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16話 ギルド協会

――ギオラ視点――

 戦闘が終了した私たちは、集合してからしばらく休憩していた。

 戦闘と言っても、こちらに負傷者はいない。

 ドレミと戦っていた相手とニャンが戦っていたツル頭が、意識を失っていたくらいだ。

 そんな中何故か、何もしていないはずのウレレが熟睡している。

 無理に起こすのも野暮なので、このまま寝かせることにした。


「それで、その狼はドレミの眷属なんだ」

「は、はい」

「眷属ね……」


 ドレミの隣には、白色の毛に包まれた巨大な狼がいた。

 遠目からではよく分からなかったが、犬ではなく明らかに狼だ。

 それも中級とか上級とかは、話にならないレベルの大物。

 伝説級と言われても納得するほどの覇気を感じる。

 これが眷属と言うのだから驚きだ。


「挨拶が遅れて申し訳ありません。私めはドレミ様の眷属のファザーと申します」

「いえいえ、そんなに畏まらなくても」

「ギオラ様はドレミ様の恩人でもありますので」

「あ、そうなんですね。では、これからもよろしくお願いします」

「はい、こちらこそ。よろしくお願いします」


 ドレミの眷属、ファザーさんから謎の圧を感じる。

 まさに父親が、娘が連れてきた男に挨拶してるかのような……。

 いや、気のせいだろう。


「それでですね……ギオラ様の盟友ということで無下には扱いたくないのですが、この者を移動させては頂けませんか」

「あはは、やっぱり邪魔ですよね」


 ウレレは熟睡している。

 それもファザーさんの上で……。

 なんて、ふてぶてしい態度なんだ。


「いえ、邪魔という訳ではありません」


 あ、別にいいんだ。

 その、もふもふの毛で寝ても。

 今度私も寝させてもらおう。


「私めの体からは瘴気が溢れ出します。瘴気は魔獣や魔物を引き寄せると言われていますので、私めは身を潜めたいのです。もちろん、主様に身の危険があればそんなことは気にせず守り抜きますが」


 超上位種レベルになると存在するだけで精神を蝕む。

 大抵の冒険者は、思考することすらままならないだろう。

 詳しい理由は分かっていなかったが、もしかしたらファザーさんの言う瘴気が原因なのかもしれない。


「もうそろそろ、出発するので起こしても大丈夫ですよ」

「助かります。では、私めは失礼します」


 そう言うと、ファザーさんの実体は霧のように薄くなりドレミに吸い込まれていった。

 ファザーの上で寝ていたウレレは、ふわりと地面に着地する。

 地面に触れた衝撃はないのか、起きる気配はない。

 なかなか神秘的な光景だった。


「ギオラ、あいつと戦って勝てるか?」


 険しい表情のニャンが聞いてきた。

 本能的に警戒していたのか、ニャンはどこか緊張した様子だ。

 私だって身構えていたんだから、それが普通の反応と言える。


「私とは相性悪そうだからね。でも、負ける気はないよ」

「そうか……。なんか、上には上がいるんだな」

「らしくないね。元気がなくなった?」

「いや、ワクワクするよ。あたしは世界の広さを実感したからね」

「何だそれ」

「あたしは強くなるってことだ」


 それ以上強くなって、何をしたいんだか。

 世界でも救うつもりか?


「ぶわわわわわわ〜」

「お、ウレレも起きたね。じゃあ、インストリアへ向かおうか」

「あれ〜、ワンワンは?」

「ごめんなさいね、ウレレちゃん。ファザーさんは忙しいから、帰ってしまったの」

「ワンワン……」

「また、ウレレちゃん良い子にしていたら来てくれるかもしれません……よ?」

「分かった〜、ウレレ頑張る」

「うん、良い子ですね」


 ドレミがウレレを上手に扱っている。

 そして、ウレレはファザーさんをとても気に入ったみたいだ。

 見た目は儚げな少女だが、中身は幼児のように見える。

 不思議な少女だな。


 準備を終えた私たちは「インストリア」へ向け、平原を後にした。

 すっかり意気消沈したプシュワと『ダチュラ』のメンバーは、私の魔法で運んだ。

 風魔法を応用すれば重いものを運ぶことなど造作もない。

 多少無理をしたとしても、町で少し休めば気力は回復するだろう。

 談笑しながら、道を進む。


 ――――――――――――――――――――


「ここがインストリアという町なんですね!」

「家がいっぱいある!」


 初めて見たのか、ドレミとウレレは目を輝かせている。

 まあそれも無理はないだろう。

 工業が発展しているこの町は、見るからに都会だ。

 家は2階建てから3階建てで、いろんな種類の露店がびっしりと並んでいた。

 私の町も田舎だったから、このなんとも言えない高揚感は共感出来る。


「2人ともはぐれないようにね」

「はい!」

「ウレレは良い子!」


 と、言いながらもしっかりはぐれる2人。

 はしゃぎ過ぎだ。


「私、このままギルド協会行ってくるから。あの2人のこと、ニャンに頼んで良い?」

「別にいいぜ」

「それじゃあ、色々終わったらそこの噴水で落ち合おう」

「おう」

「よろしくね」


 目の前にあった噴水を集合場所に指定する。

 他に目印もないし、土地勘のない私でも覚えることが出来そうだ。

 仕事ができる女は頼りになる。

 こんな時にニャンのようなメンバーが居ると助かるな。

 ドレミもどちらかと言えばお姉さん系に見えたが、意外と残念形かもしれない。

 見た目じゃ、分からないものだ。


 私は引き続きプシュワたちを運びながら、ギルド協会を目指す。

 周囲から好奇の目で見られたが、私の顔の良さの方が印象が強いから大丈夫だろう。

 流石に声を掛けてくる者はいない。

 ニャンたちと分かれてから、少し歩いたところでギルド協会を見つけた。

 デカデカと『ギルド協会 インストリア支部』と書かれている。

 そこらの店や家とは、大きさがずば抜けていて存在感がすごい。

 パーティー単位では討伐不可能な魔獣や魔物が現れた時のために、ギルドが作られた。

 次第にその数が増えていったため、その時の王様は全てのギルドを管理するためにギルド協会を設営した。

 すると国民は、ギルド協会へ魔獣や魔物の討伐依頼を出し始めたのだ。

 最初は渋々承認し、ギルド協会から各ギルドに依頼を分配していたらしいが、徐々にギルド協会に利益が生まれ始めた。

 貴族までもが、自分の領地を守るためにギルド協会へ依頼を始めたことで莫大な資金が動いたのだ。

 こうして、国民の依頼までもギルド協会が管理すようになった。


 後にギルド協会は、町ごとに国営のギルドを設立した。

 ギルドマスターに指示した人材を配置することによって、管理を強化するためだ。

 こうしたギルドは王国ギルドと呼ばれ、国を守護することを目的とした騎士団に近い存在になった。

 王国ギルドに入るためには、実力試験や教養も必要となる。


 また、個人で設立したギルド、私営ギルドも様々な形で存在している。

 本来の目的である討伐を目的としたギルドや、武器作成から野菜開発まで各分野に特化しギルド。

 これらのギルドは、ギルド協会へ申請を出すことでギルドとして承認される。

 私営ギルドには、国営ギルドに対して依頼の分配が優先されないというデメリットがあるが、入団するための試験や教養は必要ない。

 つまり、誰でも気軽に入団することが可能だ。


 一応、『サルビアス』は()()()()()に分類されている。


「なんだこの無駄にでかい建物。私の顔が良すぎて、職員が流れ落ちてこないか心配だな」


 私の身長の2倍くらいもある大きな扉を開ける。


後半の説明、恐ろしく長いですね。

多分、後で見返しておかしい部分があったら編集します。

てか、ほぼ確定で直すと思います。

何となくギルド協会の体勢を伝えられればいいかなって感じでした。

では、勢いで明日も投稿できるように頑張ります。

よろしくお願いいたします。

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