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第十四話 天帝様

天帝様登場です。

 食後、まったりとして、リョウカ様の部屋の応接間で、今日のスケジュールを話し合う。

「では、竜王府に行って、何も無ければ王都観光で良いですね?」


 ドアがノックされる。カクタスが誰何する。

「竜王府の者です。帝城の返事が来ましたので、お知らせに来ました」

 ドアを開けると昨日の職員が礼をして入ってきた。

「リョウカ様、恭平様ともに、本日午後2時に帝城、帝の間で天帝様が接見されます。30分前には、帝城にお越し下さいますように。これは入城票になりますので。門兵、受付の者にお見せください」

「カクタス殿、貴殿は入城を持って護衛の任を解かれますので、そのまま、近衛府に御出頭下さい」

「なお、供の方、護衛の方も帝城にお出でください。帝の間には、入れませんが歓待するということです」

 一気にメモを読み上げると、使いは大きく息を吐いた。


 使いは、帰った。ヒイが大粒の涙を溜めて言った。

「お別れなんですか?」

「そういうことじゃな。長いような短いような半月であったが楽しかったぞ」

「天都観光位させて欲しかったですね」

「これからどうなるんですか?」

「わたしとアンナは天帝の巫女とその侍女として2年間、帝城暮らしだ。カクタスも近衛師団の一員として帝城で暮らす。分らんのはお前たちじゃ。分かったら手紙でも寄こすが良い」


 ヒイとミヤがわんわん大泣きを始めたので収拾がつかない。あれ、リョウカ様も泣いてる。

「リョウカ様・・・」

「うるさい、私もアンナと同じ15の乙女じゃ。少しくらい泣いても罰は当たらんじゃろ。」

 ええっ17,8かと思ってたよ、アンナさんのミヤへの対応なんて、もうお母さんだったよな。

 ちらとアンナさんを見ると、涙を溜めながらキッっと睨み返してきた。

「恭平さん、今、失礼なこと考えたでしょう」

 心、読まれました。怖い。

「とんでもない、この年で独り立ちってすごいなぁって、思ったんですよ」

 数え年だから実際14歳、中学生だよ。

「貴族の女は、大体15から18で結婚します。当然、15歳で母親になる方もいます。だから大人にならないといけないんです」


 俺は、実質36歳だから、別れも出会いも何十回と繰り返してきた。精神耐性もあるし、鈍感にもなるよね。

「なんで、お前、そんな冷静なんだよ。ズズッ」

 後ろでカクタスも泣いてたよ。俺だけ輪に入れない。どうすんだよ。


 地獄のような30分を終え、今日のスケジュールを考え直しましょう。

「早目にお昼を食べて13時にはホテルを出ましょう」

「わかったが、昼食は余人を交えず我々だけで食べたい。よってお前が作れ」

「ホテルの部屋の中でですか?」

「ベランダがあるであろう」

 全く最後まで無茶ぶりだな、この人は。


 麺類は服が汚れるかも、匂いの少ない物じゃないと。良し、中華を豪勢に並べましょう。

 まず、チャーハン、麻婆豆腐、八宝菜、餃子、小籠包、回鍋肉、青椒肉絲、肉団子、これくらいで良いか、できた端から次元収納に入れていく、収納内は時間経過が無いので温かいままだ。

 丸い中華テーブルがあると良いのだけれど無いから、二皿ずついつものテーブルに出してどこからでも好きな料理を取れるようにする。取り皿と、レンゲと箸で食べてください。


 皆でわいわい言いながら、同じ皿から料理を取る。中華の醍醐味だよな。

 青椒肉絲のピーマンが残るんだよね。知ってた。

 お腹いっぱい食べたので30分位休んでから、さあ、着替えてください。

 洋風のドレスだとウエストが危なかったかな。


 さあ、行きましょう。忘れ物は無いですか?

 13時20分に帝城に到着、門番の人に入城票を見せ、受付の場所を聞く。城内は広いのでまだ車に乗ったままだ。受付の前まで行き、皆を降ろして車を次元収納にしまう。カクタスの荷物を収納から出し、渡す。

「世話になったな。俺は近衛で揉まれてより強くなる。今度会ったときは負けないぞ」

「俺も下宿してたし、お互い様だよ。頑張ってくれ」

「「お兄ちゃん、さようなら」」

 ヒイとミヤも寂しそうだ。

 受付をし、行く場所を確認して、カクタスは去って行った。


 案内役に先導されて待合室に入った。

「ここでしばらくおまちください」

 アンナさんにリョウカ様とアンナさんの荷物を渡す。

 10分程経つとリョウカ様が呼ばれる。一人案内について行く。

 15分位で帰ってきて座る。

「浅野恭平様、帝の間までご同行願います」

 さて、いよいよだ。


「浅野恭平殿、お入りください」

 大きな観音開きの扉から中に入ると間口、奥行きとも20mくらいの部屋の奥に三段高くなった中央に玉座があり、そこにミヤかヒイくらいの少女が座っていた。その後ろに少し年上に見える2人の少女が居た。

「天帝様よりお言葉があります。近くによって跪きなさい」

 右横に居た壮年の男性が言ったので、5m位まで近づき片膝を着いた。

 天帝様は無表情に話し始めた。

「まず、恭平殿、あなたは故郷の地球には帰れません。」


「あなたの居た地球は、転移した直後、核戦争によって滅びたのです。従って帰ったとしても誰もいませんし、何もありません。それが帰れない理由です。数十年したら帰れるかもしれませんが?」

 ちょっと待ってくれよ。確かにウクライナとかあったけど核戦争するなんて。

「その時のあなたの街、藤沢の映像が残してあります。あなたの脳で再生します」

 あれは、鎌倉の方か、いやもっと遠い。上空で暴力的な光が、何も見えない白い闇だ。光が収まり暫くすると光のあったほうから破壊の波が家も山も吹き飛ばしながら迫ってくる。映像はそこで終わった。あれでは生きている人はいないだろう。いや、最初の光、恐らく中性子で即死していたか?


「次にあなたが転移した理由です。あなたは以前から私たちの注目する存在でした。多くの異能を持っていました。しかし、あなたの住む世界には魔力が無い為、それが発現することはありませんでした」

 俺の異能は、もともと持っていたのか。召喚に拠るものではなかったのか。

「あなたの能力は、核反応に含まれる魔力によって発現し、異世界への空間転移を発動しました。しかし、あなたの異能を一か所に運ぶには魔力が足りませんでした。それで私達はいくつかの異能を別の体に移すことに成功しました。それで私達は、あなたは空間的に距離の近い竜王国に転移し、異能を移された体はこの国の西南北にそれぞれ送りました。場所を分け、王城に送ったのは転移後のトラブルを未然に防ぐためです」

「つまり、あなたは自分で転移したのです。私達はその手伝いをしただけなのです」

 俺が自分で転移したって言われてもねえ。

『それは、事実です。私の前身であるAIを調べたところ、その形跡がありました』

 ナビさん衝撃の告白。

「それで異能を移した体ですが、この後ろに居る彼女たちです。南に送った一人がまだ到着していませんが。彼女たちは魔力回路を持ってないので異能は使えません」

「こちらが時任茜、再生制御の異能を持ってます。もう一人が岩見真白、結界制御の異能を持ってます。自己紹介を」

「時任茜です。鎌倉に住んでました。年齢は17歳です」

「岩見真白です。綾瀬に住んでいました。18歳です」

「浅野恭平です。藤沢に住んでいました。一応17歳です。」

 近いな。俺がこの子達を巻き込んだのか?いや、死んでしまうんだから助けたとも言える。


「あなたへの依頼ですがこの国、いえ、この星を生き返らせてほしいのです。あなたは見てきたと思います。旧態依然としたこの世界を。千年も変わらぬ世界を。このままではこの星は緩慢な死を迎えてしまうのです」

 具体的には文化と文明を進歩させろってことだね。


「報酬はどうなりましょうか」

「私です。つまり信帝国をあげます。私の帝配となれば信帝国を自由にできます」

「要りません」

 なんてことを言うんだ、この子は、親の顔が見たいよ。周りの重臣たちの顔が凄いことなってるよ。

「私では駄目ですか?」

「そういう問題ではありません。私は、自分を良い人間とは思いません」

「それは心配ありません。私はあなたを6年間、追い続けているのですから」

「報酬は後で考えましょう。依頼内容については持って帰って検討します」

「宿を取ってくれませんか」

「帝城に住むが良い。東宮御所が空いておる。それにこの子らの面倒も見てやってくれ」

 急に命令口調になったな、これが素かな。二人の少女も押し付けられた。これからどうなるの。


女の子ばかりですいません。

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