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異世界パン屋~赤眼の少女と機械じかけのパン職人~  作者: どるき
第二章 パン屋の滅びた世界

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寝落ち

 研究用の食材や生活必需品を買い込んだわたしたちは、日が暮れないうちに家路につく。

 とくに荷物の運搬に使えるジェットブーツ用カーゴの出物が安く手に入ったのは大きな収穫で、買い込んだ食材だけではなくわたし自身やパンの運搬もこれで賄えそうである。

 合計で十五万ルートと、ヨハネの手持ちの三分の一を叩いた大荷物を抱えてわたしたちはホームを目指す。カーゴを引いてジェットブーツを走らせるヨハネには慎重に運転してもらう必要があるが、行きのスピード狂いを考えればこれくらいの枷があって丁度いいのだろう。

 そのぶん移動速度は当然ながら遅くなってしまうので、ホームに到着したのは街を出てから二時間強。そろそろ日も落ちてきた五時半頃である。


「お疲れ様」


 わたしはカーゴから降りると、ヨハネを労うようにそれを押してホームに入る。

 疲れたであろうと横目に見たヨハネの顔には汗一つない。わたしが思うよりも彼はタフなのだろうと、わたしはそれを深く考えなかった。


「アマネも疲れただろう。すぐにお風呂を準備するよ」

「それくらいわたしがやるって」

「いいから。アマネはこれでも読んで待ってて」


 そう言うとヨハネは本を三冊ほど置いて風呂場に向かっていった。

 彼が置いた本は日本語で書かれており、わたしの為にわざわざ買い求めてくれたのだろう。

 本のタイトルは「裸のパン屋」「あやかしパン屋」「襲われるパン屋」とどれも小説のようだ。

 パン屋縛りなのはわたしへの気遣いなのだろうと微笑みながら、わたしは彼の準備をしばし待つ。

 わたしも活字は読む方なので挿し絵がなくても気にはしないが、デートみたいな一日にはしゃぎすぎたのだろう。読んでいる本の内容が頭から霞んでいき、そしていつにまにか眠ってしまう。

 すやすやと自分でも可愛らしいと思う寝息。

 読んでいた本の内容のせいか、裸でパンを焼く自分の姿を夢に見てしまう。


「朝も早かったから疲れてしまったか。仕方がない、起きるまで待つか」


 風呂場から戻ってきたヨハネはわたしの姿を見て、わたしに毛布をかけて起きるまで待ち続けた。

 わたし自身も驚いてしまうほどだが、結局わたしは翌朝までここで眠ってしまう。普通ならば体を痛めそうな寝相だったのだが、ヨハネのおかげでわたしは事なきを得る。

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