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第二十三話 西域へ

今回は単純な使者だけなので戦いはありません。

 天都帰還 三日目 (転移84日目)

 朝から天帝様に面会の申請を行う。

 俺の推理では、西域の兵隊の交代回数を減らして余った旅費を着服している奴がいるってことだ。多分調べれば1日で分かるんじゃないかな。それに怒った兵隊が反乱と言うよりストライキを起こしたんだろう。

 閣議の前に会ってくれることになった。

 10時 帝の間

 俺は天帝に推論と真白の体験談を話した。

「それが本当なら由々しきことじゃ。突厥に動きはないが今攻められたら西の防御は崩壊する」

 閣議で話し合うことになったようだ。


 来賓宿泊所 居間

 天帝への報告から帰って来た俺はヒイとミヤに勉強を教えている。転移組三人は事務局へ行った。

 ヒイはカクタスの所に居る時から読み書きと算数を教えている。ミヤは出身が商家だけあって簡単な読み書き算数が出来る。


 今彼女らに教えているのは九九だ。これを暗記すれば掛け算と割り算が出来るようになる。

 ニニンガシ、ニサンガロク、ニシガハチ、ニゴジュウ・・・・・クハチナナジュウニ、ククハチジュウイチ、ひたすら読み上げさせる。

「恭平様、近衛には行かないのですか?」

「行かないよ。だって今日は勉強の日だから」

 ヒイは完全に飽きてる。ミヤは真面目に読み上げてるのに。

「じゃあヒイ、これが分かるかな?ヒイが敵を偵察に行きました。敵の兵隊が横に6人、縦に8人並んでいます。敵兵の数は何人?」

「ロクハだから、えっと、56人」

「ミヤは分かるかな?」

「ロクハシジュウハチで48人です」

「はい良く出来ました」

 ミヤの頭をなでてやる。ミヤは嬉しそうに微笑んでる。

 ヒイも読み上げ始めた。


 お昼前になったので勉強を切り上げさせる。

「恭平様、ヒイに問題出して」

「じゃあ、箱でお饅頭を貰いました。縦に7個、横に4個並んでいます。何個貰ったでしょう」

「シチシだから28個」

「はい、良く出来ました」

 頭をなでてやる。笑っている。良い子達だ。


 15時 御所 応接室

 天帝様から呼び出しを貰ったので御所に居る。天帝様と閣僚たちが部屋に入ってくる。

 当然、俺は立って出迎える。全員座ったのを見て末席に座る。


 宰相が話し始めた。

「恭平殿の連絡を聞いて調査した所、西域駐屯兵は本来2年で交代の所、すでに3年以上現地に駐屯させていることが判明しました。又、国庫より交代の費用は出されており、担当者が着服していることが判明しました。尚、担当者はすでに捕えられていますが、駐屯兵に任期は3年と話しており、これまでにも着服していたと思われます。尚、担当者は、自殺しました」


 次に私からと左大臣が報告した。

「西域より追伸の連絡が有り、反乱は駐屯兵の駐屯期間の違反に対するストライキの間違いであり、現在獣王閣下が慰撫に努めております」


「軍務大臣、交代の兵はいつ出せるか」

「我部下の横領により皆様にご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ない。一週間後に交代の1000名を準備いたします」


「うむ、ではゴーレム馬車を用意して20日で西域に届けよ。帰りに駐屯兵を乗せて帰るのだ。恭平、お前には急ぎ、このことを西域に伝えて欲しい」

「はい、分かりました」

 あと犯人の扱い、費用の捻出などが話し合われ閉会した。


 天帝様だけになったタイミングで俺は白状した。

「実は蒼伊を従者にしたことで異能空間制御が手に入りました。これを使えば一瞬で行けますけど」

「いや、あまり異能は公表すべきでない。今まで通り行ってくれ。費用は鳳王国と同じで良いか?」

「はい、構いません」

「明日の午前中には書簡と費用を用意する」


 17時 来賓宿泊所 居間

 ヒイとミヤには書き取りを指示しておいたがどうしてるかな。そうっと近づくとハイジが飛びついて来た。覗き見失敗だ。

「只今、ちゃんと出来たかな?」

「「はい」」

 見るとミヤがヒイの倍は書いてある。

「ミヤ、たくさん書いたね。よく頑張ったね」

 頭をなでてやる。

「ヒイは?」

「ミヤの方が頑張ってる、ヒイは今度頑張ってね」

「分かった。今度ミヤちゃんより頑張る」

「良しじゃあ、夕食の用意だ」


 今日は転移組3人とも食事の準備に間に合った。

 夕食時、今日の出来事を語った。

「と言うことで西域に使者としていくこととなった。明日一日準備して、明後日朝出発だ」

「「「「「はい」」」」」


 23時 来賓宿泊所 従者寝室

 来賓宿泊所は入り口を入ってすぐが居間でここでハイジが番犬代わりに寝ている、区切りなしに食堂、会議に使える大テーブル、奥に居間女子5人が寝る主寝室がある。応接室左に従者の寝室が2つ、その奥が台所、洗面所兼脱衣所、風呂、その右にトイレがある。俺は従者寝室の手前側を使っている。


 従者寝室には小さな机とベットがあり、今は机で試作する飛行機の設計図から部品を書き出している。部品は殆ど日本で用意するつもりだ。こちらで部品を揃えようとしたら何年掛かるか分からないからだ。


 小さくノックする音がする。

「どうぞ」

「夜分済みません」

 真白が部屋に入って来た。いつものジャージ姿だ。

「応接室にいくか?」

「いえ、ここでお願いします」

「どうした?」

「私を抱いてください。あなたとの確かな繋がりが欲しいんです」

「どうしてかな?」

「不安なんです。あなたに要らないと言われたら私達は生きていけません」

「俺はそんなことは言わないし、君達には俺に縛られず自由でいて欲しい」

「その自由が怖いんです。あなたに束縛されたいんです」

 彼女は本来なら親の庇護下に居る存在だ。保護者の居ない今、強い繋がりを作って保護を求めようとするのは自然かも知れない。それでもだ。


「子供が出来たらどうする。宿なしの状態なんだぞ」

「私達は卵の排出を身体強化で止めています。ですから子供は出来ません」

 えっとそんなことが出来るんですか?

『はい、出来ます。彼女たちに月の物はありません。体のバランスは身体強化で変化が無い様にしてます。また任意に戻すことが出来ます』

『じゃあ、ミヤも出来るのか?』

『ミヤの場合、第2次性徴が終わっていませんので自然な発育が望ましいです』

「私は学校では目立たない、ずっと図書室に居るような女の子だった。お父さんも文系の短大へ進学して卒業したら花嫁修業って思ってたみたい」

「こっちに来てからもこちらの人の言うとおりにしてた。そんな時にあなたに自分で考えろって言われてはじめて気付いたのよ。私、自分の思いで生きてないって。惨めだったわ。これまでの人生が」

「あなたとだったら自分の思いで生きることが出来る。私生きてるって感じられる。だからお願い」

 説得を諦めたのは真白に追い詰められたものを感じたからだ。そんなに不安だったのか。

「分かった。一回だけだぞ」

「有難うございます」

 真白はジャージのジッパーを降ろした。拝みたくなるような立派な双丘が姿を現した。名前のごとく真っ白な肌に黒子も見当たらない。まさに白雪のような肌だ。


 一時間後、彼女は戻って行った。

 暫くするとまたノックの音がする。もしかして?

 やっぱり茜だった。一人だけで終わるわけないよね。俺は再生を自身に掛けた。


「私は信じられないかも知れないけど男性が怖かった」

「私は陸上部でハイジャンプをしてたわ。神奈川で10番目位だったけど、去年の夏、ふと自分の名前をスマホで検索したら動画がいっぱい出てきたわ。私が試技してる奴、私の試技がいやらしい目で見られていることを初めて知ったわ。そこから集中できなくなって記録も出ないし、やめようかなとか思っていた時にこっちに来ちゃったわけ」

「こっちに来てやることも無いし、だらだらとしてたわ。あなたに紹介された時も自分で動こうなんて思えなかった。あなたから目標を与えられた時、目の前が開けたわ。集中できなかったのは目標を失っていたからなんだって、それだけじゃないけどね。」

「あなたにはずっとそばにいて欲しいの」

「分かった。こっちへ来い」

 全部脱ぐと俺に抱き着いてきた。長身のスレンダーなボディにちょっと褐色の肌、赤っぽい髪の毛、長い手足、日本人離れした美しいラインだ。


 一時間後、茜が帰ろうとした時に言った。

「蒼伊もだったら明日にしてくれと言っといて」

「分かりました」

 十数年ぶりでうまく出来るか心配だったが出来て良かった。


 天都帰還 四日目 (転移85日目)


 8時 来賓宿泊所 居間

 今日の準備の割振りをする。

 炊飯・おにぎり=真白ここで

 お湯=茜・蒼伊(前切れたからタンク20杯は欲しいので帝城の台所の大釜を借りる)

 温野菜=ミヤ(ヒイの家で)(野菜は帝城にたのみました)

 家の清掃・点検=ヒイ

 水=ヒイ・ミヤ

 車・ボートの点検・整備=俺(合間に出来た湯やご飯、温野菜などの収納、書簡・お金の受取)


 昼食はおにぎりで済ませる。


 夕食時にはほぼ終了。


 深夜 来賓宿泊所 従者寝室

 やはり、蒼伊が来た。

「私はね、嫌な女なのよ。人の言うことに難癖付けたり、茶々を入れたりね。学校でも浮いてたわ。パパに似たのね。私のパパ何にでも疑問を抱く人だった。テレビ見ながらそれはお前の主観だろ。なんで言い切るんだとか文句を言ってた。私もあらゆるものに懐疑的になったわ。鳳王国の人達にもなんて馬鹿なのかしらなんて思ってた」

「ところがあなたが来て、すごい実行力でどんどん解決していくもんだから、私の今までの思いがなんて惨めなものなのかって痛感させられたのよ。無理だと思ったけど虎退治に連れてって言ったら二つ返事でこんな邪魔にしかならない女を連れて行ってくれるし、虎も出来る限りの対策を立てて実行したのよ。降参よ。あなた以外に見えないわ。お願い受け入れて」

「良し、来い」

 確かに黙っていれば超美少女だ。脱いだ蒼伊はやや背は低いが出るとこは出て、引っ込んでるところは引っ込んでる。ピンク色に上気した肌が男心をくすぐる。


 西域使者行 一日目 (転移86日目)

 8時 帝城前 出発

 18時 西安 夜営


 西域使者行 二日目 (転移87日目)

 18時 定西手前 夜営


 西域使者行 三日目 (転移88日目)

 18時 武威 夜営


 西域使者行 四日目 (転移89日目)

 18時 獣王国手前 夜営


 西域使者行 五日目 (転移90日目)

 10時 獣王国 王城到着

次回は新ヒロイン登場です。

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