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第三十五話 シンシア救出作戦

悪魔の護衛するシンシアを確保する。無理難題を恭平はどうするのか。

 転移128日目

 5時 安陽辺り

 夜通し奔って安陽の先まで来た。まだ夜は明けていないが白み始めている。

 茜と蒼伊はホテルを見張って、シンシア様が出発したら後を付ける。

 俺達は待ち伏せに適した地形を探す。

 作戦はこうだ。俺達はケンジの姿形が分からないのでホテルでの面会はやめておいた。先に護衛と話さなければならないからだ。ケンジに先手を取られる可能性が高い。

 街道を行くシンシア様の隊列を止め、結界を掛ける。面識のある俺、ジュレイ、ヒイ、ミヤの4人で護衛との間にバイクで突っ込んでシンシア様を護衛しながらにケンジを特定してもらう。前に真白、ハイジで必要があれば結界で道を塞ぐ。

 かなり危険を含むがトブレさんを今は動かせないので仕方がない。


 おにぎりで食事をして体を休める。


 シンシア様たちが出発したと念話があった。小一時間でここに来る。


 7時 安陽辺り

 来た、俺はヒイを後ろに乗せ、脇道からシンシア様の乗る馬車に並走して叫んだ。

「シンシア様止まってください!天帝様相談役の恭平です!」

 ジュレイとミヤが後に続く。まだ武器は持っていない。

 シンシア様が窓から顔を出し御者に止めるように指示を出す。

「見つかったのですか!」


 護衛が寄ってくるが木剣を持ったジュレイたちが寄せ付けない。

「剣姫のジュレイです。知らないのですか」

「同じくミヤ」

 有名って良い事もあるんだね。どうしようか迷ってるよ。

「馬車を降りないで下さい。ケンジと言う護衛が裏切ってます」


 俺は収納から皆の武器を出して渡した。

「ケンジ出てこい!お前が裏切っているのは分かっている!」

 護衛の視線が一斉に一人の男に向く。

「困りますね。邪魔をしてもらっては」

「そいつから離れろ!」

 横に居た護衛二人の首が落ちる。


「煙台か、船に乗るまで待って欲しかったですね」

 結界にビシッビシッと音がする。

「不可視の刃か厄介な」

 ヒイが結界から出て矢を射る。


 ケンジは首を傾けて避けるがこれも不可視の気功の刃が首を斬る。その後も心臓に矢が突き

 ケンジは落馬するがゴーレム馬の上には黒い影のようなものが居る。

「結界に気功の刃ですか。恐ろしい人達ですね」

 いつの間にかミヤが影の近くまで跳躍している。そのまま横になって捻りながら千本に付けた気功の刃を何本も飛ばす。

「猫人殺法 ホウセンカ」

 しかし影は飛び上がり攻撃を躱す。そのまま50mは飛び上がった。


「流石にこの状態で斬られるとダメージを負いますので、逃げるとしましょうか」

「なぜ、シンシア様を狙う!」

 結構、お喋りなので話してくれないかなと思って聞いてみた。

「彼女の異能が欲しいからですよ」

「お前は、何者だ!」


「私はラッソ、そうですね、あなた達から見れば悪魔ですかね」

「お前はどこから来た!」

「北の大地からです。あまりお喋りを楽しんでいると上司に怒られそうですね。ではまた会いましょう」

 影は北の空へ消えて行った。

 あんな奴が複数いるのか、たまらんな。


 シンシア様にリョウカ様やトブレさんの話をして天都に戻って欲しいと頼む。竜王都では守れないし、そこまで無事に行けるとは限らない。

「分かりました。天都に戻りましょう」

 天帝様にシンシア様を車で連れて帰ると念話する。

 蒼伊を空間移動で先に帰し、席を空ける。

 護衛の人達は犠牲者を埋葬した後、戻ってもらう。


 17時 御所 応接間

 帰ってすぐに天帝様に呼び出された。

「ご苦労であった。敵は打ち取れなかったようじゃが」(天帝)

「はい、今回の敵は悪魔と名乗っており、人間ではありません」

「悪魔じゃと?」(天帝)

「はい、ケンジと言う護衛の中に入り込み操っていました。ケンジが倒されると黒い影となり、更に攻撃を受けると攻撃を受けないところに留まり、話をしました」

「どのような話じゃ」(天帝)

 俺は会話の内容を話した。


「黒い影は斬るとダメージを受けると言ってましたし、自由に飛べることから魔物の進化した姿ではないかと思いました」

「人間並みの知能を持った魔物だと!馬鹿なことをいうな!」(リョウカ)

「そうではないかも知れませんが、今の状況ではそれがしっくりくるかと」

「いずれにせよシンシアの異能を狙っている限り、シンシアは恭平の目の届く所に置くしかあるまい」(天帝)


「あら、そうとも限りませんわ。私の異能を恭平殿に移してしまえば良いのです」(シンシア)

「それでは俺が狙われることになるのでは?」

「それは構わんが、良いのかシンシア」(天帝)

 俺が狙われるのが構わんってきっついなあ。

「私は異能を持っていてももう使えません。それならば恭平殿に使って頂けば役に立つかと」(シンシア)


「姉上が狙われなくなるなら仕方がないか」(リョウカ)

「あのー俺の意見は?」

「あら、恭平さん。でしたら私を一生養って頂けるのかしら」(シンシア)

 シンシア様が美しい顔をこれでもかとキラキラさせてくる。

「許さんぞ!恭平!貴様はそんな姉上に邪な思いを抱いておったのか!」(リョウカ)

 リョウカ様が怒髪天を突く表情で迫ってくる。

「分りました。それでいいです」

 そんなこと言われたら全面降伏するしかないじゃないですか。


 その場でシンシア様の異能、異能を他の人に移す異能は俺に移された。転移組に異能を移したのはシンシア様だったのね。


 7日後、全快したトブレさんを連れてシンシア様は竜王国に去って行った。


 転移135日目

 シンシア様が去った日、俺達も寮に引っ越すことになった。

 出来上がった寮は俺達の寮が一番小さく2人部屋8室、管理者用が2人部屋20室が男女別で2棟、作業者用が作業者用が4人部屋27室が3棟だ。製鉄所は稼働を始めたらおいそれとは止められないので4勤2休の2交代で回す予定だ。


 4勤2休2交代とは、3つのチームで12時間ずつ働くシステムだ

 日  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1日目に戻る  

 昼勤 A A A A B B B B C  C  C  C  A

 夜勤 B B C C C C A A A  A  B  B  B

 A,B,Cのチームが上の図のように働く。3交代では一斉に休まなければならないが、これでは設備はずっと稼働できる。


 引っ越しは収納があるから瞬間的だ。

 建物は3階建てで2階と3階に2人部屋が4つずつ計8つある。

 一階は東端が俺の部屋、次が居間兼食堂と台所、この北に玄関と階段、更に西側に脱衣場兼洗濯場、その南に風呂、その西はトイレだ。2階は東側からヒイとミヤ、茜、真白、蒼伊、3階が東側から研究所が出来るまでの蒼伊の研究室、ジュレイ、ライヤ、空き部屋だ。部屋には2段ベッドと机が二つ備え付けだ。布団は新しいものを買った。洋服ダンスとチェストの引き出しは帝城から持ってきた。


 ライヤは管理者用に行くかと聞いたらものすごい勢いで否定した。早く、兄さんに押し付けなければとぼやいていた。そう言えば一週間経っているのでそろそろ決まったかな。


 ヒイはまだ一人で寝られない。黒狼村で一人で寝ていたことを思い出して怖いのだそうだ。そこいらはミヤがしっかりお姉さんをしているので任せている。


 10時

 引っ越しが終わって寛いでいるとカクタスと副隊長、ライヤののお兄さんが来た。

「えっ、もう引っ越し終わったの。早すぎるよ」

 カクタスがぼやくが終わったものは仕方がない。

「それより気功の刃出来るようになったのか」

「まだだよ。もう一回見せてくれ」

「ジュレイ見せてやってくれ」

「はい」


 川の土手に来ると草が生茂っている。

「えい!」

 ジュレイが横に薙ぐと刃が当たっていない所まで斬れて行く。3m位まで届いている。

「すげえな。これが気功剣かい」

「あっ、マオさん」

 警ら第一隊長のマオさんだ。

「お久しぶりです」

 子供の誘拐事件以来だ。


「おう、帝城から出たら警らも鍛えてくれるんだろう」

「そうなのか。恭平」

「ああ、近衛はもういいだろう。カクタスと副隊長が居れば完璧だよ」

 ・・・・

「そう言えば、お兄さん決まりましたか?」

「はい、あなたの従者にして下さい。いつまでも妹の影には居られません」

 早速従者にして総指揮の達人をインストールしたよ。


 そのとき天帝様から念話があった。

「蛇亀王国が悪魔の攻撃を受けているらしい」


次回、剣姫たちが悪魔が乗っ取った蛇亀王国に攻め込みます。

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