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第二十四話 獣王の悩み

解決して帰ります。

 10時 獣王国王城

 門番に天帝国の正式な使者であることを伝える。もちろん皆にはそれなりな服装をして貰ってる。

 門内には多くの兵が居り、武器を構える者もいる。

「我らは、帝国の使者だ。我らに武器を向けることは反乱と見なす。」

 そそくさと武器を隠す。代表者らしき大男が出てきた。

「お前が使者か。俺達は、反乱しようと思ってるわけじゃない。ただ信帝国に帰りたいだけだ」

「お前たちと話すことはない。獣王閣下の元に案内せよ」

 残念ながら今回の依頼は事件の解決ではない。ただの使者です。とはいえ天帝様の書簡を持ってるのでそれなりに偉いのである。

「使者殿、こちらへ。私は獣王家の家宰ウンチョウと申します」

 初老の猫人族の男が案内をしてくれた。2階の階段の近くに獣王の執務室があった。

「天帝様の御使者が御到着で御座います」

「うむ」

 中には白い髪の毛と丸い耳の中年の叔父さんとポニテの美少女が居た。

「使者殿、御用向きは?」

「恭平と申します。この度のストライキに付きまして天帝様より書簡をお届けに参りました」

「何を言っておる。こちらの使者が天都に付いて一週間ぐらいであろう。まあ良い」

 俺は天帝様からの書簡を渡した」


「これは、まさしく天帝様の・・・、なんとこのような・・・」

「使者殿、天都から僅か5日でここまでどのような技で」

「父上、どういうことです」

 ポニテの少女が覗き込む。

「ここの日付を見よ」

「確かに5日前、ここまで1700kmあるのよ。どうやって」

「それよりも外の兵に天帝様のお言葉をお伝え頂かねば」

「そうであった。ウンチョウ付いてきてくれ」

「はい」

 慌てて外に出って言った。


「あなたね。近頃噂の冒険者は。若いし、お供も全員若い女。小さな女の子が2人って聞いたけど?」

「天都へ着くまでは、この子達とこの子だけでした。こちらが天都で増えた仲間です」

 ヒイとミヤとハイジを紹介する。そして茜、真白、蒼伊を紹介する。

「ふーん、真白は知ってるし、まあそこに座って、外の騒ぎも解決しそうだし」

 俺達は会議用の長机の椅子に座った。

「あなたの話を聞きたいわ、竜王国で巨大な熊や山賊を倒した話、煙台で魔物を倒した話、済南で反乱軍を鎮圧したとか」

 商人たちは情報も商品にする。お嬢さんが噂を強請って商品を買っていたのだろう。どうせ騒ぎが収まるまで待ってなきゃいけないので話始める。


 ちょうど話が終わった頃に獣王様が入ってきた。

「恭平殿、兵とも話が付き、残る一か月仕事を続けてくれることとなった。これで安泰だ。貴公が急ぎ天帝様の書簡を届けてくれたおかげだ」

「いえ、ひとえに天帝様の思し召しで御座います」

「おお、もちろん天帝様の素早いご決断あってのことだな」

「天帝様へのお返事、書いて頂けますか?」

「そう慌てなくても良いではないかないか」

「天帝様は突厥のことを気にしておられました」

「左様か、それは仕方がない。突厥など10年間商人以外見たことが無いがな。早速書こう。おお、そうじゃ出来れば娘ジュレイを天都に連れて行ってくれんか?」

「はい、それは?」

「実はジュレイは今年15になって天都に帰る予定じゃったが交代の兵が来ないのでごたごたしていたので延び延びになっていたのじゃ」

「私からもお願いするわ」

 皆に確認すると良さそうなので。

「皆と同じ扱いで良いなら」

「それで良いわ」


 着いて1時間で仕事が終わっちゃったなぁ。ここら辺、何にも無いし、どうしようかな。

「恭平君、突厥ってなーに?」

「ああ、民族の名前で近い所では西のウルムチ、トルファンって街に住んでる。トルコの語源になった民族だよ」

 蒼伊の問いに俺は浅く広い知識を披露したがこちらの世界がどうなのかは知らない。

「恭平殿、君はここに獣王国を置く意味があると思うかい」

 いきなり後ろから獣王様が呟いた。

「そうですね。昔は交易で栄えて人口も多かったようですが。現在ここに王都を置く意味は無いかと考えます」

「そうだよね。何回か天都の方にはお願いしてるんだけども無視されててね。ひとつ、君から天帝様にお伺いを立てて貰えないかい」

「良いですよ。帰ったら天帝様にお伝えします」

「本当かい。あ・・りが・・とう」

 この叔父さん泣き出しちゃったよ。


 それから2時間叔父さんの愚痴を聞かされた。昼食の間もずっとだぜ。

 それによると今から11年前、父親が亡くなったので天都からここに来たそうだ。その時には今と同じように交易は殆ど停止していた。

 奥さんと家族はここに来る途中で引き返してしまい、単身赴任となった。自分が帰ると手当てが貰えないので帰ってくるなとまで言われたそうだ。

 せめて蘭州か銀川まで王都を引き込ませて欲しいと嘆願するも返事は無い。

 あまり寂しいので娘を送って貰ったが15歳となり結婚相手を探すために戻せと言って来た。

 まあ要約するとこういうことになる。


 14時 王城前

 王城全体に感謝され、帰ることとなった。


 18時 臨沢辺り 夜営

「恭平殿 一手指南頂けないだろうか」

 ジュレイさんがやって来てそう言った。来るんじゃないかと思ったよ。だって剣を腰に差してるし、動きやすそうな格好だし。

 周りに灯石を置いて始める。もちろん練習用の木剣だよ。


 恐らく、駐屯地の兵隊と練習していたのだろう。近衛の兵隊と同じで早く強くだけだ。

 軽くあしらっておく。

「うぬ、もう一本お願いします」

「一応聞くけどもう一本やって、何をどうするつもりかな?」

「もっと素早く振る」

「素早く振れば当たりそうだった?」

「いえ、それは・・」

「それは何も考えてないって言うの。何本やっても何も身に付かない」

「ではどうすれば?」

「剣士を目指すなら教えるけど、そうじゃないでしょ。ここまでにしておけば」

 俺は切り上げて家に入った。剣の家庭教師は頼まれていない。


 今日は豚の生姜焼きだ。

「こんなおいしいもの食べたことがありません」

 ジュレイさんは、お替りをした。お客なので一番風呂だ。もちろん旅費はたっぷり頂いてます。


 21時 ヒイの家 手前の部屋

 ジュレイさんがジャージに着替えてきた。楽だからジャージを貸してあげた。

 ちょっと思いつめた顔をしていたので皆を奥の間に下がらせた。

「あの 母の事なのですが。恐らく王都の移転届を握りつぶしているのは母だと思います」

「天都を離れたくないから?」

「そうです。母は、獣王国が領土を持たず手当で運営されてるのをいいことに天都で派手な生活をしています」

「俺が天帝様に直訴するとまずいと言うことだね」

 やばいなあ、家庭争議に巻き込まれそうだ。


「いえ、母が悪いのですから」

「お母さんが悪いことをしているかどうか分からないよ。もしかしたら家の為にやっているのかも知れないし」

「そうなのでしょうか?」

 ジュレイさんが居なければ知らん顔も出来たんだけど。う~ん困った。

「取敢えず、お母さんに先に会ってどうすれば良いのか考えましょう」

 ジュレイさんは少し明るさを取り戻したようだ。寝具を一つ買い足した。カクタスの布団どうしよう。


 西域使者行 六日目 (転移91日目)

 18時 蘭州手前 夜営


 西域使者行 七日目 (転移92日目)

 18時 天水手前 夜営


 西域使者行 八日目 (転移93日目)

 18時 西安 夜営


 西域使者行 九日目 (転移94日目)

 17時 天都

 ジュレイさんの案内で獣王府に行く。でかい、竜王府の3倍はある。内装も豪華だ。

 母親との面会は割とスムーズに行った。ややこしくなりそうなので皆は待合室で待って貰う。

 応接室でジュレイさんとその母親の対面に座った。

「ジュレイの母です。この度は娘をお届けくださりありがとう御座います」



家庭争議と獣王の悩みを解決します。

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