妖刀ナナツサヤノタチ
「分かった、ならここからどうやって出れるか教えてくれ。ここまで来たんだから教えてくるよな?」
彼の名や妖刀であるという事実が分かったとしても、今の俺達にはやることがあるのだ。だから一刻も早くこの館から脱出し、次の目的地に向かわないといろいろと予定が狂ってしまう可能性が高い。
「......」
そんな俺の思いとは裏腹に彼は少し無言になったのだが......おいおいマジかよ、もしここで「あっごっめーん! あの手紙がなかったことにフォーエバー!」なんて言いやがったら、その整形のこと言いふらすぞ! それはフォーエバーブリリアント法だな。
「......それはまだ無理だ」
「まだ無理ってどういうことだ!?」
そんな俺の期待? も空しく案の定彼は俺の期待していることを否定したので、流石の俺もこれには激おこぷんぷん丸のお怒り状態だ。
たしかにあの手紙に従ってここまでたどり着いたのに、この仕打ちはあんまりだ。俺は尻を掘られそうになったし、アスナに至っては現在行方不明状態なんだぞ。ワンチャンブルーベリーになってしまっている可能性がある。やはりこの剣は、模造刀であって本物の国宝『ナナツサヤノタチ』ではないな。
再度政治家のように俺は早々と彼に見切りをつけている俺の心を読んだのか彼が、
「それは君達が謎を解いていないからだ、とは言ってもそれには私がいるんだがね」
「私って......そもそも謎ってのは一体何なんだ!?」
それじゃここにたどり着いてあんたをゲットだぜ! しないと意味がねえのかよ、それに国宝級とかマスターボールとかないと無理だろ。加えて謎っていうのが絡むから更にわけがわからなくなる......エタって完結しなかった、なろう小説の続きぐらいに。これは俺のフラグではなく、『俺物語!!」を書いている奴のかもしれないな。いや本家じゃありませんよはい、こっちの話です。
そこで一旦脳内をリスケして考えた。だがやはり彼の言っている謎っていうものが何か分からない。
「......君達ももう出会っているだろ?」
見かねた彼がヒントをくれるかのようにそう言ってくれたので、俺は再度それについて黙考することにした。
彼の言葉に従って考えると、俺達はその謎と出会っているようだな。この館で出会ったものの中で一番印象に残っている謎めいたものと言ったらあれしかないな。
「たけしボックスか?」
「......ん? なんだね、そのたけしボックスというのは?」
俺のアンサーに彼は一瞬戸惑うとたけボについて訊いてきた。
どうやら間違いのようだな......まあ知っていたけどね。流石の俺のここまで馬鹿ではない、今のはただの小手調べだ。物事にはちゃんとした順序があり、それを確実に踏んでいかないと大変な目に遭うのだ。だから俺は尻を掘られかけて、危うく純潔のア〇ルを捧げそうになったんだからな。
というわけで冗談はここまでとして俺は、彼の言葉を熟考すると同時にあるモノのことを思い出した。
「まさか、あの日本人形のことを言っているのか?」
「? 多分君が言っているその日本人形というもので正しいはずだ」
あの人形が彼に言っている謎の正体ってわけか。だがそれを言ってくれなかったら一生あの人形とリアル穴堀レースをするはめになりかけたがな。まあそれはともかく過去に穴堀大会が開催された場所なんてごめんだからな、俺は帰らせてもらおう。
そのセリフを言った彼は、その後無事化け物の館から脱出することができたのだ......ブルーベリーになった相棒と......純潔を失って......。
ーーーーーー《完》ーーーーーーーー
という夢をみたのさ......まあとにかくですね、こんな穴掘大会が開催される場所なんて地球ぐらいでしかお目に掛かれません。それにもう一度野獣に追いかけまわされるのも悪くはありませし、ここは一度彼の指示に従って掘られに行きましょうか......謎のアナウンスが流れないってことは、これが正規ルートでいいってことか。だがこのままでは俺の純潔が失われて血便が散乱するのも時間の問題だ、早急に解決しなければならない。
「ならあの人形を倒せばいいのか?」
決意を新たにした俺は、彼の言っている謎であるあの人形の処遇についてそう訊いてみたが、それに対して彼は何か考えているのか戸惑っているかのような雰囲気を出している。
おいおいまさか、穴掘大会に出場しないとここから出られないのか? 仮にそれが成功し、加えてアスナもイリュージョンせずにここから出たとしよう......俺の純潔はどうなるんだ? 俺は絶対に嫌だからな、あっちに目覚めてしまうとか。ホモ・リッチの時も言ったが俺は二刀流じゃない、ノーマルだ。ただ今は彼女を作りたくないなあ~と思っているだけだから、ホントそれだけだから。なので二刀流とかマジで無理ですごめんなさい。
「仮に君達が彼女を倒すことに成功した場合、この館から脱出できることを保証しよう」
どうやら『純潔のユウト』は放送せずに済んだようだ。やっぱアニメは見るに限る、あのままだと『不潔のユウト』になってしまっていたからな。本家が好きな人、すみま......千えーーん!!
「よっしゃー! ならーー」
「ただし!」
俺が喜びの雄叫びを上げてそれを実行するとしようという前に、彼の糾弾するかのような叫び声を上げたので黙ってその続きを待っていると、
「......彼女は本当の意味では救われないだろうな......」
彼はまるで今まで夢見てきた夢が目の前で消えるかのような消え入りそうな声でそう続けていたが......ただし! ......俺も本当の意味では救られないだろうなってかあの人形女性だったのか......てっきり人形の姿をしたガチホモパンツレスラーかと思っていたぞマジで......てことはここはプロレス会場なのか?
「救うって、まさかあの日本人形のことをか!?」
「当たり前だ」
混乱した俺は、まず情報を整理するところから始めた。
まずあの人形は今回の穴掘大会の主催者であるパンツレスラーなのは確定である。実際に俺のア〇ルを改造するために襲い掛かって来たし、あの手紙にも化け物(野獣先輩)と書いてあったからな......てかあの手紙書いたの彼だよな? なんで女性に対してそんなひどいこと言えるんだよ(巨大ブーメラン)。
「あんたあの人形、彼女のこと化け物ってあの手紙に書いてたけどそれってどういう意味だ?」
「それは君自身が体験したから分かるだろ? 私にはこの館全体を監視する力があるが、今までこの館に迷い込んだ者達はすべてあの......たけボ? の中にいた君のようになっていたからな、だから君達にとってはある意味『化け物』と言えると思ったからだ。もちろん彼女には悪いと思うが」
そういうことか......つまり今までこのパンツレスラーの館に迷い込んでしまった子羊(男性諸君)は運悪くパンツレスラー(人形)の目に留まって強制的に穴掘大会に出場させられ、そのショックのせいで帰還者(主に男性)は記憶(参加中の)を失ったわけか。それに先ほど危うくというよりも一度俺もその運命の赤い糸(血便)を握ってしまい、見事二刀流になり、加えてブルーベリーになったアスナとこの館を脱出してしまったからな、今度はその二の舞にならないように慎重に物事を運んでいこう。
といことで今はパンツレスラーこと彼女の問題が先決である。
「分かった、ならなんでその彼女? を救わないといけないんだ?」
「彼女は、君達侵入者を襲いたくて襲っている訳ではないんだ」
あぁん? どういうことだ、なんで無自覚で豆しば(俺)を襲おうとしているんだよ? そのせいでこの館産の二刀流がまた一人生まれかけたんだぞ。つまり帰還者(主に男性)は新たな境地に目覚めたということだ。俺は絶対にそんなパイオニアにはなりたくねえ。
「じゃあなんで襲ってくるんだ?」
すると彼は一呼吸置いて、
「......相棒のような者を探しているんだ」
「相棒?」
そういえば......あの座敷であの日本人形が何か探している様子だったな。俺とアスナの見解によるとたしか二本の刀という感じで落ち着いたが......まさかそれでグサッ! とヤル感じなのか!? 血便も嫌だが、それだと血便に加えて血しぶきがこの館を赤く染めてしまう。今俺達のステータスが低下しているし加えてそれに対抗するだけの力を持っていない。とにかく今は俺のこの認識でいいのかどうかを彼に確認するか。
「その相棒って、もしかして二本の刀という認識でいいか?」
「あぁその通りだが、二本ではなく一本だったはずだ。それにしてもなぜ刀だと分かったんだ?」
俺はあの座敷でアスナが気絶したこと以外のすべてのことを話すことにした。彼はこの館を監視する力があるって言ってたからそのことも知っているだろうからな。
「なるほど、だからか」
どうやら俺の話に納得してくれたようだが、これを話している最中俺はある重要なことを思い出した。
「そういえば、あの人形がオルゴールみたいな音を鳴らしていたけど、あれって何だ?」
「オルゴール? 音楽? ......あぁなるほど思い出した。たしか彼女がお気に入りしているものの一つに、その『オルゴール』という名のものがあったな」
やっぱあれってオルゴールなんだ、まあまだこの世界全体を知っているわけではないが、オルゴールがこの世界にあることはあまり不思議なことではないかもしれない。だがアスナとこのことについて話したが、どうも納得できなかったことがある。
「それで訊きたいことなんだが......あのオルゴールから鳴っていた音楽はこの世界のものなのか?」
あの音楽は明らかにこの世界のものではなく俺達の、つまり地球発祥の音楽である。それなのに何故この世界にそれがあるのか不思議でならない。
「私も詳しくは知らないが、あれは私達を作った者が所有していたという話を、彼女から聞いたことはあるぞ」
「あんたらを作った人物は一体何者なんだ?」
多分彼は妖刀だと推測できる、だからこそその製作者である人物が誰であるかを、俺達は知る必要があるような気がする。一応俺達の仕事の一つが妖刀関係のことだからな。
「う~ん、すまないがよく思い出せないな......」
「ならこの場所までどうやって来たんだ?」
やっぱ手とか足とか生えんのか? 妖刀だからな、何ら不思議なことではない。だが先ほど言ったようにそれが正しければヴィジュアル的ないヤバい、それが嫌ならヴィジュアル系ロックバンド『YOTO'S』にするしかないな。う~んやはりセンスがないな、これだとワンチャン『NATO(北大西洋条約機構)』に勘違いされる可能性が高いな。それにメンバー彼一人とか成り立たんでしょ、『チューニーズ・セカンド』なら空きがあるから入ってちゃっていいぞ。以前の『チューニーズ』は俺だけ深淵じゃなかったから解散してしまったのだ、だから今なら初期メンバーになることができる。
俺は期待ちょびっと勧誘ほとんど、つまりスポンサリングのような気持ちで先ほどから考え込んでいる彼の返事と待つことにした。
「......私はあまり覚えていないが彼女が言うには、その製作者である人物と親交のあった者がここまで連れて来たそうだ」
「ふ~ん、それでその親交のある者はこの館を建ててどこに行ったんだ?」
「この館は私の力で形成されている、だからその認識は誤りだ」
てっきりその親交のあった者が、このパンツレスラーの館なんていうおぞましいものを建てたと勘違いしてしまったぞ。それにより俺達の本当の敵は意外にも彼だったということが判明したのだ。阿笠博士や光彦ではないぞ、あれは黒の組織だからなってかそれはガセネタの可能性が高い、つまり彼も敵ではないかもしれない。......ここまでの流れを振り返って改めて考える、何をしたかったのか自分でもよく分からないな。
とにかく彼の持つ力については後々訊くことしよう。今は話を進めないといろいろとヤバイ、俺の考えていることしか書かれていないぞ。
「ならこの館を建てたそいつは、その後どこに行ったんだ?」
その人物なら、妖刀について何かしらのことを知っているかもしれないからな、それにあの扉に書かれていることも気になるし、一度その人物に会って話してみたいものだ。てか今更だが、オーブリー達からはそのことについて何も聞かされずに、妖刀使いと妖刀のコレクトしか命令されなかったぞ、これって上司としてあるまじき行為であるのは明白である。今度会ったときはガツンと「ボーナス上げろぉぉぉぉ!!」と言ってやらないと気が済まないのだ......人間とはなんて欲の深い生き物なのでしょう、そう思いました。
「さぁな、私達はこの場所から自由に動くことができんのだ。だからその後の行方については何もしないな」
なら仕方ない、これ以上言い募ってもおもちゃ屋さんで幼稚園児が駄々をこねながら「あれが欲しいのぉぉぉぉ! ウルトラマンがぁぁぁぁ!!」のようにあまり意味がないからな......ホントウルトラマンのフィギュア欲しかったなあ~(遠視)。
ウルトラマンメビウスのことは慣性の法則に従いM78星雲に帰ってもらうことにしよう、今はこの後のことが先決だからな。
「それじゃあその相棒の刀を見つけて、彼女に渡せばいいのか?」
「残念だが、それは無理だな」
彼は何の迷いもなくそう即答した。
なんで即答するんだよ、少しは期待持たせろよ。このままでは本家ではない『性戦の予兆』が放送されるんだぞ。てか誰得のアニメだよこれ、ガチホモが「ホモホモ?」と言い、それて対して腐女子が「ホモホモ、ホモォォォォ!!」会話しながら見ること以外想像できない......これって会話できてんのか? 新しく共通言語になったホモ語とか何かなのか? そしてすでに俺の中であの人形=野獣という認識が成り立っており、女性として認識できていないようだ。こんな感じで公式というものは作られていくんだろう。
「何故無理なんだ!?」
公式作りというある意味ではすごい偉業をホモ界に残した俺は、すぐに彼の言う無理である理由について少し声を荒げて尋ねてしまったが、彼はそれには気にしせずに少し申し訳なさそうにしながら、
「......その刀はもうこの館にはないんだ」
「それじゃどうやってその彼女(俺のア〇ル)を救えばいいんだ!?」
ついてうっかり彼女ではなく俺のア〇ルちゃんのことを考えて訊き返してしまったな。今のところの優先順位は、上から俺のア〇ル<アスナ<<<<<<パンツレスラーこと彼女である。それにしてもアスナをア〇ナとしたらなんか違和感がない気がするぞ......もしアスナにこのことがバレたら俺は掘られる以上の災厄が降りかかること確定だな、それに思考がパンデミック! 俺のア〇ルもパンデミック! とこのようにこの館に入ってからなんかいろんなこと考えるようになったな。
久々にラッパーYUTOのことを考えながら俺のア〇ルと俺は思っているが、俺の心の声が聞こえなかった彼は、その質問が解決不可能な問題なのか彼は唸りながら、
「う~ん、私もそれを考えたんだが、一向に答えが見えてこないんだ」
「それじゃあやっぱり、彼女を倒さないといけないんだな」
彼の言い分を理解するにこれが一番の解決方法だな。このままだと前述通りおれのア〇ルちゃんが、あの人形のサクリファイスされるかもしれない。だからそんなア〇ルちゃんのため、そして何より俺が二刀流にならないために打倒パンツレスラーを決意したのだ。
そんな本来思っている決意を露知らず彼は少し悲しそうにしながらも、
「それも仕方ないことだな......」
そう消え入るように呟いていた。




