WITH THE HERO まつ
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大きな背中から伝わる父の温もり。安らぎを与えてくれる暖かさが懐かしくて……そして、悲しい。これは二度と訪れる事のない、甘い幻なのだと気づいてしまったから。わたしにこんな安息は許されない。早く目覚めなくてはと逸る理性を、もう少しだけ、と弱った感情が包み込む。微睡みは手放しがたく、夢でもいいからいつまでも、と握りしめた服の感触は逃げるように手の中からすり抜けていく。
行かないで、と叫ぶ声は音にならず。
見たくない、震える瞳は意思に反してその光景をしかと捉える。
廃墟で向かい合う二人の男の姿を照らすように朝日が光の帯を垂らす。天を突くように掲げられた黄金の剣が、夜明けの光を跳ね返し輝いた。神聖さすら感じられる剣とは対照的に、持ち主の男は血と泥にまみれた醜悪さ。その男と向かい合うのは、この世界で一番大好きな、いつだって傍にいてくれたわたしのヒーロー。
黄金の剣が無慈悲に振り下ろされ、力を失った父の身体がぐらりと崩れ落ちる。
足元に倒れた父の亡骸を見下ろす男が振り返る。薄闇の中で瞬く鋭い眼光。真一文字に裂けた額から赤々とした血を流す悪鬼の如き姿。
許さない、と呟く。一度こぼれ落ちた憎しみは途切れることなく流れ出し、感情を沈めていく。許さない。許さない、許さない許さない許さない許さない許さない。
わたしの父を殺したお前を、絶対に許しはしない。
「──め、さま。──ひめ、さま──姫様」
耳慣れたしわがれ声が、ベルフラウの意識を悪夢から引き上げる。
「……ああ、フェルモンド。わたし、眠っていたのね……ごめんなさい、みんなが戦っているこんな時に」
「もう丸二日お休みになられていなければ無理もございません。本来であれば十分な休息をとっていただきたいところですが……継承式の準備が整いましたので」
美しく垂れた黒髪の下、瞳の端に出来た微かな水滴をベルフラウが何気ない動作でぬぐった事には、呼び掛けた老魔──フェルモンドは気づかぬふりをした。
「そんなに心配な顔をしないでよ。今日はわたしの晴れの舞台なのだから」
まだ少女らしさも抜けきらぬ、本来であれば庇護すべき対象である自らの主が気丈に振る舞う姿に、老魔の顔に隠し切れぬやるせなさが浮かぶ。
「本日よりあなた様がこの魔界の主。《魔王》でございます」
その表情を悟られぬよう、フェルモンドは執務室の椅子から立ち上がったベルフラウの肩に漆黒のマントを羽織らせる。
「ええ、偉大な先人たちに恥じないようにしないとね」
かつては先代の魔王であった父も身に着けていた漆黒のマントは否が応でも身に着けた者が負う責任と、それを背負うには小さすぎる自らの力量を少女に痛感させた。
お父様。きっと、みんなを守ってみせます。だから、少しだけ勇気を分けて。
ベルフラウは残るはずのない父の温もりを探るようにマントを握りしめた。
「大丈夫。しっかり役割は果たしてみせるわ……たとえ、わたしが最後の魔王になるとしても」
魔王城の広間には、魔界各地の統治を任された諸侯達が集められていた。一様に精悍な顔つきの諸侯らの中でも、帝国に隣接する二領を統治する鬼族の長、轟鬼とヴァンパイアの長、ヴラハムは血と埃で汚れた鎧を着けたままの姿であり、体から発する闘気がその場の空気を戦場もかくやというものにしていた。
「戦時下のこの状況で招集とは。あの爺、何考えてやがる」
「口が過ぎるぞ。フェルモンド様は魔王様亡き後、魔界中央の運営を一手に請け負っているお方。考えがあってのことだろう」
苛立たし気に毒づく轟鬼に一瞥をくれ、冷淡に言葉を返すヴラハム。その言葉に続いたのは、扉が乱暴に開け放たれる音であった。
「伝令より報告!先ほど帝国軍によってクラヤミの森が突破されました。前線軍は撤退し損耗は軽微ですが……殿を務めたヴォルフ様が戦死、されたとのことです」
広間にざわめきが上がる。それは、轟鬼、ヴラハムに並ぶと目される優秀な将を失った軍事的な意味での動揺が二割、広間に集まる多くの者が酒を酌み交わした友人を失った悲しみによる動揺が八割であった。
勇将の凶報による混乱のなかでいち早く我を取り戻したのは、多くの戦場を共にした将帥である二人であった。
「前線にはしばらくは耐えられるだけの戦力を送ってあったはずだぞ」
「ドラゴンに騎乗した増援部隊に強襲を受けた模様……旗には勇者のエンブレムが」
“勇者”の二文字にはその他の多くを語らずともその場にいた者に敗戦の理由を悟らせるだけの効果があった。
「ただでさえ圧倒的兵力差の戦い。さらに虎の子の勇者まで投入してくるとは。此度ばかりは帝国は本気で魔界を滅ぼしに来ているとみえる」
「ヴラハム、冷静ぶって分析している場合か。さっさと兵を出すぞ!」
「分かっている。足の速い我々の軍で敵の先陣を止める。時間稼ぎにしかならないだろうが、その間にこの城まで布陣を頼む」
身を翻し広間を去ろうした両将の目の前に、小柄な老魔──魔元帥フェルモンドが立ちふさがった。
「おい、爺さん。そこをどけ。招集の理由は知らんがそれどころじゃねえ。俺たちは前線に戻らせてもらうぞ」
「轟鬼よ──しばし、黙れ」
普段の好々爺めいた雰囲気からは想像できない、斬り捨てるような視線に轟鬼の足が止まる。諸侯らの中には自らに向けられたのではないその一瞥に、無意識に後ずさる者さえいた。
「卿らを集めたのは、新たな魔王の継承式のためだ。継承を行うとはすなわち。先代が亡くなられてより、この魔元帥フェルモンド及び卿ら諸侯に与えられていた統治権・軍の指揮権が新たな魔王の元に帰することを意味する。この時より新たな魔王、その命に絶対の忠誠を誓えぬ者はこの場を立ち去るがよい」
「新たな魔王……つまり、姫様が魔王の位に着くと。しかし、姫様はまだ十六になったばかり。魔王としての責任を背負わせるのはあまりに酷では……」
その場にいる全員の内心を代弁したヴラハムの問いへの返答は、少女の声でなされた。
「小娘が魔王では仕えることはできぬか」
美しい黒髪をひるがえし、ベルフラウはブーツの靴音を高らかに鳴らしながら颯爽と広間の中央に踊り出た。迷いのない足取りに、誰もが彼女の向かおうとする場所を悟り、道を空けた。空席となって十数年。魔界においてただ一人のみが座すことを許される玉座に躊躇いなくその身を治める少女。その姿は魔界に住む誰もが知っている。しかし、その身に纏う王威はどうであろうか。そこにいたのは先代魔王の忘れ形見として守られてきた姫ではなく、新たな主君として仰ぐべき魔王であることをその場の全ての者に悟らせた。
「どうなのだ、ヴラハム。卿はわたしに仕えることは出来ぬか」
「決してそのようなことは。姫様が覚悟をお決めになったとあらば、このヴラハム及び我らヴァンパイア一族。新たな魔王様に血の忠誠を誓います」
「卿らはどうだ」
広間に集まる諸侯らを見やった一瞥。それに対する答えは、すべての者が恭しく跪くという形で明確に示された。
「先代への忠義を忘れたことなどない。それは娘のあんたに対しても同じだ。この轟鬼、喜んで忠誠を誓う。だから、さっさと帝国の奴らを殺せと命令をくれ!ヴォルフのやつが死んじまった。早くしねえとこの城も危ねぇ。あんたの号令さえあれば、魔界の民は喜んで戦う。あんたのために命を賭ける」
戦斧を胸の前に掲げ叫ぶ轟鬼に続いて武器を鳴らす音が広間に轟く。
「卿らの忠誠に感謝する。では魔王として最初の、そして……おそらくは最後となる命令を下す。各自、直ちに軍を撤退させ、領地に戻れ。これより、己が民を守ることを卿らの第一の使命と心得よ」
熱気渦巻く広間に現れた反応は、時が止まったかのような空白であった。
「……おい、俺が勘違いしているのかもしれねぇから確認しておくぜ。姫様よ、その命令は俺たちに“あんたを見捨てて逃げろ”って言ってんじゃねえだろうな」
巨躯から放たれる静かな怒りを真正面から受け止め、若き魔王は応じる。
「轟鬼よ。その認識で間違っていない。我らの敗北は明らかだ。兵を無駄に殺す必要はなかろう。この戦は魔王たるわたしの命をもって収束させる」
「姫様!その命には私も承服いたしかねます。我らの祖先は人々に迫害され、滅びようとしていたところを初代魔王様に救われ、今に至るまで生きる場所を得ました。その恩義に報いるため、我々が命を捧げることはあれ、姫様が私たちの幸福にまで責任を負う必要はないのです」
口調こそ穏やかであったが、時に無機質とさえ評されるヴラハムの端正な顔には、轟鬼と同じ理由から赤みが指していた。その口上に続こうとした諸侯らの声は、床を突く杖の鋭い音で制された。
「“姫様”ではない“魔王様”だ。そして先ほど言ったはずだぞ。新たな魔王の命に絶対の忠誠を誓えぬ者は去れ、と」
フェルモンドの言に、しかし、と食い下がるヴラハム。それを小さく手を挙げて制すると、ベルフラウはそれまでの凛然たる表情を緩め、慈愛に満ちた柔らかな笑みを浮かべた。
「ヴラハム。“責任”というのは違うわ。あなたたちを生かすことは魔王としての、わたしの“誇り”よ。こんな小娘を魔王と仰ぎ、わたしを案じてくれるあなたたちの想いは嬉しく思う。だからこそ、わたしは魔王としての使命を果たしたい。父や、これまでの魔王がそうであったように、魔界の民を、大切な家族を、わたしに守らせて欲しい」
その言葉が議論を決着づける終止符となった。轟鬼が、続いてヴラハムがその場で深く一礼すると、無言で広間を出ていった。その背中を追うように、ある者は歯を食いしばり、ある者は天を仰ぎ、一人、また一人と己が無力と、成すべきことを胸に刻み、広間から去っていった。
「姫様。ご立派でございました」
熱気を失った広間には玉座にぐったりとその背を預ける少女と老魔だけが残された。フェルモンドの口から発せられた言葉は、労いの意よりも、あまりに若い主君が示してみせた王としての才幹への感服が多分に含まれていた。
「魔王様と呼びなさい。誰かに聞かれたらさっきの似合わない演技が台無しになるわよ」
「さようですな……しかし、今ぐらいは魔元帥ではなく、幼き頃よりあなたのお傍に仕えた、だだの老魔としてお話させて頂いてもかまわないでしょう。昔のように“じいや”と呼んでもいいですぞ」
いつの話をしているのよ、と力なく微笑んだ少女の口元は、次の瞬間には引き結ばれ、その隙間から弱弱しい声が漏れ出た。
「……ヴォルフが、死んでしまったわ」
「はい。しかし、軍が撤退することが出来たのは勇将であるヴォルフだからこそです。そうでなければ前線は全滅であったでしょう」
死んでいった部下が残した武勇への称賛。そんなものが優しいこの少女を救うことはないと知りながらも、フェルモンドは他に言うべき言葉を見つけることができなかった。
「去年の地方視察の時にヴォルフの家に招かれたの。彼、領主なのに豪奢な家に住むことを嫌っていてね。丘の上に建つ青い屋根の家で奥さんと元気な三人の息子達と暮らしていたわ。奥さんがパイの焼き方を教えてくれて、満月の夜だったから街のみんなも集まってきて、ワーウルフに伝わる舞いを踊りながら、遊び疲れて眠ってしまった子供たちをベッドに運んでね。毛布をかけてあげながら彼は言っていたわ……この日常を守りたいと」
形のいい唇から昔日の部下との思い出がぽつりぽつりとこぼれ落ちる。懐かしむような声は、最後にはか細く掻き消えた。
「どうしてヴォルフは死ななくてはならなかったの。彼が望んでいたのは当たり前の日常が続くことだけよ。彼だけじゃない。戦いで死んでいった他の誰だって、争いを望んでいなかった。ただ、誰かを守るために、生きるために戦った。なぜわたしたちは、魔界は、何もかもを奪われなくてはならないの」
ベルフラウは目を閉じると、大きな呼吸と共に胸の内に抱える激情を吐き出した。
「ごめんなさい、魔王がこんなに弱気になってはだめね。ちょっと外の空気を吸ってくるわ」
マントを揺らして去っていく華奢な背中を見送る老魔は、胸を突く痛烈な痛みを感じながら、自身の口から洩れる嘆息をきいた。
静寂に包まれていた魔王城に数日ぶりに戻った音は侵略者がその身を破壊する爆音であった。
「魔王の城とはどんなものかと思えば。あまりにあっけない。兵の一人もいないとはな」
薄く発光するような金の髪が魔王城の広間に踊る。一団を引き連れた勇者は、華美な装飾が施された白銀の鎧を身に纏い、口元に余裕の笑みを浮かべながら敵地に足を踏み入れた。その身に漆黒を纏う美しき魔王と白銀を煌めかせる勇者の視線が交差する。何も知らぬ者がその場面を見たとすれば、それは絵画のように完成された、美しい光景と評したかもしれない。しかし、交わされた言葉の応酬は美しさからかけ離れたものであった。
「そうか部下に逃げだされたか、哀れなやつめ。こんな小娘が魔王ではそれも仕方のない話、か。しかし、そちらの事情は関係ない。オレは面倒が嫌いだ。さっさと降伏するなら、命を助けることはできんまでも、楽に殺してやるぞ」
容姿の華麗さと不釣り合いな、どこか投げやりで粗雑な勇者の口調に、ベルフラウは冷笑をもって応じる。
「これは随分とおしゃべりな勇者よな……もしや、会場を間違えてはいないか。その顔と弁舌は戦場ではなく舞踏会でどこぞのご令嬢相手に使ったほうが良いであろう」
「心配しなくても、おまえの首を取ったら武勲とこの面を、権力者の娘にでもせいぜい高く買ってもらうことにするさ。そこの爺さん。あんたもやるのか。老人には親切にと教えられてきた身としては、胸が痛むのだが」
「気遣いは不要だ、若き勇者よ。先代をお守りできなかったこの命。ここで使うと決めているゆえ」
「……そうかい、難儀なことだな。っと、軽口が過ぎたか。まったく形式ってのは面倒だがこれも仕事のうちだ──魔王及び魔元帥よ。帝国の民の安寧を守るため、悪しきその身、王の剣たる勇者が打ち倒させてもらう」
たしなめるような仲間の視線に小さくため息をつくと、勇者は朗々と口上を読み上げ、剣を抜き放った。黄金の剣が放つ光に、ベルフラウの瞳に怒りの炎が揺れた。
「勇者のみが持つことを許される宝剣だ。たしか、先代の勇者がお前の父の首を切り落としたのもこれだったか」
勇者の言葉を聞き終わらぬうちに、ベルフラウは剣を抜き放った。
剣を振るう腕は鉛のように重く、肺は軋み肉体の限界を訴える。
黄金の尾を引いて振り下ろされる勇者の剣先をかろうじて弾き、ベルフラウは後方に飛び退く。直後、視界を覆う極彩色。炎と雷が猛獣のごとく荒れ狂い、襲い来る。
とっさに作りだした魔力障壁はその役割を十全に果たすことなく、衝撃で吹き飛ばされたベルフラウの身体は受け身をとることも出来ず広間を転がった。
「はっ、無様だな」
戦闘は一方的なものになった。かたや一流の戦闘集団、かたや半人前の魔王と、文官である老魔。そもそもが勝負にならない戦力差。さらに、圧倒的優位にありながら侵略者たちはわずかな隙も見せることなく一手、また一手と機械的なまでの正確さで戦闘を終局まで追いやった。
悠然と歩み寄る勇者に噛むような眼光を叩きつけ、立ち上がろうと力を入れた足は、動きではなく激痛をベルフラウにもたらした。視界は赤く点滅し、声は喉元を通過することなく呻きへと変わる。
もういいだろう。痛みの激流を浮遊する意識がそう囁いた。はなから勝てるはずのない、最後の魔王としての誇りを守るための戦いだ。ここまで戦えば、その目的は十分に果たされたはずだ。
しかし、どんなに諦めようとしても魂はまだその炎を吹き消すことを許してくれない。指先から、腕、膝、腹、肩と、一か所ずつ、力が残されていることを確かめるように、最後の力を振り絞り、剣を支えにして立ち上がる。その姿に、不快そうに眉を歪めた勇者の表情を見やったベルフラウの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
「なにを笑っている。気にくわん……気にくわんが、最後の魔王よ、おまえのその顔、記憶の端程度には残しておいてやるよ」
台詞と共に、ベルフラウの首を断つべく、黄金の聖剣が振り下ろされた。
──瞬間、灰色の突風が両者の間の空間を裂いた。
キン、と澄んだ音に続いて、黄金の刃が宙を舞った。
瞬きばかりの静寂の中、ベルフラウは突風の正体を見た。
灰に薄汚れた襤褸のようなローブを纏った老齢の男。ローブの下に覗く鋭い眼光は、少女の心の奥底で燻り続けていた憎しみの炎を紅蓮に燃え上がらせた。
一方の勇者は、自らが握る聖剣が刃の半ばで折れているのを唖然とした表情で見やると、すぐに事態を理解し、腰に差した二本目の剣に手を伸ばした。しかし、その手が剣の柄を掴むより早く、男の掌底が勇者の腹部に炸裂する。砕けた白銀の鎧を散らしながら、勇者の身体が瓦礫にまみれた広間を十数メートル吹きとぶ。その顔を血に染めながら、震える足で立ち上がった勇者が目にしたのは、地面に倒れ伏す仲間たちの姿であった。
「馬鹿な、いつの間に……、きさま何者だ。いや、その顔は……なぜ、あんたがここに!」
「きさまは……なにを、しにきた!」
くしくも、勇者と魔王が放った戸惑いと憎しみからなる問いは似通ったものとなった。
破壊された天井から注ぐ陽光が男を照らす。
「我が友との約束を果たしにきた」
ローブが取り払われ、露になった男の額には真一文字の傷跡が刻まれていた。
◇
刃が闇を切り裂く。瞬間、目の前で赤い光が弾けた。
続いてやってくる鈍い痛みと額を伝う血の感触。勝負を決定付ける刃の一閃。
それは、満身創痍で戦ってきた男の心に“敗北”の二文字を刻み込むに十分な一撃であった。
意識が消える直前の瞬きばかりの一時。男は自らの人生を振り返り、自嘲する。
強くなるために心血を注ぎ、全てを賭けてきた。それでもなお届かなかった。
だが、それも当たり前のことか。背負うものも、覚悟も、そして正義さえも、何もかもが紛い物の英雄。“奪う者”である俺が“守る者”であるヤツに勝てる道理は無かったのだ。
しぶとく消えまいとする意識の残滓。最後に瞳に映した光景はそれまでの男の生涯で最も美しいものであった。赤く染まる満月を背に、漆黒の衣装を返り血に染めた、強く美しい魔王が立っていた。
「騎士レオンハルト。そなたは勇者に選ばれた。その力を何に捧げる」
「我が力は国の安寧のために。我が決意は民のために──我が剣は王と共に」
遠い記憶。そこには勇者としての道を歩み始めた男がいた。
帝国でただ一人だけが名乗ることを許される《勇者》の称号。平和と希望の象徴。王に連なる家系から排出される当代一の英雄。歴史に名を刻む称号を戴いた誉に頬を紅潮させ、その胸に勇者としての誇りを抱いたのは男が二〇の時の事。しかし、若者はすぐに自らの理想の醜い正体を知ることとなった。
《魔界》とは、約二百年前に作り出された帝国の《平和維持機構》である。広大な帝国領土における分裂、反乱を防ぐため、万人の脅威たりえる共通の敵を作り出すことで、民の王政への感情を操作。また、対魔界への軍備費として税を徴収することで辺境諸侯に力を蓄えさせぬようにする。こうして帝国はこの地を平和に統治し続けてきた。これは極秘事項であり、事実を知る者は王とその側近、勇者、そして魔王に限られる──
「魔界はこの国の一部で、戦争は全て仕組まれたものだと。それでは魔界の民は、王が権力を維持するためだけに、いわれのない迫害と侵略を受けているのですか!」
「レオンハルト殿。言葉には気をつけるといい。それではまるで、あやつらが我々と同じ人間のようではないか。滅びるはずだった化け物どもを飼って役立ててやっているだけのこと」
「今まで魔界との戦争で死んでいった兵たちは、彼らは侵略者から国や家族を守るためと信じ戦い、そして死んでいきました……それが、こちらが侵略者であったなど、あまりに惨い」
「受け入れられぬのなら、勇者の任を降りよ。候補者のなかで一番見栄えが良い卿を選びはしたが、代わりはいくらでもいる」
その時になって男は自分の愚かさを悟った。勇者に選ばれたのは重ねた修練の結果でも、正義を貫く信念のためでもなく、民の人気を得るのに自分の容姿が、都合が良かっただけであった。断ったところで状況が変わるわけではない。ならば、自分の力で少しでも悲しむ者を減らそうと、男は役割を受け入れた。
強くあろうとした。紛い物の英雄だとしても、だからこそ、強さだけは本物でありたかった。男は娯楽や幸福を避けるように、血の滲むような修練を自らに課した。
汚職や増税により王政への不満が高まると、決まって魔界への侵攻が行われた。民は勇者の活躍に熱狂し。怒りは魔界の恐怖から守ってくれる王への信頼へとすり替わる。
何も知らず、国を守るためと信じて戦う兵たちを鼓舞する。
何も知らず、国を守るために抵抗する魔族を殺す。
男がどんなに努力をしようと、戦争という数千数万から成る殺し合いのなかでは、救える命は一握りであった。
“守ってくれてありがとうね”
“勇者様と一緒に戦うことができて光栄です!”
“いつか、僕も勇者になるんだ!”
民から、兵から、少年から、かけられる言葉の一言一言が男の心を切り刻んだ。虚構の笑みで応じているときにも、心では叫びをあげていた。
俺は民に感謝され、兵に尊敬され、少年が憧れる勇者などではなく、ただの卑劣な侵略者だ、と。
魔王と初めて剣を合わせたのは、勇者となって数年後のことであった。そのころには魔界への出征の頻度は次第に増え、求められる戦果も大きくなっていた。
“魔王自らが攻めてきたが、勇者がそれを打ち破った”
民が好む派手な物語を演出するため、兵たちが見守るなか一騎打ちを演じた。自分と同じように帝国の言いなりになっている傀儡。魔王に抱いていたそんなイメージは、一合打ち合っただけで吹き飛んだ。その剣筋は鋭く、手を抜かれているはずなのに、油断をすればすぐさま喉元を食い破られそうな威圧感。打ち合いの中で視線が交わった瞬間。魔王の瞳の奥に自分と同じ感情を見た。世界への怒り、帝国への怒り、そして何より権力に屈服し、民や兵を欺いている自分への怒り。
立場を同じくする二人の男が友人となるまでそう長い時間はかからなかった。
二人は人目につかない魔界の廃墟で落ち合った。ときに酒を酌み交わし、ときに剣戟を交わし、ときに馬鹿笑いをした。その一時は互いにとって立場の鎧を脱いで、ただ一人の男として過ごすことができる唯一の時間であった。
「娘は無事に生まれたが……妻は、助からなかった」
密会が始まってから十年ほどがすぎたある日、廃墟に現れた魔王は静かに告げた。言葉を返せないでいた男が魔王の顔に見たのは、悲しみではなく決意の表情であった。
「魔王の業を娘には決して背負わせはしない。私の代でこの因縁を断ち切ってみせる」
「俺も誓おう。その子が自由に生きることができる世界をつくると」
「勇者の誓約は命より重いと聞いたが、安請け合いしていいのか?」
「一人の女の子の笑顔さえ守れんようじゃ、勇者は名乗れん」
「ふっ、それもそうか……誰もが恐れる魔王と勇者だ。私たちならできるさ。頼んだぞ、相棒」
打ち合わせた拳を、男は強く握り締めた。
勇者になって二十年が過ぎ、男は四十になった。視察とは名ばかりの人気集めのための“巡業”を行っていた男は、帝都からの急な呼び出しを受けた。
「魔王を殺す、ですか……」
「ここ数年の不作に加えて、モリスン伯よる平民殺害を無罪とした判決で民の怒りが高まっている。目を逸らすための派手な手柄が必要なのだよ」
「しかし《魔王殺し》が許可されるのは後継者が育ってからだと聞いております。魔王の子が生まれたのは五年前、魔王の座を継承するにはまだ……」
「多少の例外はやむをえまい。全ては国の平穏のため。頼んだぞ勇者よ」
度重なる魔界への侵攻。その頻度は明らかに増加し、国が歪んでいるのは明らかだった。
くだらない政治と権力のために、必死で生きようとしている者を犠牲することが許せなかった。しかし、剣を振る事しかしてこなかった男が持つのは戦争で勝つための、誰かを傷つけるための力だけ。決定を覆す力も、友を守る力さえも持ちえなかった。
友を殺すことができるか。自室に戻った男は吐き気がするような自問に否と答えを出し、自らの首に剣を当てがった。黄金の剣の刃先が首に触れ、刀身に赤い線が流れた。その時、剣を握る拳を見やり、いつかの夜、廃墟で拳を合わせた友との誓いが鮮明に蘇った。
男は呻き声とともに剣を取り落とした。今ここで命を絶っては、あの日の約束を──友の娘が自由に生きられる世界をつくるという誓いが果たせなくなる……。
魔王も事の次第を帝国から伝え聞いたのであろう、次に廃墟で顔を合わせた二人はともに鎧に身を包んでいた。
「この十数年、何度戦ったかは覚えていないが、全力でやりあったことはなかったな」
「毎度負けるフリをするのにも飽きていたところだ。今回ばかりは手加減はせんぞ」
多くの時間をともに過ごした廃墟を舞台とした二人の戦いは一昼夜に及び……そして魔王の一撃を額に受け、男は敗北した。
──勇者として、欺瞞で舗装された道を歩んできた愚かな男の長い回想を終え。レオンハルトはゆっくりと瞼を上げた。見上げた夜空に光る赤い月。起き上がろうと力を入れるも全身を駆け回る痛みの大合唱に、もうしばらくの怠惰を享受することとした。
星々の光を薄く遮るように、煙がレオンハルトの目の前を漂っていく。風に流れてくる紫煙の出所を探ると、すぐ隣で魔王が地面に胡坐をかき煙草をくゆらせていた。近くには幾本もの煙草が打ち捨てられている。
「ずいぶん寝ちまってたみたいだな……一本くれ」
「これが最後なのでな、残りのもので悪いが」
口にくわえていた煙草を差し出す魔王。それを受け取る勇者。二人の間には先ほどまでの戦闘の激しさが嘘のように、緩慢な時が流れていた。
「娘が匂いを嫌がるから吸うのやめたんじゃなかったのか」
「最後の夜ぐらいかまわんだろう」
「それにしても魔王様よ、あの強さは反則だろ。炎が飛んでくるわ氷漬けにされるわ雷は落ちるわ、あんなの命がいくつあっても足りんぞ」
「そちらこそ、剣から光線を出すのはどうなのだ。建物が丸ごと吹き飛んでいたぞ」
「あんなのは派手なだけの手品みたいなものだ」
皮肉めいた賛辞と気だるさが運ぶ、終着点のない会話。煙草の灰が落ち、二人の間に心地よい沈黙が停滞する。ふりあおいだ夜空は白みはじめ、黒と白の緩やかなコントラストを描き出していた。
「計画はどうなっている」
「一割、といったところだな。あとの事はフェルモンドに任せてあるが、こちらの内情も帝国に監視されているのでな。すまんが人も物資も大きく動かすことはできない。……海を越え、まだ見ぬ大陸に共に戦ってくれる仲間を求める、か。我ながら呆れるほどに無謀な計画だ」
「心配するな。あとは俺一人でなんとかしてみせる」
「ああ、きっとお前はどんな無謀だろうと実現する。そういう男だよ。任せたぞ“ヒーロー”」
「ヒーロー?」
「子供の頃に遊んでくれた爺さんがよく言っていた。“人を救う者”、“願いに応える者”たしかそんな意味だとか」
ヒーロー。レオンハルトは噛みしめるように呟いた。それはきっと、隣で空を見上げている男にこそ相応しい言葉だ。
「剣を握るだけの力は残っているな」
覚悟のこもった魔王の言葉に、後悔と絶望の念がレオンハルトの胸中を満たす。
勝ちたかった。政治や権力なんて姿の見えないものに、この男を殺させたくなかった。
だから、男同士の決闘の果てに、勝負の結末としてこの男を殺してやりたかった。
「なんて顔をしている。それではどちらが殺されるほうか分からんな」
「……最後に、言い残すことはないのか」
「そうだな。悔いはあるが、全力は尽くしてきたつもりだ……だが、せっかくの勇者からの申し出だ。娘に言伝を頼む」
おそらく本人は気づいていないのだろうが。娘に、と告げた魔王の顔には深い笑みが刻まれていた。
◆◇
「フェルモンド殿、遅くなってすまなかった」
「よくぞ……よくぞ、お戻りになられた」
ベルフラウの窮地に現れたレオンハルトの姿に、フェルモンドの脳裏にはかつての主と交わした最後の会話が鮮明に蘇った。
『魔王様、レオンハルト殿のお人柄は私も存じております。しかし、勇者一人に魔界の、ひいてはベルフラウ様の未来を託すなど』
『フェルモンド。お前には苦労をかける。だが、私はあいつを信頼している。いざという時には腹をくくるやつだからな』
主に諭され、魔元帥として持ちうる全ての能力を用いて魔界を守ってきた。それでも、フェルモンドは心の中で半ば諦めていた。かつての魔王と勇者が魔界を救うために用意した計画は、計画と呼ぶよりは“夢物語”と評するほうが相応しいものであった。しかし、想像を絶する困難を乗り越え、勇者は帰還した。
「フェルモンド、どういうこと。あいつは父を殺した敵でしょう」
親し気に交わされる二人の会話に、怒りと疑いをないまぜにしたような、微妙な表情で詰問するベルフラウに老魔は深い頷きを返す。
「確かに。先代の命を奪ったのは彼の剣です。しかし、それだけではないのです。彼は先代魔王様が唯一の友と認めた御方であり。そして、あなたを守るために残された最強の剣です」
勝利を目前に、予想外の乱入者に盤面をひっくり返された勇者は、穏やかならざる心中を相手に悟らせぬよう動揺を喉元で抑制し、問いかけた。
「先代勇者レオンハルト。つまり、あんたは魔界の側についたってことか。だが、一人増えたところでなにができる。この城はまもなく帝国軍に包囲される。オレを殺そうが止まりはしないぞ」
「とりあえず、この嬢ちゃんを連れてどうにか脱出、と考えていたんだがな……どうやら増えたのは“一人”じゃなさそうだ」
遠くに飛ばしたレオンハルトの視線を追うように、矩形に切り取られた窓の向こうを見やった勇者の目に飛び込んできたのは、城下に広がる黒い波──視界の限りに魔界の旗がはためく光景であった。絶句している勇者の隣を駆け抜け、ベルフラウは城下に集まった部下たちに叫んだ。
「あなたたち、なんで!」
「魔王様よぉ!すまんが俺たちはあんたの命令に背かせてもらう!処分はこれが片付いたあとにいくらでも受けてやらぁ!」
「貴女様は、おっしゃいました。『大切な家族を守らせてほしい』と。しかし、その想いは我々も同じこと!魔界の民は、女子供から老魔まで、誰一人として、魔王様を──家族を守れなかった民として生きていくつもりはありません」
轟鬼とヴラハムに続くように、ベルフラウに呼び掛ける声が数十、数百と重なっていく。
言葉を失い、肩を震わせるベルフラウの後ろで、勇者はため息とともに苛立たし気に髪をかき上げた。
「降参だ。このまま生かして帰してもらえるなら、帝国軍はオレが責任をもって引かせる」
「あなた勇者として、最後まで戦わなくていいの」
「誇りなんぞに命を賭ける趣味はないからな。帝都に帰ったら辺境に左遷だろうが、死ぬよりはマシだ……だが、こうなれば帝国は近いうちに全力を挙げて魔界を潰しに来る。勝ち目は万に一つもないぞ」
勇者の言葉に、自然と広間に集まった者たちの視線はレオンハルトに集中した。その視線を鷹揚と受け止め、レオンハルトはベルフラウに歩み寄った。
「先代魔王から受けた勅命を果たしてきた。この世界にある国は帝国だけじゃない。海を越えた先には、こことは違う大陸があり、《自由都市同盟》という国同士の契約によって複数の国同士が助け合っている。十年もかかっちまったが、ようやく同盟のお偉いさんと話をつけることができた。《自由都市同盟》に魔界を迎えたいそうだ。魔王であるお前さんがこの申し出を受ければ、同盟各国は共に帝国と戦ってくれる」
海を越え、言語も文化も異なる大陸でその盟主と国を動かす盟約を結ぶ。その偉業はレオンハルトの口から、いささかも誇ることなく、こともなげに告げられた。
「命を拾った分の借りだ。その情報を使って帝国の侵攻を牽制しておいてやるよ。あとのことはせいぜいうまくやるんだな」
勇者らしからぬ男は手をひらひらと振り友人の家から辞去するかのような足取りで去っていった。ベルフラウはその背中を止めることなく、食えない男ね、と呆れたよう見送ると、レオンハルトの方に向き直った。
「共に戦う同盟国。それが、父があなたに託し、わたしに残してくれたもの」
「ああ。しかし、手土産はそれだけじゃない。お前の父から、最後の言葉を預かっている」
レオンハルトはなぜか気まずそうに咳払いをすると、記憶に刻まれた友から託された最後の言葉を読み上げた。
◇
『最後に言い残す事とかないのか』
『そうだな。悔いなど無いように生きてきたつもりだ。……だが、せっかくの勇者からの申し出だ。娘に言伝を頼む』
『会った瞬間に親の仇として叩っ切られなきゃ伝えてやるよ』
『では “強く生きよ” と』
『それだけでいいのか』
『……ああ』
『……』
『……』
『ならそれだけ伝えておく』
『……待て、やはりもう少しだけ』
『死ぬ前まで見栄張ってどうする。いいから、伝えたいこと、思う存分話せ』
『うむ。それでは──』
“ 娘よ。お前の成長を見届けるという父としての役割を果たせぬまま先立つことを許せ。だが、お前には助けてくれる多くの家族がいる。優秀な部下たちが、魔界の民たちが、そしてこの言葉をお前に届ける男が、きっとお前に自由な未来を運んでくれる。だから、お前は父ができなかった多くのことを経験せよ。美しいものをたくさん見よ。どうやらこの世界は見果てぬほどにどこまでも広いらしい。美味いものを食べよ。おまえの母はたいそう料理が上手だった。きっとその才能は受け継がれているはずだ。多くの者と話せ。姿も、考え方も違っていたとしても、喜びと、痛みを分かち合うことが出来る優しさをもってほしい。そしていつか、恋をせよ……いや、これは十分に大人になってからだ。相手は強く、知的で、心が広く優しい者。そう、父のような男でないと認めん。それに……いや、このあたりにしておこう。色々と言ったが、父の願いはただ一つだけだ。どうか── “
◆◇
「──どうか、お前の人生が幸福であることを祈っている」
勇者の口からもたらされたのは紛れもない父の言葉で、気づかぬうちにベルフラウの頬を伝っていた涙は、とめどなく流れ落ち、最後には嗚咽が交じった。
魔王城は夕暮れに染まり、城の外では新たな魔王の誕生と帝国軍を追い払った勝利を祝う宴会が催されていた。戦闘でぼろぼろになった広間のバルコニーからその様子を眺める男に、宴会を抜け出してきたベルフラウが並んだ。
「まったく、魔王に飲み比べを挑むなんて、みんな敬意が足りないのよ敬意が」
「そいつはいい部下を持ったな。さて、これで俺の役割は果たせたな。父親の敵だ。あとは煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
真剣な目つきで見つめるレオンハルトに、ベルフラウは呆れたようにため息をついた。
「なに言っているの。すぐに帝国軍への防備も固めなきゃいけないし、荒らされた領土の再建もしなくちゃならない。わたしの優秀な部下たちは忙しいのよ。だから自由都市同盟との話し合いをしに海の向こうまでついてくる、護衛兼雑用が必要なの。たとえば、暇を持て余しているどこかの誰かさんみたいなね」
酒の勢いもあったのであろう、びしりと指をさし意地悪げな笑みを浮かべる若き魔王に、レオンハルトは一瞬あっけにとられ、そして目元を抑えて天を仰ぐと夜空に向かって豪快な笑い声をあげた。
「まったく。こんな老兵に無茶をいう」
「魔王としての命令よ……あなたが、父の代わりにわたしの幸福を見届けなさい」
ヒーローとは、人を救う者。願いに応える者。かつてその言葉を教えてくれた友人に語りかけるように空に呟く。おまえの娘は、俺のヒーローだよ。
失った誇りを取り戻すことができた。自分にも誰かを救うことが、誰かの願いに応えることができるのだと、思えた。
もう一度ここから歩み始めよう。
「我が力は国の安寧のために。我が決意は民のために」
それは若かりし自分が誓った愚かな誓約。
男は同じ言葉を今度は心の底からの覚悟と感謝をもって口にした。
「───我が剣は王と共に」
原作:原作者は 紫伊さん です(編集者注)
以下、プロット
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「おれはあいつを信頼している。いざというときは腹括るやつだからな」
男性バディの登場する物語をお願いします。彼らの関係は友情、師弟、恋愛、親子等何でも構いません。ただし信頼を含む関係にしてください。
・冒頭の台詞のような信頼関係の見える部分を含んでください。台詞自体使うかどうかはお任せします。
・男性二人の内どちらかはおじさんでお願いします。また二人以外にどんな人物を出しでも構いません。おじさん基準は作者に任せます。
・時代、世界設定等はすべて自由です。
・あなたの思う格好良い決めシーンを一つ以上作ってください。
あなたの作品が読めることを楽しみにしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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