6日目夜
家に帰ってきた。家の中は真っ暗だった。
今日は廊下にローションは塗られていなかった。
明かりをつけてリビングへ入ると、そこにリリィの姿はなかった。
「リリィ?」
声を出してリリィを呼ぶも返事がない。
「リリィ! リリィ! どこだ!」
俺は各部屋を開け、急いでリリィを探した。
そしてリリィを見つけた。リリィはベッドルームにいた。ベッドに横たわっていた。全裸で。
「リリィ? 大丈夫か?」
「あ……ご主人様……おかえりなさいませ……」
リリィはまだ生きていた。
だが、弱り果てていた。
「リリィ、心配したぞ」
「ご心配していただき……ありがとうございます……。ところでご主人様……お願いが……あるのですが……」
「お願い? なんだい?」
「私と……セックスして……ください……」
リリィは小さく掠れた声で俺とのセックスを求めた。最後まで生きたがっていた。
そしてリリィはまもなく死ぬ。俺は命の終わりが近いことを実感した。
「リリィ、ごめんな。ちょっと外す」
俺はリリィに一言告げてベッドルームを後にする。そしてリビングへとやってきた。
それから俺は紙とペンを用意し、椅子に座りテーブルで手紙を書き始めた。
◆
サキュバスのリリィへ
この一週間、セックスすることができずに辛い思いをさせてしまったね。苦しかったよね。キツかったよね。申し訳なかったと思っています。本当にごめんね。
どうにかセックスせずにリリィを救えないものかと、魔法研究室に籠って資料を調べてみたり、魔法大学校に行って修練したりして色々と試してみたけど、俺ごときでは結局どうすることもできませんでした。本当に俺はどうしようもない愚かな魔法使いです。
ですが、安心してください。虫も殺せないような愚かな魔法使いの俺はこれからリリィとセックスします。つまり、リリィを助けて俺は死にます。
俺が死んだら家にかけておいた結界魔法は解けるのでリリィは自由になれます。セックスしたくてもできなかったサキュバスからも見事に解放となります。おめでとう。
あ、でも、自由になったからといって男性を誘いまくって町を壊滅させたりはしないでくれよな。命は大切にするんだぞ。
では、さよならです。リリィと出会えてよかった。一週間楽しかったよ。ありがとう。
どうしようもない愚かなご主人様より
◆
書き終えた手紙をテーブルに置いたあと、俺は風呂に入った。全身をくまなく洗い、身を清めた。
そして風呂から上がったあと、ベッドルームへ向かった。
ベッドルームでは、引き続きベッドに横たわる全裸のリリィがいた。俺もその横で全裸で横たわった。
いよいよだ。
心臓が高鳴る。
覚悟を決めた俺はむくりと起き上がり、リリィと肌を合わせた。
そして俺は、リリィと一夜を明かした。




