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第十七話 南へ

鳳王国へ出発です。

 天都八日目(転移68日目)

 予定が結構空いたので各自いろいろな訓練をして冒険に備えている。


 俺は、別の部屋を使うことになったので、家の奥の間6畳を8畳に改造。風呂場の脱衣場を拡大、

 魔導洗濯機を置く、それから新しい異能の研究だ。


 再生制御は生物の怪我や病気を治す異能だ。脳が活動していれば、どんな状態でも治りそうだ。ただ、直すのには相手の治癒能力を利用するのだが、そのエネルギーは俺が供給しなければならない。時間とエネルギー補給に問題が残る。


 結界制御は、バリアを張ることが出来る。複雑な形状は時間が掛かるが、立方体や球形だとすぐ出来る。矢や刀の攻撃は通らなかった。結構丈夫だし、張りっ放しも可能だ。維持の魔力は多くない。


 茜は再生制御、真白は結界制御を訓練。またバイクや車、船の運転も訓練している。

 武器は、茜は剣を、真白は弓矢を特訓中である。インストールがあるので即戦力です。革鎧製作中。


 二人の参加でミヤの相手役から解放されたヒイは鏃の形を気功で造り、色々なパターンを研究中である。


 ミヤは、すでに小太刀を習得、合気道と千本の合わせ技で超近接無双状態である。最近は打撃技に興味を示し、色々な格闘技を試している。


 ハイジは大きくなってミヤ、ヒイの相手をしていたが、追いつけないので、今は普通の大きさのオオカミで活動している。口で短刀を銜えて戦うスタイルを模索している。普通サイズの革鎧とヘルメットを作ってやった。


 第2回文化文明改革会議がありスポーツ、剣術大会の名称が帝国体育大会に決まったよ。事務局も立ち上がって俺達はオブザーバーとして参加だ。工房はこの世界の技術では造れないものが多く存在し、特にクランクシャフトは絶望ものだ。俺もどんな金属が必要なのかは解るが製造法が分からない。この世界にはドワーフはいないらしい。大まかな技術は学校で習ったので、こちらの技術者に教えて研究させることにした。宗教はリョウカ様を担当に決めた。勲章は候補者選びに入ったよ。


 昼食後に天帝様から呼び出しがあったので、帝の間へ行く。

「浅野恭平、お呼びにより参上仕りました」

 片膝で口上を述べる。左大臣が話し出した。

「大儀である」

「お主も知っておる通り、南の転移者が来ぬ。鳳王国へ問い合わせても、まともな返事が来ない」

「そこで恭平に鳳王国の調査と南の転移者の帝国への護送を命じる」

「尚、旅費20万デムは先払いである。成功報酬などの詳細と費用は治部省に行ってくれ」

「は、御命令を必ず果たします」


 費用は貰ったけど詳細は殆ど不明。王都の場所が広州だって、往復三千キロの旅か、用意しますか。

 順調に行って10日、まあ倍くらい用意しとけば問題ないよね。ご飯の在庫は後1週間分位だ。2週間分買い足そう。野菜の在庫はあまりないので出来るだけ買おう。出来るだけこちらで買った方が安い。肉、卵、魚、調味料は日本で買った方が安い。


 米は焚いて御飯にする。野菜は寄生虫対策で必ず火を通すので温野菜にしておく。ヒイとミヤが担当。在庫のご飯の半分はおにぎりにする。茜、真白担当。出来た端から次元収納へ入れておく。


 寝具はカクタスのが余ってるが転移者は女の子らしいので新調する。

 車とボートは点検する。オイルも交換しておいた。


 エンジンだがガソリンエンジンだと4サイクルの吸気、圧縮、燃焼、排気の内、動力として使ってるのは燃焼だけだ。ゴーレムは上昇、下降の2サイクルで2サイクルとも動力として活用される。つまり、単純に言えばゴーレムはガソリンエンジンの4倍のパワーが出てるんじゃないかってことだ。計測器が無いから分からないが、車もボートも4気筒の内2気筒分を外しても十分なパワーが出ていることがわかった。本来はギア比の変更をするべきなんだろうが、こちらの技術では如何ともしがたい。何にせよ、魔力が半分で済むのは嬉しい。


 明日 朝出発することにした。


 今夜は、戦いになった時の最終確認だ。前衛は、俺、ミヤ、茜、ハイジ、後衛がヒイ、真白だ。天都に来るときには色々あったが何もないと良いな。


 鳳王国調査 一日目(転移69日目)

 8時 出発

 今回は、助手席ミヤ、中右ハイジ、中左ヒイ、後右真白、後左茜だ


 12時 南陽と襄陽の中間位で昼食


 18時 荊州の手前で夜営。

 時々、茜、真白に運転をさせたが問題なし。寝室は奥の間がヒイ、ミヤ、茜、真白。手前の部屋が俺とハイジだ。早めに就寝。


 鳳王国調査 二日目(転移70日目)

 8時 出発

 長江を渡る。


 12時 穣徳の手前で昼食。


 18時 漣原辺りで夜営。


 鳳王国調査 三日目(転移71日目)

 18時 劭陽 夜営。


 鳳王国調査 四日目(転移72日目)

 18時 山の手前で夜営。

 周りに人家も無くなってきた。


 鳳王国調査 五日目(転移73日目)

 ここから鳳王国だ。

 12時 山の中で昼食。脳内地図では、明日には王都に到着する。

「恭平様、あそこに煙が見えます」

「狼煙かもしれないな」

 ミヤの発見にヤバイ予感がする。

「どういうことですか」

「前にも後ろにも人はいなかった。つまり、俺達のことを遠くにいる仲間に伝えたのかも知れない」

 真白の疑問に俺は答える。

「来るなら明るい内だ。みんな武装しろ。」

 暗くなると襲う側も用意しにくい。みんなが革鎧を着こむと出発した。

「多分、俺達が護衛を連れていないカモに見えたんだろう」


 15時 それは、ナビさんの声で始まった。

『左前の林に武装した賊が居ます』

「停車する。真白、前衛が下りたら、結界で車を包め」

「周囲の安全が確認出来たら、結界を解いて参戦してくれ」


 俺たち前衛が車を降りると前の林から14人の山賊たちが出てくる。

 一人が向こう側に走る。恐らく道の曲がった向こう側にも山賊が居るのだろう。

『林の中に弓矢を持った賊が4人居ます。』

『ヒイ、頼めるか。』

『分かりました。』

 車の後席の窓が少し開くと矢が発射される。4人が倒れるのに10秒かかってない。

「よし飛び道具は潰した。行くぞ」


 まずミヤが飛び出す。そのままの速度で賊の間を突き抜ける。4人が倒れた。

 次はハイジだ。新武装でヘルメットの左右に短刀が飛び出す仕掛けを作っておいた。致命傷は難しいが戦闘不能にしていく。茜は、ハイジの後を追って体制の崩れた賊を打ち取っていく。

 俺は、賊の前面に立ち、掛かってくる奴を片っ端から切捨てる。

 俺達から離れた所に居る賊に矢が立つ、ヒイと真白が参戦したのだ。


「ミヤ、戻れ!!真白、結界を張れ」

 前に行った奴が仲間を連れて戻ってきた。残ってる奴らも合流する。俺も結界を張る。

 林の4人と合わせて16人が倒れている。矢が飛んでくる。結界に当たり、跳ね返される。

 まだ、20人以上いる。矢が利かないと見て、突っ込んでくる。


 またミヤが突っ込む。一人斬った後、大男二人に行く手を阻まれ、二人同時に上段からの斬撃を許してしまう。が、そこにはもういない。ジャンプして斬撃を躱して伸身の一回転一捻り、その間に短刀を逆手に持ち替え、大男二人の頸動脈を切断。二人を飛び越えたミヤは、後ろに居た賊の剣を踏みつけ、首筋に短刀を突き刺す。くるっと回って、前で両手を交差させて、ポーズを決めた。

「猫人殺法、藤の舞」

 族がヒェーとか言ってるよ。ナビさん、いらない知恵付けたな。


 ヒイと真白も参戦すると見る見るうちに賊が減っていく。ミヤが3回目の突入を試みた時には、立っている賊はいなかった。


「ヒイ、前に行って誰かいないか見て来てくれ。居たら、殺さないで捕まえてくれ」

 ハイジの鎧を取ってやると大きくなって、ヒイを乗せて駆け出した。


 俺とミヤもバイクに乗って後を追う。ヒイがゴーレム馬に乗った男の左手左足を射抜いて落馬させたところだった。

「ヒイ、ミヤ、こいつが逃げないように見張っててくれ」


 バイクで戻り、死体と武器を谷に落とし、何人か生きてる奴が居たので尋問することにした。

「誰に頼まれた。教えてくれたら、傷を治してやってもいい。」

「前に居る奴だ。名前は知らねぇ。多分、王城の奴だ」

 一人だけ傷を治して武装解除して逃がしてやった。後の奴はとどめを刺して谷底行きだ。


波乱の予感です。

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