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指先と距離 紫伊

 目がくらむような太陽の光も木々に覆われ届かない森の奥、小さな小屋の扉をノックするとひょこっと小さな顔がのぞいた。

「おはよう、ルー。今日はパンを焼いてきたんだ」

「ありがとう。君の作るパンはとっても美味しいから大好き」

 ルーはふわっと笑い、僕を小屋の中に招き入れた。

 小屋の中には草で作った寝床と光を取るためのランタンと僕の作った机しかない。あまりの殺風景に初めは驚いたけれど、「私にはこれで十分なの」と無邪気に話すルーを見ていると思わず納得してしまう。

「わあ、とっても美味しそうね」

 机に並べたパンを見て彼女は花が咲くように笑った。その顔が見たくて昨日頑張って仕込みをしたのは秘密だ。

「食べても良いの?」

「召し上がれ」

 木苺を練り込んだパンを手に取り小さな口に含む。もぐもぐと食べる姿は小動物のよう。一つを食べきると満足した笑みを僕に向けた。

「ご馳走様。美味しかった」

「もういいの?」

「うん、お腹いっぱい。あとは君が食べて」

「おれは食べてきたから。残しておくから後で食べなよ」

「じゃあお言葉に甘えて一個貰うね」

 木苺のパンを手に取り大事そうに綺麗な葉っぱでくるんだ。僕は全部あげるつもりだったので一抹の寂しさを抱えながらカバンに戻す。


「ねえ、本当にこっちにあるの?」

「キューがこっちに意志を持って向かっているからきっとある。ルーよりキューの方がこの森について詳しいよ」

「そうだね。君はキューの心が分かるんだもんね」

僕の言葉に同意する様に一つの頭をこちらに向けキュっと鳴く。キュー頭が二つある以外は中型犬と変わらない。キューの様な奇妙な生き物が跋扈するがゆえ、死の森などと呼ばれているのだろう。

キューの後に続き暗い森を歩く。ぱっとキューが駆け出した。僕らも釣られるよう駆け出す。

角をかくりと曲がると目の前が白くなった。まばたきをすると景色が徐々に色づく。横を見ると、ルーはザンと振り渡る光の嵐に目を細め、真っ青な空を見上げていた。足元ではキューの頭の行きたい方向が違うらしく喧嘩をしている。

暗い森の中そこだけ穴を塞ぎ忘れたようにぽっかり光が差し込んでいる。ルーと同じように僕も空を見上げる。

「な、キューについていけばあっただろ?」

 僕の声に反応したのかキューが足元にすり寄って来た。頭をくしゃりと撫でると自慢げにうなった。

「うん。こんなところがあるなんて知らなかった」

空を仰ぎながらルーは呟く。暗い森の中では茶色く見える肩までの髪も白い肌も眩しい光の中では透き通りきらめいて見える。

「綺麗だけどちょっと眩しいな」


 光の穴を抜け、暗い森に戻り、ルーと一緒に木のふもとに腰を下ろす。決して肩の触れ合わない距離で。キューは太陽の下がお気に入りの様で戻ってはこない。

「こんなところがあるなんて知らなかった。とっても綺麗」

「外はもっといろいろなもので溢れているよ」

「それは見てみたいな」

「じゃあ、」

「ねえ、話をきかせて」

横に座る僕の目を見て、そう言われ、僕は言いかけた言葉をしまう。僕は複雑な気持ちを胸に違う言葉を押し出す。

「この間あったことなんだけどね――」



 ルーと出会ってかれこれ一年ほどになる。村の傍にある鬱蒼とした森、そこは行くと必ず死ぬと言われており、死の森と呼ばれている。そこは幼い頃から入ること厳しくが禁止されていた。動物たちもそこには近づきたがらない。理由を聞いても曖昧な感情だけ。その奇妙さに興味を持ち森へ侵入した。

 森には光が入らず奥に行けば行くほど暗くなる。植物たちの心情を読み取ろうとしても何も読み取れない上、見たこともない姿をしている。気味が悪い。

「ひっ」

 足に何か生暖かいものが触れた。下を見ると二つ頭の犬。「誰? 遊ぼ!」という感情が丸出しで変異種の奇妙さよりも実態のあるものに触れられる安心感が勝った。 

「おまえのほかに誰かいるの?」

頭を撫でながら聞くと僕の周りを走るのをやめ、歩き始めた。


二つ頭の犬が赴くままついていくと小さな小屋に辿り着いた。暗い中ぽつねんと灯った明かり。思わず僕は扉をノックした。ガサリと物音がしてしばらくした後、小さな顔を覗かせた。


「どなたですか……?」

小さい、と言うのが第一印象だった。僕より二、三個だろうか、十歳ちょっとくらいの女の子。怯えたように、怖がっているように僕を見る少女に思わず慌ててしまう。

「この子に付いて来たらここに辿り着いたんだ。怪しいものじゃないから!」

僕の焦りが面白かったのかふっと表情を崩した。

「人が来たことがないから驚いたんです」

「君は一人でここに住んでいるの?」

「ええ。気づいたらここに居て、記憶もないんです。わかることは名前だけ」

どこか陰りのある表情。

「名前はなんて言うの?」

「モいえ、ルーっていいます」

「ルー。いい名前だね」

照れたように笑う少女の表情は僕の心を引っ掻いた。

「おれはナガミ。良かったら友達にならない?」

少女は僕の言葉を不思議そうに眺める。

「ともだち……?」

「うん。嫌かな」

「いえ、嫌じゃないです」

「じゃあ友達になった記念に」

近くに生えている草の茎に触れ魔力を通す。僕の魔力が茎を通り蕾へ。よし順調、ここからが決め所だ。

「えっ……!」

 少女の目が満月の様にまんまるに、そして輝く。蕾まで達した魔力で握りしめた拳を柔らかくほどくように一枚、一枚と花弁をほぐす。ひっそりと顔を表したのは小さな黄色い花だ。

「ねえ、それは君の魔法?」

「そう」

「とても、とおっても素敵」

 花に向いて呟かれた言葉は触れたら消えていきそうな脆さだった。

「駄目っ」

 切っ先鋭い声に花を摘まもうとしていた僕の手が止まる。

「えっ?」

「その花を手折っちゃ駄目。ここで咲いていて欲しいの」

「……、分かった」

僕の手が離れるのを見届けると安心した顔になり僕に咲いたばかりの花のような笑顔を向けた。

「ねえ、君のこと教えてほしいな」


 それ以来村に居場所がない僕はこの森によく来てはルーと話すようになった。森を探検し、奇妙な動物たちと遊び、他愛のないことを話す。僕の植物を操り動物たちと話す魔法をルーはいつも喜んでくれた。それらのことが楽しく嬉しく、子ロバの足取りのように進む時間は体感したことない優しさだった。また、仲良くなるにつれどこか陰のある表情から明るくくるくる変わる表情へと変化していった。


 「今日も来てくれてありがとう。貰ったパンも美味しくいただくね」

 手を振り笑顔を残し去っていくルー。思わずその腕を掴んだ。そして胸にしまったはずの言葉が飛び出していた。

「ねえ、外に行ってみないか? ルーが見たいって言っていたこともたくさん見られるよ」

 一息で言って彼女の顔を見ると。

 顔は引き攣り、目は飛び出しそうな程見開かれていた。瞳からは表情とは不釣り合いな雫が零れ落ちる。

「駄目! 離れて!」

「ルー、どう」

 言葉を形にする前に激しい揺れに飛ばされる。思わずルーから手を放し、尻餅をつく。周囲を見回すと、激しい揺れに木々は倒れかけ、地面は切り裂かれている。

「ルー、どうなってる?」

「君は近づいてきちゃ駄目。キューも逃げて」

 途切れ途切れに聞こえるルーの声。ルーの姿と声は地震にかき消される。木を操ろうにも何かに支配されているのか僕の魔力が入り込む隙間はない。這うようにして僕は走った。



 うっすら目を開けると見覚えのある天井。息苦しい。別途から起き上がると足に痛みが走った。視線を落とすと青紫色に腫れあがっている。

「あっ」

 昨日の出来事が脳味噌で逆再生される。

「ルー!」

 扉を開け放つとその部屋の中心に村の偉い二人の大人がいた。

「ナガミ起きたか」

「ルーは?」

「まず一声がそれかよ。いっつも迷惑ばっかかけやがって」

 険しい顔をした長老と僕を睨みつける警邏隊隊長。ひそひそと仲間内で話す協会のおばさん連中。なんで僕をそんな目で見るんだ。

「なんですか」

「は、お前自分がしでかしたこと分かってねーのかよ。お気楽だね」

「だから何を」

「四の五の言わず外行って来いよ」

 おばさん連中の横をすり抜け外に出る。ひそひそ声が聞こえないよう耳をふさぐことには長年のことで慣れている。

 僕は思わず息をのむ。

 昨日までの町並みは全く持って姿を変えていた。家々はまだ形を保っていたが、木々は倒れ整えられていた畑や花壇は獣が踏みつけたように荒れている。けたたましい子どもたちの声も聞こえない。

 後ろから肩を掴まれる。痛い。

「なんで……」

「それはこっちの台詞だ」

 さらに爪が肩に食い込む。痛い。

「あの森には行っちゃあいけないって子どものころから口酸っぱく言っていただろ。あの地震で一歩間違えたら俺の妻と娘が死ぬとことだったんだ。実際に亡くしたやつもいるんだ」

 低い声が耳に押し込まれる。痛い。

「何があったんですか?」

「昨日の夕暮れ時、突如大地震が起こった。激しい揺れは長時間続いて力のないもの、弱いものは魔法で守り切れないほどだった。地震が収まって外に行ったら震源地は一目瞭然だった。死の森の被害は他とは桁違いだったからな。そしてお前が死の森の前で倒れていた。関係ないわけがないよな」


「あそこでいったい何があったんだ?」

 部屋に戻り僕は促されるまま興味本位で森に入ったこと、森に一人で住むルーに出会ったことを話した。話せば話すほど長老と隊長は苦い顔へと変わっていく。

「ルーは何者なんですか?」

 しばし無言のうち、長老が重い口を開いた。

「彼女は病を持った子だ」

「誰だかわかっているんですか?」

「いや実際に誰だかは分からない。あの森は、昔は普通の森だったのだ。しかし年月が経つにつれねじれ始めた。あの森に行ったのなら分かるだろう。あの奇妙にねじくれた植物と動物たちを。奇妙に思い探索隊が出向いた。そして彼女を見つけたんだ。少女の姿をした彼女を起こそうとしたが全く目を覚まさない。外に連れて行こうとして森の外に一歩出た瞬間、地震が起きた。森に戻ると地震は止まった」

 長老は湯のみを傾け、口を湿らす。

「調査をやめた理由はそれだけじゃない。彼女を背負っていた男が数日後自らの魔力を暴走させて亡くなった。原因は種瘤病」

「種瘤病って……、あの?」

「そうだ。今では種を根絶したと言われているが彼女の中では生きている。どれだけ長い間その種を宿しているのか分からない。それに彼女の見た専門家は言ったのだよ。彼女は何百年も生きており、その種を封印し続けていると。その封印がとけ始め、種によって歪んだ彼女の魔力が漏れ森のねじれが起きているのではないというのが見解だ。こんな実例は見たことないと驚いていたよ。不幸にも亡くなった男は火葬し、その種は絶やした。分かっただろう、彼女に手出しをできない理由が。それで本題だ。彼女には触れたのか? どれくらい前からあそこに出入りしていたんだ」

 二人の痛いほどの視線が突き刺さる。

「ルーの腕を一瞬だけ触りました。一瞬だけ。あの森に行っていたのは一年くらい」

「一年! 気味悪い生き物が蠢くあの森に好き好んでいく人間がいるとは思ってなかった……」

「ルーに触れたのは今日が初めてです。ルーは徹底して僕に触れようとしなかった」

「ちゃんと道理をわきまえているお嬢さんだな。会うのはご勘弁だが。で長老どうする?」

「状況観察するしかないだろう。家まで送っていこう」

 大人二人に付き添われ、村の端に建つちっぽけな我が家へ帰る。道々向けられる視線。僕のしでかしたことは村中の噂の的なのだろう。まるで犯罪者にでもなった気持ちだ。漸く部屋に戻り一人ベッドに横たわると脳味噌の中に放り込まれた情報がぐるぐる巡り出す。

 種瘤病。それは魔力があるものが発症する病。ウツギヌと呼ばれる植物が原因で、その種が体内に入り込むと魔力を喰らいつくし体内で成長する。成長しきったウツギヌは宿主の力を暴走させ宿主と身体的接触をすることで種を移す。暴走しなくても保種者と接触することで感染する。魔力が高いほど潜伏期間が長く、低いほど短いと言われている。つまりは低いほど暴走が早く死への道のりが近い。種を取り除くか封じ込める以外対処法はなく不治の病とされてきた。それらの治療をすることは行う側が百%感染するため、覚悟がなければできないからだ。昨今は原因であるウツギヌを根絶やしにすることで教科書上の病になるくらいに発症率が下がった。

 二人の大人の顔が浮かぶ。彼らや村人は僕のことを許さないだろう。禁止されていた森に興味半分で入り、街を壊し、病まで持ち込もうとしている。ただでさえ街の厄介者の僕だ。僕に親が居て後ろ盾になってくれる人が居たら違ったのだろう。でも誰もいない僕には白い目で見てくる人たちしかいない。

ルーの顔が頭を巡る。ふんわりと笑う顔と時折覗かせる寂しげな顔。頑なに僕との僕の接触を避けていたのは、僕に腫瘤病を感染させない為だったのだろう。そして最後に見た顔と言葉。あれは僕を思って言ってくれた。地震の真っ只中ルーはどうなってしまったのだろう。こんな僕に笑顔を向けてくれた寂しそうなあの子に、もう一度会いたい。


熱い雫が頬を伝う。胸が、そして体中が締め付けられ燃えるように熱く痛い。ここ最近ずっと痛みは感じており、食欲も落ちていたがこの痛みは段違いだ。そしてこの痛みはもうすでに一度体験していることをわたしは知っている。立っていることが出来なくなり、近くの岩に寄りかかる。ひんやりとした冷たさが心地よい。この岩のように冷たく固くなってしまえば全てから解放されるのだろうか。

また体がぎりりと締め付けられる。彼の行為とわたしにくれた言葉が心の奥底にいる私の記憶を揺り動かし、暴走を押しとどめていた枷を外した。枷が外れると共に徐々に記憶が疼き出しているのは分かる。私と向かい合うときが来たのだろう。

そっと瞼を落とす。心の奥、記憶を持った私を探す。いままであえて触れずにいた部分。触れたらあの楽しい日々が終わってしまうことを心のどこかで知っていたから。でもこうなってしまった以上、もう恐れることはないのだ。くまなく自分の心を見渡しても私は見つからない。大分奥に隠れているようだ。心の奥のそのさらに昏いところを覗くと私はちんまり隠れていた。わたしが手を伸ばしても怯えているようで出てこない。わたしはそっと私の手にてのひらを重ねる。はっとわたしの顔を見る私。「ずっと独りで抱えてくれていたんだね。わたしにも教えて」。一瞬逡巡した後、私はぎゅっとわたしの手を握り返してくる。繋いだてのひらから記憶がなだれ込んできた。


豆粒みたいにちっちゃい私はお母さんとお父さんと手を繋ぎ、得意げにお手製の歌を披露する。お母さんは一緒に歌い、お父さんは歌い終わった私の頭を撫でてくれる。

ちょっとおしゃまな女の子になったころ魔法の才能があることが分かり、魔法を学ぶため全寮制の魔法学校に入学。同室の子には非魔法使いの父を持つ私につっかかってくるが、気にせず話しているうち仲良くなる。プライドは高いが情の厚いフォティマという女の子。「モルガはマイペース過ぎて腹立つ気も失せるわ」と言われる。

大好きな元医師のおばあちゃんが先生でその授業は気合を入れまくって受ける。他の授業はそこそこだがおばあちゃんの授業だけは優秀。

友達もでき時には喧嘩しながら毎日を過ごす。

周りが恋にうつつを抜かす頃、ご多分に漏れず私も一つ年上の先輩を好きになる。気さくな先輩で気づくといつも声をかけてくれる。水を操る魔術にたけていて冬が来ると水や雪で悪戯を仕掛ける。見ていて飽きない姿に惹かれていく。意を決して告白、先輩とお付き合いすることになる。隣を歩くだけでどきどきしてお砂糖たっぷりの日々。

春休み、実家に帰って数日後異様に具合が悪くなる。医師に見せても原因が分からない。おばあちゃんに相談すると、家にやってきて様子を見る。するとみるみる顔色が暗くなっていく。不安そうに見る両親。おばあちゃんが絞り出した言葉は「種瘤病」だった。

不治の病をされる種瘤病。おばあちゃんは孫娘の為危険を冒し治療する。それは原因となる種を掴み直接封印するというもの。術者が対象者の魔力までをも押さえつける力が必要なこと、魔力を介して対象者に直接入り込むため己や相手を傷つける恐れがあること、暴走が起こってしまったら共倒れになること、何しろ感染リスクがほぼ百%なこと。

おばあちゃんが私の中に入り込む。おばあちゃんも呆然とした顔。皮肉なことに種によって私の能力が引き出され、おばあちゃんの想像の遥か上を行く魔力だったのだ。それでも往年の魔法使いはその種を封じこめた。自分の命と引き換えに。

一命はとりとめたが魔法使いたちのからは腫れ物に触るような扱いを受ける。触れたらうつる、その特性故、魔法学校にはもう戻れない。病を感染させるリスクの少ない人間界で暮らし始める。とはいえ、魔力が微力でもあれば感染し、微力である方が発症が早い。種瘤病は魔力のない人たちにも恐れられているため存在感を消し幽霊のような生活を送る。

魔法学校とは同室だったフォティマから手紙が来る以外縁が切れる。ある日家に帰ってくるとフォティマが居た。

「なんでフォティマがここにいるの?」

「なんでって……、あなた本当にお馬鹿になったの? 心配だからに決まってるじゃない」

「私は大丈夫。来てくれたのも心配してくれたのも嬉しいけど帰った方がいいよ。うつっちゃうかもしれないから」

「身体的接触がなければうつらないことくらい知っているわ。ねえ、もう戻って来ないの?」

「戻れないよ。そんなこと分かり切ってるでしょ。それに戻ればこっちも良いものだよ。魔法なんて使わなくても火もつくし、簡単に遠くにも行ける」

「じゃあ……、じゃあなんでそんな腑抜けた顔してるのよ? なんで返信くれないのよ?」

 ダン、と立ち上がり私に向かって震えた声で言う。泣きたいのはこっちだ。

「なんでって……、うらやましくてたまらなくなるからだよ! もう二度とあそこに戻れないんだから。目を瞑ってやっていなきゃ、やきもちでみんなのこと嫌いになるもの」

 一度形にしてしまったらもう隠せない。心の押し入れに詰め込んでいた涙と言葉が突き破って溢れ出る。

「戻りたいのね?」

「戻りたいよ! でもこんな私は戻れない。こっちにいたって息を殺して生活してこんな風に一生暮らしていかなきゃいけない苦しさがフォティマにわかるわけない。もうなんで生きていなきゃいけないのかすら分からないのに!」

「それなら、あなたのおばあ様、カーリア先生の跡を継ぐべきよ。モルガが一等優秀で熱心で才能があったから。それに先生の研究資料はあるでしょう。あれだけの医学者の跡を継いだら誰もあなたをのけ者にできないわ。おばあさまに生かされたのだからその分ちゃんと生きて。なによりあなたが死んだら私が悲しいの。それに腑抜けたあなたは違うわ」

 その言葉は胸深く突き刺さった。翌日から私はおばあちゃん家に行って勉強に明け暮れた。分からないところはフォティマに聞きながら寝る間も惜しんで勉強した結果、特待生として医学試験に合格、数悶着の上フォティマの協力もあり医大生となった。

 誰もが種瘤病持ちという忌諱の目で見る中、時折フォティマに愚痴りながら腕を磨く。徐々に私のことを認めてくれる人が現れ始めた。

 とはいっても雇ってくれるところはなくノマド医師となる。私のことを一人の医師として扱ってくれ、感謝される世界。ただそれだけのことが堪らないくらい嬉しい。もう幽霊じゃあない。


 どこからかわたしの名前を呼び声が聞こえた気がして記憶の渦の淵から頭を出す。その声は彼の声に似ているような気がして、思わずその名を呼ぶ。

 現実に目を向けると岩の中に身を埋めていた。わたしの願いを叶えてくれたのか、木々の混乱から身を守ろうとしたのか、はたまた自らを強固に封印しようとしたのか。自分の真意が分からない。

 そしてまた記憶の海に身を沈める。



 山の向こうに日が沈み、細い月が昇る。荷物をまとめたリュックを背負い外に出るとじめりとした風が僕にまとわりつく。

「どこへ行くんだ」

 唐突な声に驚き周囲を見回すとのっそりと黒い塊がこちらに向かってくるのが見えた。

「隊長の魔法は姿を変えることでしたっけ」

「そうだ」

 黒い大きな犬は僕の足元までやってくる。

「それでどこに行くんだ」

「ルーのところです」

「なぜそこまでその女の子に執着するんだ。相手は種瘤病を持っているんだ。また会ったらもう二度とこの町には戻って来れない。それに腫瘤病持ちの彼女と共に生きることは厳しいぞ」

「そんなことは分かっています。でもこのままこの街にいたところで発症しなくても僕は病気持ちだと白い目で見続けられる。ただでさえのけ者なんだ。それならルーと一緒に居たい」

「彼女はお前に戻ってきてほしくないかもしれない」

「これは僕が彼女に会いたいというただのエゴだ。僕は行く」

「お前は言い出したら聞かないことはよく知ってるよ。それでさんざ手を焼かされたものだ。今回のことも許す気はない」

ふっと隊長の雰囲気が和らいだ。唐突の出来事に思わず戸惑う。

「もう二度とこの街には戻れない。その覚悟を持って行くなら仕方がない。でもな、俺はこの街が大好きなんだ。これ以上荒らしたら許さない」

「もう戻りません」

 僕は踵を返し森へと足を向ける。後ろから声が聞こえる。

「さっきは言い過ぎた。すまなかった。あとな俺はお前の強情さ結構好きだったよ」

 後ろはもう振り返らない。


森は暗闇でも無残な姿を晒していた。全てが死に絶えたような沈黙で時折吹く風の音だけが鼓膜を揺らす。根は盛り上がり木々は倒れている道を躓きながらただただ歩く。

「おーい、ルー!」

僕の声が空気を震わせられるのは一瞬。すぐに沈黙の帳が幕を下ろす。何度ルーの名を呼んだのだろう。足は痛く、体はどろどろだ。不安が胸を占める。

「おーい」

声も枯れてきた。何度目だろう、木の根に躓き、腰をしたたかに打った。立ち上がる元気も起きず僕は遂に座り込んでしまった。空を見上げるともう明かりを含み始めている。気付くと瞼が落ちていた。

生温かいぬめりを頰に感じ目を開ける。見覚えのあるけむくじゃらの生き物が目の前にいた。

「キュー、生きていたか。よかった」

頭を撫でるとゴワゴワしており泥だらけだ。でも温もりのある存在としてここにいる。そのことが何よりうれしかった。

「なあルーの居場所を知らないか?」

キューは僕から離れ一点を見つめ始める。

「あっちなのか?」

何故かいつものようにキューの心は感じられない。でも、キューの言いたいことは分かる気がした。

「よし」

僕は気合を入れて立ち上がる。歩き出してもキューは動かない。ただ後ろから視線だけを感じる。キューを呼ぶ元気すらなく僕はただ前に進む。意識に靄がかかる。突然ルーの声が聞こえた気がした。思わず上を向く。急に目線から揺れた。意識のどこかで、あっ落ちたと思った。


 体中が痛い。瞼を持ち上げるのさえ一苦労だ。目を開けると周囲は土に囲まれていた。どうやら地震によって裂けた穴に落ちたようだ。地上は遥か上にある。ここが僕の年貢の納め時なのかもしれない。体勢を変えようと体を動かしたときそれが目に飛び込んできた。

「ルー……?」

 体を引きずり岩の前でそれを見つめる。岩には女性の姿が刻み込まれている。かなり大人びてはいるがルーの面影がそこに在った。僕の指先が岩に触れる。ぬくもりの欠片も感じられないほど冷たい。そんなわけがない。てのひらを岩にくっつける。冷たい。頬に熱いものが伝った。

「ルー!」

 信じられずまた凝りもなく指先で触れる。その時だった。



 私は世界を旅する。小さな島国から大大陸の都心まで一人で。どんなに仲良くなろうとも恋仲になろうとも種瘤病を抱えていると告白すると誰もが私の元を去っていく。それは当たり前のことで心の奥がちくりと傷む。隠して大切な人を傷つけるくらいならと、心の重みを消しシンプルな関係を心がける。「治してくれてありがとう」、感謝の気持ちと日銭を糧に生きる日々。長くても数週間の関係。私は自分の存在意義の為腕を磨く。

 そんな関係で満足していた、はずなのに。

 私は一人の少年に出会ってしまった。

 第一印象は「弱弱しい」。初めて会った時少年は虐められていた。ちょうど着いたときに虐めの現場を見た見た私は思わず少年を助けてしまった。世界を旅し目を肥やした私には少年が相当の魔力を秘めていて虐めている少年などちょちょいのちょいで倒せることは一目瞭然だったのだ。私は思わず尋ねた。

「なんで君はやられているの?」

「これが僕の役目なんです」

 その声には諦念がにじみ出ていた。

「ふーん。君の生き方に口出しするつもりはないけれど、それだけの力を持っていてもったいないね」

 少年の目が大きく開かれる。立ち去ろうとする私の後ろで声がはじけた。

「僕には才能があるのですか?」

「あるよ」

 私は振り返り少年の目を見つめた。

 

翌日少年は私の元にやっていた。

「魔法を教えてください」

 簡単な魔法を教えると少年は翌日にはものにしてまた教えを乞う。上達の速さが面白く、仕事の合間に少年に魔法を教えるようになった。私と関わることでさらに虐めが加速していたようだが返すことなく淡々とやられ、ぼろぼろの姿で私の元へやってくる。倒せるだけの能力があるはずなのにその行動が不思議でならなかった。

「ねえ、君はどうなりたいの?」

「僕はこの街で誰かの代理として生きるしかないと思ってた。でも僕の血に力があるのなら、死ぬほど嫌いなこの血を利用してどこか遠く遠くへ行きたい。あんな奴らにやり返している暇があるなら僕は力をつける時間に充てたい」

 その意志の強さに私は圧倒された。私の口から思わず言葉がついた。

「ねえ、君。覚悟はある? あるのなら私が連れ出そう」

「覚悟とは?」

「誰にもいっちゃあだめだよ。私は種瘤病を持っているんだ」

 ひっそりと告げた言葉に少年の目は病人を見る不躾な目に変わった。そんなことはもう知れ切っていた筈なのにどこか落胆している私がいた。

「あの、種瘤病ですか?」

 慎重に紡ぐ言葉。でも私はあえてあっけらかんに告げる。

「そうだよ。誰にもうつす気はないし今まで世界を巡って来たけれど誰にも感染させていない自信はある。だから、君がこんな私と旅をする覚悟があるならば君を連れて行こう」

「……、少し考えさせてください」


 「僕は決めました」

 翌日、私の前にやって来た少年はそう切り出した。

「モルガ先生、僕を連れて行って下さい」

 自分よりも十以上も下の頭を垂れる少年を見る。

「本当?」

 その一言は自分でも知らずのうちに震えていた。

「はい。僕は先生と共にいきたい」

 私の目を見てそう言い放つ少年。それは大切なあの子も、大好きだったあの人も、言ってくれなかった言葉。胸にこみあげるものを抑え込む。少年―ブラットは覚悟を決めた。次は私の番だ。

 才能のある少年を弟子にしたい、そういうと話はするするまとまった。

「ブラット、これは君の門出だ。派手に行こう」

 私がブラットを連れて出ていく日、人々がまどろみの沼から覚醒し始めた頃を見計らい、私は大地を揺らした。街の人たちは見る、昨日までなかったブラットの咲かせた花の道を。そして私たちが歩くたび咲く花々を。呆気にとられる人々を尻目に街を飛び出した。

 決ままな一人旅から規律ある二人旅へ。最初は面倒くささも感じたが慣れてくるとそれは一人よりも楽しい日々となった。ブラットはその能力と勤勉さが手伝い、魔法の才能が花開き、私の右腕となっていった。


「先生、具合はいかがですか?」

 心配そうにおかゆを運んでくるブラット。大丈夫と言いたいところだけど、これはお迎えが近いのだろう。

「ブラット、こっちに来て」

 枕元にちょこんと座る。若盛りで才能あふれる彼をこれ以上私が縛るわけにはいかない。

「種瘤病の暴走が近い。だから最後のお願い。迷惑を掛けたくないからこの近くの森まで私を連れて行って」

 押し問答の結果ブラットは折れ、数日後今にも倒れそうな私に付き添って近くの森へと向かった。広い森の奥深く、私は腰を落ち着ける。体に根が張り締め付けられていくのを感じる。

「ブラット、ありがとう。君がいてくれた日々はとても楽しかったよ。私が暴走する前にお帰り」

 ブラットは私の目を見つめる。この強い瞳。彼はとても強いのだ。

「モルガ先生、僕は先生によって救われました。先生が居なかったら今の僕はありません。先生には感謝してもしきれないんです」

「それはありがとう」

「いえ、感謝しても足りないのは僕です。だから、先生に嫌われようと僕は先生に生きてほしい」

 おもむろにブラットの右手が私の胸元に突っ込まれる。左手は私の指に絡まる。

「何をする―?」

 ブラットの手は私の胸のふくらみを越え中へ中へと沈み込む。そして種が掴まれる。

「痛い、駄目。離して」

「すみません。少しだけ我慢して」

 ブラットの魔力が流し込まれる。ああ、この感覚は知っている。あの日のおばあちゃんだ。

 私はいつも大切な人を失ってしまう。そんなこと思い知っていたはずなのに。ブラットの未来を奪ってしまった。私の傍に居なければ、情を移さなければもっと長生きできた。追い出さなきゃいけないのに、この手を離さなければいけないのに私には出来ない。理由は、私は一番知っている。私はブラットと過ごしたことを後悔できない。ブラットと一緒に居られることが嬉しくて手放したくないのだ。

意識を保てたのは束の間で、私の意識の電源はぷっつり落ちる。


 私の記憶から顔を上げると目の前にいつも遊びに来てくれる少年―ナガミの顔があった。その顔と体はボロボロで、それでも私の名を呼びこちらに手を伸ばしている。

「ねえ、その手を掴みたい?」

 わたしのてのひらを握る私がそう問いかけた。

「掴みたい。でもうつしちゃうでしょ。それは嫌だ」

 私はふっと笑う。

「そうだよね。ねえ、わたしはいきたい?」

「いき……たいよ」

 私はふわりと笑い、少し名残惜しそうに握っていた手を離した。

「ずっと記憶とブラットの魔法と種を抱きしめて心の奥で膝を抱え込んでいた。生きることをわたしに任せて。でもあの子の魔法や一等欲しかった言葉がわたしを通して胸に浸み込んできて外に目を向けて。それで今、わたしと一緒に自分の記憶を追って私のいきたいところを思い出したの。だからね、わたしにあげるよ。この体」

 背筋を伸ばし立つ姿は最初の怯えはどこにも見えない。

「あの子と一緒に過ごすことは夢見るようなふわふわあまーいのパンみたいな生活じゃないと思う。でもね、どこかほっとできるような素朴な優しさがあると思うよ」

 そしてにやりと笑う。

「私と彼のものだけは貰っていくね。わたしの人生を楽しんで」

 私が徐々に消えていくのが分かる。同時にわたしの存在が色濃くなる。輪郭が形作られ岩の外へ押し出された。体の痛みは嘘のように消えている。あの言葉はそういう意味なのか。

「ルー!」

 ばたんと倒れたわたしにナガミが痛んだ体を引きずって近づいてくる。

「ナガミくん」

 彼は目を丸くしてわたしを見る。そしてわたしへ指先を伸ばし、はっとそのまま手を止める。

「ルーがここにいて喋っている……!」

「わたしはここにいて喋れるよ」

「だって、もう会えないのかと思っていたから」

 乱暴に目元をこする姿に思わず愛しさを感じる。

「ねえナガミくん。わたしね、この体以外なにもないの。この体だって何百年も生き延びてきたものだからいつ壊れてもおかしくないの」

「僕はルーに生きて会えたことが今何より嬉しいんだ。それと今何かを考えられるほど余裕がない」

「じゃあ一つだけ聞いて。わたしはなにもかもなくした代わりに腫瘤病もなくしたの。だからね」

 伸ばした指先に触れ、その手をそっと握る。冷たいけれどちゃんとぬくもりのある手。柔くわたしの手も握られる。襲ってきた睡魔に身を任せた。


 翌朝眩しさで目が覚める。木々が倒れたせいで森にも日が差し込むようになったようだ。

「おはよう」

 彼の寝顔にそう告げる。

 彼は疲労がたまっているようで全く起きる気配がない。目を覚ましご飯を食べてちゃんと話して動けるまで回復したのは五日後だった。

「なんとなくは分かった。おれも全部手放したようなものだ。なあルー、おれと一緒に外に行ってみないか?」

 あの日とは違い、今は答えられる。

「行くわ」


 森を抜け外に向かう。その途中、わたしの住んでいた小屋の前についた。主源地となったそこは草木がそぎ取られ、何もない大地となっていた。

「ねえナガミくん」

 わたしは背伸びして彼に耳打ちする。彼はにこりと笑って頷く。

 わたしたちは手を重ね大地に手を付ける。そしてわたしのなけなしの魔力と彼の魔力を注ぎ込む。魔力のないわたしにとっては祈りに近い。

 そっと手をどけると茶色い大地に小さな青い芽が顔を出していた。わたしたちは背を向け歩き出す。願わくば、素敵な花を咲かせますように。


原作:原作者は 鶯さん です(編集者注)


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舞台は魔法使いたちが暮らす世界。


主人公は小さな村にひとりで住む少年(植物や動物を心を通わせ、操る魔法が得意。好奇心が強い。魔法の力は強くはなく、ひとりで突っ走っては間一髪危機を切り抜けるようなこともしばしば)。


ある日、そこに行くと必ず死ぬと噂のある森に興味本位で侵入すると、その奥に小さな小屋とそこで暮らす不思議な少女(外見は少年より下)と出会う。興味をもった少年は度々森に忍び込み少女と話すようになる。おやつを持って行って一緒に食べたり、少年が心を通わせた動物たちと遊んだり。少女は少年の話をいつも楽しそうに聞いていた。しかしある日、少年が森の外に出てみないかと誘うと、少女は急に眼を見開いて固まる。その目から涙があふれたかと思うと、急に周囲の地面が割れ、盛り上がり、木々が倒れる。異変に気付いた近くの村の魔法使いたちにとらえられた少年は、少女の正体を知らされる。少女は実は強い力をもつ古代の魔法使いで、制御不可能なほどの強い力を封じるため、森に封印されていた(少女の持つ力は大地の力。五行で相克する木の力で抑え込んでいる。しかし封印しているが故、使いどころのない魔力が体内をめぐり、その体の時を何百年と止めているが、この時間の経過を術式により意図的に忘却させることで封印を保っていた)。少女は少年の言葉で、忘れていた時の流れを思い出す(おそらく、遠い昔に亡くなった大切な人を思い出した)。少女は力の制御を失い、森全体を巻き込んで地面はめくれ、えぐれ、裂け、敵味方の区別なく天変地異に巻き込まれた。少年は罪悪感にかられ、滅茶苦茶になった森の中へ飛び込むが、大きな地割れに落ちて気を失う。

少年が目を覚ますと、そこはいびつに裂けた大地の只中で、目の前にそびえたつ岩に少女の姿がうつしとられている(ここではあくまで体があるのではなく岩。魔力の暴走で岩と一体になったイメージ)記憶よりも少しだけ成長した少女。少年が岩に触れると、少女の姿が植物に縁どられ、浮き出るように実体(肉の体)をもって目の前に現れ倒れる。少年は慌てて抱き起す。力をほとんど使い果たして今の自分は当分役立たずだし、いつまで生きられるかわからないと笑う少女に、少年はどこか遠くへ一緒に行こうと力強く告げる。

だだっぴろい、何もない大地に、少女と少年が手をかざすと土が盛り上がり、小さな木が芽生える。

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