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第六十九話 いろいろな思い

恭平の進むべき道は?

 転移264日目

 ドーテ及び勇犬村老人23人天都に向け出発。

 台中港着 夜営


 転移265日目

 ドーテ達 台中港出発 厦門港着

 竜岩 夜営


 転移266日目

 ドーテ達 衝陽着 夜営


 転移267日目

 ドーテ達 荊州着 夜営

 リシュ達 ウランバートル着 夜営


 転移268日目

 ドーテ達 魯山着 夜営

 リシュ達 ウランバートルを天都に向け出発

 砂漠の真ん中 夜営


 転移269日目

 ドーテ達 天都着

 リシュ達 ザミンウード着 夜営

「恭平様、疲れましたあ。ヨシヨシして下さい」(ドーテ)

「ヨシヨシ」

「癒されますう」(ドーテ)


 転移270日目

 リシュ達 大同着 夜営


 転移271日目

 リシュ達 長治着 夜営


 転移272日目

 リシュ達 天都着 

「恭平様、疲れましたあ。ヨシヨシして下さい」(リシュ)

「お前、運転してねえじゃん」

「ひどいわあ」(リシュ)


 転移273日目

 中央アジアに入った猛スピードで走る十人の影。

「セゴドゥーよ、まだつかんのか?」

「ベルリンから獣王国までは8000キロ以上。まだまだだな」

「チェゾードよ。だからわしは飛行の魔道具を借りようと言ったのだ」

「走ると言ったのはタジミールじゃなかったか?」

「マジェーロだろう」

「イセックも言っておったぞ」

「ゴア、8000kmと言えば地球1/5周」

「ザナックうるさい」

「シンクレアそう言うな」

「ジョヴァンニなんとかしてくれ」

「無理だよドモーニ、まだ半分残ってるからな」


 地球の巨大さを思い知る十人であった。


 ・・・・・・


 23時 寝室

 今日から紡績工場が稼働した。

 綿繰り機は昨日から稼働している。

 綿繰り機で種を取った綿花を紡績機で綿糸にする。

 眠り姫に出てくる糸車を大規模に機械化したのが紡績機だ。


 機械は電気で動いている。同じ速度で絶え間なく動かすならゴーレム動力で良いのだが、動かしたり止めたり、速度を変化させるのは、まだ電気の方が得意だ。

 そこいらは蒼伊とナータがいろいろやっている。そのうち電気にとって代わるかも知れない。


 染色や織機ももうじきに動き出す。

 人手が居るのは織機で織った布を裁断、縫製をする段階だ。ここに大量の女性が投入される。

 モンゴルからの移民で足りるわけもなく、天都にバス6台で送迎する予定だ。

 潜在的に働きたい女性がかなりいるとは思ったのだが募集を掛けると思った以上に集まった。

 能力の高そうな人から優先的に採用させて貰ったよ。


 問題になるのが、家内操業で糸を作り、機織り機で布を作っていた人たちだ。洋服を作るので重ならないが、洋服の需要が伸びれば彼らの仕事は減る。

 そこで10年、20年で徐々に供給を増やしていこうと思う。

 どうせ、材料の綿花や羊毛などが、急に供給が増えることもないだろう。

 そう言えばエジプトって綿花の栽培が盛んじゃなかったっけ、ナータの親父にって、ああースエズ運河が無いのか。


 などと考えていたらリシュが来た。今日の当番はリシュだったか。帰って来たから交代したのかな?

 リシュはベッドに腰掛けていた俺にいきなり覆いかぶさってキスをした。

 押し倒された俺は、あまりに情熱的なリシュに聞いた。

「どうした」

「10日も離れていたんだよ。寂しくって」

 おいおい、こんな可愛い事言う女じゃ無かったはずだが。

 それを聞くとリシュはころころと笑った。

「最初は皇女だったし、あの兄が居たから気が抜けなくて」

「そうだったな」

 リシュは俺のシャツを脱がして、自身も裸になると、自分の顔を俺の胸に押し当てた。

「離れないからね。あなたが信帝国を去るのなら私も付いて行くからね」

「まだまだ先の話だ」

「まずは10日分、返して貰わなくちゃ」

「はいはい」


「さっきの話だけどさ」

「ちょっと待って、余韻に浸ってるところだから」

「おお」

 男は終わったらそれで終わりだが、女には余韻と言うものがあるらしい。

 どんなもんなんでしょうか?


 暫く経って、

「なあに」

「信帝国の仕事が終わったらって話。君達はどうしたいんだ?」

「私はあなたについて行くのが幸せだと思うから、付いて行くつもりだけど。ライヤは子供産んで育てたいなんて言ってたわ。剣姫の子たちはついて行く気満々でしょうね」

「そうか」

「あなたはあなたの思う通りしたらいいのよ。皆もあなたの重荷には、なりたくないと思ってるよ」

「そうなんだけど、いろんな意見が聞きたいなと思ってね」

 彼女の乳房で遊びながら話してたら頭をペンとされた。

「もう一回とか言いたくなるわよ。ミノンが待ってるんだからね」

「待ってるの?」

「寝てて良いって言ってるんだけど聞かないの」

 暫くして彼女は戻って行った。


 信帝国の文明開化は取敢えず服飾系で終わりだ。後は鉄道くらいかモータリゼーションを先に進めたから高速鉄道は居るだろうけど、俺がやらなくてもいいだろう。

 後は工場が各地に広がって交通網が整備されてゆく。これは天帝様の仕事だ。


 転移274日目

 ヒイとミヤはキキョウとジュリアンの練習を見てるので俺も庭に出た。

「ヒイ、ミヤ、来年春にはここの仕事も終わる。お前たちは、何かしたいことはあるか?」

「私は、恭平様のお世話をもっとしたいです。前はご飯の用意も洗濯も私達の仕事でした」

 そう言えばヒイの家で暮らしてた時はそうだったな。

「ヒイは前みたいに恭平様と寝たい」

「ヒイ、恭平様と寝てたのですか」

 そんなに驚くことか。

「竜王都に居る時はいつも一緒に寝てた」

「私も一緒に寝たいです」

 その方向かよ。

「あれは、お前が自分のベッドを抜け出して、俺のベッドに潜り込んでたんだろ」

 駄目だ、この二人はそういう方向しか話が行かない。


 ・・・・・・


 砂漠の野営地に居る十人は

「今日も走るのか、もうあきた」

「チェゾードよ。くたばったのか、情けないのう」

「タジミールも砂漠ばっかりで嫌だあ、って叫んでたじゃないか」

「そう言ってやるな。マジェーロ、カスピ海とか言うでかい湖を越えてから砂漠ばかりだ」

「ゴアよあれは何じゃ?」

「どうしたイセック、何か来たのか?」

「あれは、飛行魔道具じゃない、ねえザナック」

「その通りだシンクレア」

「ジョヴァンニ、あれは俺達の所に向かってるのか?」

「おおこっちに来るぞドモーニ」

「お前たちの文句が聞きたく無いので、念話で頼んだ」

「流石だ、セゴドゥー」

「おお、ツアイスだ。おーいこっちだ」


 魔法の絨毯のような魔道具は1000年前の大戦で滅んだ神の国と言われたアルカディア神国の遺産だ。時速100km/hで空を飛べるロストテクノロジーだ。しかも寝てる間も飛んでいられる優れものだ。

 これを操縦して来たツアイスと言う青年は魔力切れを起こして青息吐息だ

「これで後2日で着く」

「おお」×9


 ・・・・・・


 転移275日目

 朝からナータに呼ばれた。

「新しい魔法が出来たんだよ。見て見て」

 寮の前の広場だ。川まで何もない。

 ナータは寮の前におり、川の方には30m離れて木箱が置いてある。

 ナータは手のひらを上向きに重ねており、手のひらの上には小さい紡錘型の物を乗せている。

「行け」

 ナータが呟くと手のひらの上の物が消え木箱がバシッと弾けた。

 同じようにして5回撃った。いずれも木箱に穴を空けた。


「どうどう、すごいでしょう」

「重力で加速しているのか?」

「今のは3段加速。最大8段までできたわ」

「成程な、重力点は結界と同じで、空間に固定されるから反動が無いのか」

「重力レンズみたいに大きな力は要らないから何発でも撃てるわ」

「太陽が出てなくても良いしな」

「それそれ、蒼伊ちゃんが言ってたのよね。弱点だらけだって、レイルガンみたいにしてって

 ところでレイルガンって何?」

「電極で挟んだ導電物に大電流を流すとホーレンツ力で、導電物が凄い勢いで飛び出すんだ」

「1mmも解らん」


「そう言えば、僕の異能に結界が増えてるんだけど?」

『悪魔を倒した時に奪っておきました』

「えー、そんなことできるの」

『相手の意識が無くなれば、承諾なしに移動できます』

「いつの間に、そういうことは報告しといてくれ」

『今後、そのようにいたします』


 ジュリアンとキキョウは今日も練習している。

 気功の刃を使えないと魔獣退治には行けないぞって言ったからかな。

「どうだい調子は」

「キキョウさんが急に強くなったので焦ってます」

 身体強化を解禁したからだな。

「気功はまだ出ません」

 あれは集中力とイメージなんだよな。

『二人にイメージは伝えてあります』

「ジュリアン、憂さ晴らしにカクタスをやっつけてくるか?」

「兄上ですか。無理ですよ」

「もうカクタスより強くなってるぞ」

「そうなんですかあ!!」

「兄上が私に負けると可哀想なのでやめときます」

 結構、兄思いなんだな。

「そうか」


次回、十剣鬼との戦いが始まります。


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