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第三十六話 蛇亀王国へ

蛇亀王国に乗り込んだ恭平と剣姫どう戦うのか。

 俺は天帝様に呼ばれて帝城に向かった。


 11時 帝の間

「恭平、お召しにより参上いたしました」

「ご苦労、恭平殿、蛇亀王国が悪魔に攻められていると連絡が有った。ついては現地に行って、状況を知らせてほしい」

『天帝様、急ぎますか?』

『転移で行って欲しい』

「解りました。すぐさま向かいます」


 一旦、寮に戻って茜に蛇亀王国と王城の様子を聞いた。

「私、部屋着で転移しちゃったから寒くて寒くて」

 こら、そんなことは聞いてねえ。

 茜の脳内地図は限定的であったが、そこまで詳しいものもいらんだろう。


 街中の人の死角になるような場所に転移する。攻められたと言っても2週間前の情報だから今の状況を調べる。

「俺は、よそから来たんだけどなんか王城であったって聞いたんだけど」

 閑散とした王城の近くで、屋台の羊の串焼きを買って、店主に聞いてみた。

「あんた知らずに来たのかい。王城は乗っ取られて王族が人質になってるそうだよ」

「王族が人質になってるってそんなことまで解るんだ」

「犯人が俺は悪魔だ。王族は人質にしたって言ってた」

「で何を要求してんの」

「キョウヘイを出せって言ってるみたいだけど意味が解らないんだよ」

「ありがとう」

 俺を要求してるってことはあのラッソとかいう奴か。しかし市民が要求の内容まで知ってるってどういうこと。


 王城の正門を封鎖している兵隊たちに聞いてみた。

「王族を人質にしてるんですか?」

「してるよ。俺達に聞かなくてももうじき解るよ」


 12時になった。

「我々は、悪魔だ。王城を占拠し、王族を捕えている。解放してほしかったら恭平を寄こしなさい」悪魔の声が王城周辺に響いた。

「なっ、分かっただろ。毎日12時に叫んでるんだよ」

「本当の話なんですか」

「まあな、何とかしたいけど内側から鍵が掛かってるからなあ」


 さて、どうするか、どうせ帝城には俺が呼ばれてるって明日には知らせが行くんだろうな。

 天帝様に正直に報告した。

『シンシアから移した異能が欲しいのか』

『そうだとしか思えません』

『お前、行くのか』

『行きませんよ』

『条件とか聞けんか』

『仕方ありませんね』


 俺は正門へ行って兵を退けて大声を張り上げる。

「恭平だ。ラッソなんだろ。出て来いよ」

 門の上に男が現れる。

「おお、恭平殿、御早いお着きで。」

「来たんだから王城と王族を解放しろよ」

「あなたを拘束して異能を抜き取らないといけません」

「そんなこと言ってなかっただろ」

「そう言えば言ってませんでした」


「解放しないなら帰るぞ」

「それは困ります。そうですね。あなたと従者7人と悪魔7人で試合をしましょう。先に4勝した方が勝ちでどうです」

「試合だな。死人は出ないんだな」

「そうです。勝っても負けても人質と王城は解放しましょう。ただあなた達が負けたら異能を移す異能を私に下さい」

「お前たちは人間に入るんだな。流石に飛ばれると攻撃手段が無い」

「もちろんです。魔刃も使いません。あなた方も気功の刃や異能は使わないでください」

「従者を連れてくるから1週間待っててくれ」

「分かりました」


 兵隊の隊長らしき奴が腕を掴んできた。

「お前が恭平なのか。お前を悪魔に渡せばすべて解決する。こいつを拘束しろ」

 兵隊がわらわらと集まって来た。

「俺が天帝様相談役と知って拘束しようとするのか?」

「そんなのはうそに決まっている。捕まえろ」

 面倒臭いので投げ飛ばして命令書を見せる。公務の時は命令書を貰うようにしている。こんなことがあるからね。

 隊長に読ませるとみるみる顔の色が青くなる。

「もう1週間したらまた来るから、それで解決するからそれまで待つように」

「はい、解りました」


 13時

 人目のない所で天帝様に連絡して了解を取ると寮に転移した。

「私達が1人ずつ戦う訳ね」(茜)

「異能なしか、インストールも使えないね。」(蒼伊)

「インストール無しじゃあ戦えないわ」(真白)

「だから向こうに着くまでの1週間特訓だね」

「私の弓矢はインストールじゃないから関係ないね」(ヒイ)

「私も今は、インストールしてないから大丈夫」(ミヤ)

「私は特訓しないと無理かも」(ジュレイ)

「ヒイとミヤと俺は相手役だな」

「剣姫さんって大変ねえ」(ライヤ)

 良し、今日は一日準備して明日朝出発だ。


 23時 俺の部屋

 ノックの音がする。

「どうぞ」

 真白だった。思いつめた顔をしている。

「どうした」

「私、戦えません。今までは皆が居たから何とかやって来れましたけど一人になると聞いただけで怖いんです。しかもインストールもナビさんも無かったら矢を射ることもまともに出来ません」


 真白はインストールに任せきりで自分の鍛錬をしていなかったと言うことか。

「で、どうしたい」

「ライヤさんに代わって貰うとかできませんか」

「ライヤは無理だろう。何の鍛錬もしていないし、経験もない、それに運動神経も無い。それこそインストール無しではどうにもならん」

「ではどうすれば」

「不戦敗にするしかないだろう」


「茜や蒼伊があんなに頑張ってるのに、私のせいで負けたらここに居られないわ」

「剣姫が嫌なら言ってくれれば良かったのに」

「言えないよ。二人が頑張っているのに」

「ハイジに替えて貰えないか頼んでみるさ」

「二人に謝んなくちゃ」

「君達こう言ってるが」


 茜と蒼伊が入ってきて真白に抱き着く。そして号泣の合唱だ。青春をとっくに過ぎた俺にも甘酸っぱいものが込み上げて来たよ。

 転移136~142日目

 真白は残ることになった。居るとハイジと替えにくいからだ。結界の異能はジュレイに移した。

 朝日の出とともに出発した。今のエンジンと魔力石で1日500kmは走れるが350kmに落として3時くらいから3人の特訓を始める。3人は真面目に取り組んでいるので、もうすぐインストールを卒業するだろう。


 5日で蛇亀王国の王都手前まで来た。後2日特訓だ。

 特訓と言っても俺、ヒイ、ミヤの3人と順に打ち合うだけだ。その経験を頭と体が覚えていく。

 ハイジ?ハイジは普段からヒイとミヤに鍛えられてるから大丈夫だ。

 7日目はインストール無しでの実戦だ。3人共ほぼ完成の域まで来ている。これなら負けることはあるまい。


 転移143日目 蛇亀王国王都王城

 8時

 正門前でラッソを呼ぶ。

「着きましたか。お待ちしていましたよ」

「どこでやるんだ」

「競技場を抑えておきましたのでそちらへ移りましょう」


 1万人が入るくらいの競技場だ。

 若い剣士の姿をしたラッソに言った。

「一人選手の交代がある。真白からハイジに変更だ」

「はいはい、もともとこちらの選手名も公表してませんから構いませんよ」

「その代わりと言っては何ですが、試合ですが4つ勝ったら終了と言いましたが、それでは私があなたと戦えないのでは思いましたので、7試合全部やりましょう」

「了解だ。王城と人質はどうなる」

「あなた方に真面目に試合してもらうため試合が終わるまでお預けです」

「わかった。さあやろう」

「弓矢の試合は1試合で良いですか。的当てなので用意が必要です」

「それでいい」

「では第一の選手を出してください」

「こちらはハイジを」

「こちらはブレード君です」


 競技場はサッカー場の様に長方形になっている。西からハイジが、東からブレード君が出て来た。

 ハイジは武器を持っていない。牙が武器と言うことか。ヒイに任したので詳細は知らない。

 ブレード君は幅広の両手剣を持つ筋骨隆々の男だ。


 審判の合図で試合が開始された。

 ブレード君は剣をすごいスピードで振り回しハイジを狙う。しかしハイジの素早さはヒイやミヤでなければ捕えられない。

 ブレード君が疲れてよろけた瞬間を逃さずに軸足に体当たり、倒れた上から首に牙を当てた。

 ハイジの勝ちが宣告された。

 何じゃこりゃ、全部このレベルじゃないだろうな。


次回剣姫対悪魔

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