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第十八話 鳳王国

波乱の予感です。

 バイクをしまい、車でヒイたちのところに行く。

「お待たせ、何か喋ったか?」

「いえ、何も話しません」(ヒイ)

 30歳位の男だ、頭に鳥の羽が付いてる。オウギワシみたい。

「これって鳥人族かな」

「鳳凰族だ」(族)

 あっ、掛かった。

「鳳王国の貴族ですね」(ミヤ)

「あっ」(族)

「と言うことは、鳳王様の指示ってことかな」

「鳳王様が天帝様の使者を襲わせるって、反乱じゃないですか」(ミヤ)

 俺が念話を通じてミヤに言わせてることは内緒だ。

「これは大変だ。すぐに天帝様にお知らせしなくてはなりません」(ヒイ)

「ちょ、ちょっと待ってくれ。反乱ではない」(族)

「では、なんだというのですか」

「いま、鳳王国は、ちょっと、そのぉ、まずいので脅して帰ってもらおうかと考えました」(族)

「でもそれは、君が考えたことじゃないよね」

「いえ、俺が考えて、俺がならず者雇って、俺がやりました。ですから罰も受けます」(族)

 いくら言っても罰してくださいの一点張りだ。仕方ない。


「あのー、さっぱり分からないので説明してもらえますか」(茜)

 茜が代表して聞いてきたので説明した。

 まず、手際が良すぎた。カーブの向こう側にバリケードを築いて、俺達を止めておいて前と後ろから挟み撃ちにする気だった。俺達が先に気付いてカーブの手前で止まったので、囲んで襲うはずが戦力が前方向からの2回投入になった。おかげで囲まれることなく排除できたわけだが人数が多すぎる。これはある程度、護衛の付いた団体を狙った行動だ。普段からこの人数をかけて襲撃を繰り返してるとは思えない。天都にも情報が上がるだろうし、あれだけの人数を満足させられる実入りがあるとは思えない。そこから俺達を狙った作戦と気付いた。それならば見届け人が居るだろう。そこでヒイを走らしたら、まんまと居たわけだ。


「反乱と言うのは?」(真白)

「それは、鳳王国の貴族に鳥人族って言うとすぐ怒って、鳳凰族って言い直すって聞いたからカマを掛けた。さらに、反乱って言葉でプレッシャーを掛けた」

「見事に引っ掛かった訳ですね」(真白)

「でも、あの族は脅してる感じじゃなかったです」(ミヤ)

「それは君達が綺麗で可愛いから、邪な気持ちを抱いたんだろうね」

「私が綺麗で可愛い、私が・・・」(真白)

 真白は暫く帰って来ないな。

 男を治してやって拘束する。ここで寝るのも嫌だからもう少し進もう。


 少し前進して適当な広場を見つける。家を建てる。

 ご飯の用意をさせる。

 ナビさんに疑問をぶつける。

『あの子達、人を殺したことに参ってないね?』

『私が精神を強化してます。この世界で生きるには、日本の環境は優しすぎます』

『そうか、ありがとう。もしかして俺も?』

『はい』


 拘束を解いた男に飯を食わせる。

「俺をどうするつもりだ」

「鳳王国へ連れて行って、事情を聴く」

「無駄だ。どうせ、俺は切捨てられる」

「そうだろうな。だが俺は、あの子達を危険な目に会わせたことを許すつもりはない」

「40人殺しておいて良く言う」

「殺さなければ、少なくとも俺は殺され、あの子達は慰み者にされた」

「俺は、脅すだけだと言った」

「お前も見たはずだ。俺達は脅されてない。奴らは交渉せずに襲ってきた」

「・・・・・・」

「今、俺が帰って、天帝様にお恐れながらと言ったらどうする」

「そんなことをされたら」

「分かるな、お前達はそれだけのことを仕出かしたのだ。もう俺に協力を仰ぐことしか残ってない」

「協力してくれるのか。」

「お前達のやってることが正しいことならな。俺は転移者を出来ることなら連れて帰りたい」

「分かった、俺を連れて帰ってくれ。上司に許可を取る」


 彼の名前は、ハンス、王城で近衛兵をやっている。今はそれぐらいしか話せないそうだ。今日やったことは紙に書いてサイン貰っといた。


 次は彼女たちを労わなければ。風呂上がりに女子トークしている奥の間にノックして入る。

「今日は、ご苦労様。皆良く頑張ってくれたね」

「「「「はい。」」」」

「まず、ミヤ、初めてとは思えないすごい活躍だったね。必殺技ポーズ、カッコ良かったよ」

「はい、ナビさんに恭平様が喜ぶって聞いて練習しました」

『ナビさんどういうことですか?』あっ無視した。

「ヒイもすごいね。もう50mでも確実だね」

「はい、練習しました」

「茜、よくやってくれた。自分達を守る力だ。これからも頼むよ」

「はい頑張ります」

「真白、君は守りの要だ。判断が難しい中、よくやってくれた」

「ヒイちゃんが助言をくれて助かりました」

「皆、ありがとう。お礼に明日のお昼にケーキを付ける。」

「「「「やったー」」」」

「ハイジ、お出で、君はケーキは駄目だから、いいお肉をあげる」

『やったー、牛が良い』


 今日は手前の部屋に俺、ハンス、ハイジが寝る。


 鳳王国調査 六日目(転移74日目)

 8時 出発

 ハンスが変なことをしないように後右に座らせ、後中にハイジ、後左に近接最強のミヤ、中右に結界の真白、中左にヒイ、助手席に茜だ。


 11時30分 王都手前で昼食、昨日の約束通り昼食後に好きなケーキと飲み物を用意した。もちろん、ハイジにはステーキを焼いてあげた。ハンスにもケーキを上げたらビックリしてた。


 13時 王城の正門前で止まる。

「ハンス、俺はここで待つ。1時間しても出てこなければ天都に帰って報告する」

「分かった。何かしらの結論は貰ってくる」

 ハンスは王城の中に入って行った。

「君達は昼食を食べた辺りで隠れていてくれないか。何かあったら念話で連絡する」

「そんな、私達も残ります」

「君達が天都に帰れる状態にないとこれからの交渉が難しくなる。それに一人なら何があっても帰れるさ」

 何とか納得してもらって車は離れて行った。


 14時 ハンスは上司と見られる男を連れてやってきた。

「待たせたな。この国の宰相様だ」

「この度は、多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」

「では、転移者の引き渡しと天都に報告できなかった理由をお教え願いますか?」

「ここでは、人目がございますゆえ、王城の中でお願いしたいのですが?」

「分かりました。しかし、私に何かあったら、残りの者が天都に連絡に走りますよ」

「大丈夫です。もうこうなってはあなた様に縋るしか方法が無いのですから」


 王城内の一室に通された俺は、そこで二人の少女を見た。日本人と思われる少女とオウギワシの羽飾りのある少女だ。

「この方は鳳王国太子カルサリア様です。そして隣におられるのが転移者の岸谷蒼伊様です」

 太子は、灰色の髪で北欧風の美少女だ。蒼伊は、青っぽいロングヘアの可愛い系の美少女だ。二人とも15、6歳に見える。

「岸谷蒼伊です。16歳で出身は茅ヶ崎です」

 俺も名乗っておいた。


「お願いと言うのは、鳳王国国王は1か月前に亡くなり、本来ならカルサリア様が葬儀を行い即位するはずだったのですが。わが鳳王国では、国王が亡くなると鳳の神殿に報告して、即位の許しを頂かないと即位できないのです」

 宰相は一区切りつけると出された茶を飲み干して続けた。

「神殿はここから歩いて3日程の山の中にあります。そこに行ったのですが途中に巨大な虎が2頭出て近づけないのです。今までに30人以上の犠牲者が出ています。あなた達は、非常にお強いと聞きます。何とか虎を退治していただけないでしょうか」


「本来であるならば、国王の死去と即位の報告をして、天都に報告して即位の式を行うのですが。出来ないのです。また、虎のせいで即位できないなどとても信じて貰えるとは思えず、お叱りを受けるかもと先延ばしにしておりました。また、蒼伊様は事情を知ってしまい天都に送れなかったのです」


「虎の大きさは?」

「はい、4~5mはあると聞き及んでおります」

 合体魔獣だな。さてどうする。


次回虎退治です。

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