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第五十六話 モンゴル遠征戦

第一皇子との決戦です。

 転移220日目

 ミノンが従者になって10日が過ぎた。

 車体工場も動き始め、はじめにトラックやバスに当たる大型の需要に答えるつもりだ。

 モンゴルはそろそろかなと思ったら、やっぱり天帝様から念話が来た。

 リシュを連れて来いと言う内容だ。


 13時 御所 応接室

 今日は俺達だけらしい。

「おう、すまんな。どうもモンゴルだが嫌な方向に曲がって来た」

「どういうことですか?」

「皇太子の軍が司令官の軍を撃退した。それで司令官は、ウランバートルまで下がった。そこに居たのが第一皇子だ。司令官は第一皇子を皇帝に推戴した」

「それって皇太子が負けたら最悪じゃないですか」

「モンゴルの民は塗炭の苦しみに喘ぐじゃろうな」

「天帝様、どうか民をお救い下さい」

「前も言ったと思うが信帝国は内政不干渉だ」

「それで」

「亡命した皇女が義勇兵と一緒に偽皇帝を討つというのはどうじゃ」

「うちの従者は兵士じゃありません」

「鉄鉱石と石炭の安定供給が掛かっておるのじゃ」

「恭平様お願いします」

「寮に帰って相談します」


 14時 寮 居間

「私も参加させてください」(ミノン)

「まだ行くとは決まっていない」

「第一皇子をやっつけるんでしょ。私も行くわ」(茜)

「良いのか、戦争をやるんだぞ」

「ヒイも良く」(ヒイ)

「ミヤも行きます」(ミヤ)

「俺も行く」(マール)

「私達も行きます」(ジュレイ・ドーテ)

「恭平君が私達を死なないようにしてくれるでしょ。私も行くわ」(蒼伊)

「皆さんありがとうございます」(リシュ)

「バックアップは任せて」(真白)

「ご飯と水はちゃんと用意します」(ライヤ)

 こうなったら仕方ないか。


 10人乗りのワゴン車、買ったばかりだが早速、お仕事だ。

 天帝様と念話で旅費と成功報酬の話をしました。


 情報によると皇太子軍が東から進撃し、ウランバートルの手前で決戦するらしい。

 情報から逆算すると決戦が行われるのは5日か6日後、こちらから決戦地まで4~5日ギリギリだ。


 15時 出発

 19時 太源手前 夜営


 転移221日目

 19時 ザミンウード手前 夜営


 転移222日目

 19時 砂漠の真ん中 夜営


 転移223日目

 17時 ナライハ 手前

 すでに第一皇子軍は陣を構えている。皇太子軍はまだ見えない。

 周囲5km位は隠れる物のない砂漠だ。

 陣の向こう側に丘があるあそこに隠れよう。

 大回りして丘の裏に隠れることに成功した。

 陣まで2km車で3分位の距離だ。

 作戦はこうだ。決戦が始まり、陣の防御に隙が出来た時、車で突っ込み、天幕に居るであろう第一皇子や司令官を討つ。


 全員に詳細を話す。異能の移し替えを行う、空間移動ミヤ、結界茜、再生蒼伊だ

 ヒイの家は暗くなってから建てた。


 転移224日目

 明るくなる前にヒイの家をしまって、死角に隠れてカメラで様子を見る。


 10時

 若い裸の女性が天幕から出て来た。男が出て来て女性を斬った。間違いない第一皇子だ。そのまま中央の大きな天幕に入っていった。絶対にこいつを皇帝にしてはいけない。


 11時

 東に大きな土煙、来た皇太子軍だ。

 5km位手前で陣を構えた。馬を降りてる。

 第一皇子の軍は朝から騎乗している。

 双方とも5000人位の騎兵だ。


 第一皇子の軍は我慢できなくなったのか、天幕前に1000人の騎兵を残して突撃を開始した。

 皇太子の軍は左右に2つに割れ、斜めから突撃した。相手も対応したためあまり効果はない様だ。

 第一皇子軍はやや乱れているが密接した戦いに、騎乗の弓からサーベル同士の戦いになっている。

 第一皇子軍は天幕を守っていた1000人の騎兵を戦場に投入した。

 残っているのは100人程の歩兵だ。


 今だ、俺達は車に乗り天幕に真っ直ぐに突っ込んだ。

 前方ばかり見ていた兵は車を見落としており、間近に近づくまで気付かなかった。

 そのまま天幕の入り口の前に車を横付けした。

 車の前後に茜と蒼伊が立ち結界を張った。

 結界の端にはヒイとマールが居て近寄ってくる敵を射る。

 天幕の中には、ミヤとミノンが飛び出し、彼女らの後ろをジュレイ、ドーテ、ハイジ、俺が守る。


 結界に近づく兵を茜と蒼伊が気功の刃を思いっきり伸ばして斬る。

 気功の刃は単分子カッターをモチーフに作り上げた技だ。

 触れただけで真っ二つだ。半径4mの兵が上下に分かれた。

 周囲の敵が居なくなるとヒイとマールが1秒間に二人ずつ射殺していく。

 敵はまともな反撃も出来ずにどんどん数を減らしていく。

 ヒイとマールの援護で蒼伊と茜が飛び出すと残った兵は、蜘蛛の子を散らす如く逃げ去った。


 天幕の中はというと。

 俺とハイジが入り口近くの兵を排除する。

 俺は右手に居た兵を斬り、そのまま中に入り、真ん中にあった大きな机を倒して、バリケードにした。これで入り口方向からの攻撃を防げるはずだ。ここで奥に兵が行くのを止める。

 ハイジは俺より前に居る兵を気功の刃で斬り倒す。


 ジュレイはミヤの後ろにつき、周りの兵を倒してミヤに近づけさせない。

 ドーテもミノンの後ろをがっちり守る。


 天幕内には十数人居たがミヤは司令官を、ミノンは第一皇子を狙って真っすぐに突っ込んで行く。

 ミヤは前に出た兵を斬り落とし、ジャンプして司令官に迫る。司令官はサーベルを抜くがミヤの剣は司令官の首を捕えていた。そのまま振り切ると首が跳ね上がった。


 ミノンは斬りかかって来た剣を左で受けると右の剣で兵の頸動脈を斬る。血しぶきの上がる頃にはすでに第一皇子の前に立っていた。左で心臓を貫くと右手で首を薙いだ。

 第一皇子の首が落ちた。天幕内で立っている敵は居なかった。


 次はリシュの出番だ。

 俺のバイクの後ろに跨り、戦場近くまで行って司令官と第一皇子の首をぶら下げて敵兵に言った。

「司令官と第一皇子は第一皇女のリシュが打ち取りました。武装解除して下さい」

 数人の兵が襲ってきたが、後を付いてきていた茜と蒼伊に打倒された。

 敵兵は逃げる者と武装解除する者に分かれた。逃げた者は皇太子軍が追って行く。


 皇太子が馬に乗ったまま来た。

「どういうつもりだリシュ」

 リシュは跪いて言った。

「兄が皇帝になる目を完全に潰したかったのです」

「お前自体はどうするつもりだ」

「信帝国に亡命いたします」

「こいつらは何者だ」

「私の思いに賛同した義勇軍でございます」

「そうか、それなら良い。助力感謝する。達者で暮らせ」

「ありがとうございます」

「ああ、ちょっと待ってくれ。おい」

 馬を降りて近臣から受け取った袋を手渡した。

「手伝ってくれた礼だ」


 第一皇子に比べると随分出来た人のようだ。

 皇太子は馬に乗り、振り返ると言った。

「もし、俺が狂ったら殺しに来るが良い」

 笑いながら去っていった。


 近臣が皇太子に耳打ちした。

「殺しますか?」

「やめておけ、あ奴の周りにいる女は恐らく剣姫だ。逆に殺されるぞ」

「竜を40頭殺したという剣姫ですか」

 近臣の顔に恐れが浮かぶ。

「そうだ、おとなしく帰ってくれると言ってるんだ。帰って貰え」

「はい」


 さあ帰ろう。何とか思惑通りで良かったよ。

 流石に皇太子が来た時にはちょっと緊張したけどな。

「え、シャワーが浴びたい?ちょっと待ってね。皇太子軍が敵に回る可能性があるからね」

 取敢えず血をタオルで拭って車に乗る。


 17時 砂漠の真ん中

 ヒイの家を建てて休憩&お風呂タイム。

 お昼抜いてたから早めのご飯。

 あ、天帝様への連絡しなきゃ。


 転移229日目

 12時 寮着

 真白とライヤに迎えられ、ようやく戦争が終わったと実感できた。

 今日は各自、自分の部屋で休憩だ。


 食後、執務室のソファーでごろ寝をしているとリシュが来た。

「ありがとう、祖国の危機を救ってくれて」

 俺の足元に座った。

「いやいや、天帝様の依頼だからね」

「でも、嫌だったんでしょう」

「まあ、うちの子が傷つくのは耐えられないからね。

 でも皆、あいつが皇帝になるのは許せなかったんだ」

 リシュはかすかに笑ったようだ。

「そう言えばさ、あいつ段々エスカレートしなかった?」

「国を出る前に父上に散々言われたのよ。でも茜さんに一目惚れしてタガが外れたみたい」


 リシュは俺の上に覆いかぶさってきた。そのまま、俺にキスをした。

「私もね。我慢できないみたい」

「君もあいつみたいになるのか?」

「やめてよ。もうその話は無し」

 ナビさんが許可を出したのでベッドにお姫様抱っこで運んだ。


次回、産業革命を阻もうとする勢力との戦いです。

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