探し物
あの後目ぼしいものが無かったので、俺達は奴に気を付けながら元の道を引き返しすことにしたのだが、ここはかなり広いはずなのに何でアイテムが今のところ二つしか見つからないんだ? 逆に一か所に置いとけよな、ステータスが下がっているからなんか歩くだけでも疲れてしまうのだが。そのせいか杖が必要になってきたような気がし始たし杖でも創造しようかなあ~、あっでも普通の杖じゃなくて白杖だな。
以前そういう体験授業みたいなのを体験したから、創造できなくはないが......アスナは平気なようだし、ここで俺が杖なんて使ったらそれこそ老人ホームに入居させられてしまう可能性大だからな。あっでも待てよ、案外起きて朝飯食ってテレビ見て昼飯食って昼寝して夜飯食ってそのままベット・インするのも悪くはないな。それ以外は爺さん婆さんとおしゃべりタイムぐらいしかすることないよな。
このことから考えるとこれが理想のヒモ生活ってわけか、まあ褐色系美女ではなくしわくちゃ年寄りばっかりだが、あまり無茶言ってはいけない。というわけで俺勝ち組けって......シゴトアッタノワスレテタ(白目)。
「そろそろ入り口付近だから、ここから静かに行くぞ」
たった今できた一世一代の夢が一瞬で海の藻屑になってしまったことを少し引きずりながらも、俺は先ほどの人形に注意する思いでアスナにそう呟くと、彼女は顔を青白くして高速で頷いている。おいおい首がその勢いで取れるかもしれんから、その表情だけで十分伝わるから安心して。
そんなことを考えながら入り口付近に戻って来て、近くにある部屋に入るとそのドアの隙間からあの人形が来ないかどうかチェックしていると、先ほど同様奴からオルゴールのような音色が聞こえてきたのだが、それが先ほど聞こえた曲とはまったく違うことに気が付いてので、再度またあの人形が近くにいると理解したのか顔が青くなっているアスナに訊いてみることした。
「おいアスナ、あの曲って何ていうんだ?」
「あ、あれはヘンデル作曲のサラバンド、正式には『ハープシコード組曲 第2番 HWV437 第4曲 サラバンド』といいます。た、たしか車のCMや映画のBGMに使われたりしており、例えであげるとジブリでも使われたりしたそうです。えーと、あとはーー」
ジブリ? ......あぁあれだ『ラン、ランララランランラン♪』ていう歌をオウムさんと一緒に仲良く歌うやつだ。でもすぐに大人達にお持ち帰り~♪ されるんだったな。それにたしか曲名みたいなのは、オウム・レクイエムだったはずだ......多分。それに今考えるとオウムさんってダンゴムシの最終強化版だよな、でかいし強いし素早いし。つまり俺の最終形態はあれなのか......いや待てよ、ならあの黄金の触手が出るんじゃないのか? だがどこから出てくるんだろうあぁ鼻らから出るのか、なら鼻毛真拳使えるんじゃないのか? ......なんでジブリから鼻毛に繋がるんだよ。
アスナの解説を無視してそんなこと考えていたので初めの方しか聞いていないが、解説もそろそろ終わりに近づいているような気がするな。なら説明頼んだ意味がない!
「それに私の中で二番目に好きな曲ですが、あの人形から聞こえると思うと......」
しかしその続きを言う前にアスナの顔が初めてあの人形を見た時と同じような表情になったので、俺はその視線の先を見るとあの人形が映ったのだが、どうやらこちらには気が付いていないのか二階にその歩みを進めようとしている。
「どうやら次は二階に行くみたいだから、俺達はそのまま一階の左の通路に向かうぞ」
俺はそう言ってブルーベリーのアスナを引き連れて直進することにした。なんかアスナがブルーベリーとフュージョンして襲ってこないか心配だな。一応今はステータス的にはあんま大差はないが、ブルーベリーなってしまったら簡単に食われてしまう。だが食われるっていってもあっち系の食われるじゃなくて、頭からガブリ系の食われるだからな。それにブルーベリーから亜麻色の髪が生えているとかヴィジュアル的問題大ありだからな。ゴリラ(須藤)といい勝負するんじゃないのか? まあ俺はゴリラに手元にある資金1000メガを賭けるがな! そんな一人では成り立たない賭け事を考えながら左の通路を進んでいると、あることに気が付く。
「どうやら右の通路も左の通路も同じ構造なんだな」
「......」
俺のその見解にアスナはまったく気が付かないのか、何も言わずに周囲をキョロキョロしている。ここにはキョロちゃんはいないし、あの人形もいないから安心しなさい。それにここでいつものお返しをしてしまうとそれこそ手が付けられなくなりそのまま仲間割れ、そして別行動をするとそのままバットエンドに直行してしまうからな。俺はこれまでの経験上の判断から今のアスナをからかわない! そんなことに決めてそのまま探索を進めることにした。
それにしてもまったく同じ構造だな、まるで合わせ鏡みたいにたけしボックスも同じ位置だぞ。てかそんなたけしおらん! たけしは俺! アスナは闇落ちの可能性大!
そんなことはどうでもよくて、探索した結果から推測すると二階も同じ構造だと判断した方がいいかもしれないな。
そんな風に探索していると新しいアイテムとして墨汁を手に入れたのと同時に、先ほどまで黙っていたアスナが俺の手に握られてる墨汁を見ながら尋ねてきた。
「墨汁ってことは、後は筆とかですかね?」
「流れだとそうなるな。何か書かないといけないかもな」
ちなみに俺は無理でーす。なぜなら習字の時はいつも肘を付けて書いていたからなのか知らないが、そのせいで服に墨汁が付くというハプニングが高頻度で起きていたからな。だからそれ以降習字をする時は、利き手じゃない左手で右手の支える体勢でいつも書く羽目になってしまったのだ。そのせいでクラスの奴らから『反面教師』って呼ばれたんだからな。それに仕方ないのだ......これは癖なのだから。
そんな小3の時のことを思い出しているとあることに気が付く。
「なんかこの館って西洋みたいなのに、日本人形とか墨汁とかってかなり東洋だよな」
「たしかにそうですね。もしかするとあの手紙の主が東洋関係の人物かもしれないですね」
アスナと考察しながら探索し続けているとある一室に目が止まった。
「......ここって座敷、だよな」
「......ですね」
俺達の目の前にある部屋は、昔の日本家屋にありそうな畳式の座敷だったからだ。畳っていいよなあ〜、なんか落ち着く匂いがするから。
畳から他のところに視線をスライドさせると竹模様の押入れがあるのを発見し、それに続けて床の間の壁には二人の男女が抱き合っている掛け軸があることにも気が付く。なんで抱き合っているだ? 抱き合う必要ないだろ、むしろ抱き合うんじゃねえよ......なんで俺は掛け軸に嫉妬しているんだ? それはともかくなんか表情が泣いているような気がしなくもない。
視線を下にスライドさせて床の間のところをよく見るとこの雰囲気から考えるに刀を置く台のようなものが設置されていた。たしかこれの名称は......刀掛台だったはずだ。
「ここってやっぱ刀とか置いてたんだよな」
どうでもいい情報だが、俺が剣ではなく刀と言っている理由は刀は東洋系で剣は西洋系を意味するからだ。追加情報として基本的に刀は片刃、剣は両刃と認知してもらったほうがいいな......俺は一体誰に説明しているんだ?
「そのように見えますね。ただこのようなところにあるとなると普通の刀ではないでしょうね」
俺とアスナがそんな話をしているそんな時、微かだが通路の方からあのオルゴールの音色が聞こえ始めてきた。何か戻って来るの早くないか? あの人形が二階に向かってからまだ10分ぐらいしか経ってないぞ。先ほどは30分ぐらいはこっちにいたからな。
「とにかく今ここを出ても見つかる可能性があるからな。仕方ないから押入れに隠れぞ」
俺がそう言った瞬間アスナが一瞬で押入れを開けて目にも留まらぬ速さで押入れの下に滑り込んだ。
はっや! こいつどんだけ怖がってんだよ......見た目はたしかに怖いが、ステータスを比べるとお前の方が十分化け物じゃねえか、なら俺も化け物だったな。ただし美女と野獣! もちろん俺が後者だ! ただし野獣先輩ではない!
とにかくまだ距離があるし、俺も押入れに入ることにするか。
なんか押入れに収まると同時に安心感を覚えてしまう。やっぱ日本人は狭いところが一番だよな。アメリカ人とかは日本の家をウサギ小屋とか言うけど、ウサギ小屋地味にでかいからな。小学校にもそれがあったのだが、当時掃除当番で中を掃除した時にウサギちゃんの住んでいる場所は地上世界と地下世界が広がっている。そして地下世界の入り口である穴から彼らが口をもぞもぞしながら、こんにちは! と挨拶してきたもんだからよく癒されたものだった。俺が言いたいことは、ウサギ小屋は上は狭いが下は案外広い。つまり逆説的に考えて、ウサギ小屋呼ばわりされている日本の家も案外広いということになるのだ。
暇だったのでそんなことを考えていたのだが、あの人形が全然来ない。確実に近づいて来ているのは分かるのだが、そのスピードがあまりにも遅いのである......まさか一室一室チェックしているのか!? まあ押入れの中に入っていれば大丈夫だろ。ドラえもんなんかその代表選手だしな。だからなんでドラえもんと同じだからって安心できるんだっていう話だな。一人でボケツッコミをするから何か磨きが掛かってきている......悲しい。
悲しい気持ちになった俺は、同じ境遇にいるアスナ先生に暇なので今聞こえている曲について訊くことにした。
「おいアスナ、起きてるか? 起きてるならあの曲の説明よろ」
「これは『ピアノソナタ 第8番 悲愴』といい、今流れているのは第2楽章のところですね。この曲は、彼の作曲した『熱情』、私のお気に入りの『月光』の3つと合わせて三大ピアノソナタと呼ばれおり、私の好きな曲ランキング1位に輝いています。そんな素晴らしいこの曲の驚くべきポイントとして挙げるならば、これが比較的初期の作品であるといことでしょうね。この頃から彼の音楽家として才能が見えていたと推測できます。それにこの当時彼は、難聴を患っておりそれを憂いて『悲愴』という曲名になったのでしょう。他にもアニメや映画、歌付きのカバーなど幅広く現代でも聴くことができる曲です。そんなーー」
なんか気を使って説明を頼んだところなんか長い、それに声もはきはきしてて元気そうだし。一応俺は上段、アスナが下段で分断されているの普通に声が届いてちゃってる。これあれか、ドラえもん説の再浮上なのか? でもまあ今だけだろな、まだ説明してくれているがあの人形が後数分ぐらいでこの部屋をチェックしに来るだろうし。失礼ながらアスナ先生の解説にも聞き飽きたので、毎回恒例の一人思考でもするかな。
そんな今回の題目は、今出てきたアニメだな。俺は古今東西すべてのアニメを見たと宣言できる(自称)。たしかにこの曲は聞いたことがあるな......『ぎゃぼー』、『うっきゅっきゅ』とか奇声をあげる女性主人公のアニメだったはずだ。なんだよこの奇声......一般人じゃ出せねえだろ、一体どこの器官を使ってこの声を発しているんだよ。まあとにかくアニメの題名は、『ゆうとカンタービレ』みたいな感じがするな。よしこれに決定! 異論反論は認めん! そういえば『認MEN』って名前の妖怪がいたような気がーー”そんなわけないナイよ!” ーーなら気のせいだな。今脳内から聞こえたのも何ら不思議なことではないからな。
というわけで毎回恒例の一人思考が終幕するところでやっとあの人形が近づていた来たのか、オルゴールの音色とそれに合わせる鼻歌が徐々に大きくなり始めた。すると先ほどまで上段から生き生きとした説明は朝に咲いたアジサイが昼になるにかけて徐々に萎むかのようにその声も徐々に、ではなく一瞬で消えた。アスナの霊圧が消えてしまった......そんなことを考えていると、この座敷の部屋の扉が開いた音が聞こえると同時に、あのオルゴールの音色と共にあの鼻歌が今まで以上によく聞こえた。
それに続いて畳とあの人形の足が微かにすり合わせる音も聞こえ始める。
先ほど聞いた時はそれなりに距離があったので、あまりどんな表情をしているのか分かたなかった。しかし少しだけ押入れを開けてあの人形を見ているのだが......なんていうか、悲しい表情をしている。それはまるであの掛け軸に描かれている男女のそれだったのだ。
だからなのか、あの人形を助けてあげねば! と思ったのだが、人形との距離が近いのでその迫力がかなり! すごいのだ。こんな巨大な人間って言ってもいいのか知らんが、これだけの身長を持った女性? を見たことないからだ。なので俺はすぐに、だがゆっくりと押入れを閉めて隅のほうでガクブルすることにした。
そんな時だった。
「......ここにもいない」
突然そんな呟きを残すと、先ほど同様畳とすり合わせる音が徐々に扉の方に向かい始める音が聞こえてくる。そして扉の開く音に続いて閉まる音がすると同時に、オルゴールの音色とあの鼻歌が急激に小さくなると、先ほど来た道を引き返しているのか次第にそれらは遠ざかるようにして聞こえなくなった。
「......もう行ったかもな。アスナ出てもいーー」
「......」
俺は押入れを開け、多分上段にいるはずのアスナに声をかけながらその様子を見たのだが、彼女は......気絶していた。ゴースト系モンスター克服訓練を命令した時もこいつ気絶していたのよな。でもあの時は立ったまま気絶していたが、今回は壁に寄りかかるように気絶している。成長したんだな(しみじみ)。
俺は完全あの人形が遠ざかっているのを確認して再度夢の世界に旅立ったままのアスナを微笑みましく見つめる。なんて気持よさそうに気絶しているのでしょう。だから俺は優しく起こしてあげようと思いますえぇ、ひっひっひっ。
「おいアスナ! 人形がいるぞ!」
「きゃぁぁぁぁぁ!! どこですかぁぁぁぁぁ!!」
俺がアスナの耳元でそう大声で伝えてあげると、その閉じていた目をかっと開くと同時に俺に抱き着いてきた。
ヤバい! このままではあの時のようになってしま......あれ? そこまで痛くない......だと? あぁここってステータスが低下するとか言っていたな。だから死なずに済んだのか。てかなんだよ死なずに済んだって、この言い方だとアスナの抱き着きが即死系の攻撃みたいじゃないか、いや即死系の攻撃だったな。だからあの時俺の霊魂が口から、こんにちはー宅急便でーす! していたしな。それはクロネコか......とにかくだ! 今はアスナを落ち着かせないとやっぱヤバイ! 甲冑の少し凹凸があるところが俺のボディーをぐりぐりしているからだ。
「おいアスナ! 頼むから離れてくれ! 金属が俺のボーンを砕こうとしているから!」
「あの人形がいるんですよね! 早くどうにかしてください!」
アスナの涙ながらの訴えに俺は一瞬、えっ? ナニソレ? と思ったのだが、今ってそういう設定だったの忘れてたわ。
俺はすぐにあれを創造しながらアスナに説明しようと思ったので、
「......あぁ......ごめんあれうそ、ドッキリなの。ほらこれ」
たった今創造した『ドッキリ大成功!!』の看板をアスナに見えるように目の前に差し出してあげた。
これを創造できた理由は、小学生の頃担任だった海老沢先生を驚かそう作戦を実施した際に図工が得意な奴が製作したのを手伝っていたからだ。ちなみに作戦の名前はシックセンス作戦だ。映画を見たことがある人は分かると思うが、簡単に言うと主人公は死んでいるのだがそれに自身が気づかずにないで一年間ほど過ごすのだが、ここである一人の少年と出会うことで話が進んで行くというものである。
お気づきの通り主人公が先生、少年役が俺だった。一言で感想を言うと......かなり先生が可哀そうだった。先生の言葉に誰も反応しないかったからな。まあ俺が出てきて先生を成仏させた間違った生き返らせたけどな。ホント誰だよ、こんな小学生の発想じゃない作戦を考えた奴らは! 俺と正人だ! それに全員賛成したからだ! あの瞬間だけ4年3組の意見が一致したことを俺は決して忘れはしない。
過去を回想しながら俺は看板を指差しながら笑顔に加えて舌をペコちゃんみたいに出して冗談だよ♪ という気持ちをアスナに伝えようとしたのだが、
「......」
その瞬間俺の体を締め付ける力がステータス以外の何らかの補正が掛かったのか、一気に締め付けられ俺はそのまま意識をトリップして......ってあぶねえ! こんなとこでトリップしたらそれこそガチのトリップが訪れてしまう。
どうにかアスナの束縛から解き放たれた俺はそのまま天に召されいく......わけがない! どうやらまだ映画の影響が出ているようだな。
俺は体操をする感覚で手首をぶらぶらさせるという謎の行動をし終えると、なんかご機嫌90度のアスナになんか言ってあげようと思い少し考える。
「......まあよかったじゃん。無事だったんだし、結果オーライみたいな」
少し久々の横浜弁が入ってしまのだが、この世界に来る少し前に俺はある重要な事実に気が付いてしまったのだ。この『じゃん』はなんと! ......横浜弁ではない! 東海地方出身の方言なのだ! 他にも『横はいり』もそこ出身である。それなのに横浜の人々は、あたかも横浜発祥と頑なに信じながら使っている......まったく悲しい事実だ。
俺のセリフを聞いてアスナは吐き捨てるようにこう言う。
「なんでこんな人にエレナさんがなびくのか不思議です」
「あ~それはあれだ、お前が独身なのと同じ考え方ができるぞ。お前はそのことを不思議に思っているかもしれないが、俺はお前がなんで独身なのか理解できんからな」
見た目はいいだろうが、中身がちょっとな~と思ってしまうのだ。しかし俺に至っては見た目はうっわぁ、中身はちょっと無理です、と思われる。......なんか丁寧語が入ってせいでさらに深刻の思えたじゃねえか。
「......それって褒めてるんですか? それとも貶しているんですか?」
「いや褒めてる褒めてる世界一受けたい授業並みに褒めてるぞ」
「棒読みじゃないですか......」
アスナは完全に呆れていた......といよりもなんか柴犬みたいに悲しいそうな表情をしている。あれ~俺ってなんか言ったけか~あぁ言いましたね。番組混ぜながらがっちりマンデー!
仮に柴犬だったら、『おーよしよし、いい子だからこっちにおいで』とか言って撫ぜようとして結果噛まれるてしまうのだが、アスナの場合はいい子ではないし、それを言ってしまうとやはり噛まれてしまう......どっちも噛まれちゃうのかよ。以上証明終了。
「まあ独身なのはともかくだ。そういうのは選ぶ方に問題があるんだし、俺と気長に待とうぜ」
「ユウト様の気長は一生という意味に解釈できるので危険ですね」
「いや~分からんぞ。人間簡単になびくように作られているからな。政治家みたいなもんだ」
ホントあいつら風見鶏みたくなびくよな。あっち側に付いた思ったら次はこっち側にいる、お前らは大量発生したねずみ小僧か。まあそれでも人に頭を下げることができる政治家なら尊敬に値するが、ふんぞり返って自分は偉いんだ、みたいな雰囲気を出す政治家が今は多いような気がする。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』って言葉にあるしな、それを見習ってほしいものです......俺はいつから政治評論家になってしまったのだ?
「政治家はどうでもいいですけど、まあ気長に待つことにします......一緒に」
「? 最後なんか言ったか? 聞こえなかったけど」
俺が疑問をアスナはどこか嬉しいのか満足そうに顔をほころばせている。
「気のせいですよ」
ふ~ん、まあ機嫌が良くなったしそれでいいか。それに今はこれからのことを考えないといかないしな。
「あいつの言っていた、ここにもないってどういう意味なんだ?」
「おおよそ床の間に置いてあったはずの二本の刀のことでしょうね」
俺の疑問に対してアスナは床の間の刀掛台を見るかのようにして答えたので、俺は再度そこを見てみると先ほどあまり注視していなかったが、どうやらこれには二本の刀を置くタイプのようだ。
「てことはあの人形はその刀を探して歩き回っているってことか」
俺は人形が二本の刀を振り回しながら襲い掛かってくる光景を脳裏で鮮明に想像することに成功してしまっしたのだ。あの見た目の上に二本の刀を持って追いかけて来ると思うと......『うっきゅっきゅ』、これは別キャラだ。
「そう考えるのが妥当ですね」
その後俺達はあの人形に対する恐怖と戦いながら、まだ探索し終えていない通路の部屋を探し回ったのだが、特にめぼしいものは見つからなかったという結末を迎えた。
そして改めてこう思ったのだ......ほとんどの部屋が無駄じゃねえか! と。




