消毒する。
家を次元収納に入れ、バイクを出す。俺、ミヤ、ヒイの3人乗りだ。
8時 どうせハイジの早歩きのスピードに合わせるのでゆっくり走るから安全だ。
「暖かいですぅ」
真ん中のミヤが俺にしがみ付いてはしゃぎ、ヒイがちょっと妬いてる。
10時 クサツ ミヤにマスクをさせる。ナビさんにリョウカ様達を探させるとすぐに見つかった。
カクタスが通りまで出ててくれたのだ。
すぐにチェックアウトして車で出発する。宿代が3人で1200デムだ。痛い。
カクタスを最後列に座らせ、助手席にミヤを座らせて隔離する。
リョウカ様にミヤのことを相談する。
「ふむ、むずかしいな。孤児は公的機関では育てていないし、女の子は風俗に行かされるというぞ。男の子であれば、跡継ぎのいない貴族や商家に里子を斡旋することくらいか。」
「どうせなら、このまま恭平の奴隷となったら良いのではないか」
とフラグを立てまくる。
11時 キョウト トイレ休憩
12時 ヒラカタ 昼食は、俺、ヒイ、ミヤで離れて食べる。
ミヤをオオサカに置いていけなくなったので、このままヒメジまで走ることになった。ヒメジから西は山が多く、まともな道がないそうだ。そこから船の旅になる。
ミヤは俺に懐いてくれた。俺が言ってやらなくてはならない。
「俺は中央大陸の天都まで行く。その後のことは決まっていないが、ミヤのことは成人するまで面倒見てやるから付いて来い」
「連れて行ってくれるんですか。嬉しいです。奴隷で構いません。連れて行って下さい」
『隷属の回路が形成されました。身体強化、念話、脳内地図、インストールスロットが利用できます。尚、念話は相手を指定できます』
またか、今度は隷属って。自分で言ったことだが、この二人を幸せにしてやることが出来るんだろうか?
『身体強化が働いていますのでミヤの隔離は不要です』
身体強化はウイルス自体を駆除するみたいだね。皆にミヤのことを話して出発することになった。
13時 出発 カクタスが助手席に戻り、中列は変わらず、最後列右からハイジ、ヒイ、ミヤの順で座る。
14時 ニシノミヤ トイレ休憩
15時 アカシ トイレ休憩
16時 ヒメジ 夜営地を探して家を建てる。
20時 アンナさんがミヤのブラジャーを発見した。
「恭平さん、私にもこれくれませんか?」
普段は、さらしで押さえているのだが、随分ご立派なので苦しいのだそうだ。
ヒイとミヤに採寸させて買ってあげたよ。
リョウカ様がおのれって顔をしていたけど、触らぬ神に祟りなしだよね。
ちなみにアンナさんはGだ。
21時 皆が集まってきた。ヒイが言った。
「居るよね。山賊?」
パラレルワールドは距離がごまかせないので面倒です。




