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第四十八話 西域に恐竜?

恐竜が現れます。

 転移159日目

 研究所は動き始めた。工場はまだまともには動いていないがゆっくりと生産が開始された。今は品質に重点を置いて数は徐々に上げていく必要がある。研究の方はフィールドワークを中心に魔力の特性を統計的に調査している。一日の調査件数が3倍になった。慣れればもっと効率が上がるだろう。ゴーレムエンジン工場は少量ではあるがエンジンの生産を開始し、今は人の動かせる船外機を作っている。


 11時 寮居間

 俺の仕事も小康状態となったので年少3人組の勉強を見ている。外ではジュレイとドーテが剣の練習をしている。

「こら、マールどこを見ている、早く書き取りをしろ」

「だってぇ」

「終わりました」

「ミヤ速かったな」

 頭を撫でてやると本当に幸せそうな顔をする。

 暫く経って

「ヒイも出来たよ」

「どれどれ、偉かったな」

 ヒイも撫でてやるとドヤ顔をする。

「よし二人とも外で遊んでお出で」

「お出でハイジ」

 二人と一匹は元気よく外に駆け出して行った。


「マール、貴族の教養はどこへ行ったんだ」

「だって、父上が女に教養は要らないって」

 マールは読み書き計算とも壊滅的だった。まあ言葉遣いから予測はしてたけどな。

「ほら、まだ半分近く残ってるぞ」

「もう堪忍してぇ」

「駄目」


 窓からジュレイとドーテの練習が見える。流石にジュレイの方が強いがドーテもなかなか出来る。

 この分だとすぐに追い付くだろう。

 向こうではミヤとヒイがハイジから逃げている。鬼ごっこをしているようだ。直線はハイジが速いが寸前で身を躱される。うん、今フェイントを入れてヒイを捕まえた。もう知能ではヒイに追付いてる感じだ。忘れてはいけないのは、ハイジは生まれてからまだ半年も経ってないのだ。

 彼奴そのうち喋ったりして。


『恭平聞こえるか?』

『天帝様ですか?』

『西域の城が破られたらしい』

『突厥ですか?』

『違う、一度見て来てくれないか?』

『はい』

 今帝城に使者が着いたってことは2週間は前の話だよな。

「マール、西域で事件が起こったらしい。ちょっと行ってくるから皆に言っといてくれ」

「わ、わかった」


 11時30分 西域門城

 西域の門の手前に空間移動した。

 時間的に見て獣王様はすでにここにはいないはずだ。奥さんと一緒に400km離れた新たな獣王都に行ってるはずだ。無事でいてくれよ。

 門城が見える所まで来た。門城が無残に半壊してる。人の影は見えない。天帝様に念話し、映像を送る。城まで行くが人の影は無い。城は大きな力で押し倒されたように見える。

 これは恐竜の足跡だ。多分巨大な竜脚類の。

『では100kmほど離れた村に行ってみます』


 12時 張腋

 空間移動で行った一番近くの村には怪我をした兵が残されていた。

 再生で怪我を治し、話を聞く。

 話を要約すると2週間前、西から山のような巨大な生き物がやって来た。そいつは長い首と長いしっぽを持っていて体の高さも門城よりはるかに高かった。矢を射たが皮膚に通らず槍でも通らなかった。やがて門城に体当たりして壊すとまた西に帰って行った。駐屯する門城が亡くなったので獣王都に兵を引き上げた。

『解った帰ってきてくれ』


 13時 御所 応接間

「苦労掛けた、サンドイッチでもつまんでくれ」

 天帝様は首を捻って

「何が目的じゃと思う?」

「悪魔の示威行動か威力偵察ですかね」

「どう対処すべきだと思う?」

「門城の修復、今度は壊されないやつですね」

「そんなもの簡単には出来ん」

「だってですよ。相手はそれを見るためにやってるんでしょうから」

「うう、無理じゃ」

「では偵察を出しましょう。今のところそのでかい生き物以外、何があるのかもわからないですし」

「では行ってくれるか?」

「獣王都への伝令ですか。良いですよ」

「馬鹿者、お前が偵察に行くのじゃ」

「いやですよ。そんなどこまで行けばいいか分からない偵察」

「トルファン、ウルムチまでで良い」

「天都から門城の倍ですよ」

「旅費チョメ、成功報酬チョメでどうじゃ」

「畏まりました」


 14時 寮 居間

 旅費を貰って寮に戻って見ると午前中に居たメンバーに茜が居た。

 経緯を話すとジュレイが

「父上、母上は無事なのですね」(ジュレイ)

「ああ、もう新しい獣王都にいるってさ」

「それでトルファン、ウルムチまで行くのですか?」

「片道3000kmの旅です。今なら1週間かからないよ」

「済みません。私抜けていいですか」(茜)

 茜が申し訳なさそうに言う。

「ああ、本番まじかだからな。そう言うと思ってた」

「ごめんなさい」(茜)

「でもお願いしたいことがあるんだ」

「なんですか」(茜)

「保育所、学校の件だ。学校はすぐは無理だろうから、保育所だけでも始めて欲しい」

「分かりました」(茜)

「明日は朝から出発だ。明るいうちに車の点検をしなくちゃ」


 18時 寮 居間

「私も無理だわ。ごめんなさい」(蒼伊)

「解ってるよ。始まったばかりだからね」

「私も行っていいんですか」(ドーテ)

「良いよ。えーと、これでヒイ、ミヤ、マール、ジュレイ、ドーテの5人か」

「茜の再生をヒイに、蒼伊の空間移動をミヤに移そう」

「お湯やご飯はどうするの」

「今回は留守番がたくさん居るからね」


「ご飯は今炊いているのと、毎日炊いて収納に入れて貰います。お湯はコンロの魔道具を利用した瞬間湯沸かし器を蒼伊が開発してくれました。ですから毎日水をタンクに入れて収納に入れてください」

「そうかあ、随分楽になったのね。生鮮食品も買って収納に入れれば良いのね」(茜)

「そうです」

「じゃあ、私は昼間居ないから夜にご飯炊くよ。お手伝いが出来てうれしいよ」(真白)

「時間に余裕のある私は生鮮食料の買い出しと水をします」(ライヤ)

「じゃあ、私はおかずでも用意するわ。作るのはお姉さん方だけど」(蒼伊)

「それはずるいよ。私も水かな。とにかく4人でバックアップするから安心して」(茜)

「運転できるのはミヤとジュレイかちょっと厳しいか」

「私も覚えました」(ドーテ)

「ヒイも足届くようになったよ」(ヒイ)

「ちょっと怖い」


 西域偵察一日目(転移160日目)

 朝6時出発

 昼食も用意されたおかずとご飯を食べればいいので早い。


 18時 静寧付近 夜営

 夕食も作って貰ったおかずでご飯。ちょっと物足りないくらいだ。

 食器も洗って収納しとけば回収される。

 風呂もお湯の冷めるのを気にしなくて良くなった。

 順番は俺、ジュレイ、ドーテ、マール、ミヤ、ヒイ

 今日は、たまたま年齢順、最後の者が掃除なので当番制だ。

 寝室は奥が女性で俺とハイジは手前の部屋だ。


 西域偵察二日目(転移161日目)

 16時 獣王都到着

 獣王に謁見

「おお恭平殿、貴殿がいてくれて獣王家は救われた」

「オーバーですよ」

「ジュレイ、剣姫になったんだってな。父は鼻が高い。蛇亀王国では、相手の卑怯な手で敗れたらしいが」

 ジュレイが獣王の足を蹴っ飛ばす。

「思い出させないで!!」

 顔が真っ赤だ。

「母上、大丈夫ですか?」

「もちろん、このようなところで文句を言っては父上に申し訳ありませんもの」

 この二人は大丈夫そうだ。

「獣王様がお元気そうで何よりです。任務の途中ですのでこれで失礼します」

「父上、母上、帰りにまた寄りますのでお元気で」

「あなたも気を付けるのですよ」

「もう行くのか。今晩位泊って行ってはどうか?」

「天帝様が偵察の結果を今か今かと待って居ります」

「そうか、では帰りに必ず寄ってくれ」


 18時 永昌辺り 夜営


 西域偵察三日目(転移162日目)

 12時 門城で昼食

 門城を過ぎると道が悪化、速度が落ちる。


 18時 砂漠の真ん中で夜営


 西域偵察四日目(転移163日目)


 18時 砂漠の真ん中で夜営


 西域偵察五日目(転移164日目)

 11時頃トルファンに到着


 街にこれと言った異常は見当たらない。ジュレイたちはこの地域の服によく似た服を買い街中を偵察だ。

 昼食後、近くに湖を見つけたのでミヤを連れてバイクで移動する。浅い湖だがはやぶさ号なら発着できる。

 早速はやぶさ号を出して飛ぶ。ミヤとナビさんを総動員の偵察だ。

 飛行速度を落として高く飛ぶ。

 トルファンからウルムチにかけてゆっくり飛んだが特に異常はない。

 今度は来た道に足跡を探して飛んでみる。巨大な恐竜が歩いたのなら足跡が残るはずだ。

 見つけた門城の手前で北上してモンゴルの方へと続いている。高度を落としてその後を追うが途中で消えてしまった。恐竜はどこにもいない。ここら辺は砂漠ばかりで隠れる場所は無い。どういうことだ。地上から探すしかないか。俺は湖に戻った。


次回、40頭の恐竜と戦います。

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