エーゲ海クルーズ~古代遺跡めぐりの旅 鶯
「おめでとうございます!特賞、エーゲ海クルーズ七日間の旅です!!」
商店街の福引で、思いがけず海外旅行のチケットが当たった。満面の笑みで手渡されたチケットには、青い海を悠々とわたる白い船の写真。今まではくじ運という言葉とは無縁だった上野航が事態を飲み込むまでまるまる七秒。
「……え!?」
真っ白の頭のまま福引会場を後にしたが、帰宅後握りしめたままだったチケットを確認して今更ながら途方に暮れた。『エーゲ海クルーズ七日間の旅 一組二名様』。いやいやこれどうするよ。まさかこんな事態になるなんて。ハズレのティッシュ、あわよくばお買物券でもと思っていたというのに、まさかの特賞。エーゲ海ってどこだ。しかもペアチケットかよ。
混乱した頭のままで、数少ない友人を頭に思い浮かべ、その中のひとりに電話をかける。こいつならきっと、少々無茶な提案にも付き合ってくれるはずだ。もしかしたら、ちょっと一緒に楽しむ分の共同出資も。五コールほどまってようやく電話に出たかと思うと、あからさまに不機嫌な声が聞こえてきた。
『なんだよ、今忙しいから後にしてくれない?あとちょっとで七面クリアできそうなんだよね』
「おい、聞けよ隆志、福引で海外旅行当たった。一緒行かね?」
『は?寝言は寝て言え、というか起きろお前』
「いやいやマジなんだって!」
『ホントかよ。海外旅行ってどこ』
「エーゲ海クルーズだって」
『うわ言えるのかよ。マジじゃん』
「だからマジだって言ったろ。てかなんだよ、言えるのかよって」
『お前エーゲ海なんて場所知らねえだろ。知らないとこに行くとは言えないからな』
「……お前、ほんと俺に対して信用ないな」
『は、今更。俺を誘うってことは大方財布目当てだろうけど?残念だが一緒には行けないな』
「いやいやそんな……え?無理なのか?」
『俺、船弱いんだよね。だからパス』
「隆志―!この薄情者―!」
『はいはい。ま、せいぜい楽しんできなよ。まあ一応、誰か誘ってみたら?』
結局、航は集合場所まで一人で来ていた。何か聞かれたら「一緒に来るはずだった奴が急に体調崩して」、これでいこう。いけるはずだ。内心びくびくしながら乗船手続きを済ませる。予想に反し何も突っ込まれなかったけれど、受付の人の目が冷たさではなく哀れみを含んでいるのは気のせいだきっとそうだ。
受付でもらった船内図を見ながら、まずは自分の船室へと向かう。一応二人部屋なので、かなりゆったりと使えそうだ。適当に入口から近いベッドの上に鞄を放り投げると、もうひとつのベッドに横になる。ぎしりと音を立てるベッドの揺れがいつまでも収まらない。そうだ、水の上にいるんだなあと航は唐突に思った。
一旦部屋を出て、甲板に向かう。出航間際なこともあり、甲板はそこそこ人で混雑していた。手すりから少しだけ身を乗り出す。目の前には青、青、青。出航の合図とともに、青一色の世界に白が弾ける。青と白の二色に彩られた非日常の世界に、航は何か特別なことが起こっているようなわくわくを感じていた。
航が彼女を最初に見かけたのは、観光初日、ギリシャのメテオラ修道院でのことだった。年はおそらく十二、三歳といったところだろうか。金髪碧眼に、裾のところに大きく船のマークが刺繍されている白いワンピース。この険しさを滲ませる奇岩群に囲まれた建物の中にあって、彼女の姿は少し浮いて見えたのを覚えている。
翌日。ホテルで一泊し、オリンピアを観光。こじんまりとした雰囲気の通りを抜け、オリンピア遺跡へ。空へと続く遺跡の柱を見上げながら遺跡の中を歩く。流石に首が痛くなってきて視線を下ろした先で、航の目が見覚えのある少女をとらえた。一瞬、よく似た別の子供かと思ったが、昨日も見た船の刺繍が特徴的なワンピースがそうではないと主張している。彼女から目が離せずにいると、不意に彼女が振り向き、航と目が合った。初めて真っ直ぐ見つめた碧の瞳に息をのむ。航が動けずにいると、少女は徐に彼に近づき、その腕をとった。
「来て」
笑顔で航の腕を引く。この明らかに外国人なのに完璧に日本語を話しているこの少女は何者なのか?そして一体自分はどこに連れていかれようとしているのか?頭の中をクエスチョンマークでいっぱいにした航を、少女は遺跡の神殿の中でも、一際大きな柱の側へと連れて行った。先ほどのガイドさんの話では、そこはオリンピックの聖火を灯す儀式か何かが行われるという有名な遺跡らしい。
「ここはヘラ神殿。全知全能の神ゼウスの妻にして嫉妬深き女神の名を冠した神殿」
未だ幼さを残した声が歌うように告げる。航はぼんやりとそれを聞き流し、それからようやく、絞り出すように聞いた。
「……君、誰?」
少女は航の隣に並ぶと、窮屈そうに彼を見上げる。
「私はイリスよ。貴方は?」
「上野、航」
「そう。じゃあ、ワタル」
少女は、真っ直ぐな目で航を見つめてにこりと笑った。
「ちょっと、付き合ってちょうだい」
「へ?」
少女はそう言うと、また航の腕を引いて歩き始めた。状況を読み込めていない航は、幼い少女の腕を無下に振り払うこともできず、腕を引かれるままにその後をついていった。
思えば、それがよくなかった。あの時、何が何でも彼女の腕を振り払うべきだったのだ。
それからというもの、彼女はギリシャ観光の間中航を引っ張り回した。遺跡や博物館の観光にちゃっかり紛れ込み、得意げに講釈を垂れたかと思うと、自由時間には航にべったりくっついて露店を冷やかし、土産物屋に彼を引っ張り込む。航が「ああ、子供って元気だなあ」とでも言いたげに見つめると、全く通じていない顔でにっこり微笑まれた。完敗だ。自由時間も終わりに差し掛かる中、まだあちこちの店をのぞきたがるイリスに、航は宿に帰るように告げた。
「ワタルは帰らないの?」
「俺たちは今日から船の上なんだよ。明日からは島巡りになるから」
島巡り、と聞いてイリスの目の色が変わる。先ほどまでの楽しそうな笑みが一瞬で掻き消えた。
「ワタル」
「なんだよ」
「私も船に乗せて」
予想外の言葉に、航が目をむく。
「は!?無理に決まってるだろ」
「お願い。一緒に行きたいの」
「なんでだよ。別に船ならいくらでも――」
「お願い。……ワタルと一緒に行きたい」
真っ直ぐ航を見つめる目は、いつになく真剣だ。そのうえ、上目遣いで微かに首を傾げるおまけつき。こいつ、と航は言葉にならない複雑な衝動を、長い溜息で押さえつけた。
「……乗せるだけ、なら」
その言葉に、イリスはぱっと顔を明るくすると、大きく頷いた。
イリスを連れ、どきどきしながら船に戻る。チェックの際、何か突っ込まれるのではないかと冷や冷やしていたが、航だけ名前を名乗るとあっさり通された。珍しそうに船内を見回すイリスを小突く。
「そんなきょろきょろしてたら目立つだろ」
「それもそうね。じゃあ、とりあえずワタルの部屋はどこ?」
「……お前、俺の部屋にまで来る気か。乗せるだけだって言っただろ。あとは自分でなんとかしてくれ」
航はイリスからそっと視線を外すと、振り返らずに適当な方向に歩き出す。戸惑ったように一つ、二つと響いた靴音が途絶えたのを確認して、航は自室へと足を速めた。
結局、その後はいつの間にか寝てしまった。起きると辺りは真っ暗だったが、なんとなくもう一度寝る気になれず、適当に船内の散歩でもしようかと部屋を出た。静まり返った廊下に、絨毯に吸い込み切れなかった足音が鈍く響く。しばらく歩くとその中に、微かに違う音が交ざった。どうやら誰かが話しているようだ。
「ねえ、ちょっと君。君、待ちなさい」
ほかの客に配慮しているのか、押し殺した男の声。そしてその数歩先に、ほたほたと足音がしている。歩くのには困らない程度に明かりの落とされた廊下。その中にふっと浮かび上がった、白い影。思わず目を凝らし、航はげ、と声を漏らした。
見覚えのある、船の刺繍のワンピース。
思わず、その場で踵を返し見なかったことにしようとした。関係ない、自分は関係ないと頭の中で呪文を唱えてその場所を迂回しようとしながらも、ちらりと横目にその姿を追ってしまう。白い影に追いついた大きな黒い影に掴まれ、ワンピースがふわりと揺れた。
「君、名前は?このツアーの参加者じゃないよね?」
イリスを掴んでいる男はおそらくはツアーのスタッフだろう。これ、かなりまずいんじゃないか。一瞬ためらったが、結局航は、二つの影に向かって少しだけ声を張り上げた。
「おい、イリス!お前、また勝手に!」
その声に驚いてイリスが弾かれたように振り返る。男はも一瞬遅れて振り返ると航を睨んだ。
「お知合いですか?……108号の上野様ですね。確かお一人で参加されたはずでは?」
「あー……」
どうしよう。とりあえず声をかけたはいいものの、何も考えていなかった。まずい、と航の背に冷たい汗が伝う。必死に頭の中で言い訳を考え、出てきたのは単純な言葉だった。
「あ、えっとこいつが俺の連れです!」
「はい?ですが……」
「はい!あの、前日にこいつが体調をくずしまして、大人しくしてろって言ったんですけど、途中からでも参加したいって言って来ちゃったみたいで!とりあえず一緒に船に乗ったんですけど、誰かに事情を説明しなきゃと思ってるうちに俺が寝ちゃって!いやあ、起きたら部屋にいなくて焦りました!だめじゃないか、ちゃんと部屋で待ってろって言っただろ!?」
「だってワタル、全然起きないから」
航は自分の顔が盛大に引きつっているのを自覚しながら早口でまくし立てる。イリスにも目線で訴えかけると、何一つ気負いを感じさせない素振りで航の口車に乗ってきた。あまつさえ、航に甘えるように腕に抱き着いてさえいる。ドキドキしながらスタッフの男を見ると、納得していないと明らかに顔に書きながらも、ため息をひとつついてわかりましたと告げた。
かくして、航は部屋に密航者を連れ込むことになった。
自室に戻り、イリスを空いていたベッドに座らせると、航は重い溜息とともに口を開いた。
「お前、何してんだよ本当に……」
イリスは俯いて答えない。頑ななその態度に、航はがしがしと頭を掻くと、自分のベッドに勢い良く身を投げ出した。
「……もういいよ。乗り掛かった舟だ。なんかしたいことがあるなら、俺でいいなら付き合ってやる。だから、なんでこんなことしてるのか教えろよ」
「行きたいところがあるの」
即座に帰ってきた答えに、航は意外そうに少女を見る。
「行きたいところ?」
「そうよ。そこに、私の命と世界の命運がかかってるんだから。私、どうしても、そこに行かなくてはいけないのよ」
そう言うと、少女はレースの襟に隠れた首元をぎゅっと握る。微かに金属の擦れる音が跳ねた。イリスの真剣な様子に、航は押し黙る。そしてその台詞を反芻して――
「いや待って!?世界の命運?ラノベかよ!」
「らのべ……?」
イリスは意味が分からないらしく、こてんと首を傾げる。見た目だけは本当に二次元のような可愛らしさだ。
「はーもう、いいや。何でもいい。好きにしてくれ。……そういえば、イリスって未成年だよな?」
「十三よ」
十三歳。犯罪のような若さ、というか幼さだなあと思いながら、航はん?と今更ながら疑問符を浮かべた。
「イリスって本名?」
少女は何故そんなことを、と怪訝そうに頷く。
「日本人……じゃないよな。その割に、日本語ペラペラだよな」
「日本語はお祖母ちゃんに教わったの。一時期、日本に住んでたことがあったんだって。日本人は優しいから、日本語で話しかけてちょっと強引にでもおねだりしちゃえば何でも言うこと聞いてくれるって」
「恐ろしいこと教えてくれるなお祖母さん!?」
「でも、本当に日本人って優しいのね。お祖母ちゃんが言っていたとおり!」
そう言って笑うイリスの言葉に、航は返す言葉もなくベッドに顔をうずめた。
翌朝、航はイリスにこれからの日程を立てなきゃ、とベッドから引きずり出された。仕方なくクルーズの日程表と地図を出してやる。真剣な顔でそれらを見始めた彼女を尻目に、航は大きなあくびとともにベッドに逆戻りだ。
「……どうして、こうなったんだろう……」
その力ない呟きは、これからの計画に夢中になっている少女の耳に届く前にベッドの中に消えた。
それからの二日間は、イリスが素性の知れない相手であることに目を瞑れば、快適な旅行だった。天気は快晴続き。まさに青い空、白い雲の下、青い海と白を基調とした異国の街並みが続く。時にガイドさんの説明を聞き、時にはガイドブックを片手にガイド気取りの少女の説明を聞きながら、あちこちを散策する。自分を引っ張り回すイリスにしょうがないなあという態度をとりながらも、航も結構この旅行を楽しみ始めていた。
クルーズ五日目。この日はパトモス島の観光だった。広い街道には、可愛らしいお店が並んでいる。隣を歩くイリスが早速目を輝かせているのを見て、航はそういえば、と船に弱いと言っていた友人の顔を思い浮かべた。何かいいものがあればお土産でも買って行ってやろうか。そろそろ家族へのお土産も買わなければ。
二人でいくつか店を見て回る。途中で、ギリシャの街並みが描かれたデザインの付箋とボールペンを見つけて、友人用にと買い求める。家族用には綺麗なデザインの缶入りクッキー。一通りの買い物を済ませてイリスを振り返ると、彼女はどうやらアクセサリーを見ていたようだ。そういえば、彼女は店を冷やかすばかりで何も買っていなかったと思い至り、小さな値札と自分の財布の中身を見比べる。
「なんか欲しいなら、ひとつくらいなら買ってやるぞ」
イリスは航の声にびくっと身体を跳ねさせた。その視線の先には、濃い青緑色の石がはめ込まれた指輪があった。この色合いは彼女に似合いそうだなと思い、そのまま自分の買い物と一緒にレジへもっていくと、会計を済ませた。指輪だけを別に包んでもらって、後ろで何か言いたげにしているイリスに渡した。
「……どうして」
「まあ、旅の思い出ってやつが一つくらいあってもいいだろ?」
受け取ったそれをそっと握りしめて、イリスはぽつりと呟いた。
「ワタルって、変な人」
「いやお前に言われたくはねえよ!?」
思わず大声を出した航に、イリスが吹き出す。
「それに、この指輪、私には大きすぎるんだけど」
「え!?あ、いや、そっか……えっと、じゃあ……」
イリスは百面相をしだした航を見上げて笑った。
「いいわ、これはもう少し未来のお楽しみにしておく。あ、ねえあっちのお店も寄ってみましょう!」
航の手を引いて、イリスが歩き出す。慣れないことはするもんじゃないなあと思いながら、航も気を取り直して彼女についていった。そうして、さらにあちこちを回り、そろそろ船に戻ろうかともいう頃だった。
少し人で混み始めた道を港に向かって歩いていると、航は勢いよく誰かにぶつかってしまった。軽く尻餅をつく。
「す、すみません」
咄嗟に日本語で謝るが、顔を上げると相手の姿はなかった。隣を見ると、イリスの姿もない。慌てて辺りを見渡すと、黒いスーツを着込み黒い帽子を目深に被った妙な男に手首を掴まれているイリスの姿が少し遠くに見える。
「イリス!?」
急いでその傍に駆け寄ると、男に話しかける。
「すみません、その子俺の連れです!」
焦っていたので先ほどに引き続き日本語だ。スーツの男はじろりと航を睨むと、イリスを担ぎ上げようとする。航は思わず男につかみかかった。
「ちょっと!その子は俺の連れですって……うわっ」
男に突き飛ばされ、航は再度尻餅をつく。しかし、その隙にイリスは男の手から力づくで抜け出すと、脱兎のごとく駆け出した。それを追いかけようとする男を、立ち上がりざまに航が突き飛ばす。男の怒りの声を背に受けながら、航はイリスを追いかけて走り出した。いくら十三歳の少女の足とはいえ、日頃の運動不足がたたり、追いつくころには航もすっかり息が上がっていた。
「ねえ、さっきの、何」
「いいから走って!」
航は大人しく少女の隣を走ることに専念する。後ろが何やら騒がしい気配がするが、振り返るのは怖いので前だけを見ることにした。
「ねえ、船、こっち?」
「バカ、まっすぐ戻ってどうするの、あいつら撒かなきゃ」
「いや無理、絶対無理」
「いいから走る!」
息も絶え絶えになりながら少女に並走する。イリスは一度も躊躇うことなくいくつもの角を曲がり、細い路地を駆け抜け、人混みに紛れ、航が必死にその姿を追っているうちに気づけば港に戻ってきていた。
自室へ入り、部屋の鍵を閉めると、航はまっすぐベッドにダイブした。
「つかれた……」
イリスは、隣のベッドに上がって靴を脱ぐと、膝を抱えた。その様子を横目に見て、航は少し躊躇ってから体を起こした。
「あの男たち、明らかにイリスを狙ってたよな。それに、前に世界の命運がどうのって……」
イリスは膝に額を付けたまま声を絞り出す。
「……あの人たちは、遺産を狙っているの」
「遺産?」
「そう。その遺産は、世界の存亡を左右すると言われているわ。そしてそれを使うことができるのは、今は世界で私一人だけ」
航が絶句する。しかし、実際に彼女が狙われている場面を目撃してしまった今、それを一笑に付すことはできなかった。
「イリス……君は一体、何者なんだ?」
「わたしは、古代アトランティスの末裔、イリス・アトランティス・ジャクソン。私は、その遺産を処分するためにここに来たの」
そう告げるイリスの瞳は、いつになく真剣で、苛烈な光を宿していた。
「物心ついた時からお父さんはいなくて、私はお母さんと、お母さんの友達っていうおじさん……ジュジュって言うんだけど、その人と三人で暮らしていたの。一か月くらい前、突然家に男の人がやってきて、私とお母さんをどこかへ連れて行こうとした。ジュジュに手伝ってもらって逃げ出したんだけど、何度も何度も追いかけてきた。逃げる途中で、お母さんが教えてくれたの。私のお父さんは古代アトランティスの末裔で、この血筋の女子にだけ、世界の存亡を左右する古代文明の遺産を使う力がある――つまり、私にその力があって、あの人たちはそれを悪用しようとしている悪い人たちだって」
イリスは淡々とした口調で、これまでの経緯を話していく。想像を絶する展開に、航は話についていくだけで必死だった。
「あちこちを逃げ回っていたんだけど……お母さんは、途中であの人たちに掴まって、殺されてしまった」
微かに、イリスの声が震える。航はその顔をおずおずとのぞき込んだが、話を続けようと記憶をたどる彼女の瞳は乾いていた。
「一度はなんとか追手を撒けたけど、またいつ見つかるかわからない。……だから私、決めたの。その古代文明の遺産とやらを、壊してやろうって」
「いや、なんでその結論に至った!?」
自由奔放な言動からは全く想像もできなかった過酷な背景に言葉を失っていた航は、しかし少女の話の行きつく先に思わず素っ頓狂な声を上げた。
「だって、そうするしかないじゃない。このままじゃ、私は一生あの人たちに狙われ続ける。なら、狙われる理由をなくしちゃえばいいのよ」
「……ちなみに、その遺産ってどんなものなの?」
「知らないわ」
「世界の存亡を左右するって、具体的にはどうやって?」
「さあ」
「その遺産、どうやって壊すつもりなの?」
「わからないわ。どんな大きさなのかも知らないし」
あっけらかんと言い放つ少女に、航は抗議の言葉をぐっと飲みこむ。その遺産とやらを破壊するというイリスの決意は固そうだ。今更、部外者の航が口出しできることではないだろう。
「じゃあ、その遺産ってどこにあるの?」
「サントリーニ島よ」
そう言うと、イリスは襟元から小さなネックレスを取り出す。黒と金の縁取りに、何かを編み込んだような模様のトップがついている。ロケットになっているそのネックレスの中には、幼いイリスと、その母親と思しき人物の小さな写真。
「これは、私の家に代々伝わるものらしいの。遠いご先祖の……アトランティス人の髪を埋め込んだもの」
航はその言葉にぎょっとして、伸ばしていた手を引っ込める。そういえば、何かのマンガで読んだことがある気がする。イリスがそのネックレスを裏返すと、小さくてよく見えないが、何か文字と図形が彫られているようだ。
「これを見ていけば、遺産の場所までたどり着けるはず。地図と照らし合わせて確認したから、多分大丈夫なはずよ。この船がサントリーニ島に着くのは明日。着いたらすぐにこの場所に向かって、遺産を壊す」
強い口調で言い切り、ネックレスを握りしめたイリスに、航は躊躇いがちに声をかけた。
「それ、俺も一緒に行くよ」
その言葉を聞いて、今まで平然としていたイリスの瞳が初めて揺れた。
「……でも」
「まあ、いても何もできないだろうけど、ここまできたら乗り掛かった舟だし。それに、観光客に紛れたほうが見つかりにくいだろ。……ん?ああ、それで俺に声をかけたんだな?お祖母さんに聞いた、優しい日本人を探して」
イリスは気まずそうな顔で頷いた。航は、口の端だけで笑うと、わざとらしくため息をついた。イリスの肩がびくりと跳ねる。
「言ったろ、乗り掛かった舟だって。明日、俺も一緒に行くから」
航が笑いかけると、イリスはようやく安心したように息を吐きだした。
まだ夕食の時間までは余裕があったが、もう一度船を降りる気にはなれなかった。しばらく二人は、航の持ってきていたギリシャのガイドブックを眺めたり、買ってきたお土産を鞄に詰めたりと船室内で過ごしていた。それでもなんとなく落ち着かない。
「俺、ちょっと船の中散策してこようかな」
落ち着かないのは同じなのか、イリスも同行を申し出る。船内ならば大丈夫だろうと、二人で部屋を出た。談話スペースに向かう途中、航の目に見覚えのある黒いスーツと帽子が映った。思わずイリスの手を引き、手近な角を曲がる。
「どうしたの?」
「さっきの奴がいた」
イリスの表情が強張る。二人は顔を見合わせると、辺りを警戒しながら部屋まで戻った。幸い、誰にも会うことなく部屋に滑り込み、即座に鍵をかけた。
「……こえー」
小さな声でぽろりと呟き、航は念のためにドアの前にソファを移動させた。
翌日。サントリーニ島の港に到着した。
照りつける太陽。抜けるような青空に白い雲。白い壁に、青い屋根の建物。どこまでいってもその二色のコントラストが眩しい。
しかしその明るさに比し、航とイリスの抱える空気は、重い。
昨夜はとりあえずは部屋にあるお菓子で食いつなぎ、航の持ってきていたゲームで夜を明かした。実は航の趣味であるマジックをイリスに披露した際には、思いがけず年齢相応の反応が返ってきて驚いた。手持ちのマジックセットを前にだらだらと話しているうちに睡魔に襲われ、気づけば朝だ。まずは夜何事もなく過ごせたことに安堵する。朝食を済ませ、無事に下船したはいいが、本番はここからだ。
「こっち」
ネックレスの案内図を見ながら、イリスが航の腕を引く。航はまたスーツの男の姿が見えやしないかと辺りをきょろきょろと見回しながら、引っ張られるままに無言で足を進めた。港からいくらも離れないうちに、その目が見覚えのある黒い人影を捉える。イリスの手を引き足を止めさせた。幸い、まだ相手は自分たちを見つけていないようだ。不自然に見えないように気を付けながら方向転換をして、人混みに紛れる。
いくつもの人混みを抜け、陽の光を照り返す白い建物に囲まれた道を歩く。しばらく歩いた後、唐突にイリスは足を止めた。
「ここだわ」
見上げる先には、白い壁を覆うように緑の葉の茂る、教会のような建物。今までに通り過ぎてきた建物とほとんど変わらない外観に、航は不安を覚えた。
「本当にここ?」
「だと思う。……入ってみましょう」
建物の中もまた、ほとんどが白一色の作りになっていた。今はあまり使われていないようだが、いくつかの小さな部屋と、二十人ばかりが集まることのできる広間があった。航がぼうっと天井を眺めている間、イリスは広間の壁をじっくりと調べていた。おそるおそる壁に触れると、壁の一部がぼこりと陥没し、人一人がギリギリ通れそうな通路が現れた。壁が崩れた音に驚いて振り向いた航と、意見を求めようと振り返ったイリスの目が合う。
「……なんか、いかにもって感じだよね」
ぎこちなく頷いたイリスが、その通路へと入ろうとする。航は慌てて引き留めると、通路に頭を突っ込んだ。
「うーん、暗すぎて全然様子がわからない。……あ、スマホでいいか。これで照らしてこう」
スマホのライトを片手に、航がその通路へと足を踏み入れる。イリスはそのすぐ後ろについた。航が掲げるスマホについている金属のストラップが、光を反射してふらふらと揺れた。
「あれ、でも結構短いかも。ほら、もう広いところに出そう」
意外と短かった通路の先は、開けた空間になっているようだった。周囲を囲んでいるのは、建物の壁というよりはむき出しの岩盤のように見える。スマホの小さな光では全貌がわからず、仕方がないのでとりあえず手近なところからスマホを向ける。二人がいる場所からほど近い壁の近くの床には大きな亀裂が走っていた。あの通路の入口が数メートルずれていたら、二人ともこの亀裂に落ちてお陀仏だったかもしれない。この空間の得体の知れなさの片鱗に、航は身震いした。と、突然イリスの胸元に下がったネックレスが、淡く光り始めた。それに呼応するように、周囲の壁のあちこちも、ぼうっと光を放ち始める。
「ワタル、あそこ……!」
イリスが指さす先には、小さな祭壇のようなものがあった。その上に、大人が両手を合わせたよりも大きな、盃のような形の物体が置かれていた。暗紅色に塗られたその盃は、微かな光すらぎらりと反射させ、不気味な雰囲気を醸し出している。その得体の知れなさに固まった航をよそに、イリスは躊躇いなくその盃に駆け寄ると手を伸ばす。
「ちょ、そんな不用意に触っちゃ――」
航の制止もむなしく、イリスの指が盃に触れる。と、その瞬間、
「×*+・+::*@!」
盃が声を上げた。低くしゃがれた声に、イリスは表情を硬くする。航は叫びたい気持ちを押し殺してイリスに近づくと、恐る恐る聞いた。
「な、なんて言ったんだ……?」
「わからないわ」
「は?」
「*+>?」
航の声と、盃の唸りが重なる。
「アトランティスの言葉なのかしら。多分、これがその遺産だとは思うのだけど」
イリスは唇を尖らせると、少しの間考えこむ素振りを見せた。それから一つ頷くと、きゅっと唇を引き結び、スカートのポケットから小さなナイフを取り出した。
「いいわ、とりあえずこれを壊しちゃえば終わりでしょ」
「イリス!?いいのかそんな暴論で!?」
イリスは思い切りよく、ナイフをその盃に突き立てた。
ぱきり、と硬い音がする。
イリスの手元には、柄だけを残して真っ二つになったナイフと、無傷の盃があった。
「どうして……」
折れたナイフの欠片が傷つけたのか、イリスの手には小さな傷がついている。そこから玉になって溢れた鮮血が一粒、盃に落ちる。
すると、突如として盃は鮮やかな赤い光を放った。イリスが驚いて目を覆う。すると、赤い光を受けた彼女の胸元で、淡く光っていたネックレスも同調するようにその色を赤く変え始めた。二つの光源から放たれる赤い光が、一人の男の姿を空中に描き出す。男が重々しく口を開いた。
「Καλως ορισες πισω, η κόρη μου.」
「いややっぱ何言ってるかわからん」
「これはギリシャ語。『よくぞ戻った、我が娘よ』ですって」
頭を抱える航に、イリスが冷静に答える。ということは、この男はイリスの先祖なのか。そういえば日本人じゃないんだった、と思いながら、感心する航の横で、イリスは続く男の言葉に表情を曇らせた。
「『世界のために、その血を捧げよ』……?」
「なあ、それもう起動してるんじゃないか?大丈夫なのか!?」
焦る航にイリスが振り返る。しかし、その視線は航の視線と交わる前に、そこにあるはずのない姿を見つけて凍り付いた。
「そんな……」
「イリス?」
イリスの様子がおかしいことに気づき、航が振り返ろうとした時、その肩にぽんと人の手が触れた。
「Merci de me guider」
低く落ち着いた声。航の肩を抑えたのとは反対の手が、イリスに伸びる。イリスが盃を抱えて駆け出すのに一瞬遅れて、航が肩に置かれた手を弾き上げ、彼女と黒スーツの男の間に立ちはだかる。その背に、小さな感触が触れた。横目で見ると、イリスが盃を胸に抱えたまま、航の背に寄りかかっている。その目は、航の目の前に立ちはだかる男を凝視していた。黒いスーツに黒い手袋、黒い帽子。黒一色の中、帽子から垂れる長い金髪が目に付く。くいと男が視線を上げると、冷たく光る碧眼がイリスを射抜いた。
男の姿に、イリスは唇を震わせる。信じられないとでも言うように目を見開き、盃を握る手が蒼白になるほどに力が込められる。
「そんな……嘘、どうして」
「イリス?どうした?」
男が何事かイリスに話しかける。イリスは唇を噛み締めて首を横に振った。航には男の言葉が聞き取れない。
「イリス、あいつはなんて――」
「嘘、嘘よ、じゃあパパはそのためだけに私を……」
イリスの悲痛な言葉に、航ははっとする。男の姿をもう一度じっくりと眺める。胸元辺りまである金髪に、澄んだ碧眼。
そうか、この男はイリスの父親なのか。
「そんなの嘘!だってママは、パパは家の事情でどうしても一緒にいられなかったんだって、そう言ってた!」
必死に言い募るイリスに、男は唇を歪ませた。それを見て固まったイリスとは逆に、航はかっと頭に血が上るのを感じた。勢いに任せてイリスを担ぎ上げる。
「え!?ワタル!?」
「逃げるぞ!」
航の行動に面食らったように、一瞬だけ動きを止めた男は、小さく舌打ちをすると通路に飛びこもうとした航に軽々追いつくと、床に引き倒す。バランスを崩した航の腕の中から、間一髪イリスが飛び降りた。ネックレスのチェーンが、航のシャツのボタンに引っかかってちぎれ、床に落ちる。航が慌ててそれを拾ったが、一瞬にして淡く光っていた壁も、赤く光っていた盃も、その光を失って辺りは真っ暗闇になった。
今のうち、と体勢を立て直そうとした航だったが、至近距離で熱い光を感じて目を瞑る。イリス父がライターを灯したようだった。その光の届く中に、イリスの姿はない。ほっとすると同時に、左腕を強く掴まれる。
「いて、痛い痛い痛い!」
ライターを航の目の前にかざして、イリス父は大声で何事か叫んでいる。その内容はわからなかったが、つまり自分が人質というわけだろう。どうにかならないかと必死で考えるが、武器になるようなものは何も持っていない。強いて言うならスマホと、それから――ふと、航は自由な左手に握っていたもののことを思い出し、はっとした。
「おい!こ、これを見ろ!」
日本語が通じるのかは疑問だが、これしか話せないので仕方がない。とりあえずなんとかこちらを見ればいい。航の思惑通り、男の顔が航のほうへ向く。航は左手に握っていた、イリスのネックレスを炎の前にかざした。
当然のように伸びてきた腕を躱し、ネックレスを左手に握りこむ。そして再度その手を開いた時、――ネックレスは忽然と消えていた。
目を見開き、男は何事かを叫ぶ。勿論何を言っているかわからないので聞き流し、もう一度手を握り、開く。そこにはネックレスが握られていた。奪い返そうと男が手を伸ばし、航の右手を拘束していた手が離れる。間一髪で伸びてきた男の手を避けると、ネックレスを右手に移し、一歩前に踏み出す。男がライターを取り落とした。消える前、一瞬だけ照らされた床に、大きな亀裂。
航が大きく振りかぶる。
その手から、大きな放物線を描いて、光るものが亀裂に吸い込まれた。
何かを叫んで、男がその亀裂に駆け寄る。たっぷり数秒後、微かに硬質なものが当たるようなカツーン、という音が聞こえる。その音に、男はふらりと立ち上がると、ポケットから何かを取り出した。床に落ちたライターの炎を一瞬反射して、オレンジ色に光る。
航が逃げようとした瞬間、暗闇の中から小さな影が男に体当たりした。
「イリス!」
ぶつかった衝撃で、男の握っていたナイフは男自身の手を傷つけたようだ。低いうめき声をあげて、男は血の滴る手でイリスの肩を掴む。イリスは、まだ胸に盃を抱えていた。
血に濡れた男の腕が、盃をかすめる。
すると、盃は凶悪な赤い光を放ち始めた。最初に聞いた、あの低くしゃがれた声が何かをわめきたてる。それに呼応するように、低い音が響く。地鳴りだ。
「な……なんだなんだ!?」
思わず立ちすくむ航と、固まったイリス。男は、周りの様子を気にも留めず、イリスの腕の中から盃を取り上げた。何事かを高らかに叫ぶ。しかし、次の瞬間、
盃が、男の手の中で真っ二つに砕けた。
それと同時に、音を立てて周囲の壁に亀裂が入る。
茫然とそれを見上げていた航だったが、強く手を引かれて我に返った。
「ワタル、逃げよう!」
イリスに頷き、通路へと向かう。躊躇いなく飛び込んだイリスに続いて通路に入る直前、航は少しだけ後ろを振り返る。
男は、割れた盃を茫然と抱いたまま、その場に立ち尽くしていた。
その姿は見なかったふりで、イリスの後を追う。背後で響く轟音。通路をくぐり、元の建物に戻る。それから二人は、無言で船の繋がれている港まで戻った。
そこに至るまで、イリスは一度も振り返らなかった。
無事に脱出を果たしたが、そのまま船に戻る気にもなれず、二人は辺りを散策することにした。とはいえ二人の口数は少ない。いくつかの店を冷やかした後、航はポケットの中にあるもののことを思い出して、アクセサリーを扱う店に立ち寄った。イリスに「ちょっとその辺見てて」と言うと、自分はそのままカウンターに向かう。イリスは少し迷って、店内を見て回ることにした。気になって横目に除くと、航は店員に何かを見せていた。一生懸命説明しようとしているが、店員も航も英語に不慣れなのか、話は進んでいないようだ。イリスはひとつため息をつくと、航に近づいた。
「ワタル?」
「うわ!イリス、ちょっと、お店の中見ててって」
「ワタルの話、通じてないじゃない。私ならギリシャ語で話してあげるから」
そう言って航の手元をのぞき込んだイリスは、そこにあるはずのないものを見つけて凍り付いた。
航が握っていたのは、チェーンが切れたネックレス。先ほどあの場所で、彼が投げ捨てたはずのものだった。
「あーもう、ちゃんと綺麗に直してから見せて驚かせようと思ったのに」
「これ、投げたんじゃ……」
イリスが涙目で航を見上げる。航は頭を掻くと、種明かしをした。
「投げたのはスマホについてたストラップ。マジックの要領で、投げる前にすり替えたんだよ。……もう、バレたものはしょうがない。これに新しいチェーンを付けてほしいって頼んでよ。イリスの好きなのにしていいから」
頷こうとして、眦から雫がこぼれそうになり慌てて上を見る。気まずそうに明後日の方向を見ている航に、震えないように細心の注意を払って声を絞り出した。
「ありがとう、ワタル」
あの後、自力で涙を引っ込めたイリスは、何事もなかったかのように笑って航の横に並んだ。襟元に、黒と金のネックレスと、そのチェーンに通した青緑色の石の指輪を揺らしながら、店を出る。その胸元で揺れる見たことのある指輪に、航は微妙に視線を逸らした。イリスの先導で向かったのは夕日の綺麗だという場所。乗船時間に間に合わなくなってしまうため、日が沈むところまで見届けることはできないが、小高い場所から見る島の景色は十分綺麗だった。
「ワタル、色々と本当にありがとう」
イリスが徐に口を開いた。
「これで遺産も処分できたし、もう狙われることもない……私は自由よ」
「そうだね」
航が短く応じる。それきり、二人の間に沈黙が落ちた。重く、それでいてどこか心地の良い静けさだった。
「そろそろ戻らないと、船に乗りそびれる」
「そうね。じゃあ、ワタル……元気でね」
「え?」
航は驚いたようにイリスを振り返る。
「だって、私の目的は果たしたんだから、もう一緒にいる理由はないわ」
イリスは、そう言って下手くそに笑った。航は大きくため息をつくと、イリスの手を掴む。
「いや、困るから。俺の連れって言っちゃったから、いなくなったら変に思われるだろ。日本まで一緒に帰ってもらうから」
「え!?でも私――」
「まだあと一日、明日はアテネ観光だな。さ、部屋に戻ってもう一回どこ見て回るか決めよう」
イリスはあっけにとられたように航を見つめ、それから、にっこりと笑った。
「そうね。案内は任せて頂戴!」
原作:原作者は Muです
・基本登場人物
青年:主人公。大学生。たまたま商店街の福引でエーゲ海クルーズの旅を引き当てる。
夏休みに一人でグルーズ旅行に参加。最初、謎の少女を怪しんで突き放すが、放っておけなくなる。ちょっとお人よし
少女:金髪碧眼。子供から大人に成長しようとする年ごろ(13~14歳)。行動的で物おじしない。古代の秘宝のカギを握るため、謎の組織に追われている。実は古代アトランティスの末裔。彼女の遺伝子にのみ反応する超古代文明の遺産を処分しようと考えている。
・あらすじ
たまたま商店街の福引で豪華客船でのエーゲ海クルーズの旅を引き当てた青年
夏休みに一人でクルーズ船の旅に参加してギリシャの島巡りを楽しむ
ある島で謎めいた美少女に出会い、強引に引っ張り廻された挙句、頼み込まれて船に乗せることに
船上で一旦分かれたけれど、無断乗船の少女を放っておけなくて(発覚の危機を助けて)匿うことに
その後の島巡り観光にも同行、少女はちゃっかり楽しんでいる
次第に打ち解ける親しくなる二人
やがて少女を狙う何ものかが現れて、島中の逃走劇、間一髪の乗船。
けれど船中でも追われることに
運よく少女の目指す島に上陸
追手の目をかいくぐって隠れ屋敷に向かう
そこには少女に残された人類の存亡を左右する超古代文明の遺産が存在していた。
実は、その危険と、狙われていることを知って彼女はそれを処分しにきたのだ。
けれど単純に破壊する事はできなかった。
そうこうするうちに秘宝を狙う組織がやってくる。
追い詰められる二人。
絶体絶命のピンチで二人に策はあるのか?
→どういった策を取るかは、お任せします^^
例えば、・隠し通路を使って脱出。遺産は海深くに沈める
・古代遺産を(が)起動してしまって大パニック
・青年が機転を利かせて切り抜ける など
いい感じにピンチを脱してハッピーエンドでお願いします。
ラストは二人の船旅がまだまだ続く感じか or 旅の終わりの別れの場面か どちらかで