?日目昼
今日は晴天。
俺とメアリの結婚式に相応しい爽やかな天気だ。結婚式場の外にできている花道は輝いて見える。俺のタキシードとメアリのウエディングドレスもまるで光をまとっているみたいだ。
「二人ともおめでとウ!」
「ルーニーさん! ありがとうございます!」
フラワーシャワーを浴びながら花道を歩いている途中でルーニーさんに声をかけられた。ルーニーさんは少し老けたけど、変わらない素敵なオーラを放っていた。
そしてルーニーさんの横にはキララさんもいた。
「まさか本当に二人が結婚するとはねえ。で? 子どもの予定はいつだい? セックスはしてんのかい?」
「まだ子どもは未定です」
「あらそうかい。まあ、性欲強そうなアレンのことだからすぐに子どもの3人や4人くらいできるさ。せいぜいセックスに励みなよ」
「ちょっ、キララさん!」
キララさんは相変わらず俺をからかってきた。しかもセックスセックスって……。
まるでリリィみたいだ。ふふっ。
「あなた?何か面白いことでもあったの?」
メアリが首を傾げながら尋ねてきた。
「ああ、さっきのキララさんの話がリリィみたいだったから、つい昔のことを思い出して笑っちゃっただけさ」
「何よそれ」
メアリはちょっとだけ拗ねた顔を見せた。
花道の途中まで歩いた。
俺とメアリは手を繋ぎながら話す。
「そういえば、リリィちゃんは結局来れなかったわねえ。結婚式に来て欲しかったのに」
「ああ、今はどこか遠いところへ旅に行ってるらしく、行方がわからないんだ」
「そうなのね、残念」
ちょうど話し終えたところで花道も歩き終えた。
予定ではこれからバルーンを空へ飛ばすイベントがあるらしく、結婚式に来ているみんなにバルーンが配られていた。
「みなさーん! バルーンはしっかりと持ちましたかー?」
結婚式場の係員がみんなに尋ねる。
「オッケーですねー! では、3・2・1・はい! でバルーンを手から離してくださいねー! ではいきますよー! 3・2・1・はい!」
係員の合図とともに色とりどりのバルーンが一斉に空へと高く飛んで行った。
赤、青、黄、緑、桃、橙、紫、茶、白。
そのとき、ひとつの黒い影がバルーンに合わせて飛んでいるように見えた。
俺たちの門出を祝福するかのように。
「ありがとう。来てくれたんだね」
俺はその黒い影に向けて、小さく呟いたのだった。
俺とサキュバスの一週間 〜おわり〜




