表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界パン屋~赤眼の少女と機械じかけのパン職人~  作者: どるき
第三章 初恋の味

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/49

番外編 匂いの記憶

 初めてのプロレスごっこの晩、僕は溜まっていた衣服を洗濯しようとしていた。

 当然ながら脱衣かごにはアマネが来ていたジャージが入っている。彼女が運動で流した溢れんばかりの汗が染みたそれは、汗の匂いを漂わせていた。


「ん?」


 気になって少しだけ嗅いでみた僕は驚く。

 アマネの匂いが凝縮された塊が、僕の鼻に襲いかかってきたからだ。

 普通の人間ならくさいと言い放つほどに汗の匂いが強い。だが僕にはその匂いが甘美だった。

 濃いアマネの匂いを身体中に吸い込んでしまった僕は、その匂いに酔ってしまう。もし僕が彼女とあのままプロレスごっこを出来ていたら、あのまま耽美な運動をして汗をかいた彼女からは、同じ匂いがするのだろうと。


「ごめんアマネ───これ以上はダメだ!」


 これ以上はいけない。

 理性ではわかっているが、僕の本能がそれを止めようとしない。僕はしばらくの間、彼女が脱ぎ捨てたジャージの匂いを嗅いでいた。


 普通の人間ならば勃起が収まらず、性犯罪に走りかねない程に僕の胸は高鳴る。ジャポニウムリアクターが異常な出力を行い、身体中が火照っていた。

 もしこの場にアマネが飛び込んできてきたら、理性を失った僕は彼女を襲っていただろう程に僕は正気を失ってしまう。

 アマネに目撃されるリスクはもちろんあるとはいえ、僕が普通の人間ならば自分を慰めて気持ちを発散できたのだろうと、僕は自分の肉体を少し恨む。


 僕の頭脳はいつでもこの匂いを再生できるように、記憶の隅に「アマネの匂い(ジャージ編)」というフォルダを作成してこの匂いを保存していた。

 匂いと脱ぎ捨てられたジャージの手触りだけで、アマネを相手にイヤらしいことを考えてしまったのは飛躍しすぎていた。まあ、別の言い方をするのならば、それくらい今の僕は彼女に惹かれているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とてもよく分かります(笑) 止まらない気持ちが凝縮されて伝わってきました!
[一言] コイツ…上級者か!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ