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第六十話 皇帝と忍者?

悪魔の内情と忍者の話です。

 23時 俺の寝室

 今日はライヤが来た。ちょうど良い。虐めてやろう。

「お前、ナータにマップの事漏らしたろう」

「え、そう言えばそのようなことが」

「今日はお仕置きだな。お尻叩き10回、尻を出せ」

「ええー、堪忍してください」

 膝の上に俯せで乗せ、軽く可愛い尻を叩く。

「一回、二回」

「ヒィー」

 なに、こいつ喜んでないか?

 やはり疑惑は正しかったようだ。


 転移235日目

 剣術大会が始まった。レベルが低いうちは見たくないので、準決勝、決勝だけまた押さえて貰った。

 今回は予選通過者のみで人数が少なく3日間だ。


 10時 寮 執務室

 今日は珍しく来客がある。何と竜王様からの紹介である。臣下希望だそうだ。

 門番の人が連れて来た。お爺さんである。

 ソファーの対面に座って貰い、話を聞く。

「私は竜王国のイガと言う地方の領主です。あなた様に私の孫を臣下にして頂きたくお願い申し上げます」

「お孫さんですか?連れて見えなかったのですか?」


「はい、今日の剣術大会に出ておりまして、昨日面会を申し込んだのですが、立て込んでおられたようで」

 はい、なんかお断りした記憶がある。ナータの件でそれどころじゃなかったもんね。


「申し訳ない。昨日は友人との約束がありまして」

「いえいえ、孫はブラハ殿と竜王国の代表に選ばれまして」

「それは、おめでとうございます。で、なぜ私の臣下に?」


「孫は女で御座いまして、このままでは鍛え上げた腕が無駄になってしまうと憂いております」

 ドーテの時に言われてたな。女の剣士に価値は無いと。


「私は剣の腕前よりも心根を見ます。大会が終わったら一度お会いしましょう」

 竜王様の紹介だから邪険には出来ないよね。こっちに来た時にお世話になってるし。リョウカ様怖いし。


 やはり、ドーテの話を聞いて思い立ったらしい。

 イガの出身と聞いて忍者かと期待したが普通の剣術だった。

 名前はキキョウ、歳は16歳だそうだ。


 お爺さんは脈ありと見たのか嬉しそうに帰っていった。


 11時 寮 居間

 ジュレイとリシュが居た。

 二人で最初に生産する服のデザインを考えていた。

「サイズが困るわね」(リシュ)

「平均的な体の大きさって分からないからね」(ジュレイ)

「小マール、中ライヤ、大茜さんで良いんじゃない」(リシュ)

「身長別って事ね。分かりやすくて良いわ」(ジュレイ)


 話の区切りがついたのかジュレイがやってきた。

「お爺さん何の用事だったの?」

「剣姫の売り込み」

「断ってたんじゃないの?」


「竜王様の紹介じゃ断れないよ」

「それで増やすの?」

 口を尖らせ始めた。


「本人を見てからだな」

「竜王国から来たの?」

「今、剣術大会に出てる」

「ドーテの再来かな」

 俺は帝城に行くことにした。


 13時 天都競技場

 茜を見つけて近付く。

「あら、今日はチケット取ってないわよ」

「ちょっと気になることがあってね」

 お爺さんの話をした。

「それなら、今、あっちの試合場でやってるわ」

 茜の指さす方向を見てみると少女が居た。

 相手が上段で振り下ろす瞬間に抜き胴を決める。


「あらあら、たいしたものね」

「まあ、相手がな。それより手前スパイダー君じゃないか」

「ああ、蛇亀王国でミヤちゃんの相手をした」

 長い足を使っての移動、長い手を使っての攻撃、悪魔が憑いてないからあの時より遅いが、それで脅威だ。


 相手はなすすべなく滅多打ちだ。

「剣姫が出ないなら俺の優勝だぜぇ!!」

 流石にミヤに滅多打ちにされたことは覚えているみたいだ。


「えーと、今度はあの子とスパイダー君だわ」

 本名を覚えて貰えないスパイダー君であった。

「何時頃だ?」

「そうね、16時くらいかな」

「また来るよ」

「他の人達も見てあげ、・・行っちゃった。忙しい人ね」


 16時 天都競技場

「竜王国代表 キキョウ 前へ」

 俺(スパイダー君)に続いて俺の対戦相手が呼ばれた。

 華奢な女だ。だが俺は油断しねえ。


「始め」

 開始の合図とともに突っ込んでくる女。

 一歩横にステップすれば届かない。

 右でガードしながら左手で勝負、相手の剣は右手が止めている。左の横薙ぎをどうする。

 跳びやがった!!右に勢いのまま跳んで一回転して立ちやがった。

 身軽な奴め。俺は技の途中だったので追えてない。


 今度は俺の番だ。上下左右から来る剣をどう避ける。

 俺の左手の上からの攻撃を剣で受け止めた。俺の右手が少し遅れて横に薙ぐ。

 相手の姿勢が低くなる。間に合わねえよ。

「ゲフッ」

 蹴りやがった。しかもこれはあばらが持って行かれた?


 俺はステップして逃げる。いてぇ。くそ。

 相手はゆっくりと確実に追い詰めてくる。

 痛くて左手は動かせねえ。

「まいった」

 笑ってやがる。最初からこれを狙っていたのか。射程外の連続攻撃をさせないように。


「カウンターの横蹴りか。あれは効いたな」

「あれは?」

「空手だな。多分。最初相手に受けさせての攻撃が有効と見せておいて、蹴りだ。予測できないだろう」

 見せてしまえばカクタスたちには通じないだろう。どうする気なのか。


 17時 寮 居間

 再び茜と別れて寮に帰る。

 ヒイ、ミヤ、マール、ドーテはカクタスと副隊長の応援に行っている。ジュレイも後から行ったようだ。

 寮にはリシュとライヤが居た。

 被服系の工場の運営について話しているようだ。

「ああ、恭平様、お願いがあります」

 リシュが俺の方に来た。

「私の側近だったものや周囲の者を工場の幹部として呼びたいのですが」

「分かった。後で空間制御を渡すから行って来ると良い」

「ありがとうございます。では明日打診に行ってきます」

「皇帝に許可を取れよ。それから護衛にミヤを貸す。人数が解ったら言ってくれ」

「はい」


 皆が帰って来たので食事にする。

 食事後、ヒイの空間制御をリシュに移す。

 ミヤに明日の護衛をお願いする。

 俺は天帝様にモンゴル帝国のリシュ関連の人達をこちらに移す許可をお願いする。

 天帝様が親書を書いてくれると言うので後で取りに行く約束をする。


 茜が寄って来た。

「明日は3回戦、準々決勝が行われるわ。見に来る」

「あの子の相手は」

「3回戦を勝てば準々決勝で多分カクタスさんよ」

「時間は」

「14時くらいだわ」

「多分、行くと思う」


 転移236日目

 10時 モンゴル帝国 皇城 謁見の間

 9時に此方に着いて1時間待たされた。

「信帝国の使者はお前か、リシュ!!」

 皇帝は驚いたのであろう。近臣がリシュを紹介し、リシュが挨拶して、それから皇帝が声を掛ける。

 順序をすっ飛ばした。

「信帝国の使者、リシュに御座います。まずは天帝様よりの親書をお受け取り下さい」


 近臣に親書を渡そうとすると横から皇帝がひったくった。

 玉座に座り直して親書を読む。

 どうも、この皇帝は行儀が悪そうだ。

 ・・・・・

「モンゴル帝国から人を連れてゆくのは駄目だ。工場の研修員を受け入れる話は有り難いが先立つ物が無い」

 天帝様は交換条件に第一皇子の振る舞いでワヤになった研修員の受け入れを入れてくれた。

 これについては交渉手順を恭平様より教えて貰ってる。


 近臣に条件を話そうとすると

「ええい、直答を許す。早く話せ」

 そう言えば昔からせっかちだった。

「もし人員の件をお許しいただければ、現地までの研修員の交通費・宿泊代・食費のすべて、また現地での研修費・宿泊費・食費を我主、恭平が持ちます」

「なに、ただで研修させるというのか」

「はい、我主はモンゴル帝国の製鉄、羊毛等の毛織物の発展、信帝国への輸出に期待しております」


「恭平は何がしたいのだ。身銭を切ってまで、我が国を発展させてどうする」

「我主は皆が豊かに幸せに暮らすことを願っています。今は、天帝様に依頼され、信帝国を中心に動いておりますが、統治者が平和を望む国であれば、手助けしたいと考えています」

「俺が平和を望むというのか」

「はい、モンゴル帝国が豊かになれば、他を攻撃することも無いでしょう」

「甘い男だな。しかし、負けたな。いるだけ連れていけ。ただしこちらも人員を用意するのに時間が掛かる。一月後にしよう」

「はい、ありがとうございます」

 その後、リシュは人員集めに奔走した。

 ミヤはリシュの話を隣で聞いていて、なぜか世界の頂点に立つ恭平を思い浮かべた。


 14時 天都競技場

 カクタスとキキョウの試合が始まろうとしている。

 俺もキキョウも正眼の構えだ。俺の剣先を上げた、激しい打ち合いになる。

 鍔迫り合いになった瞬間、キキョウの回し蹴りだ。落ち着いて腕で防御した。

 ミヤと試合をしていると拳や足は平然と飛んでくる。これくらいならどうってことは無い。

 俺は深く打たずに手数を増やす。対ミヤ戦術だ。

 この戦術は力押しに弱い。

 副隊長がドーテに負けた理由だ。

 あれから練習を重ねた。

 こいつの力なら崩される事も無い。

 相手を試合場の角に追い詰めていく。角に詰まればもうどうしようもない。

 勝ったと思った。キキョウの手から粉が飛ぶ。目が、頭に衝撃があった。

「勝者、キキョウ」

「まて、目つぶしを使ったな」

「知らんな」

 目の中に砂のような物も無かったので判定は変わらなかった。


次回、イガの里へ行きます。

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