表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/83

第三十三話 ダム建設開始

ダム建設は難航します。

 転移107日目~125日目

 寮や飯場の建築が始まった。

 ダムの建築を始めるため忍猫族を集めた。彼らの中から何人か従者にしてダム建設に従事してもらう。

 コリン ダム建設

 パント ダム設計

 ヴァロア 水力発電

 フービン 測量

 新しく従者にしてそれぞれの達人をインストールした。

 ライヤには総指揮の達人をインストールした。

 発電量が50kWでは少ないと言われ300kWの発電量、最終的には1MWを目指すことになった。


 測量が先だというので測量器を買い、俺達全員に測量の達人をインストールして測量を開始する。

 はやぶさ号で周辺を飛ぶと正確な地図をナビさんが作ってくれるので随分工数が省けた。

 測量は数日で終わり、設計に掛かった。今度は全員設計士だ。

 設計が終わると材料を見積もる。げえ、俺の持ってる金では全然足りない。天帝様に泣きつくしかない。


 天帝様は押収した金が国庫に入ったので、大盤振る舞いしてくれた。もうすぐ水量が増えてくるのでそれまでに何とかしたい。ダム建設が始まった。重機が無いのがつらい、遅々として進まない。

 バイパスを作って小規模水力発電を作る。渇水期が来たら再開することとなった。


 寮も外観が出来つつある。こちらは地震が無いので3階建てでもレンガを積み上げていくだけだ。

 工房も基礎をしている。はじめはエンジン工場だけのつもりだったが製鉄工場、車体工場、ゴーレム研究所の4つを同時に立ち上げることなった。しかし車体工場への電力が不足して、操業は後回しになった。


 転移126日目

 西域から駐屯兵が帰ってきた。ライヤの兄に会いに行く。


 忍猫族の里

 ライヤの兄はやはり猫耳で茶色の毛色だ。

「兄さんお帰り、ご苦労様でした」

 ライヤは俺の隣でぺこりと頭を下げた。


「おお、ライヤ大きくなって。見違えたぞ」

 俺も挨拶する。3年数カ月ぶりになるのか

「ご苦労様でした。恭平と申します」

「あなたが、えっ・・どこかでお会いしませんでしたか?」

 にこやかな顔があれって顔になる。


「多分、天帝様の使者として獣王様に会いに行った時でしょう」

「ああ、あの時のって駄目だ、この人は、5人も美少女を侍らせて」

 真面目な顔になって俺とライヤの間に割って入る。


「何するのよ兄さん。そんなこと知ってるわよ」

「知っててなんで」

「父上のことは知ってるでしょう」

「横領の罪を被せられて殺されたんだろう」

「違うのよ。横領はしたのよ。口封じに殺されはしたけど」

「それをね、恭平様が罪を消してくれたのよ」

「しかし、それは」

 ライヤは父親が死んだ後、忍猫族を救った話をした。


 更には仕事を失った忍猫族に仕事を斡旋したことを告げた。

「それで私、キューンってなって、奴隷でもいいからそばに置いてって、土下座したの」

 両手を頬に当てクネクネしている。恥ずかしがっているのだろうか?


「はあ」

 兄の方は話についていけないようだ。

「それでね。兄さんが族長してよ。父上の葬儀もまだしてないから」

「いや、そこまでお前がやってるのならお前がやれよ」

「私としては兄さんが恭平様と従者契約して工房を切り盛りしてくれると嬉しいかな」

「なんで」

「だって、子供とか出来たら、・・ねえ」

 両手を頬に当てクネクネしている。恥ずかしがっているのだろうか?


「ほかの者とも話をして決めたいと思います。少し待ってください」

 ライヤが耳に手を当てて”はい”って言ってる。

「ごめんなさい。コリンが呼んでるわ。恭平様、お願いできますか」

「分かった。ではまた」

「コリンがってどこに居るんだ」

「伊河のほとり、さっき言った工事現場よ」

「聞こえるわけないだろ。何キロ離れていると思ってるんだ」

「離れてても聞こえるのよ。従者同志は念話が出来るのよ」

 兄さん訳が分からんって顔してる。帰って来たそうそうこんな目に会うなんて、可哀そうだけど仕方がない。


 俺は、ライヤを工事現場においてジュレイからの念話で帝城に向かう。

「ジュレイどうした」

「天帝様から封地替えの連絡が有って獣王府に届けよと」

 何でもクーデターの件で取り潰しになった貴族の領地が天都に近くにあって、その領地を西域に近い領地を持つ功績のあった貴族に与えて、西域に近い領地を獣王国にするという内容だ。獣王国は西域からその領地までが封地となる。トコロテン方式というやつだね。


「お母上はいつ出発を」

「ゴーレム馬車が帰ったらと言っておりました」

「もう帰ってる頃だ。急いで行こう」

「はい」


 今、殆ど工事現場にいるため帝城が手薄になると思ってジュレイを留守番において置いたらこれだ。

 帝城にも従者が居るな。まさか天帝様を使い走りには使えないし。


 獣王府に付くと母親はまだ居てくれた。

 封地替えの指令書を見せると

「まあ、ありがとうございます。これで400kmも近くなるのですね」

「母上、いつ出発なさるおつもりですか?」

「明日の予定です」

「母上、お元気で」

「まあ、この子はまた泣いて。こんなに泣く子だったかしら」

「ジュレイ、今日は泊めて頂いたら?」

「良いのですか?」

「もちろん」

 おっと今度は茜か

 俺はジュレイを置いて茜の居る天都競技場へ行く。


 来月、帝国体育大会の天都周辺の予選会がここで開かれる。

 競技場は、すでに出来ていた。

「こっち、こっち」

 トラックの中にある競技施設で茜が呼んでる。


「ここで石投げをするんだけど、標準的な飛距離が分からないのよ」

 いくつか置かれた石の一つを持ち上げて言った。

「今用意されたのがこれ、直径12cm、重量1kg。何回か試投して貰える」

「どれどれ」

「手加減してよ」

 軽く投げてみる。結構飛んだ。何回か繰り返すと結構飛距離が伸びた。

「思い切り投げると肩抜けそうだな」


「トラックまでは届かないよね。それが心配なんだ」

「大丈夫じゃないかな。でも初めてだから、横に投げる奴がいるかも知れない、トラック競技は一緒には無理だな」

「そうするわ。ついでに槍も投げて」

 そう言って後ろに用意してあった槍を持ってきた。

「普通の槍だな」

「一般的な兵士に支給される槍よ。重心の近くを掌で握ってね」

 これも何回か投げた。地面に刺さるので、飛距離がよく分かる。

「ありがとう。データが取れたわ。スタッフにやらせたんだけど、物を遠くまで投げる経験が無い人ばっかりで」

 やれやれという動作をする茜。ちょっと可愛い。


 二人で槍と石を片付けて、おしぼりで手を綺麗にする。

「ちょっとこっちに来て」

 競技場の観客席の下の通路に呼ばれる。

 周囲から死角になる場所に来ると茜は向かい合い。

「キスして」

 周囲を確認して唇を合わせた。

「今晩、行くからね」

 そう言って茜は事務所の方へ走って行った。


 そろそろ昼なので皆の居る工事現場に行く。

 昼食を皆で食べて食休みをしていると天帝様から念話が入る。


 13時 御所応接室

 天帝様に呼ばれ、御所のいつもの部屋に居る。リョウカ様ともう一人リョウカ様にちょっと似た女性、リョウカ様より少し年上かな?が居た。

「おお、来たか」(天帝)

「参上しました。リョウカ様お久しぶりです。隣の方は?」

「私の姉のシンシアという」(リョウカ)


「恭平です。お見知りおきを」

「シンシアです。今日は私のお願いなんですが」(シンシア)

 天帝様がうんと頷く。

「私は、巫女として2年間のお勤めを終えて、明日竜王国に帰ります。ですが私の供をしてきた鬼族の娘トブレが行方不明になってしまったのです」(シンシア)


 リョウカ様の前任者ってお姉さんだったのか。お供の人が行方不明って、この前の誘拐事件とは関係ないよね。

「そのトブレさんを探せばいいのですか?」

「いや、それは警らがやっておる。お前には、もし間に合えばじゃがシンシアの元へ送ってほしい」(天帝)

「警らが探し出すのが間に合えば、帰国途中のシンシアさんを追いかけてトブレさんを届けるということですね」

「お願いできますか。これがスケジュールです」(シンシア)

「中央大陸を出るまでなら追付けると思います。状況を伺ってもよろしいですか?」

「はい、昨日、家族へのお土産を買いに行くと言って出たまま帰ってこないのです」(シンシア)


「昨日の夜から探しておるのじゃが全く手掛かりもつかめんのじゃ。鬼族と言うことでかなり目立つと思うのじゃが」(天帝)

 そういや、信帝国で鬼族を見た記憶が無い。

「ブラハの妹だ。何とかしてやってくれ」(リョウカ)

 彼奴の妹か、じゃああの色っぽいのは姉ちゃんかな。

 実ははやぶさ号はすでに水上機化されており、更に魔力石も試作できているので、煙台までなら7時間もあれば到着できる。


 転移127日目

 トブレさん発見の報は届かず、シンシアさんは天都を旅立った。


事件発生です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ