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5話 異世界転生

――転生者視点――

 私の話を聞いてください。

 実際に起こった本当の話なんです。


 その日私は、会社に出勤するために家を出ました。

 ちょうど30歳の誕生日だったので、スキップなんてしながら。

 そしたら目の前から、大きなトラックが私目掛けて突っ込んできたんです。

 痛い! なんて感じる暇もなく意識を失いました。

 そして、目を覚ますとそこには半裸の女性が……。


 これが先程、私に起こった出来事です。


「いやー、簡潔な説明助かるよ。あ、私は女神のアロマね。天界で転生の担当してるからさ、転生するまでよろしくね」

「は、はい……えっと……これ、自己紹介の流れですか? ですよね? す、すみません。私こういうのよく分からなくて」

「ああ、別に自己紹介しなくても大丈夫だよ。えー、どれどれ。あなたのお名前は勧興寺(かんこうじ) 童麗美(どれみ)。生前は独身で、趣味は仕事と――」


 アロマと名乗った女神様は、本のようなものを取り出し、ペラペラと捲り始めた。

 口からは、私の個人情報や私しか知らないはずの思い出が溢れている。


「あ、あの! は、恥ずかしいのでやめてください!」

「ごめんごめん、ついね。でもさ、私が女神だって信じてもらえたかな? ドレミちゃんしか知らないことも全部知ってるんだよ」


 ドレミちゃん……なんか友達っぽい。


「って、おーい。聞いてる?」

「あ、は、はい」

「じゃあ、信じてもらえたところで本題ね。ドレミちゃんには魔法が使えるファンタジーな世界に転生してもらいます。あ、拒否権はないんだけどね」


 拒否権がない……ということは私、今パワハラを受けている?

 神の立場を利用してのハラスメントって、誰に訴えれば良いんだろう。


「あ、今更だけど心の声とか聞こえてるからね。あと、ドレミちゃんもう死んでるからね」

「え」


 私の心の声が漏れてる?

 私の人権ってないの?

 あれ?

 私って死んでるの?

 え、じゃあ今の私は何?

 仕事に遅れるって会社に電話しなきゃ。

 あれ?

 でも、私は死んでるから……。


「あちゃ、フリーズしちゃったか。しかも、異世界転生についてまだ説明してないんだけどな……まあ、なんとかなるか」


 こうして私はまた意識を失った。

 かすれた意識の中であの女神様が話しかけていた気がするが、記憶に刻まれることはなかった。


 ――――――――――――――――――――


「わぁぁぁぁぁぁぁ! って、ここはどこ? 私は……私だ!」


 慌てて辺りを見渡すと、私は平原の上にいた。

 しかも、何故か体育座りで。

 確か、小さい頃はアウトドア派でよくピクニックに行ってたっけな。

 もちろん、1人で。


「あれ、これはなんだろう」


 体育座りを崩すと、横に本が落ちていた。

 表紙には『ゼロから始める異世界生活』と書かれている。


「なんだろうこのパチもん感……あ、著者はアロマさんだ。てことは、私の本?」


 恐る恐る本を手に取り、表紙を捲る。

 大きさは文庫本くらいで、厚さは少し薄いくらいだ。


『やっほー、アロマだよ。ドレミちゃんてば、気絶しちゃったから勝手に転生させておいたよ。大事な話は本にまとめてあるから、頭が痛くならないようにゆっくり読み進めていってね』

「転生って、夢じゃなかったんだ……って、何それ!」

『ちなみに、種族? 的なのを自由に選択できたから、ドレミちゃんの記憶から理想の種族を創造しておいたよ。その世界で唯一の種族の誕生だね。オンリーワンだよ! あと、年齢もドレミちゃんの理想の年齢の17歳に設定したから思う存分華の女子高生楽しんでね!」


 私はいつの間にか、人間を辞めていたらしい。

 それも、未確認生命体へと変貌を遂げて。


 華の女子高生という文字に、高揚を覚えたがそもそもこの世界に高校生という概念はあるのか疑問だ。

 というか、私は人型の種族なのだろうか。

 仕事の合間に読んでいたラノベでは、スライムや蜘蛛に転生した主人公もいたはずだ。


「えっと……手と足はあるよね。髪もあるし、胸もある……え? ちょっと大きくなってるかも……」


 手探りで、体の状態を確かめる。

 どうやら、私は人型で間違い無いようだ。

 モンスターや異形に変わっていたら、どうしようかと。


「良かった。でも、耳が長いわけでもないし、羽も生えてない。そういえば、この本には私の記憶から理想の種族を想像したって書いてあったな。私の理想……?」


 そういえば、奥手な私にしては珍しくサイン会に参加した作品があったような……。

 確か、吸血鬼とドリアードの日常を描いた作品だった。

 可愛い2人の女の子が不死の体を利用して破茶滅茶な出来事を繰り返すという話が、非現実的で話題にもなっていたな。

 その作品に熱中していた時は、生まれ変わったら主人公のキュウちゃんみたいな吸血鬼になりたいと妄想していた気がする。


「もしかして……」


 吸血鬼の特徴といえば、牙だ。

 確かめるように、歯の形を確認する。


「あ、ある! 牙だ! でも……これ八重歯と変わらない気がする……」


 牙と言うより、大きめの八重歯に近い。

 言われないと気づかないレベルだ。


 そこで私は、本の説明にはまだ続きがあるということに気づいた。

「早く捲って」とでも言いたげに、女神様のイラストがページの隅に描かれている。


『なんと、ドレミちゃんは吸血鬼とドリアードのハーフです! どう? びっくりした? また、気絶しちゃったかな。まあ、確定事項だからゆっくり受け入れてね。下に各種族の良いところをまとめておくから、目が覚めたら確認よろしく〜』

「って、次のページに種族とか書いてあったんだ……え、ハーフ? ハーフって何? ええ」


 流石にびっくりしすぎて気絶することはなかったが、驚いた。

 創造したという意味がやっと理解できた気がする。


 これから私はどうなるんだろう。

 仕事をすることが生き甲斐だっため、課せられた課題が何もないことに違和感を覚える。

 裸の状態で、未開拓の土地に放り投げられた気分だ。


 とりあえず、することも無いので、次のページをゆっくりと捲った。


 ――――――――――――――――――――


『吸血鬼とドリアードの特徴まとめ』


 ・不老不死

 ・血液操作(血液作成なども可能)

 ・眷属化(要契約)

 ・光合成

 ・熟成

 ・腐食


 細かいことは、他のページで詳しく解説してるから参考にしてね!

 仕事好きなドレミちゃんのことだから、職を探すと思うけど、その世界にはギルドという会社みたいなのがたくさんあるから、すぐに見つかるはずだよ。

 ちなみに私のオススメは『サルビアス』ってギルドかな。

 顔が良いギルドマスターが特徴のギルドだから気になったら行ってみてね。

 じゃ、異世界生活満喫してね。


 素晴らしい隣人女神アロマより


 ――――――――――――――――――――














敬体と常体が混ざっているのは仕様です!

もしかしたら変えるかもしれないですが、ドレミのキャラ設定はこの感じで行こうと思ってます。

あと、特徴を書いてて思ったんですけど、もしかしたら特徴をスキルみたいに分類しようか悩んでいます。

はっきり決まったら、本文で説明します!

では、よろしくおねがいします。

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