表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/83

第五十三話 ジンギスカンの子供達

モンゴル帝国編の元凶が暴れ出します。

 モンゴル帝国は約800年前にジンギスカンという皇帝によって建てられた。一時期は中央アジア、中近東、ヨーロッパ東部を支配地域に置いた世界帝国だった。しかし、支配国で起こる反乱に嫌気が差し、今のモンゴル帝国に治まった。


 転移209日目

 今回の視察は、モンゴル帝国は鉄鉱石、石炭ともに豊富に産出するため、製鉄技術が欲しいらしい。

 天帝様は教えても良いと言っているので技術者を派遣してくれたら教えると言っている。

 しかし、ゴーレム技術は見せるなと言うことだ。


 今回、剣姫としての初の公務と言うことでユニフォームを作った。

 ・普通の生活に支障が出ないように鼻から上を隠す銀マスク、パーソナルカラーのライン入り

 ・白のダブルの長袖、ミニスカドレス、背中に巨大なリボン付き。ボタンと裏地がパーソナルカラー

 ・シルバーのブレスト、チェストアーマー、膝までのブーツ パーソナルカラーのライン入り

 ・白ベレー帽に パーソナルカラーの羽付き

 ・下にパーソナルカラーのTシャツ、ブルマ


 パーソナルカラー一覧&武器

 ヒイ  =ゴールド  ゴールドの弓

 ミヤ  =ブラック  ラメ黒鞘、黒柄の小太刀  

 茜   =オレンジ  メタルオレンジの柄の片鎌槍

 蒼伊  =ブルー   メタルオレンジの柄の薙刀

 ジュレイ=ピンク   ピンク鞘、白柄の大刀

 マール =グリーン  メタルグリーンの弓

 ドーテ =パープル  メタルパープルの鞘、黒柄の両手剣


 それぞれの武器もド派手にしたよ。

 もちろんメインのデザイナーは蒼伊だ

 茜は恥ずかしがってたが、他は概ね好評だった。

 真白は”あとレッドとイエローは必須ね”と言っていた。 


 10時 帝城 正門

 正門前から俺達は出発だ。順序は

 先頭  ミヤ、ヒイの索敵コンビ スクーター + ハイジ

 2番目 俺、ジュレイ バイク

 3番目 馬車 皇子、皇女

 4番目右 茜、マール スクーター

 4番目左 蒼伊、ドーテ スクーター

 もちろん前後にモンゴル帝国の騎兵(生きた馬に乗っている)が8人いるよ。


 沿道はすごい人だかりだ。多分、剣姫を見に来たんだろうな。

 ユニフォーム作って良かった。

 外郭を過ぎると流石に人はほとんどいない。

 およそ30分かけて製鉄所に到着した。

 製鉄所を見学、研修室で説明を行った。

 引率、説明はライヤの兄が担当した。


 製鉄所内の警備はヒイ(脇差)、ミヤ、ジュレイ、ドーテの4人にさせた。他は周囲の警戒だ。

 皇子がなにやらそわそわしている。説明の終わったライヤの兄に近付いて言った。

「所長殿、あのオレンジ色の剣姫はおらぬのか?」

「彼女の武器が狭い所内に合わないために周囲の警戒をしております」

「そうか、では、あの剣姫と話をさせてくれぬか?」

「それは、私の職分を超えておりますゆえ、お返事が出来ません」


 皇子は今度はミヤに近づき言った。

「オレンジ色の剣姫を連れて来てはくれぬか」

「剣姫の配置は我主が定め、天帝様が承認したものです。従って我主か天帝様にお申し出ください」

 流石はミヤ、隙が無い。

 皇子は、”天帝様にこんなこと言えるか”とつぶやきながら元の位置に戻った。

 皇女は終始、呆れた顔をしている。


 見学は終わり、帰りの隊列を組んだ。

 さあ、出発の号令を掛けようとした時、馬車の扉が開いて皇子が出ようとした。

「座らせなさい」

 皇女の声が聞こえて、皇子は引っ張り込まれ、扉は閉まった。

 研修室内での話を聞いていた茜は、ほっと胸を撫でおろした。


 帰りの隊列は出発した。

 10分程った頃、ナビさんから警告が発せられた。

『前方に武装した騎兵約100人近付いて来ます』

「前方から敵襲、約100人!!ジュレイ結界で馬車を包め』

 辺りには灌木一つない開けた野原だ。身を隠すことは出来ない。

 モンゴル兵が皇子に命令され、その方向に走っていく。

 モンゴル兵の得意技は騎射だ。高速移動中の騎射は強力だ。しかし相手が100人では。


 おかしい、100人もの襲撃を事前に何の兆候もなく、準備出来るものなのか?

 天帝様にも連絡は入れた。10分持ちこたえれば援軍が来るだろう。

 良し、防御の陣を張る。ヒイの家改だ。

 今度のヒイの家は2階建て、トイレも水タンクも収容されるので玄関のカギを掛ければ完璧だ。

 結界を解いて皇子皇女と一緒に家に入る。一階に結界を張ってヒイとマールを中心に皆に弓を持たせる。2階には8か所の矢間がある。俺達は2階から迎え撃つ準備をする。


 賊がやって来た。ヒイの家に矢を放つが刺さりもせずに跳ね返される。ヒイとマールが1秒に2人ずつ倒していく。

 賊は矢を射るのを諦め50m位離れてヒイの家改を囲んだ。

 まだ60人は残っている。

 ヒイ、マールに油断している奴がいたら射るように指示する。

 横の人間と何か話していた奴の頭に矢が立つ、相手がこちらを向くとそいつの額にも矢が立つ。

 そんなこんなで10人程倒れると包囲をやめて、北に引き上げて行った。


『周囲2kmに敵影はありません』

 ナビさんの報告で警戒を解き、一階にいる皇子と皇女に報告する。

 土台を作らなかったので少しガタつくがヒイの家改の有意性が実証できた。

 家をしまうと皇女が寄ってきた。

「あなたは砦を持っているのですか」

「本当は冒険に出た時の野営用なんですが、この間の悪魔との戦いでボロボロにされたのでちょっと頑丈にしました」

「このようなものをボロボロに一体何が来たというのです?」

「竜が40頭です」

「ヒッ」


「竜40頭に勝てるのなら騎兵100人にも勝てるのだろう。なぜ正面から戦わなかった?」

 皇子がやって来た。

 もめると困るので茜とミヤを先の偵察に出した。それが気に入らないのであろう。

「一つはあなた方を守らねばならないからです。もう一つは援軍を期待出来るのに危ない橋を渡る必要が無いからです。もう一つは剣姫を危険な目に会わせたくないからです」

「危険な目だと甘いことを、援軍がどこから来ると言うのだ?」

「もちろん天都からです」

「お前は俺の言うことにいちいち反論しおって、許せぬ。斬れ!!こいつを斬るのだ」

 一人残った護衛の男に命令した。男はサーベルを抜き、飛び掛ってきた。


 小さな影が横から間に入る。

 男は倒され腕を捻り上げられていた。ヒイだ皇子が激高したので注意していたようだ。

 サーベルが地面に落ちて嫌な音を立てた。

「やめてください!!兄上。自分を守ってくれた者に何をしようと言うのです」

「知れたこと。こいつを殺して剣姫を俺の物にする」

 腰のサーベルを抜いた。


「皇子、これ以上はシャレになりませんよ」

「お前は平民だ。殺しても罪に問われることは無い」

 上段に振りかぶったサーベルを振り下ろすが剣身が無い。

 皇子は呆然と柄だけになったサーベルを眺めている。

 後ろで蒼伊がドヤ顔をしている。

 振りかぶった瞬間、蒼伊が薙刀で剣身を斬り飛ばしたのだ。


 皇子は落ちていたサーベルを拾って構えようとしたがまたも剣身が無い。

 今度はジュレイがドヤ顔をしている。一瞬の居合斬りだ。

 ドーテが周りをうろうろしているがもう斬るサーベルが無い。

 マールがそばに来て「俺も何かした方がいいか?」と聞いてくる。

 ハイジはでかくなって俺の前に寝る。

 皇女が両手を広げて俺の前に立つ。

「兄上!!これ以上の狼藉は私が許しません」

 いやぁ、ミヤがいなくて良かった。ミヤだったら皇子の首に刀を当ててる。


 そこへ茜達が近衛の騎兵と一緒に帰って来た。

 皇子はしょんぼりと護衛と一緒に馬車に戻った。

『なんじゃ、もう終わりか。つまらぬのう』

 俺を通して実況中継を見ていた天帝様が言った。

 どうなったら面白かったんだよ。頭の中で突っ込みを入れる。


 茜とミヤが来た。

「モンゴル兵は8人とも亡くなってました。針鼠のようでした」(茜)

「近衛兵に伝えたら手厚く葬ってくれるそうです」(ミヤ)

「飛び出さなければ生きて帰れたのだが」

 馬鹿皇子が命令を出さずに、俺に任せてくれたらと思わずには居られない。

 敵に生存者が居たので連れ帰って尋問するそうだ。


 今度は信帝国の近衛兵が前後につき帰った。

 お昼を過ぎていたが都民は熱烈な歓迎をしてくれた。

 俺達は帝城の入り口で馬車と別れて帰路についた。


 寮に帰って皆、着替えに自分の部屋に帰った。

 俺も着替えて食堂に戻った。食事は用意されていた。

 ライヤも待っていてくれて、皆が席について”いただきます”を唱和した。


 食後、茜が寄ってきた。

「あの皇子、私を狙っていたんですって」

「まあね、だから君と会わないようにしていたろ」

「ありがと。でもあなたを殺して私達を手に入れるって、意味が解らないわ」

「彼には君達が物にしか見えてないんだよ。だから所有者を殺せば手に入ると思ったんだろ」

「あら、私、あなたの所有物なの」

「あいつがそう思ってるだけだよ」

「私はそれでも良いわよ」

「いやだよ、茜は茜のままで居て欲しい」

「解ってるわよ」

 俺の頬にキスして去っていった。この頃、あいつキス魔になって来たな。



 天帝様から呼び出しがかかった。


次回、皇女の話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ