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第十六話 近衛兵の実力

ヒイとミヤが試合をします。

「宗教の方はまだ、整っておりませんので次回にお願いします。」

 この国の宗教は、千年以上前に君臨した天帝達を神格化して祭っている。リョウカ達巫女は、神たちの世話や神事も行うが神託を聞けるというのが凄い。俺を見つけたのも6年前の神託だそうだ。この世界の神は実在する。


 会議は文明の方に移った。

「工房を造り、一つは開発した製品の販売。二つ目は、技術の伝達と開発を行う。その人員と費用は参加する領主に用意して頂く」

「製品の量産については参加した領主は無料、他は開発手数料を徴収する」

「最初はゴーレム機関とその利用。具体的には、新ゴーレム馬車の生産販売、船用船外機の生産販売」

「工房の費用は天帝様が捻出、販売利益より返却する」(拍手)(異議なし)


「第一回文化文明改革会議を終了します。各自第二回は文化部は事務局の設置、文明部は進捗具合の報告になる予定です。関係部署は協議しておいて下さい」

 会議出席者

 主催   天帝

 実務者側 宰相 右大臣 左大臣 軍務大臣

 提案者側 恭平 茜 真白 カクタス 

 おまけ ヒイ ミヤ


 21時30分 戻る道すがらカクタスに言った。

「大丈夫か、あれって近衛兵に喧嘩売ったようなもんだ」

「知るか、俺の夢、返してくれ」

「お前を会議に出した、俺の責任か」

 溜息しか出ません。はい。


 23時 まだ、奥の部屋で声が聞こえる。子供達、朝起きられなかったら怒るぞ。


 天都三日目(転移63日目)

 6時 ヒイとミヤが起きてきた。顔洗って食事の用意だ。

 7時 茜と真白をミヤに起こさせた。二人とも朝が弱いらしい。

 俺達は先に食事を済ませ、ヒイはハイジの散歩、ミヤは後片付け。

 俺はテーブルに座って工房の図面と必要設備を書き出す。

 転移組は前で朝食中だ。


 ヒイとミヤが表で訓練を始めた。

 今日は合気道からか。すこし見てやる。

 これは俺も危ういわ。

 今度は、短刀とナイフの戦いだ。ヒイが打たれ役ばかりになるので、脇差型の木刀を渡して、剣術の名人をインストールする。井倉さんじゃなさそうだけど。


 凄まじい戦いになる。転移組も見に来た。徐々に周りに人が増え始めた。

 ヒイが瞬時に最速で足を払いに行く。ミヤは飛んで回避、そのまま空中で半捻りして着地。ヒイは地面を滑って距離を取る。今度はミヤが低い体勢で近付き、腹を突く、ヒイは体を捻り、ミヤの首を払う。ミヤは低い姿勢のまま前転し、伸びた足がヒイの顔を狙う。手でガードするがそのまま倒される。ミヤがそのままグルっと起き上がって短刀を首へ。

 周りから拍手が寄せられる。二人は恥ずかしそうだ。


 あれ青い顔した革鎧を付けた奴がこっちに来る。

「あの浅野恭平さんですか?近衛隊の者ですが。隊長が訓練場まで来て欲しいとのことです。」

 近衛兵が弱いってカクタスが発言したから文句を言いに来たのね。でも子供たちの訓練見てビビっちゃったのね。

「近衛隊の隊長さんが何の御用でしょう?」

「はい、訓練について、ご意見を頂きたいと」

「そうですか、未熟では御座いますが御参考になるのであれば。ところでうちの子の訓練、どう思いますか?」

「私のような未熟者では見当もつきません」


 訓練場へ行くと言ったら野次馬まで、皆ついてきちゃった。

 隊長さんに挨拶した。

「君がカクタスが教導してほしいといった恭平君だね?」

「はい、そうです」

「一手、我々に見せてくれないかね?」

「では、そこに並んでおられる方、左から5人来てください」

 5人がにやにやとしながら俺の前へ並んだ。木剣を用意してもらった。

「今から一対多数の時の足さばきについてお教えします」

「では適当に掛かってきて下さい」

 一人目が上段から掛かって来た所を右足を引いて躱し、頭を打つ。

「このように二人目は一人目が邪魔で掛かって来れませんね」

 一人目が退いたため二人目が三人目と合わせて掛かって来た。

 これは左足を引き90度回転して三人目を打つ。そのまま二人目の後ろに回って頭を打つ。

 四人目、五人目が掛かって来たので同じようにして倒す。

 野次馬から”おお”と言う声と拍手が来た。


「隊長さん、どうですか?」

「見ていても信じられん。まるでうちの隊員が打ってくださいと言ってるようだ」

「剣の理を知らない人が相手ならそうなります」

「もっと人数が居てもできるのか」

「今の様に皆さんが見える速度でと言うのは難しいでしょうね」

「左様か、見ても解らんのでは意味がない。君も天帝様の仕事で忙しいのであろう」

「どうだ週に一度、練習方法を教えてもらうというのは?」


「ちょっと待ってください。この方が強いというのは分かりました。しかし、我々が強くなれるのかは別問題。この方の教えを受けたというカクタスと私が試合してみたいと思います」

「分かりました。私は恭平殿の指導を一か月ほど受けただけですが、それでも宜しいか?」

 カクタスと副隊長が向かい合う。

「では副隊長とカクタスの試合を開始する」

 始めの合図で副隊長が素晴らしい速度でカクタスに打ち込む。カクタスは、余裕で躱す。うーん、副隊長、丸見えだ。カクタスが小手を軽く打って試合は終わった。

「これ程とは、カクタス、俺はまだ強くなれるのだな?」

「はい、副隊長。」

 がっつり握手した。流石、脳筋、熱い展開だわ。

 でも陰湿ないじめとか無くてよかったよ。週に一度の講習でケリがついて良かったよ。収入源確保だぜ。


 そろそろお昼の用意をしなくっちゃ。

「今日のお昼は何にする」

「ラーメン」(ヒイ)

「味噌ラーメンとおにぎり」(ミヤ)

「私も味噌」(茜)

「じゃあ、お昼の準備開始」

「「「「はーい」」」」

 人数が増えた。うちの台所は狭いから4人はつらいかな。まあ、楽しそうだからいいか。

 そうか、転移組は魔力が無いから魔導コンロが使えないんだ。

 トッピングはゆで卵、ハム、温野菜、ネギ、薬味は七味唐辛子。おにぎりは、具無しの海苔だけ。


 後片付けが終わって、転移組が話があるそうだ。

「二人で話し合ったんだけど、あなたと居させてほしいの」

「俺と共に生きるなら従者になってもらう。俺の為に働いてもらうが無茶は言わない」

「従者になるとどうなるの」

「まず、俺と回路で繋がる。身体強化で病気にほとんど罹らない。身体能力は3倍になる。技術が覚えやすくなる。念話で離れていても話せる。大きいのはこれくらいかな」

「命令に逆らえなくなるとかは無いの」

「ないよ。全く自由だが、俺のことを尊敬してないとなれないみたいだ。あとは俺が保護して良いと思うかだ。それと君達が望めば解除する」

 この世界で女の子が一人で生きていくのは難しい。誰かに頼らざるを得ない。それが俺でも構わないが感謝もされないのはつらい。

「昨日ね、ヒイちゃんとミヤちゃんの話を聞いたの。あの子達の境遇がとても信じられなかった。私達はとても耐えられないわ。それにあの子達への優しさと強さ。この先どうなるか分からないけど、あなたと居れば楽しく暮らしていけそうだわ」

「「私達をあなたの従者にしてちょうだい」」

 ちょっと胸がきゅんとした。

「分かった。」

『時任茜、岩見真白と従属の回路が形成されました。異能再生制御と異能結界制御がコピーされました。二人に魔力回路が形成されました。身体強化、脳内地図、念話、インストールスロットが形成されました。』


「魔力回路が出来たってコンロも照明も使えるよ」

「本当!!」

 台所で試して、”点いた、点いた”って喜んでる。俺も二人が運んでくれた異能を使えるようになった。


天帝様からの御依頼です。

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