3日目朝
リリィが来て3日目がやってきた。
俺は1日目に続いて2日目もほとんど眠ることができなかった。
なので今朝はすっごく眠い。気持ちが悪い。そろそろマジで体力がヤバいと思う。だって床から起き上がるのも面倒なくらいなんだもん。
俺がリビングの床でごろごろしていると、ベッドルームから諸悪の根源、リリィが起きてきた。ぐっすりと寝て清々しい顔をしている。羨ましい限りだ。
「おはようございます、ご主人様。なんだか今日は昨日と違ってお元気なようですね」
「おはようリリィ。で、さっそく言っておくが、リリィが見ているソコは俺の顔ではなく黒い巨塔だ。そして俺の顔は寝不足で瀕死そのものだ」
「はっ! うっかりご主人様の顔と黒い巨塔の位置を間違えてしまいました。申し訳ございません」
一体どんな間違いをしたらそうなるんだよ。
「ちなみにご主人様にお伺いしたいことがあるのですが」
「なんだね?」
「私、昨日お風呂に入ってからの記憶がないのですが、もしかして逆上せて気を失っちゃったのでしょうか?」
リリィは昨日のお風呂事件のことについて聞いてきた。もちろん俺は事実は伝えず嘘で返答する。
「ああ、お風呂がよっぽど気持ちよかったんだろうな。風呂場の床で昇天してたぞ。だから俺がベッドルームまで運んでやったんだ。感謝するんだな」
「そうでしたか、それはご主人様のお手を煩わせてしまいました。申し訳ございませんでした。それでお詫びと言ってはなんですが、性奴隷の私がご主人様の満足するまでエンドレスセックスを」
「セックスは一週間禁止だと言ったのはもう忘れたのかね?」
「ぐぐううっ……」
悔しそうな顔と声を出すリリィ。返す言葉もないようだ。
俺はそのリリィを見て愉悦感に浸った。そして眠気覚ましのミネラルウォーターコップに注ぎ、ソファに座り、ひと口飲んだ。
「リリィよ、俺は今すっごくダルい。だからリリィが今日も朝食を作ってくれないか」
「了解しました」
「あ、薬品類は入れるなよ」
「わかっております」
俺の命令に従い、リリィは朝食を作り始めた。小刻みにトントンと包丁で野菜を切っていく。それと同時に鍋でコーンスープも用意していく。ベーコンエッグも焼いていく。
こうしてできあがった朝食は昨日と同じく美味しいものだった。
リリィが人間ならすごくいいお嫁さんになれそうだと思った。
ちなみに一応調べたけど薬品類はちゃんと入っていなかった。
「ふぅー。美味しかった。ごちそうさまでした」
「いえ、どういたしまして」
「じゃあ俺、そろそろ仕事に行ってくるから。今日も家の中で大人しくしておくんだよ」
「了解しました」
リリィに命令したあと俺は玄関から出て、結界魔法イエアカンをかけて仕事へ出発した。
さて、やっとリリィと離れる貴重な時間がやったきた。だが、なぜか俺は底知れない胸騒ぎがしていた。それは今朝のリリィが不自然なほどに素直すぎたからだ。
「今朝のリリィ、昨日と比べたら大人しかったな。何か嵐の前の静けさとかでなければいいが……」